FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE

エビデンスレベル:専門家意見

腋窩動静脈リリース ── 小胸筋停止部の癒着が引き起こす肩の痛みを評価・解消する

こんな方へ:肩の痛みが長期間改善しない / 筋トレ・ストレッチをしても効果がない / 三角筋・棘上筋・肩峰下滑液包へのアプローチで変化がない / 首・肩・腕の重だるさがある / オーバーワークで肩をよく使う / 小胸筋や腋窩動静脈という言葉を初めて知る方 / 肩の痛みを扱う治療家・セラピスト

腋窩動脈(えきかどうみゃく)・腋窩静脈(えきかじょうみゃく)・腕神経叢(わんしんけいそう)は、小胸筋(しょうきょうきん)の「後ろ(深部)」を通って腕へ向かう重要な神経血管束である。小胸筋は第3〜5肋骨から起こり肩甲骨の烏口突起(うこうとっき)に停止する深層筋で、オーバーワーク・前かがみ姿勢などで硬化しやすく、停止部(烏口突起)周辺に癒着が生じると神経血管束の滑走性が低下し、肩の痛みや可動域制限を引き起こしやすくなる。治療家・藤井翔悟の実技動画(YouTube ID: x2hUz7KWjFU)は、三角筋・棘上筋・肩峰下滑液包への標準的なアプローチで改善しない肩の痛みの原因として、小胸筋停止部(烏口突起内側)周辺の癒着・滑走障害が見落とされていることを指摘し、烏口突起内側への圧迫評価と直接法によるリリースアプローチを解説する。

監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-09-09

FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS

査読論文 4本と照合専門家意見RCT

藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持

研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。

藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。

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手技デモ(実演)

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動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス

EVIDENCE

藤井式の技術を、査読論文4本で支持する

本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文4本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。

FUJII METHOD

論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性

評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする

研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。

この記事で学べること/結論を先に

この記事は、治療家・藤井翔悟による「腋窩動静脈(えきかどうじょうみゃく)と肩の痛み」をテーマにした実技解説動画(YouTube ID: x2hUz7KWjFU)の内容を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。テーマは4つ ── ①腋窩動静脈・腕神経叢とはどんな構造か(解剖・機能・小胸筋との関係) ②なぜこれらの血管・神経の周囲の滑走障害が肩の痛みに関係するのか ③藤井先生が示す触診・評価の手順 ④どうリリース(ゆるめる)するか。最初に正直に伝えておきます。この動画の核心は、肩の痛みの原因として見落とされやすい「小胸筋停止部周辺(烏口突起の内側)の組織の癒着・滑走障害」に着目し、その評価と解消によって肩の可動域や痛みが改善しうるという視点を提示することにあります。

この記事の2本柱を最初に示します。(A)動画の手技=藤井先生の臨床経験に基づく評価と手技。小胸筋停止部(烏口突起周辺)の組織が癒着し、腋窩動静脈・腕神経叢の滑走性が低下することが、肩の痛みや可動域制限に大きく関与しているという視点。烏口突起の内側を圧迫しながら肩を動かす評価法、そして滑走性を改善するアプローチ。(B)周辺のエビデンス=小胸筋の圧迫による神経血管束の障害(小胸筋症候群・胸郭出口症候群)のレビュー・神経筋超音波のレビュー・筋膜平面の局所麻酔RCTという実在4本の論文。(A)と(B)は明確に区別して提示します。

この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)

動画は藤井先生の触診の当て方・評価の発想・リリースの流れを体験するもの。記事は「いま何を、なぜやっているか」と「どこまでが研究で、どこからが臨床経験か」を整理する地図です。動画の核心である「小胸筋停止部周囲の癒着が腋窩動静脈・腕神経叢の滑走障害を引き起こし、肩の痛みにつながる」という主張は、藤井先生の豊富な臨床観察に基づくものであり、この手技を直接検証したRCTや系統的レビューは現時点では存在しません。医療情報として、研究の裏づけと臨床経験を正確に区別した上で読み進めてください。

