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制度・診療報酬

令和8年度診療報酬改定でリハビリはこう変わった ― 「離床を伴わないリハ」の1割減算・1日2単位制限と、目標設定等支援・管理料の廃止

令和8年度診療報酬改定(令和8年2月13日答申・同年6月1日施行)は、疾患別リハビリテーション料を「訓練内容に応じた評価」へと踏み込ませた。ベッド上から動かさずにポジショニングや拘縮予防だけを行った場合は所定点数の100分の90となり、算定も1日2単位までに制限される。あわせて目標設定等支援・管理料は廃止され、介護支援専門員との連携が算定要件に組み込まれた。療法士の一日の中身が、そのまま点数の差になる改定である。

著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-09-01

令和8年度診療報酬改定は、令和8年2月13日の中央社会保険医療協議会総会で答申され、診療報酬本体は令和8年6月1日から施行された(薬価は同年4月施行、材料価格は6月施行)。数字の見出しだけを追えば「プラス改定」である。しかしリハビリテーション領域に限って言えば、今回の改定の本質は改定率ではない。同じ20分・同じ1単位でも、何をしたかによって点数が変わる仕組みが、疾患別リハビリテーション料に初めて持ち込まれたこと。ここに尽きる。本稿では、厚生労働省保険局医療課の改定説明資料「Ⅲ-4 質の高いリハビリテーションの推進」および令和7年12月24日の大臣折衝事項を一次資料として、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の日常業務に直接影響する項目を、現場の運用に落とせる粒度で整理する。

まず改定率――「プラス」の中身はほとんどが賃上げと物価対応である

診療報酬本体の改定率は+3.09%とされた。ただしこれは令和8年度と令和9年度の2年度平均であり、単年でみると令和8年度+2.41%、令和9年度+3.77%という配分になっている。内訳を確認すると、賃上げ分が+1.70%、物価対応分が+0.76%、食費・光熱水費分が+0.09%、令和6年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分が+0.44%で、後発医薬品への置換えの進展を踏まえた処方・調剤の適正化や在宅医療・訪問看護関係の評価の適正化などによる効率化が▲0.15%、これらを除いた改定分は+0.25%にとどまる。薬価は▲0.86%、材料価格は▲0.01%である。つまり、上がった分の大半は人件費と物価の穴埋めにあらかじめ用途が指定されており、技術料が広く底上げされたわけではない。物価対応分についても、+0.62%が施設類型ごとの費用関係データにもとづいて病院+0.49%、医科診療所+0.10%、歯科診療所+0.02%、保険薬局+0.01%と配分されるなど、配分先はきわめて具体的に決められている。

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令和8年度診療報酬改定率の内訳 ── 「プラス改定」の中身はほとんどが賃上げと物価対応
令和8年度診療報酬改定 診療報酬本体 +3.09%(令和8年度+2.41%/令和9年度+3.77%・令和8年6月施行) 2年度平均の内訳 賃上げ分+1.70%物価対応分+0.76%緊急対応分+0.44%食費・光熱水費分+0.09%その他の改定分+0.25%効率化(適正化)▲0.15% ▶ 賃上げ分のうち+0.28%は、賃上げ対応拡充時の特例的な対応として措置された。 ▶ 物価対応のうち+0.62%は施設類型別に配分(病院+0.49%/医科診療所+0.10% ほか)。 薬価等(令和8年4月施行) 薬価   ▲0.86% 材料価格 ▲0.01%(材料は6月施行) 各科改定率 医科 +0.28%/歯科 +0.31%/調剤 +0.08% ※※1〜5を除く改定分+0.25%の各科内訳 出典:厚生労働省「診療報酬改定について」(令和7年12月24日 大臣折衝事項) ※本体の改定率は令和8年度・令和9年度の2年度平均として示されている点に注意。

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診療報酬本体は+3.09%(令和8年度・令和9年度の2年度平均)ですが、その内訳を見ると賃上げ分+1.70%と物価対応分+0.76%で全体の8割を占め、これらを除いた改定分は+0.25%にとどまります。技術料が広く底上げされたわけではなく、配分先が厳しく指定されたプラス改定である、という読み方が必要です。数値は令和7年12月24日の大臣折衝事項によります。

