FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE
肘関節リリース ── 内側上顆・前腕屈筋群の硬結を「押圧+肘伸展」で解放する手技
こんな方へ:重いものを持ち上げると手首・前腕が痛む方 / 肘が完全に伸びない(伸展制限がある)方 / セラピスト・力仕事など手を酷使する職業の方 / ゴルファーズエルボー(内側上顆炎)と言われたが改善しない方 / 肘関節周囲の筋膜リリースを学びたい治療家
藤井翔悟の実技動画(YouTube ID: xpo7nAbiimg)は、主訴「重いものを持ち上げた時の手首痛」に対して、肘の内側上顆(ないそくじょうか)とそこから起始する前腕屈筋群の硬結をターゲットにしたリリース手技を解説します。内側上顆の確実な触診→硬結探索→誘発動作テストで治療点を特定→押圧固定しながら肘を伸展方向に誘導→屈筋群を1本ずつ繊維レベルでリリース、という明確なステップで構成されます。
監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-10-15
FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS
藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持
研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。
藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。
手技デモ(実演)
動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス
EVIDENCE
藤井式の技術を、査読論文4本で支持する
本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文4本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。
FUJII METHOD
論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性
評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする
研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。
この記事で学べること ── 結論を先に
この記事は、藤井翔悟の実技動画(YouTube ID: xpo7nAbiimg)の内容を図解と研究で読み解くガイドです。動画のテーマは「重いものを持ち上げた時の手首痛」。しかし治療のターゲットは手首ではなく、肘の内側にある内側上顆(ないそくじょうか)とそこから起始する前腕屈筋群です。「なぜ手首が痛いのに肘を治療するのか」——その解剖学的理由と、実際の手技の手順を、この記事は7枚の図解を使って丁寧に読み解きます。
この記事の2本柱を最初に示します。(A)動画の手技=藤井先生の臨床経験に基づく評価と手技。内側上顆の同定→硬結探索→誘発動作テストで治療点を確定→押圧固定しながら肘を伸展誘導→屈筋群を1本ずつリリース、という体系的な流れ。(B)周辺のエビデンス=肘関節腱付着部への介入(外側上顆炎を中心とした研究)を扱った実在4本の論文。(A)と(B)は明確に区別して提示します。
この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)
動画は藤井先生の触診の当て方・硬結の見つけ方・押圧精度・肘伸展との合わせ方を『体験』するもの。記事は『いま何を、なぜやっているか』と『どこまでが研究で、どこからが臨床経験か』を持ち帰る地図です。この動画の核心である「内側上顆の硬結を誘発動作テストで特定→押圧+肘伸展で解放」という評価・治療法は藤井先生の臨床観察に基づくものであり、これを直接検証したRCTや系統的レビューは現時点では存在しません。医療情報として、研究の裏づけと臨床経験を正確に区別した上で読み進めてください。
背景 ── なぜ「手首痛」に肘の内側上顆が関係するのか
「重いものを持ち上げると手首が痛い」という主訴は、整形外科でしばしば腱鞘炎や手根管症候群として扱われます。しかし藤井先生が動画で指摘するのは、こうした手首周辺の問題と見えるケースの中に、肘の内側上顆周囲の筋膜硬結が主因になっているものが少なくない、という臨床的観察です。なぜそうなるのか——答えは解剖にあります。
