FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED SINGLE CASE STUDY

杖をついても100mで休んでいた「脊柱管狭窄症」── 月1回の通院を続けた患者への長期経過インタビュー

脊柱管狭窄症(整形外科診断)神経性間欠跛行(100m)歩行時の前傾姿勢腰部の重だるさ・可動性低下長期経過インタビュー(単回施術の記録ではない)継続的な徒手療法(月1回ペース)触診による筋緊張評価(本人談)

BEFORE

整形外科で脊柱管狭窄症と診断され、コルセット処方と「歩くように」という指導のみを受けていた。最も症状が重かった時期は杖をつき、電柱から電柱(約100m)ごとに休憩、最重症期の総歩行距離は約500mだったと本人は振り返る。

AFTER

月1回ペースでの通院を継続し、本人の言葉では「ロングスパンで見ると、ちょっとずつ良くなってる」。施術直後は腰の“塊”が消え姿勢が大きく変わるが、通院間隔が空くとこわばりが戻り、前かがみで歩くと痛みが残ることも本人が率直に語っている。

経過:月1回ペースでの通院を継続中。本動画は特定の1回のセッションの前後を記録したものではなく、数年にわたる経過を本人が振り返って語ったインタビュー。

施術の動画

はじめに

これは単回の施術動画ではなく、数年間を振り返るインタビューです

この記事で扱う動画には、いつもの症例記事とは違う点があります。特定の1回の施術の様子や、その場での劇的な変化は映っていません。映っているのは、脊柱管狭窄症と診断され、最重症期には杖をついて100mごとに休みながら歩いていたという男性患者に対する、施術者・藤井翔悟による振り返りのインタビューです。話題になっているのは、数年にわたる通院の経過そのものです。

この違いは、記事の書き方にも影響します。他の多くの症例記事では、「動画に映っている手技の手順」を図解できます。しかしこの動画には手技の場面がありません。したがってこの記事では、施術の手順を創作で補うことは一切せず、本人と施術者が語った内容だけを手がかりに、経過を丁寧にたどります。

この記事で分けて扱う3つの層

①整形外科の診断名や通院頻度などの事実、②本人が言葉にした症状や経過の主観的な報告、③この動画には含まれていない施術の詳細(触れた部位・手順など)。③については、収録されていない以上、この記事では踏み込みません。

STEP 1

整形外科での診断 ── コルセットと「歩きなさい」だけの指導

男性が整形外科で受けた診断は「脊柱管狭窄症」。当時の様子を、本人は「かなり腰が曲がって」いたと表現し、施術者は「ぎゅっと丸くなってはりましたもんね」と当時の姿勢を覚えている。整形外科から提示された治療は、コルセットの装着と「せいぜい歩きなさい」という指導のみだったという。手術や注射などの積極的な介入は、この段階では行われていない。

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脊柱管狭窄症とは
脊柱管が狭くなっている部位 (整形外科の診断名) 脊柱管狭窄症 ── 神経の通り道である脊柱管が狭くなる病態 反り姿勢で狭くなり、前かがみで広がる。歩行時に前かがみになりやすいのはこのため。

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神経の通り道である脊柱管が、加齢性の変化などによって狭くなる病態。整形外科ではこの診断名が伝えられていた。

脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る神経の通り道である脊柱管が、加齢に伴う変性などによって狭くなる病態である。多くの場合、MRIなどの画像検査で構造的な狭窄が確認されて診断される。コルセットについて本人は「それはそれなりに効果あったとは思いますけれども、なんかやっぱり、コルセットに頼ってるみたいで、気持ち悪かった」と、一定の効果を認めつつも、常用に対する心理的な抵抗を語っている。

STEP 2

神経性間欠跛行 ── 「電柱から電柱まで」しか歩けなかった時期

症状が最も重かった時期について、男性は具体的な数字とともに振り返っている。「一番きつい時はもう、杖をついて。杖をついて、100m歩いて休み。まあ、結局トータルで歩いても500mぐらい歩いてたっていうのが一番きつい時でした」。施術者も「電柱から電柱の間まで歩く間に休憩しはってる」という当時の様子を覚えている。