この構造を押さえておくと、後述するリハビリテーション関連の見直しが「財源が余ったから配った」ものではないことがわかる。限られた原資の中で、どの行為に重みを置くかを組み替えたのが今回の改定であり、重みを置かれなかった行為からは相対的に点数が引き剥がされている。リハビリテーションにおいて、その引き剥がしの対象になったのが「離床を伴わない訓練」だった。

最大の変更点――離床を伴わないリハビリテーションに減算と単位制限が新設された

今回もっとも現場を揺らしたのは、疾患別リハビリテーション料に新設された「離床を伴わずにリハビリテーションを行った場合」の区分である。厚生労働省の説明資料は、見直しの趣旨を「より質の高いリハビリテーションを推進する観点から、疾患別リハビリテーション料について、訓練内容に応じた評価に見直す」と説明し、具体的には「ベッド上のみでポジショニングや拘縮の予防を目的としたリハビリテーションのみを行う場合について、減算及び算定単位数の制限を設ける」としている。算定要件は各疾患別リハビリテーション料の注に追加され、特定の患者に離床を伴わずに20分以上の個別療法を行った場合は所定点数の100分の90に相当する点数で算定し、さらに通則第4号にかかわらず患者1人につき1日2単位までしか算定できない、という構成になった。点数が1割下がるだけではなく、その患者に対して積み上げられる単位数の上限そのものが縮む。1日6単位、9単位を前提に人員配置と収益計画を組んでいた病棟ほど、影響は大きい。

「特定の患者」とは誰か――除外される3つのケース

減算の対象となる「特定の患者」は、個別療法を実施する日に、ベッド上から移動せずにポジショニングまたは拘縮の予防等を主たる目的とした他動的な訓練のみを行う入院中の患者のうち、次のいずれにも該当しないものと定義されている。第一の除外は、「A300」救命救急入院料等の治療室に係る入院料、または疾患別リハビリテーションの注に規定する早期リハビリテーション加算・初期加算・急性期リハビリテーション加算のいずれかを算定している患者、すなわち急性期に算定する入院料や加算の対象となっている患者である。第二の除外は、患者の疾患および状態によりベッド上からの移動が困難である15歳未満の小児患者。第三の除外は、患者の疾患および状態によりベッド上からの移動が困難な患者であって、当該個別療法を3単位以上行うことが医学的に必要であると医師が特に認めたものであり、この場合には、ベッド上からの移動が困難な医学的理由、長時間のリハビリテーションが必要な理由、および訓練内容を、診療録と診療報酬明細書の摘要欄の双方に記載することが求められる。第三の除外は事実上、「動かせないなら、動かせない理由を書け」という要件である。記録の負担は増えるが、逆に言えば、記載さえ適切に行えば重度の患者への必要な介入まで一律に切り捨てられる設計にはなっていない。

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「離床を伴わないリハビリテーション」減算の判定フロー ── その日、その患者に何をしたかで決まる
Ⅲ-4 質の高いリハビリテーションの推進 入院患者に個別療法を20分以上実施 ベッド上から移動せず、ポジショニングまたは 拘縮予防等を主目的とした他動的訓練のみか? いいえ 通常どおり 算定(減算なし) はい 次のいずれかに該当するか(該当すれば減算の対象外) 救命救急入院料等の治療室に係る入院料、または早期リハ加算・初期加算・ 急性期リハ加算のいずれかを算定している患者 疾患・状態によりベッド上からの移動が困難な15歳未満の小児患者 移動困難で、3単位以上が医学的に必要と医師が特に認めた患者 対象外 いずれにも該当しない 所定点数の100分の90 + 患者1人につき1日2単位まで (通則第4号にかかわらず) 「ウ」で除外する場合の記載要件: 移動が困難な医学的理由/長時間のリハが必要な理由/訓練内容 を 診療録+摘要欄 の双方に記載