前腕の屈筋群(橈側手根屈筋・長掌筋・尺側手根屈筋・浅指屈筋など)は、肘の内側にある内側上顆という骨の突起から起始し、前腕の内側・腹側を走って手首・指へと至ります。つまりこの筋群は肘から手首・指まで連続しており、肘の起始部に問題があれば、その影響は腱・筋膜を通じて手首の動きにまで波及します。重いものを持ち上げる際に手首の屈筋群に強い負荷がかかり、その起始部(内側上顆)に慢性的な牽引ストレスが蓄積していくと、局所に硬結(筋の索状硬化部)が形成されます。この硬結が屈筋群全体の滑走性を低下させ、動作時の痛みとして現れる——これが藤井先生の解剖学的な説明の要点です。
さらに重要なのが「肘の伸展制限」との関係です。動画では「手を酷使する人の多くが、肘を完全に伸ばせない」という観察が示されます。前腕屈筋群が硬化・短縮すると、肘関節を完全に伸展(まっすぐに伸ばす)しようとすると突っ張り感や制限が生まれます。この伸展制限自体がセラピスト・力仕事に従事する方に多く見られ、動画ではこれを「前腕屈筋群の疲労蓄積のサイン」として評価基準に使っています。リリース前後での肘の伸展角度の変化が、手技の効果判定の指標になります。
もう一つ注目すべき解剖学的特徴として、内側上顆のすぐ後方を尺骨神経(しゃっこつしんけい)が通過します。これは肘部管(ちゅうぶかん)と呼ばれる解剖学的トンネルで、肘部管症候群(尺骨神経麻痺)の好発部位です。内側上顆周囲の筋膜が硬化すると、この神経への物理的な刺激が加わり、小指・環指のしびれや電撃感が出ることがあります。このため手技の際には、尺骨神経の位置を常に意識することが安全上の前提となります。
動画が提示するもう一つの重要な視点として、「肩甲骨周辺への連動」があります。前腕屈筋群が硬化すると、その緊張は上腕・肩関節を通じて肩甲骨周辺にまで波及することがある——という藤井先生の臨床的観察です。この連動は筋膜の連続性・運動連鎖の理論に基づく考え方であり、「手首が痛い→肘の屈筋群を治療→肩甲骨周辺も楽になる」というケースが存在することを示唆しています。ただしこの具体的な連動を直接検証した研究は現時点では存在しません。
解剖と機序 ── 内側上顆と前腕屈筋群の構造
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内側上顆(ないそくじょうか)は上腕骨の遠位内側にある骨の突起で、前腕屈筋群(橈側手根屈筋・長掌筋・尺側手根屈筋・浅指屈筋など)の共通起始部です。上から手を下ろしてコツンと当たる内側の骨性隆起がここです。外側上顆は伸筋群の起始部。内側上顆のすぐ後方を尺骨神経(黄)が肘部管を通過するため、この部位への過度な圧迫には注意が必要です。
内側上顆(medial epicondyle)は上腕骨(humerus)の遠位端・内側にある骨性の突起です。腕を体側に自然に下ろし、上から指を肘の内側に向けて滑らせると「コツンと当たる出っ張り」——これが内側上顆です。この触診ランドマークの確実な同定が、動画の手技全体の出発点となります。
内側上顆から起始する屈筋群は「共通屈筋腱」と呼ばれる腱の束として集まり、そこから各筋が前腕の内側・腹側を走り始めます。主な筋は橈側手根屈筋(FCR)・長掌筋(PL)・尺側手根屈筋(FCU)・浅指屈筋(FDS)・回内円筋(PT)の5筋です。この筋群が手首の屈曲、指の屈曲、前腕の回内(掌を下に向ける動き)を担っています。
解剖学的に重要なのは、この5筋が「共通起始」を持つという点です。それぞれが独立した経路を取りながら、肘の一点に集中しています。手を多用する作業では、これらすべての筋に反復的な牽引力がかかり、起始部周辺に慢性的な組織変化(コラーゲン線維の変性・局所の虚血)が蓄積しやすい。この状態を動画では「硬結(グリグリ)」と表現し、触診可能な状態として評価します。
内側上顆から指2〜3本分(前腕方向)の部位は、各屈筋腱が分かれ始める移行部であり、特に組織の変化が起きやすいエリアです。動画でも、内側上顆そのものではなく「その周囲から前腕への移行部」を重点的に触診しています。外側上顆(がいそくじょうか)は内側上顆と対をなす解剖ランドマークで、伸筋群の起始部となっています。テニス肘(外側上顆炎)とは部位が異なりますが、評価時に外側上顆も確認して内側・外側の比較を行うことが鑑別に有用です。
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内側上顆周囲の屈筋群起始部が硬化すると4つの症状が連動します。①重いものを持ち上げた時の手首・前腕の痛み(主訴)②肘を完全に伸ばせない伸展制限(屈曲拘縮)③肩甲骨周辺への波及感 ④握力の低下。セラピスト・力仕事・手を酷使する職業に多く見られます。肘が完全伸展できない場合、屈筋群の疲労蓄積を疑うのが出発点です。