背景 ── なぜ「肩の痛み」に腋窩動静脈が関係するのか

肩の痛みは整形外科・リハビリ領域でもっとも頻繁に遭遇する訴えの一つです。肩関節の周囲には棘上筋(きょくじょうきん)・三角筋・二頭筋長頭腱・肩峰下滑液包など、痛みの原因として古くから知られている構造が多数あります。これらへの超音波検査・MRI・筋力強化・セラバンド運動・ストレッチは、多くのケースで有効です。しかし動画の冒頭で藤井先生が指摘するのは、これらの標準的なアプローチをしっかり行っても、肩の痛みが改善しないケースが一定数存在するという現実です。

特に強調されるのは、「痛みがある状態での筋力強化やストレッチは、かえって痛みを悪化させる可能性がある」という点です。筋力強化には、まず痛みが軽減した状態から始めるべきであり、痛みが残ったまま運動療法を続けても根本的な解決にはならないケースがある ── これが動画の出発点となる臨床的な問題意識です。そこで藤井先生が着目するのが、一般的な肩のアプローチでは見落とされやすい「小胸筋停止部周辺(烏口突起の内側)」という場所です。

なぜこの部位が重要なのか?それは、小胸筋の停止部(烏口突起)のすぐ深部を、腋窩動脈・腋窩静脈・腕神経叢という、腕全体の血液と神経を担う重要な束が通り抜けているからです。この神経血管束の周囲に癒着や硬化が生じると、肩を動かすたびに組織の滑走が阻害され、痛みや動きの制限が引き起こされやすくなります。しかもこの部位は、棘上筋・三角筋などの表層からは見えにくく、通常の触診でも見落とされやすいという特徴があります。

動画が提示するもう一つの重要な視点は、「治療の順番」です。まず痛みを起こしている組織の滑走性を改善する(第一ステップ)。その後に筋力強化や運動療法を行う(第二ステップ)。この順番を守ることで、これまで効果が出なかった肩の痛みへのアプローチが変わりうる、というのが藤井先生の臨床的な主張です。もちろん、この「順番論」を直接検証した研究は現時点では存在しません。あくまで藤井先生の多数の臨床経験から導かれた考え方として、正直に受け取ってください。

腋窩動静脈・腕神経叢の解剖と機序

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腋窩動静脈と腕神経叢 ── 小胸筋停止部(烏口突起)の「深部」を通る神経血管束
前面 / anterior 小胸筋(停止部 = 烏口突起) 烏口突起(評価・リリースの要点) 腋窩動脈 腋窩静脈 腕神経叢(神経の束) 胸骨・肋骨(起始) 鎖骨

図は横にスワイプして拡大表示できます

小胸筋(しょうきょうきん)は第3〜5肋骨から起こり、肩甲骨の烏口突起(うこうとっき)に停止する深層の筋です。そのすぐ後ろ(深部)を、腋窩動脈(赤)・腋窩静脈(青)・腕神経叢(黄)がセットで走行して腕へ向かいます。小胸筋が短縮・硬化すると、この神経血管束の滑走性が低下し、肩の痛みや可動域制限の原因になりえます。

腋窩(えきか)とは「腋の下(わきの下)」を解剖学的に指す言葉です。腋窩には、鎖骨下動脈から続く腋窩動脈(axillary artery)・腋窩静脈(axillary vein)、そして腕神経叢(brachial plexus)が密集して走行しています。これらをまとめて「神経血管束」と総称します。腋窩動脈は鎖骨の下(第1肋骨の外縁)を超えたところから「腋窩動脈」と名前が変わります。腋の下を通り、大円筋の下縁を超えると「上腕動脈(brachial artery)」となって腕を下行します。腋窩動脈は解剖学上、小胸筋によって3部位に区分されます。第1部(小胸筋より内側)、第2部(小胸筋の後ろ)、第3部(小胸筋より外側)です。この分類が示すように、小胸筋は腋窩動脈の真横・真後ろに位置する筋であり、その短縮・硬化が神経血管束に直接影響を与えます。