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最重症期の歩行能力
最も症状が重かった時期の歩行能力(本人の申告) 電柱 電柱 電柱 電柱 電柱 杖をつき、電柱から電柱(約100m)ごとに休憩 本人談:「一番きつい時は杖をついて、100m歩いて休み。トータルで歩いても500mぐらい」 初診時、妻に付き添われて来院。ここまで来るのにかなり時間がかかり、汗をかいていたと施術者は記憶している。 本人が語った当時の感覚 ・とにかく「重たい」。腰の筋肉が自由に動かない ・急いで歩こうとすると、体がどんどん前かがみになっていく ・コルセットは効果を感じつつも「頼っているようで気持ち悪い」 ※ これらは動画内で本人が語った自覚症状であり、歩行距離・角度などを実測した客観データではない。

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杖をつき、電柱から電柱(約100m)ごとに休憩。最重症期の総歩行距離は約500mだったと本人は振り返る。

症状の質についても、本人の言葉は具体的だ。「重たいです、とにかく。腰の筋肉が自由に動かない」。さらに「ちょっと急いで歩こうとすると、体が前かがみになる」とも語っている。これは、脊柱管狭窄症による神経性間欠跛行でしばしば見られる訴え方と一致する。体を反らす姿勢では脊柱管がさらに狭くなり、前かがみの姿勢では相対的に広がるため、歩行中に無意識に前かがみになっていく患者は少なくない。

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神経性間欠跛行の仕組み
神経性間欠跛行の仕組み ── なぜ前かがみだと歩きやすいのか 反った姿勢(伸展) 脊柱管がさらに狭くなり、神経が圧迫されやすい 前かがみ姿勢(屈曲) 脊柱管が広がり、神経への圧迫が緩みやすい 本症例でも「急いで歩こうとすると体が前かがみになる」という自覚があった。これは神経性間欠跛行の典型的な訴え方の一つ。

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反った姿勢で脊柱管がさらに狭くなり、前かがみで広がる。急ぐと前かがみになっていく自覚症状と一致する。

初めてこの治療院を訪れた日のことを、施術者は「一番最初の奥様と来られた時も、ここまで来るのにだいぶ時間がね、かかってて、ごっつ汗が出てたっていうようなもの、僕よく覚えてますけれども」と振り返っている。これは施術者の記憶に基づく発言であり、当時の来院時間や発汗量を客観的に記録したものではないが、症状の重さを裏づける状況証拠として記録しておく。

STEP 3

5、6年通ったカイロプラクティック ── 「効いたけど、定着しなかった」

この治療院に出会う前、男性は大阪在住時に5、6年にわたって断続的にカイロプラクティックへ通っていた。受けていた施術は、マッサージと、腰椎を他動的に動かす手技である。本人は「ボキッと言うと気持ちがいいという」と、その施術の特徴を表現している。

効果については、はっきりとした実感と、はっきりとした限界の両方を語っている。「とにかく受けた直後はすごく楽にはなるんです。で、あの、効いたなと思って喜んでるんですけども、なかなかその効き目が定着してくれない」。この体験は、施術直後の変化と、長期的な改善の持続とが、必ずしも一致しないことを示す一つの実例といえる。効果が定着しないまま、通院はいつの間にか途絶えたという。

STEP 4

妻の紹介 ── 「筋肉の塊がほぐされてる実感」という違い

この治療院を知ったきっかけは、妻の紹介だった。妻はすでに腕の症状でこの治療院に通院しており、「随分効果があって、今も治ってますけど」と男性は話す。一方で妻は、この治療院の施術の力の強さについて、「あの、グイグイグイグイ、その、やられて痛いけれども」と男性に伝えていたという。

興味深いのは、実際に施術を受けている本人自身の感じ方が、妻の伝聞とは異なっていた点だ。「それはないです。僕の場合は全然そういうのはないですね」。施術者もこれを受けて、「まあ、人によってちょっと、カモさんは、だとあれですね。全く。その腕の時と、多分、その人によって感じ方が違かったんでしょうね」と応じている。同じ施術者・同じような手技であっても、痛みの感じ方には個人差があることをうかがわせるやり取りである。