屈筋群の硬化が出す症状のパターンを整理します。最も多い主訴は重いものを持ち上げた時の手首・前腕の痛みです。次いで肘の伸展制限(完全に腕を伸ばせない、突っ張る感じ)。これに加えて、肩甲骨周辺への波及感(肩が重い、肩甲骨内側が張る)を訴える方もいます。また長期的な硬化では握力の低下も起きやすく、特に「物を握って離す時の痛み」として現れることがあります。セラピスト・理学療法士・柔道整復師・調理師・建設作業者など、手を繰り返し使う職業の方に多く見られます。
動画の手技を図解 ── 触診・評価・リリースの手順
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①腕を体側に下ろして上から指を滑らせ、コツンと当たる内側の骨性突起(内側上顆)を確認。②周囲をグリグリと触り、押すと抵抗のある硬結(索状物)を探す。③誘発動作テスト:痛みが出る動作をさせながら硬結を押さえ、「押さえると痛みが消えるポイント」を見つける。これが治療点。評価と治療が同時進行する。
藤井先生が動画で示す手順は、解剖の理解→確実な触診→硬結探索→誘発テストによる治療点の確定→リリース、という明確な5段階の流れです。評価と治療が同時進行する構造が特徴です。
【Step 1:内側上顆の同定】腕を体側に自然に下ろした状態で、患者の肘の内側に向けて上から指を滑らせます。「コツンと当たる骨性の突起」が内側上顆です。これが触診のランドマーク(基準点)であり、以降の全手技の起点となります。外側上顆(同様に肘の外側にある骨性突起)も同時に確認して、内側・外側の比較評価を行います。解剖の知識がないと、何を触っているかが分からなくなります。動画でも「解剖を頭に入れることが素早く変化を出す前提条件」と強調されています。
【Step 2:硬結の探索】内側上顆の周囲(特に前腕方向への移行部)をグリグリと触り、硬結(押すと抵抗のある索状物)を1個ずつ探します。藤井先生は「割くような形でキュッキュと滑らせる」という表現を使い、屈筋腱の走行に沿って指を動かしながら硬結を捉えていきます。硬結を見つけたら「グッと押さえて固定」します。硬結は逃げやすいため、しっかり捉えたまま次のステップへ進むことが精度の要です。
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Step 1:指を「割くような形」で屈筋腱の走行に沿ってキュッキュと滑らせ、硬結を1個ずつ捉える。Step 2:硬結を「グッと押さえて固定」したまま、患者に痛みが出る動作(重いものを持ち上げる等)をさせる。痛みが著明に軽減するポイントで押圧を継続する。「押している時にずれない」ことが精度の要。押圧中は「気持ちいい」感覚が多い。
【Step 3:誘発動作テスト(評価と同時)】硬結を押さえたまま、患者に普段痛みが出る動作(重いものを持ち上げる動作の再現など)をさせます。押圧しながら「痛みが消えるor著明に軽減するポイント」を見つけます。これが治療点です。逆に「押さえると痛みが増す場所」はその硬結が治療点ではないサインです。この評価法は「評価と治療が同時進行する」という藤井先生の臨床手法の特徴であり、患者との共有(「ここですか?」「そうです、楽になります」)も自然に行われます。
【Step 4:押圧固定+肘伸展誘導(リリース)】治療点を確認したまま押圧を継続し、今度は患者の肘を伸展方向(まっすぐに伸ばす方向)へ誘導・動かします。このとき「グリグリのビキビキ感」が「遊びのあるグリグリ」に変化してきたら、組織が緩んでいるサインです。肘がスムーズに伸びてきたら、リリースが起きていることを意味します。
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Step 3:硬結を捉えた状態で肘を伸展方向に誘導。グリグリ感が「遊びのあるグリグリ」に変化し、肘が伸びてきたら緩んでいるサイン。Step 4:内側上顆から手首方向へ屈筋群を1本ずつ順に刺激。「全体が緩む→遊びが出る→肘がさらに伸びる」という連鎖を確認しながら進める。Step 5:母指の対立筋・内転筋の硬さもてこの支点として活用する。