腋窩静脈は腋窩動脈の内側(前下方)を並走します。腕神経叢は頚椎(C5〜T1)から始まり、鎖骨の下を通って腋窩に入り、腋窩動脈を取り囲むように走行します。腕神経叢は最終的に正中神経・尺骨神経・橈骨神経などに分岐し、腕・手全体の運動・感覚を支配します。したがって、腕神経叢への圧迫は腕の広い範囲にしびれ・痛み・筋力低下をもたらす可能性があります。これが、小胸筋停止部周辺の問題が単なる「肩の局所的な痛み」にとどまらず、腕全体の症状につながりうる解剖学的な根拠です。

小胸筋(pectoralis minor)は、第3〜5肋骨の前面から起こり、斜め上外側に走って肩甲骨の烏口突起(coracoid process)に停止します。大胸筋の「奥」に隠れた深層の筋で、肩甲骨を前下方へ引く働きを持ちます。オーバーワーク・長時間のデスクワーク・前かがみの姿勢・反復的な上肢使用などで小胸筋は短縮・硬化しやすく、特に烏口突起付近の停止部周辺では、組織の癒着が起きやすいとされています。烏口突起は肩甲骨から前方へ突き出たL字型の骨性の突起で、小胸筋停止部と同時に、肩峰下滑液包・上腕二頭筋短頭腱・烏口腕筋腱の付着部でもある解剖学的な要所です。

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滑走障害が起こるとどうなるか ── 癒着が神経血管束の動きを妨げる
正常な滑走 滑走障害(癒着) スムーズに 流れる・動く → 肩の動きが楽・痛みなし 癒着・硬化 引っかかり → 痛み・制限 → 肩が上がりにくい・痛い

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左(正常):腋窩動静脈・腕神経叢は肩を動かすたびにスムーズに滑走します。右(滑走障害):小胸筋停止部周辺に癒着が生じると、神経血管束の滑走性が低下し、肩の屈曲・外旋などで「引っかかり感・痛み・可動域制限」が生じやすくなります。これが藤井先生の動画が指摘する肩の痛みのメカニズムです(研究による直接的な実証はまだありません)。

図2に示したように、正常な状態では腋窩動静脈・腕神経叢は肩を動かすたびにスムーズに滑走します。しかし小胸筋停止部周辺に癒着が生じると、神経血管束の滑走性が低下し、肩の屈曲・外旋などで「引っかかり感・痛み・可動域制限」が生じやすくなります。滑走性の低下は、組織の機械的な引っかかりだけでなく、局所の血流の低下や神経への慢性的な刺激も関与しうると藤井先生は説明しています。ただし、この「腋窩動静脈周囲の滑走障害が肩の痛みを引き起こす」というメカニズムを直接証明した研究は現時点では存在せず、これは藤井先生の臨床経験と解剖学的な考察に基づく仮説的な説明です。

動画の手技を図解する ── 評価・触診・リリースの手順

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触診・評価 ── 烏口突起の「内側」を圧迫しながら肩を動かす
前面 軽く圧迫 肩を屈曲 or 外旋 烏口突起の内側(評価点) 小胸筋停止部周辺 圧迫しながら動かして… ✓ 痛みが軽くなる / 可動域が広がる → この部位の滑走障害が関与している可能性 ✗ 変化なし → 別の部位を評価する

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評価のキーポイントは烏口突起の内側です。鎖骨下から内側へ指を当て、小胸筋停止部の内側(腋窩動静脈・腕神経叢が走る側)を軽く圧迫しながら、肩の屈曲・外旋を行ってもらいます。圧迫で可動域が改善したり痛みが軽減するなら、この部位の滑走障害が肩の痛みに関与している可能性が高いと判断します。これは藤井先生の臨床評価法であり、標準化された研究での検証は現時点では存在しません。