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発症から現在までの経過
この患者の経過 ── 発症から現在まで 整形外科で 脊柱管狭窄症と診断 コルセット処方+「歩くように」の指導のみ カイロプラクティック (大阪・断続的に5〜6年) マッサージ+腰椎の他動運動。直後は楽だが定着せず、次第に足が遠のく 妻の紹介で この治療院へ 妻が腕の症状ですでに通院していた 現在(月1回ペース) 「ロングスパンで見るとちょっとずつ良くなってる」 このインタビュー自体は、単発の施術前後を映した動画ではなく、この経過全体を本人が振り返って語ったもの。

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整形外科での診断から、カイロプラクティック、この治療院への通院まで、本人が語った経過をたどる。

以前のカイロプラクティックとの違いについて尋ねられると、男性は「筋肉の塊みたいなものが、ほぐされてるということがやっぱり実感できる」と答えている。これは、施術の効果を検証するデータではなく、本人の主観的な体感の比較にすぎない。ただし、通院を続ける動機としては重要な要素であり、この記事では「本人が語った体感の違い」として、事実の層とは分けて記録する。

STEP 5

「骨の問題」から「筋肉の問題」へ ── 本人の理解の変化

この治療院での問診・治療について、男性は自身の理解がどう変わったかを語っている。「その、なんていうのか、骨が、問題があると思ってたのが、そうじゃなくて、筋肉が固まってしまってというふうに言われたのは意外で」。脊柱管狭窄症という診断名が、脊柱管という骨性の構造に関わるものであるため、本人が原因を「骨」の問題と捉えていたのは自然な理解である。そこに「筋肉」の説明が加わったことが、意外だったという。

ここで注意が必要なのは、「骨の問題ではなく筋肉の問題だった」という物語を、そのまま医学的事実として受け取ってはならないということだ。脊柱管狭窄症という画像診断上の所見と、腰まわりの筋緊張という徒手的な所見は、互いを否定する関係にはない。両方が同時に存在し、互いに影響し合っている可能性は十分にあるが、この動画からは「筋肉が原因のすべてだった」とは確認できない。本人にとって「なんとなく思い当たるところがあった」という納得感があったことは事実として記録しつつ、それが構造的な診断を置き換えるものではないことは、明確にしておきたい。

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3つの層に分けて読む
この記事で分けて読む3つの層 ① 事実 整形外科の診断名、コルセット処方、通院の頻度(月1回) ② 本人の主観報告 「重たい」「良くなってる」「間が空くと戻る」など、本人の言葉による経過 ③ この記事が踏み込まない領域 この動画には、施術で実際に何を・どこに行っているかの描写がない この3つを混ぜず、確認できる範囲だけを地に足つけて記録する。

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事実・本人の主観報告・この記事が踏み込まない領域を、混ぜずに分けて記録する。

STEP 6

毎回硬いと感じる場所 ── 下腹部・股関節・骨盤

「カモさんはどこが一番硬いっていうふうに、今、ご自分で思ってはりますか?」という施術者の問いに、男性は「下腹から、股関節。骨盤、骨盤のあたりですかね」と答えている。施術者もこれに「毎回そこカチカチになってますもんね。お腹とかね、お尻らへんがそうなんですけれども」と応じており、複数回の通院を通じて、同じ部位の硬さが繰り返し確認されてきたことがうかがえる。

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本人が語る「毎回硬い場所」
下腹部・股関節・骨盤まわり 本人が「毎回そこが硬い」と語る部位 「どこが一番硬いと思いますか」への本人の回答 「下腹から股関節、骨盤のあたり」── 通院のたびに同じ場所を挙げている。

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下腹部・股関節・骨盤まわり。通院のたびに同じ部位の硬さを本人が挙げている。

下腹部・股関節・骨盤まわりは、腰椎から下肢へと連続する筋群(腸腰筋、殿筋群、骨盤底の筋群など)が集中する領域である。これらの部位の緊張が、腰部の可動性や姿勢に影響しうるという発想自体は、徒手療法の臨床現場で語られることがある。ただし、この動画では、これらの部位に対して具体的にどのような手技が行われているかは示されていない。ここで確認できるのは、あくまで「本人が繰り返し同じ部位の硬さを自覚している」という主観的な報告までである。