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新設された減算は、施設単位でも患者単位でもなく、個別療法を実施する日ごとの訓練内容で判定されます。ベッド上から移動せず、ポジショニングや拘縮予防を主目的とした他動的訓練のみを行った入院患者が対象で、急性期の入院料・加算を算定している患者、移動困難な15歳未満の小児、医師が3単位以上の必要性を特に認めた患者は除外されます。第3の除外を使う場合は、診療録と診療報酬明細書の摘要欄の双方への記載が要件です。

減算の判定は「その日、その患者に何をしたか」で決まる

この減算は、施設単位でも患者単位でもなく、個別療法を実施する日ごとの訓練内容によって判定される。同じ患者でも、ベッド上での他動的な関節可動域訓練のみを行った日は対象となり、端座位や立位、歩行など離床を伴う訓練を組み込んだ日は対象外となる。したがって、実施内容の記録が曖昧なままでは、後日の指導・監査の場面で「離床を伴わない訓練のみだったのではないか」という指摘に反証できない。実施記録に、離床の有無・実施した肢位・訓練内容を具体的に残す運用へ切り替える必要がある。

運用上、まず着手すべきは記録テンプレートの見直しである。電子カルテのリハビリ実施記録に「離床の有無」を必須項目として立て、端座位・立位・歩行のいずれまで到達したかを選択式で残せるようにしておけば、判定に迷う場面は大幅に減る。あわせて、第三の除外を使う患者については、医師の指示欄に「ベッド上からの移動が困難な医学的理由」と「3単位以上を要する理由」を定型文で入力できるようにし、摘要欄への転記漏れを防ぐ仕組みを作っておきたい。診療録には書いたが摘要欄には書いていない、という取りこぼしは、返戻や査定という形で後から効いてくる。

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同じ患者・同じ20分でも収益が変わる ── 改定前後の1日あたり算定イメージ
算定イメージ ベッド上で他動的訓練のみを1日6単位実施した場合の比較(イメージ) 改定前 123456 6単位すべて所定点数どおり算定 改定後 12×××× 2単位まで、かつ所定点数の100分の90 離床を1回でも組み込んだ日は この減算・単位制限の対象外になる。 端座位・立位・歩行など、能動的な運動を 含めたかどうかが分かれ目。 記録に残すべき3点 ① 離床の有無(どの肢位まで起こしたか) ② 実施した訓練の内容(他動/自動・介助量) ③ 離床できなかった場合はその医学的理由 ※図は制度の理解のための概念図であり、実際の点数は疾患別リハビリテーション料の区分ごとに異なる。 ※算定可否の最終判断は、告示・通知および疑義解釈、所管の地方厚生(支)局の案内による。

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改定でこたえるのは点数が1割下がることだけではありません。積み上げられる単位数の上限そのものが1日2単位に制限されるため、離床を伴わない訓練だけで1日6単位を組んでいた場合、単純計算で算定できる量は3分の1になります。逆に言えば、離床を1回でも組み込めばこの制限からは外れます。制度が誘導しているのは「単位を減らすこと」ではなく「訓練内容を変えること」です。

この改定が問うているのは「時間」ではなく「中身」である

疾患別リハビリテーション料は20分1単位という時間出来高で設計されてきた。そのため制度上は、20分間そこにいて何らかの介入を行えば、内容の違いは点数に反映されにくかった。今回の改定は、その前提に初めて内容の軸を差し込んだ点に意味がある。ベッド上で他動的に手足を動かすだけの20分と、離床を伴い患者自身の能動的な運動を引き出す20分とを、同じ点数では評価しない、という宣言である。ここで注意したいのは、制度が求めているのが「単位数を減らすこと」ではないという点だ。離床を組み込めば従来どおり算定できるのだから、誘導されているのは減量ではなく内容の転換である。逆に言えば、離床を伴う訓練を組み立てる技術と、それを安全に行うための評価能力が、そのまま算定可能な単位数の差になる。