動画で藤井先生が示す評価・手技の流れを整理します。まず重要な前提として、この手技が特に対象とするのは「三角筋・棘上筋・肩峰下滑液包・二頭筋長頭腱などへの標準的なアプローチで改善しない肩の痛み」です。すでに一般的なアプローチを行った上で、それでも残る肩の痛みに対して、見落とされやすい「小胸筋停止部・腋窩動静脈周辺」を評価するという位置づけです。この順番が重要で、初めから腋窩動静脈のアプローチをする、ということではありません。

評価の手順は次のとおりです。まず烏口突起(うこうとっき)の位置を確認します。烏口突起は鎖骨のやや外側・前方に位置する骨性の突起で、肩の前面を触診すると比較的分かりやすいランドマークです。次に、その烏口突起の「内側(体の中心側)」に指を当てます。外側(肩の外側方向)ではなく、胸郭側へ向かう内側という点が重要です。この内側の組織に指を当て、軽い圧迫を加えながら、患者に肩を屈曲(前方に上げる動き)または外旋(腕を外側に回す動き)させてもらいます。

この「圧迫しながら動かす」という評価の発想が動画の核心です。圧迫によって①肩の可動域が改善する(上がりやすくなる)、②痛みが軽くなる・消える、という変化があれば、この部位の滑走障害が肩の痛みに関与していると判断します。逆に変化がなければ、この部位が主因ではないと考え、他の部位を評価します。この評価法は藤井先生の独自の臨床判断法であり、標準化された研究による信頼性・妥当性の検証は現時点では行われていません。

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リリース手技(直接法)── 楽になるポイントを保持して肩を動かす
前面 ポイントを保持 肩をゆっくり動かす 手技の要点 ✓ 「楽になる方向・力加減」を探す ✓ 患者の反応を常に確認する ✓ 痛みが増す方向は避ける ✗ 強い圧・速い操作は禁止 ✗ 拍動を感じたら即座に離す ✗ しびれ・電気感が出たら中止

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評価で「痛みが軽くなるポイント」を見つけたら、その圧と位置を保持したまま患者にゆっくり肩を動かしてもらいます。組織の滑走性が回復するにつれ、動きに伴う痛みが軽減していきます。腋窩動静脈・腕神経叢が走るデリケートな部位のため、強い圧・速い操作は厳禁です。拍動を感じたら即座に離し、しびれ・電気感が出たら中止してください。

リリース(ゆるめる)手技について、動画では直接法が示されています。痛みが軽くなるポイント(圧を加えながら可動域や痛みが改善した点)を見つけ、そのポイントを保持したまま患者にゆっくり肩を動かしてもらいます。組織の滑走性が回復するにつれ、動きに伴う痛みが軽減していきます。重要な注意点として、強い圧・速い操作は禁物です。腋窩動静脈や腕神経叢が走行するデリケートな部位のため、患者の反応を常に確認しながら、「楽になる方向・力加減」を探して進めます。拍動を感じたら即座に離す。しびれ・電気感が出たら即中止する、というルールを絶対に守ってください。

また動画では、小胸筋停止部だけでなく、腋窩動静脈・腕神経叢の走行全体(鎖骨下から腋窩・上腕へ続く線)の滑走性が重要とも述べられています。オーバーワーク・姿勢の問題・繰り返しの負荷でこれらの組織が硬化しやすい人では、停止部だけでなく走行全体に問題が潜んでいることがあります。ただし、動画で示された具体的な操作の詳細(圧の深さ・方向・時間・手技の種類)は限定的であり、本記事は動画に示された範囲の内容の紹介にとどめ、示されていない手技の詳細を補完・創作することはしません。

症例の考え方・よくある質問(FAQ)

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症状の関連部位 ── 肩前方の痛み・上肢の重だるさ・可動域制限
症状の分布 評価点 症状の主な部位 肩の前方〜外側の痛み・つまり感上腕の重だるさ・疲れやすさ ● 評価・リリースのポイント 烏口突起の内側(小胸筋停止部内側) ◆ 以下で改善しないときにこの部位を確認  三角筋・棘上筋・肩峰下滑液包  二頭筋長頭腱への標準的なアプローチ