STEP 7

施術直後の変化 ── 「背がぐんと伸びる」その場の反応

施術直後に何が起きるかについて、本人と施術者はともに具体的に語っている。本人は「終わった直後はね、逆に言うと、その腰の塊がなくなってしまうので、かえってこう姿勢が変わっちゃって、その姿勢に慣れるのにしばらくかかりません?」と述べ、施術者も「もう本当に背がぐんと伸びてますもんね、毎回。きゅって丸くなってるのがストーンとまっすぐになる」と応じている。

この「毎回、施術直後に姿勢が大きく変わる」という現象は、この症例の中で最も再現性が高いと考えられる観察である。ただし、これも角度計や写真による定量的な記録ではなく、両者の主観的な印象の一致にとどまる。加えて、新しい姿勢に「慣れるのにしばらくかかる」という本人の発言は、施術直後の変化がそのまま安定した状態として定着するわけではないことも同時に示している。

STEP 8

「間が空くと戻る」── 通院間隔と症状の関係

現在の通院ペースは、おおむね月1回。このインタビューの時点では、いつもより間隔が空いていたようで、本人は「やっぱり間が空くと、今回ちょっと間が長く空いたので、その間に少しずつ、また固まってきてるような感じはしますね」と話している。歩行についても「この間、間が空きましたので、少し、腰が、曲がり気味」「戻ってきてる感じ」と、症状の一部再燃を率直に語っている。

一方で本人は、「でも、まあ、全体として見れば、ロングスパンで見ると、ちょっとずつ良くなってるような気はします」とも述べている。短期的には通院間隔に応じて症状が変動しつつ、長期的には緩やかな改善傾向にある、というのが本人の実感だ。この「短期の波」と「長期の傾向」を分けて語っている点は、症例としての誠実さを感じさせる一方、いずれも本人の記憶による大づかみな評価であり、客観的な測定に基づくものではないことは繰り返し断っておく必要がある。

STEP 9

残っている症状 ── 「前かがみになると、ちょっと痛い」

この症例を美談として終わらせないために、本人がはっきりと語った残存症状も記録しておく。「痛みとかって今って残ってるんですか?まだ。腰の痛み自体は」という施術者の問いに、男性は「歩いてて前かがみになってくると、ちょっと痛いですね」と答えている。歩行時の前傾で症状が出るという点は、症状が最も重かった時期の訴えと共通しており、程度は軽くなっているとしても、同じパターンの症状が形を変えて残っていることを示している。

脊柱管狭窄症で医療機関の受診を優先すべきサイン

両足に力が入らなくなる、尿や便が漏れる・出しにくい、お尻や陰部の感覚がおかしい(サドル型のしびれ)、安静にしても軽快しない激しい痛みが急に出た場合は、馬尾症候群を含む緊急性の高い病態の可能性があります。徒手療法よりも医療機関の受診を最優先してください。

STEP 10

コルセットへの違和感を、どう読むか

本人が繰り返し語った「コルセットに頼っているみたいで気持ち悪い」という感覚は、医学的な効果とは別の、心理的な受け止め方として尊重されるべきものである。一方で、体幹装具そのものが無価値というわけではない。対象疾患は異なるが、2024年の系統的レビュー(Keshavarzi ら)では、骨粗鬆症や高齢者の脊柱後弯に対して、半硬性または加重式の装具が胸椎後弯角や背筋力に肯定的な効果を示す一方、軟性・硬性の単独使用では優位性が乏しいことが報告されている。

つまり、装具にも様々な種類と使い方があり、「コルセット全般が良いか悪いか」という単純な二択では語れない。本人が整形外科で処方されたコルセットがどのような種類だったか、どう指導されていたかは動画から分からないため、この記事では「本人はコルセットへの心理的な抵抗を語った」という事実と、「装具療法の効果は種類や使い方によって異なりうる」という周辺知見とを、明確に分けて記録するにとどめる。

STEP 11

「良くなっている」と感じる理由を、一つに決めつけない

本人が語る「ロングスパンで見ると、ちょっとずつ良くなってる」という実感は、どこまで施術そのものの効果と言えるのだろうか。まず考えられるのは、月1回の通院そのものが、腰まわりの筋緊張や姿勢に一定の働きかけを続けてきたという可能性である。施術直後に姿勢が大きく変わるという再現性の高い観察は、この仮説と矛盾しない。