これは徒手療法を生業とする治療家にとっても他人事ではない。院内であれ自費の施術所であれ、「何分やったか」ではなく「何をして、その結果どう変わったか」を説明できることが、これまで以上に報酬の根拠になっていく。当研究所が手技の検証記事で毎回、対象組織・機序・効果の限界を明示しているのも同じ理由による。時間ではなく内容が問われる局面が、公的保険の側から先に来たと捉えるべきだろう。自費の現場では、この転換はまだ価格に反映されていない。だからこそ、記録と説明の型を先に持っている側が、数年後に差をつけることになる。

なぜ今回、時間出来高という長年の前提に内容の軸が差し込まれたのか。改定資料が掲げている理由は「より質の高いリハビリテーションを推進する観点から」という一文だけであり、それ以上の説明は資料には書かれていない。ここから先は制度の流れを踏まえた読み取りになるが、背景としては、単位数という量の指標だけでは提供されている介入の質に差がつかず、同じ点数の下に大きく異なる中身が混在してきたこと、そして入院医療全体の議論の中で早期離床が繰り返し重視されてきたことが挙げられる。量を測る指標しか持たない制度は、量を増やす行動を誘発する。今回の見直しは、その構造に対して初めて内容側から歯止めをかけた、と位置づけられる。裏を返せば、次に問われるのは「離床したかどうか」という粗い二分法の先、つまり離床して何をしたのかという中身である。今回の改定を、単発の減算ルールとしてではなく、評価軸が量から質へ移り始めた最初の一歩として読むかどうかで、施設としての備え方は変わる。

現場で出やすい3つの疑問

第一に、「離床」とはどこまで起こせばよいのか。資料の定義は「ベッド上から移動せずに」ポジショニングまたは拘縮予防等を主目的とした他動的訓練のみを行う場合を対象とする、という書き方であり、離床の程度を数値で規定してはいない。ベッド上から移動したと言えるかどうかが分かれ目になるため、端座位で終わった日も含めて、どの肢位まで到達したかを記録に残しておくことが実務上の防御線になる。第二に、他動的な訓練が含まれていれば必ず減算されるのか。対象は「他動的な訓練のみ」を行った場合であり、自動運動や自動介助運動、離床を伴う訓練が組み合わされていれば定義から外れる。したがって、拘縮予防を目的とした関節可動域訓練そのものが否定されたわけではない。第三に、1日2単位の制限は患者単位か施設単位か。要件は「患者1人につき1日2単位まで」と書かれており、患者単位の制限である。担当者が交代しても、同じ患者に対する当日の算定は合算して2単位までとなる点に注意したい。

目標設定等支援・管理料は廃止、代わりにケアマネジャーとの連携が要件になった

要介護被保険者等に対する計画作成を評価していた目標設定等支援・管理料(初回250点、2回目以降100点)は廃止された。あわせて、これを算定していない場合に脳血管疾患等リハビリテーション料等を所定点数の100分の90で算定するという注7の減算規定も廃止されている。「算定しないと減算される加算」という、現場で不評だった二重構造がひとつ消えたことになる。ただし、介護保険への移行支援そのものが不要になったわけではない。代わりに、脳血管疾患等リハビリテーション料・廃用症候群リハビリテーション料・運動器リハビリテーション料において、介護保険によるリハビリテーション等のサービスの利用が必要と思われる場合には、必要に応じて介護支援専門員と協力して、適宜、患者等に介護保険による訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション等を提供する事業所(当該保険医療機関を含む)を紹介し、見学、体験(入院中の患者以外の患者に限る)を提案することが、算定要件として明記された。点数として切り出して評価する方式から、算定要件に埋め込んで必ずやらせる方式への転換である。

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目標設定等支援・管理料の廃止と、介護支援専門員との連携の要件化
Ⅲ-4-⑤ 評価する仕組み(点数)から、必ずやらせる仕組み(算定要件)へ 改定前 目標設定等支援・管理料 初回 250点 / 2回目以降 100点 注7:算定していない場合 脳血管疾患等リハ料等を 100分の90 で算定 廃止 改定後 算定要件に組み込み 介護保険によるサービスの利用が必要と 思われる場合は、必要に応じて ・介護支援専門員と協力する ・訪問リハ/通所リハ等の事業所を紹介する ・見学、体験(入院患者以外)を提案する ※対象:脳血管疾患等・廃用症候群・運動器リハ料 あわせて変わった計画書まわり ・リハビリテーション実施計画書と総合実施計画書を統合し、記載内容を簡素化 ・計画書の患者等の署名欄を廃止 ・計画書の説明は医師以外(看護師・PT・OT・ST)でも可(回復期リハ病棟は引き続き医師の説明が必要)