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小胸筋停止部(烏口突起周辺)の癒着・滑走障害は、肩の前方〜外側の痛みや腕を前に上げる・外旋させる動作の制限として現れやすいです。また腋窩動静脈・腕神経叢への影響が加わると上肢の重だるさ・疲れやすさも生じうると藤井先生は述べています。三角筋・棘上筋・肩峰下滑液包への標準的なアプローチで改善しない肩の痛みで、この部位を確認することが重要です。

Q. 肩の痛みに対してすでに整形外科・整骨院・リハビリで治療を受けています。このアプローチはどう位置づければいいですか? ── A. 動画の手技は既存の医療・リハビリの「代替」ではなく、見落とされやすい部位への補完的な視点として位置づけるのが適切です。整形外科・理学療法士による評価と診断が前提にあり、その治療で改善しない場合に、小胸筋停止部・腋窩動静脈周辺という観点を加える、という順序が重要です。この部位へのアプローチを検討する際は、担当医療者に相談してから行うことをお勧めします。特に肩に炎症・腫れ・熱感・外傷がある場合は、まず医療機関での診察を優先してください。

Q. オーバーワークで肩をよく使う仕事をしています。小胸筋の停止部周辺は自分で触れますか? ── A. 烏口突起は肩の前面に比較的触れやすいランドマークですが、その「内側」の組織に正確に触れるには、解剖学的な知識と触診の経験が必要です。無理に深く押すと腋窩動静脈や腕神経叢に過度な刺激が加わるリスクがあります。初めての方は、まず理学療法士・柔道整復師などの専門職に評価と指導を依頼することを強くお勧めします。自己流で行う場合は、拍動を感じたら即座に離す・しびれが出たら中止する、というルールを必ず守ってください。

Q. 小胸筋のストレッチと、この手技はどう違いますか? ── A. 小胸筋のストレッチは主に筋の「長さ」を変えることを目的とします(伸ばすことで短縮を改善)。一方、藤井先生のアプローチは「組織の滑走性」を改善することを目的としており、圧迫しながら動かすことで、硬化した筋膜・組織の間の動きを回復させようとするものです。痛みがある状態でのストレッチはかえって痛みを増やすリスクがある、というのが動画の立場です。まず滑走性を改善してから、その後でストレッチや筋力強化を行う、という順番が重要とされています。ただし、この「順番論」を直接検証した研究は現時点では存在しません。

Q. 烏口突起の内側を押すと強い痛みがあります。これは異常ですか?また続けてよいですか? ── A. 強い圧痛はその部位に問題がある可能性を示唆しますが、同時にデリケートな構造(動脈・静脈・神経)への刺激である可能性もあります。強い痛みが出る場合は無理に押し続けず、軽い圧で試す・専門職に評価してもらうことを優先してください。また、この部位の強い痛みが炎症・感染・腫瘍・血管疾患によるものである可能性も排除できないため、新たに出現した強い痛みや原因不明の痛みがある場合は必ず医療機関を受診してください。腋窩の硬いしこり・リンパ節の腫れが気になる場合も同様です。

安全・受診勧奨 ── この手技を行う前に確認すること

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安全マップ ── 腋窩動静脈・腕神経叢への過度な圧迫を避ける
前面 小胸筋 強い圧迫・速い操作は禁止 腋窩動脈(拍動に注意) 腋窩静脈 腕神経叢(しびれに注意) 中止・受診のサイン ・拍動を感じたら即座に離す ・しびれ・電気感が出たら中止 ・腋窩の腫れ・熱感 → 医療機関へ

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腋の下(腋窩)には腋窩動脈(赤)・腋窩静脈(青)・腕神経叢(黄)が密集して走行します。強い圧迫・速い操作は禁物です。拍動を感じたら即座に離す、しびれ・電気感が出たら中止するのが鉄則です。腋窩に腫れ・熱感・原因不明の腫瘤がある場合は自己流での操作をせず医療機関を受診してください。