第二に、脊柱管狭窄症という疾患自体の自然経過も考慮する必要がある。脊柱管狭窄症の症状は、必ずしも一直線に悪化し続けるわけではなく、時期によって波があることが臨床的に知られている。数年という長い期間を振り返れば、施術とは無関係な体調の波、活動量の変化、生活習慣の調整などが、症状の軽重に影響していた可能性も否定できない。

第三に、通院を続けること自体が持つ心理的な効果も無視できない。定期的に体の状態を診てもらい、姿勢が変わる実感を得られる場があることは、痛みや不調への向き合い方、活動性の維持に良い影響を与えうる。これは「気のせい」ということではなく、慢性疾患の管理において通院の継続そのものが持つ価値として、正当に評価されるべき要素である。

施術の直接的な効果、疾患の自然な波、通院を続けること自体の効果 ── これらのどれか一つだけを「正解」と決めつけず、複数の要因が同時に働いた可能性を残しながら読むのが、この症例に対する誠実な向き合い方だと考える。

STEP 12

よくある疑問に答える

Q. 脊柱管狭窄症は、徒手療法で治るのですか? ── A. この動画・この記事から言えるのは「治る」ではありません。確認できるのは、一人の患者が数年間の通院を続け、重だるさや歩行の制限について長期的には軽快の方向にあると自己申告していること、それでも前かがみでの痛みは残り、通院間隔が空くと症状が戻ると本人が語っていることです。脊柱管という構造そのものが画像上で改善したかどうかは、この動画からは確認できません。

Q. なぜ数字(歩行距離)を出しているのに、症例報告として弱いのですか? ── A. 「100mごとに休憩」「トータル約500m」という数字自体は具体的ですが、これは本人の記憶に基づく振り返りであり、当時その場で歩数計や記録用紙を使って測定されたものではありません。またこのインタビュー時点での歩行距離は、動画の中で数値として語られていません。時期によって条件をそろえて比較した記録がない以上、「距離が2倍になった」のような定量的な改善は主張できないという意味で、症例報告としての強度には限界があります。

Q. カイロプラクティックとこの治療院の違いは何ですか? ── A. 動画で語られているのは、本人が体感した違いだけです。カイロプラクティックでは「直後は楽になるが定着しない」という体験があり、この治療院では「筋肉の塊がほぐされている実感がある」と本人は述べています。ただし、施術の内容そのものを両者で比較検証したデータはなく、technique同士の優劣を医学的に結論づけることはできません。

Q. この記事に出てくる「筋肉が固まっている」という説明は、医学的に正しいのですか? ── A. 施術者の臨床的な見立てとして本人に伝えられた説明であり、この動画の中で、どの筋肉が、どのように評価されたのかは示されていません。脊柱管狭窄症という画像診断上の所見と、触診による筋緊張の所見は、同じ人の中に同時に存在しうるものであり、互いを否定する関係にはありません。ただし、「筋肉の問題だから脊柱管の狭窄は無視してよい」という結論にはなりませんし、動画もそのようには語っていません。

おわりに

「万能かは分からないが、試す価値はある」── 本人からのメッセージ

インタビューの最後、施術者は「カモさんと同じような症状で悩んでおられる方に、何かメッセージを最後にいただけますか」と尋ねた。男性は次のように答えている。「私も思いがけない、ない角度から、やっていただいて、それで、効果が出たもので、まあ、それが万能であるかどうかは分かりませんけれども、試してみられる価値はあるんじゃないかなという気はします」。

この言葉は、この記事全体のトーンとも一致する。杖をつき100mごとに休んでいた歩行が、月1回の通院を数年続ける中で、本人の実感として緩やかに改善してきた一方、前かがみでの痛みは残り、通院間隔が空けば症状も戻る。劇的な一発逆転の物語ではなく、地道な継続の記録として、この症例を読者に届けたい。脊柱管狭窄症と診断され、同じような歩行の制限に悩む方は、まず医療機関で自身の状態を正しく評価してもらったうえで、徒手療法を検討する場合も、こうした「長期的な経過」を含めて主治医や施術者と相談することをおすすめする。

本記事は、本人の同意を得て匿名化した一人の施術前後を記録するシングルケーススタディです。藤井式の評価と手技で生じた即時変化を、関連するRCT・系統的レビュー・基礎研究と照合して紹介しています。
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