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「算定しないと本体が10%減算される加算」という二重構造は解消されました。目標設定等支援・管理料(初回250点・2回目以降100点)と、脳血管疾患等リハビリテーション料等の注7の減算規定がともに廃止されています。一方で、介護保険サービスの利用が必要と思われる患者については、介護支援専門員と協力して事業所を紹介し、見学・体験(入院中の患者以外に限る)を提案することが算定要件そのものに組み込まれました。評価の対象から、実施すべき義務へと位置づけが変わったことになります。

実務的には、退院支援のワークフローに「地域の通所・訪問リハ事業所のリスト」と「見学・体験を提案した記録」を組み込む必要がある。点数が付かなくなったからといって手を抜けば、算定要件を満たさないという別の問題になる。地域の事業所と日常的に情報交換をしている施設ほど、この要件は負担なく満たせるはずだ。逆に、院内で完結してきた施設にとっては、外との回路を新たに作る作業が発生する。ここは、地域で自費のリハビリや整体を提供する側から見れば、医療機関との接点が制度的に増える局面でもある。

早期リハビリテーション加算の再編と、休日リハビリテーション加算の新設

発症早期の介入を強めるため、早期リハビリテーション加算の評価と算定要件も見直された。従来は「発症、手術若しくは急性増悪から7日目又は治療開始日のいずれか早いものから起算して30日を限度」に1単位25点だったものが、改定後は入院初日から3日目までが1単位60点、入院4日目から14日目までが1単位25点となり、起算日も「入院した日」に改められた(他院からの転院患者については、転院前の保険医療機関に入院した日を起算日とする)。加えて、土曜日・休日にリハビリテーションを行った場合の休日リハビリテーション加算(1単位につき25点、起算日から30日目まで)が新設された。早期リハビリテーション加算、急性期リハビリテーション加算、初期加算、休日リハビリテーション加算は、それぞれ算定要件を満たせば併算定できる。

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早期リハビリテーション加算の再編と休日リハビリテーション加算の新設
早期リハビリテーション加算 入院日を起算日とした加算の重なり(心大血管疾患リハビリテーション料の例) 入院日3日目14日目30日目 早期リハ 60点/単位 早期リハ 25点/単位 急性期リハビリテーション加算 50点/単位(14日目まで) 初期加算 45点/単位(30日目まで) 【新設】休日リハビリテーション加算 25点/単位(土曜・休日、30日目まで) 疾患別リハビリテーション料 本体(所定点数) 改定前:発症・手術・急性増悪から7日目または治療開始日のいずれか早いもの → 30日間・25点/単位 ■ 改定後:入院した日 → 14日間

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早期リハビリテーション加算は、従来の「発症・手術・急性増悪から7日目または治療開始日のいずれか早いものを起算日として30日間・1単位25点」から、「入院した日を起算日として14日間」に短縮され、そのかわり入院初日から3日目までは1単位60点へと厚く配分されました。あわせて土曜日・休日の実施に対する休日リハビリテーション加算25点が新設されています。早期リハ加算・急性期リハ加算・初期加算・休日リハ加算は、それぞれ算定要件を満たせば併算定できます。

制度としては「入院直後」と「土日」に資源を集中させる設計だが、実務ではこれが休日出勤体制をどう組むかという労務の問題に直結する。加算が新設されたからといって人員が自動的に増えるわけではない以上、シフト設計と時間外労働の管理をセットで見直さなければ、現場の負担だけが増える構図になりかねない。特に、土日の実施体制を新たに立ち上げる施設では、平日の担当者との申し送り、リスク管理体制、緊急時の医師の応需体制まで含めて設計しないと、加算の獲得どころか安全性の低下を招く。加算は、体制を作った施設に対する後払いであって、体制を作る原資ではない。この順序を取り違えないことが重要である。