腋窩動静脈・腕神経叢へのアプローチにおける安全のポイントをまとめます。①拍動を感じたら即座に離す ──腋窩動脈への過度な圧の警告サインです。②しびれ・電気感・放散痛が出たら中止 ── 腕神経叢への刺激が強すぎるサインです。③強い圧・速い操作は行わない ── 動脈・静脈・神経が密集した場所では特に。④炎症・熱感・腫れがある部位には触れない。⑤腋窩の原因不明のしこり・リンパ節腫脹がある場合は医療機関を受診する。⑥深部静脈血栓症・血液凝固異常・血管疾患のある方は行わない。⑦妊娠中の方は医療機関に相談してから行う。これらのルールを守ることが、この手技を安全に活用するための絶対条件です。

この記事をまとめます。①腋窩動脈・腋窩静脈・腕神経叢は小胸筋(第3〜5肋骨→烏口突起)の停止部深部を通って腕へ向かう重要な神経血管束であり、小胸筋停止部(烏口突起内側)の組織の状態がこれらの滑走性に影響します。②藤井先生の動画は、この部位の癒着・滑走障害が肩の痛みの見落とされやすい原因になっていることを指摘し、烏口突起内側への圧迫評価と直接法によるリリースを提示しています。③引用した4本の論文(Ahmed 2022・Li 2021・Gonzalez 2019・Zhang 2026)は小胸筋症候群・胸郭出口症候群・神経筋超音波・鎖骨筋膜平面ブロックの研究であり、動画の核心的な主張を直接証明するものではなく、手技の方向性を間接的に照らす周辺エビデンスです。④拍動・しびれ・強い痛みが出た場合は即中止し、症状が続く場合は医療機関を受診してください。

まとめ・参考文献

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限界と注意・受診の目安

  • 腋窩(腋の下)には腋窩動脈・腋窩静脈・腕神経叢が密集して走行しています。強い圧迫・速い操作は血管・神経への刺激リスクがあります。拍動を感じたら即座に離す、しびれ・電気感が出たら中止するを鉄則としてください。
  • 腋窩の腫れ・熱感・原因不明のしこり・リンパ節腫脹がある場合は、自己流での操作をせず医療機関(整形外科・外科)を受診してください。腋窩には腋窩リンパ節もあり、腫れには様々な原因がありえます。
  • 「小胸筋停止部周囲の癒着が腋窩動静脈の滑走障害を引き起こし、肩の痛みにつながる」という動画の主張は藤井先生の臨床経験に基づくものであり、この手技を直接検証したRCT・系統的レビューは現時点では存在しません。効果には個人差があります。
  • 深部静脈血栓症(DVT)・血液凝固異常・活動性の感染症・悪性腫瘍の疑いがある方・人工関節置換術後で担当医の許可なしの方は、この部位への操作を行わないでください。
  • この記事は医療行為の代替ではありません。肩の痛みの診断・治療方針の決定は必ず医師・有資格の医療専門職が行います。
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監修・参考文献

掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。

監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)

  1. [1] Ahmed AS, Graf AR, Karzon AL, Graulich BL, Egger AC, Taub SM, Gottschalk MB, Bowers RL, Wagner ER.2022).「Pectoralis minor syndrome - review of pathoanatomy, diagnosis, and management of the primary cause of neurogenic thoracic outlet syndrome」. JSES reviews, reports, and techniques.
  2. [2] Li N, Dierks G, Vervaeke HE, Jumonville A, Kaye AD, Myrcik D, Paladini A, Varrassi G, Viswanath O, Urits I.2021).「Thoracic Outlet Syndrome: A Narrative Review」. Journal of clinical medicine.
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  4. [4] Zhang Z, Xu J, Huang Z, Sun G.2026).「Ultrasound-Guided Modified Clavipectoral Fascial Plane Block With Superficial Cervical Plexus Block for Midshaft Clavicular Surgery: A Prospective Randomized Controlled Trial」. Medical science monitor : international medical journal of experimental and clinical research.