【Step 5:繊維1本ずつのリリース】内側上顆から手首方向へ、屈筋群の各繊維を1本ずつ・1点ずつ順に刺激を入れていきます。「全体が緩む→さらに遊びが出る→肘がさらに伸びる」という連鎖を確認しながら進めます。動画では指の圧の精度について「押せている時にずれない」ことを繰り返し強調しています。これは硬結をしっかり捉え続けることが最重要ポイントであり、特に前腕屈筋群は短くて頑丈なため押圧中に痛みは出にくく、「気持ちいい」感覚になることが多いと説明されています。
【Step 6:母指対立筋・内転筋の活用】動画には「母指の対立筋・内転筋の硬さも利用する(てこのアプローチ)」という技法も示されます。これは母指側の筋群の解剖学的な硬さを「てこの支点」として使い、前腕屈筋群全体のリリースをより効率的に進めるというアプローチです。こちらもグリグリしながら肘伸展を合わせていきます。この「連動部位を利用した間接的アプローチ」は藤井先生の臨床的工夫であり、研究的な裏づけは現時点では限定的です。
終了の基準として動画では「肘の伸展が完全に近く入る+グリグリのビキビキ感が著明に減少した状態」が示されています。リリース前後での肘伸展角度の変化は、この手技の効果を視覚的・定量的に確認できる指標であり、患者に変化を実感させるためにも有効です。
症例の考え方とFAQ
Q. どんな患者にこの手技が適しますか? ── A. 動画で示される適応の判断基準は「慢性期の肘・前腕・手首の痛みで、急性炎症(腫脹・熱感・発赤)がない状態」です。特に重いものを持ち上げる動作での手首・前腕の痛み、肘を完全に伸ばせない状態が続くケース、手を多用する職業(セラピスト・理学療法士・柔道整復師・調理師・建設作業者など)に多く当てはまります。急性期(腫脹・熱感が強い)には手技を行わず、医師の診断・処方に従うことが前提です。
Q. 外側上顆炎(テニス肘)とは違うのですか? ── A. 外側上顆炎(テニス肘)は外側上顆(肘の外側)を起始とする伸筋群に起きる腱付着部炎であり、動画が対象とする内側上顆(肘の内側)の屈筋群とは部位が異なります。内側上顆炎は「ゴルファーズエルボー」とも呼ばれ、ゴルフ・投球動作・手首の反復屈曲動作で多く起きます。ただし実際の臨床では「外側と内側の両方に問題がある」ケースも存在するため、両方の評価(触診・誘発テスト)を行うことが有用です。
Q. 電撃感・しびれが出た場合はどうしますか? ── A. 即中止です。内側上顆の後方には尺骨神経が通っており(肘部管)、圧迫によって小指・環指の電撃感・しびれ・感覚異常が出ることがあります。これは手技が神経に当たっているサインであるため、即座に圧を離します。電撃感が繰り返す場合は肘部管症候群の可能性があり、整形外科・神経内科への受診が必要です。
Q. 何回くらい施術すれば変化が出ますか? ── A. 動画では具体的な施術回数の推奨はありません。一般的な臨床の考え方では、1回の施術で「肘の伸展角度の変化」「押圧時の痛みの変化」「持ち上げ動作での痛みの変化」が確認できれば継続の根拠になります。変化が全くない場合は、別の部位や別の原因を再評価します。また日常的な手の使い方・姿勢(特に肘を常に曲げた状態でのデスクワーク・スマホ使用)が変わらなければ再発しやすいため、生活習慣の見直しも並行して行うことが現実的です。
Q. 一般の方が自分でやってもいいですか? ── A. 内側上顆周囲には尺骨神経と上腕動脈・静脈が近接しているため、一般の方が強い押圧を自己流で行うのはリスクがあります。セルフケアとして安全な範囲は「前腕全体の軽いマッサージ(ふくらませずに優しく揉む程度)」や「肘を伸ばすストレッチ(痛みのない範囲で)」です。内側上顆への直接的な強い押圧は専門家(PT・OT・柔道整復師・医師等)に任せてください。
まとめ ── この手技から持ち帰れること
「重いものを持ち上げると手首が痛い」という訴えに対して、「手首そのものではなく肘の内側上顆・前腕屈筋群を治療ターゲットにする」という視点の転換——これがこの動画の最大のメッセージです。前腕屈筋群は肘(内側上顆)から起始して手首・指に至る長い筋群であり、起始部の問題が末梢の痛みとして現れることを理解することで、「なぜここを治療するのか」という説明が患者にも自然にできます。
手技の特徴は「誘発動作テストによる治療点の確定→押圧固定しながら肘を伸展誘導」という評価・治療の同時進行です。単に「硬いところを押す」のではなく、「押さえると痛みが消えるポイント」を探すプロセスが精度を左右します。内側上顆の確実な触診、解剖の理解、押している間にずれない指の固定力——この3つが技術的な要点です。
エビデンスの面では、外側上顆炎(腱付着部炎)への物理療法介入が有効でありうること(Song 2026 NMA・Cha 2026 NMA)、筋膜性疼痛への局所介入が痛み・機能指標を改善しうること(Trybulski 2026 SR・Ferrillo 2026 SR)という周辺知見が理論的背景を提供します。「治る」という断定はできません。