起算日が「入院した日」に変わった点も、地味だが実務への影響が大きい。従来は発症日・手術日・急性増悪日と治療開始日を突き合わせて起算日を決める必要があり、他院で発症して数日後に転院してきた患者では、発症日の把握そのものが算定の前提になっていた。改定後は入院日が基準となるため管理は単純化されるが、他院からの転院患者については転院前の保険医療機関に入院した日を起算日とする、という例外が置かれている。つまり転院症例では、前医の入院日を確実に把握しなければ算定を誤る。地域連携のパスや診療情報提供書のどこに前医入院日が記載されるのかを事務部門と揃えておくことが、返戻を防ぐ最短の準備になる。加算の期間も30日から14日へと短くなったため、入院初期の数日をどう使うかの設計が、そのまま算定額に反映されることになった。

計画書は簡素化され、説明は療法士にも開かれた

リハビリテーション実施計画書とリハビリテーション総合実施計画書は統合され、記載内容が簡素化された。患者等の署名欄は廃止され、計画書の説明は医師だけでなく看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士でも可能となった(ただし回復期リハビリテーション病棟においては、引き続き医師による説明が必要とされている)。リハビリテーション総合計画評価料には2回目以降の点数が新設され、評価料1は初回300点・2回目以降240点、評価料2は初回240点・2回目以降196点という構成に変わった。書類の負担を減らしつつ、継続的な計画の見直しには従来より低い点数を割り当てるという、いかにも今回の改定らしい設計である。なお、総合計画評価料として算定できるのは、従前どおり多職種が共同で評価し計画書を作成した場合に限られる。

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リハビリテーション総合計画評価料 ── 2回目以降の点数が新設された
点数表 リハビリテーション総合計画評価料の新旧比較 区分 現行 改定後 総合計画評価料 1 300点 イ 初回    300点 ロ 2回目以降 240点 総合計画評価料 2 240点 イ 初回    240点 ロ 2回目以降 196点 専従療法士の実施単位数の上限 1日18単位を標準 / 週108単位 / 1日24単位 他の特掲診療料の業務は合算し20分=1単位で算入 医療機関外リハの上限 1日3単位+一連の入院で合計3単位まで (別表第九の三に掲げる患者は6単位まで)

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従来は算定のたびに同じ点数だった総合計画評価料に、初回と2回目以降の区分が設けられました。評価料1は初回300点・2回目以降240点、評価料2は初回240点・2回目以降196点です。計画書の作成・説明そのものは簡素化された一方で、継続的な見直しには従来より低い点数が割り当てられており、書類の負担軽減と評価の適正化を同時に進める設計になっています。

専従療法士が何をしてよいかが明確化された

疾患別リハビリテーション料に規定する専従の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士について、疾患別リハビリテーション以外に従事できる業務が明確化された点も見逃せない。専従者が従事できる業務として、第2章第1部医学管理、第2部在宅医療、第7部リハビリテーション、第8部精神科専門療法、その他リハビリテーションや患者・家族等の指導に係る業務、介護施設等への助言業務が挙げられている。兼任については、第7部リハビリテーション第1節各区分の専従の理学療法士等との兼任は可能(心大血管疾患リハビリテーション料については、心大血管疾患リハビリテーションとその他のリハビリテーションの実施日・時間が異なる場合のみ可)とされる一方、第1章第2部入院料等の専従の理学療法士等との兼任は不可(専任は兼任可)とされた。あわせて、地域包括医療病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料および地域包括ケア病棟入院料に規定する専従の療法士等についても、当該病棟の患者に対して必要がある場合には、退院時リハビリテーション指導料等の他の区分番号に掲げる業務に従事できることが追記されている。