急性炎症が除外された慢性期の手首痛・肘伸展制限に対して、「肘の内側上顆・屈筋群の起始部」という視点を持つことは、臨床の幅を広げる一手になりえます。この動画の知見と、この記事の解剖・エビデンスの整理が、あなたの臨床の一助になれば幸いです。詳しい手の使い方・圧のかけ方・動作の選択については、ぜひ動画本編をあわせてご覧ください。
参考文献
限界と注意・受診の目安
- ▸内側上顆の後方には尺骨神経が通っています(肘部管)。押圧中に電撃感・指のしびれが出たら即中止してください。
- ▸上腕動脈・静脈が肘内側を走ります。押圧中に拍動を感じたら即座に離してください。
- ▸急性炎症(腫脹・熱感・発赤)がある場合は手技を行わず、医療機関を受診してください。
- ▸「治る」「必ず改善する」という保証はなく、効果には個人差があります。効果がない・悪化する場合は専門家に相談してください。
- ▸引用した論文(Song 2026・Cha 2026・Trybulski 2026・Ferrillo 2026)は外側上顆炎・TMD・MPS等への介入を対象としており、藤井先生の内側上顆リリース手技を直接検証したものではありません。
- ▸骨折・靭帯断裂・感染性関節炎が疑われる場合、本手技は適応外です。整形外科的診断を優先してください。
- ▸本記事はYMYLカテゴリの健康情報です。医師・理学療法士等の指導のもとで活用してください。
監修・参考文献
掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。
監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)
- [1] Song YH, Lan JY, Fu HH, Tang LX.(2026).「Short-term efficacy of physical interventions for lateral epicondylitis: a network meta-analysis based on multidimensional evaluation of pain and function」. Frontiers in pain research (Lausanne, Switzerland).
- [2] Cha JM, Yoon SY, Kim YW, Park JM, Lee SC.(2026).「Comparative Effectiveness of Focused Versus Radial Extracorporeal Shockwave Therapy and Leukocyte-Poor Versus Leukocyte-Rich Platelet-Rich Plasma for Lateral Epicondylitis: A Network Meta-Analysis」. Journal of clinical medicine.
- [3] Trybulski R, Olaniszyn G, Smoter M, Bas O, Tyravska O, Kuszewski M, Walicka-Cupryś K.(2026).「Effectiveness of Percutaneous Needle Electrolysis (PNE) and Intramuscular Electrical Stimulation (IMES) in the Management of Myofascial Pain Syndrome and Tendinopathies: A Systematic Review」. Journal of clinical medicine.
- [4] Ferrillo M, Calafiore D, De Rosa A, Sedran A, Longo UG, Vecchio M, Ammendolia A, Scotti N, Giudice A, de Sire A.(2026).「Efficacy of Myofascial Release Therapy and Related Soft-Tissue Techniques for Pain in Temporomandibular Disorders: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials」. Journal of oral rehabilitation.