ただし業務範囲の拡大が単純な労働時間の増加につながらないよう、専従者1人の1日当たり実施単位数の算出にあたっては、疾患別リハビリテーション料および集団コミュニケーション療法以外の特掲診療料に係る業務に従事した時間を全て合算し、20分以上であれば20分につき1単位とみなして実施単位数に含めることとされている。実施単位数の上限は従来どおり、1日18単位を標準とし、週108単位・1日24単位が上限である。「専従だから患者指導や家族指導には関われない」という運用をしてきた施設にとっては、業務の組み立て方そのものを見直す機会になる。

その他――退院時リハ指導料の対象限定、医療機関外リハの上限緩和

退院時リハビリテーション指導料は、対象患者が「当該保険医療機関に入院していた患者」から、「当該保険医療機関での入院中に、第7部リハビリテーション第1節の各区分、『A233』リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、特定集中治療室管理料等の注に掲げる早期離床・リハビリテーション加算、または『A304』地域包括医療病棟入院料の注11に掲げるリハビリテーション・栄養・口腔連携加算のいずれかを算定したもの」へと限定された。入院中にリハビリテーションを提供していない患者への退院時指導料の算定は、事実上できなくなる。

一方で緩和された項目もある。医療機関外で行う疾患別リハビリテーションは、これまで1日3単位が上限だった。改定後は、生活場面を想定した訓練等でより多くの時間をかけて実施する場合を考慮し、1日3単位に加えて、一連の入院期間において合計3単位(特掲診療料の施設基準等別表第九の三に掲げる患者については6単位)まで、別に疾患別リハビリテーションとみなすことができることとなった。生活の場に出て行う訓練が制度上やりやすくなった、という点では前向きな変更である。また、算定単位数の上限が緩和される対象患者(別表第九の三)についても、脳血管疾患等の患者の起算日が「発症後六十日以内」から「発症日、手術日又は急性増悪の日から六十日以内」に明確化されたほか、早期歩行・ADLの自立等を目的とする対象から運動器リハビリテーション料(Ⅰ)が除かれた。リンパ浮腫複合的治療料は、重症の場合が1回60分以上で500点・40分以上60分未満で350点、1以外の場合が1回20分以上で150点へと引き上げられ、こちらも時間に応じた評価に組み替えられている。

病棟の種類によって、この改定の見え方は変わる。急性期の治療室に係る入院料や早期リハ加算・初期加算・急性期リハ加算を算定している患者は、そもそも離床を伴わない訓練の減算対象から除外されているため、急性期病棟では影響が限定的である。影響が集中するのは、急性期を過ぎ、これらの加算が切れた後も臥床が続く患者を多く抱える病棟だ。ここで「離床できる患者を離床させていなかった」施設と、「離床できない患者に必要な介入をしていた」施設とでは、同じ減算でも意味がまるで違う。前者にとっては是正の圧力であり、後者にとっては記載要件を満たすかどうかの事務作業になる。自院がどちらなのかを、まず患者ごとの離床状況の実態把握から始めるべきだろう。減算対象になった件数を数えるのではなく、離床できたはずの患者を取りこぼしていないかを数えるほうが、臨床的にも経営的にも実りがある。

自費の現場に立つ治療家にとっての含意

保険外で施術を提供している立場からすると、今回の改定は二重の意味を持つ。ひとつは供給側の変化である。病院の中で「離床を伴わない訓練」の採算が悪化すれば、退院後に受け皿を求める患者は増えこそすれ減らない。介護保険サービスへの紹介・見学・体験の提案が算定要件になったことも、退院前後に外部との接点が生まれる回数を増やす方向に働く。地域の通所・訪問リハ事業所と並んで、自費のリハビリや徒手療法を提供する施設が選択肢として認識されるかどうかは、日頃どれだけ地域の医療機関と情報を共有しているかで決まる。もうひとつは、評価軸の変化である。公的保険が「何をしたか」で点数を分け始めた以上、自費の現場でも「何をして、その結果どの指標がどう動いたか」を提示できるかどうかが、価格の説明力になっていく。初回評価と再評価の項目を固定し、可動域・疼痛強度・動作の可否といった指標を毎回同じ形式で残す。この地味な運用が、数年後に効いてくる。

個別の算定可否は、疑義解釈と地方厚生局の通知で必ず確認を

本稿は厚生労働省保険局医療課の改定説明資料と大臣折衝事項にもとづく概要整理であり、個別の症例における算定可否を判断するものではない。実際の運用は、告示・通知に加えて随時発出される疑義解釈資料や、届出先である地方厚生(支)局の案内によって具体化される。施設基準の届出や経過措置の適用については、必ず所管の地方厚生局が公表する最新の資料を確認されたい。

この改定は「二年分」である――令和9年度に調整が入る可能性

見落とされやすいが、今回の改定率は令和8年度と令和9年度の2年度分をまとめて示すという、これまでにない形式で提示されている。大臣折衝事項には、実際の経済・物価の動向が改定時の見通しから大きく変動し、医療機関等の経営状況に支障が生じた場合には、賃上げ分・物価対応分・食費および光熱水費分(特例的な対応を除く)について、令和9年度予算編成において加減算を含め更なる必要な調整を行うと明記されている。そのために必要な情報を把握する目的で、令和8年度の医療機関の経営状況等についての調査を実施するとも書かれている。つまり、今の点数は二年間固定された確定値ではなく、来年度に上下双方向で動きうる暫定値だという前提で読む必要がある。設備投資や人員採用の計画を立てる際は、令和9年度の調整幅が読めるまでは慎重な見積もりを置いておくのが安全だろう。物価対応分のうち+0.14%が高度機能医療を担う病院への特例的な対応として措置されているように、配分は施設の機能によっても細かく分けられている。自院がどの類型に位置づけられているかを確認しておくことが、来年度の見通しを立てる出発点になる。

まとめ――「内容で評価される」時代の入口

今回の改定を療法士の視点で要約すると、次の5点になる。第一に、離床を伴わずベッド上で他動的な訓練のみを行った場合は所定点数の100分の90となり、1日2単位までに制限される。急性期の入院料・加算算定患者、移動困難な15歳未満の小児、医師が3単位以上の必要性を特に認め診療録と摘要欄に理由を記載した患者は対象外となる。第二に、目標設定等支援・管理料と、それに紐づく注7の減算は廃止され、代わりに介護支援専門員との連携と事業所の紹介・見学・体験の提案が算定要件に組み込まれた。第三に、早期リハビリテーション加算は入院初日から3日目まで1単位60点へと厚く配分され、休日リハビリテーション加算25点が新設された。第四に、計画書は統合・簡素化され、説明の担い手が療法士にも開かれた一方で、総合計画評価料には2回目以降の低い点数が設定された。第五に、専従療法士が従事できる業務と兼任の可否が明確化され、単位換算のルールも示された。

共通しているのは、「時間を積む」ことから「内容と時期に応じて配分する」ことへの重心移動である。病院の中にいる療法士も、自費の現場に立つ治療家も、自分の20分が何をどう変えたのかを言語化し、記録に残す力が問われる。制度がその方向に舵を切った以上、記録と説明の技術は、もはや事務作業ではなく臨床能力の一部である。次の改定でこの方向がさらに進むのか、それとも運用上の混乱を受けて調整が入るのかは、令和8年度中に行われる医療機関の経営状況等の調査と、その後の議論を見て判断することになる。いずれにせよ、「離床を伴う訓練を安全に組み立てられること」が算定上も臨床上も価値を持つという事実は、当面変わらない。まず自院の実施記録を1週間分だけ抜き出して、離床の有無が第三者に分かる形で書かれているかを確認するところから始めたい。書かれていなければ、それは点数の問題である前に、提供した医療が説明できていないという問題である。

出典・参考情報

  1. [1] 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(答申・個別改定項目・関連告示の一覧)
  2. [2] 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定説明資料等について」
  3. [3] 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定 13. 重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション)」(Ⅲ-4 質の高いリハビリテーションの推進)
  4. [4] 厚生労働省「個別改定項目について」(令和8年2月13日 中央社会保険医療協議会 答申)
  5. [5] 厚生労働省「診療報酬改定について」(令和7年12月24日 大臣折衝事項・改定率)