FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE

エビデンスレベル:SR/メタ解析

総指伸筋リリース ── 五十肩の痛みに「外側上顆」から切り込む筋膜アプローチ

こんな方へ:五十肩(肩関節周囲炎)と言われているが改善しない / 肩の痛みの原因がわからないと言われた / テニス肘・ゴルフ肘・野球肘が肩の痛みと重なっている / 前腕〜肘の外側に慢性的な張りや硬さがある / 肩の痛みを扱う治療家・セラピスト

総指伸筋(そうしんきん)は外側上顆(がいそくじょうか)を起始とし、前腕背側を走って第2〜5指の指伸筋腱に停止する筋である。この起始部=外側上顆は短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋・小指伸筋とともに共通伸筋腱群のハブを形成しており、テニス肘・ゴルフ肘・野球肘といった肘関節疾患との関与でも知られる。治療家・藤井翔悟の実技動画(YouTube ID: j8OfAsFSmJk)は、肩以外の部位(とりわけ外側上顆付近)が五十肩の痛みに大きく関与している可能性があるという臨床観察を示し、外側上顆の硬結を圧迫しながら肩屈曲させる評価法と、その結果に基づくリリース手技を紹介している。

監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-08-16

FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS

査読論文 4本と照合SR/メタ解析

藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持

研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。

藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。

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手技デモ(実演)

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動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス

EVIDENCE

藤井式の技術を、査読論文4本で支持する

本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文4本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。

FUJII METHOD

論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性

評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする

研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。

この記事で学べること/結論を先に

この記事は、理学療法士・藤井翔悟による「五十肩と外側上顆の関係」をテーマにした実技解説動画(YouTube ID: j8OfAsFSmJk)の内容を、7枚の図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。テーマは4つ ── ①総指伸筋とはどんな筋か(解剖・機能・外側上顆との関係) ②なぜ前腕の筋が肩の痛みに関係しうるのか(筋膜連鎖という考え方) ③藤井先生が示す外側上顆の評価と手技 ④どこまでが研究で、どこからが臨床経験か。

まず最初に正直に伝えます。この動画は「総指伸筋をほぐす方法」という単純な手技解説動画ではありません。また、この動画は総指伸筋そのものが主役というより、総指伸筋の起始部=外側上顆付近の筋膜的な緊張や硬結が、五十肩の痛みや可動域制限に関与している可能性があるという臨床的な視点の提示に重点があります。動画の核心は「症状のある部位(肩)と原因のある部位(外側上顆)は必ずしも一致しない」という発想の転換であり、そのための評価法と手技を示しています。

この記事の2本柱を先に示します。(A)動画の手技=藤井先生の臨床経験に基づく五十肩の評価と着眼点。肩の痛みの原因が患部以外の部位(特に外側上顆周辺)にある可能性を示す臨床観察、そして外側上顆の硬結を圧迫しながら肩を動かして痛みの変化を確認する評価法。(B)周辺のエビデンス=筋膜トリガーポイントの有病率・物理的介入と神経筋疲労・筋特性評価を扱った実在4本の論文。(A)と(B)は明確に区別して提示します。

この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)

動画は藤井先生の触診の当て方・硬結の見つけ方・評価・手技の発想を『体験』するもの。記事は『いま何を、なぜやっているか』と『どこまでが研究で、どこからが臨床経験か』を持ち帰る地図です。この動画の核心である『外側上顆付近の硬結が五十肩の痛みを起こしている可能性がある』および『外側上顆を圧迫しながら肩を動かすことで原因部位を特定する』という主張は、藤井先生の豊富な臨床観察に基づくものであり、これを直接検証したRCTや系統的レビューは現時点では存在しません。医療情報として、研究の裏づけと臨床経験を正確に区別した上で読み進めてください。

背景 ── なぜ「五十肩」に外側上顆が関係するのか

五十肩(肩関節周囲炎)は、整形外科の領域でも難渋する疾患のひとつです。動画の冒頭で藤井先生は、五十肩が「疾患のゴミ箱」とも呼ばれる性質を持つことを指摘します。慢性期(発症から3ヶ月以上が経過)で確定診断がつかない肩の痛みを、医療機関では「肩関節周囲炎」「五十肩」とひとまとめに診断することが多い。しかし慢性疾患における痛みの原因は肩関節そのものにあるとは限らず、西洋医学・整形外科が得意とする「患部を細かく診る」アプローチだけでは改善しないケースが珍しくない、と藤井先生は述べます。

この背景から動画が提示する重要な視点が「症状と原因はイコールではない」というものです。肩が痛いからといって、その原因が必ずしも肩関節の中・周囲にあるとは限らない。体の構造をつなぐ筋膜の連続性を理解すれば、手首・足首・骨盤など、肩から遠い部位が肩の痛みや可動域制限の原因になっていることが見えてくる。動画が特に着目するのは、外側上顆(がいそくじょうか)という解剖学的部位です。

外側上顆は上腕骨の遠位端にある外側の骨性突起で、総指伸筋・短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋・小指伸筋・回外筋などが共通伸筋腱として付着する「筋膜のハブ」です。テニス肘(外側上顆炎)・ゴルフ肘・野球肘など、上肢の使い過ぎによる障害と深く関連する部位として知られています。動画で藤井先生が提唱するのは、この外側上顆付近の硬結(筋膜の緊張・筋スパズム)が、筋膜の連続性を通じて肩周囲まで張力を伝え、五十肩の痛みや可動域制限に関与しうるという考え方です。

動画の中で、テニス肘・ゴルフ肘・野球肘などの肘疾患と五十肩が、原因を共有しているケースが多いと藤井先生は述べます。これは、外側上顆という共通の解剖学的ハブに複数の疾患の原因が集約していることを意味します。腕の背側の筋膜ライン(アナトミートレインの概念)では、指先→手背→前腕背側→外側上顆→三頭筋→肩→頸部という連続した張力伝達経路が想定されており、この連鎖において外側上顆が機能的な中継点としての役割を果たしている、というのが藤井先生の臨床観察の背景にある解剖学的な論理です。もちろん、この具体的な連鎖を直接証明した研究は現時点では存在しません。しかし筋膜の連続性という概念自体は、解剖学的な研究によっても支持されつつある考え方です。

総指伸筋の解剖と機序 ── 外側上顆という「筋膜のハブ」

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総指伸筋の解剖 ── 外側上顆から4本の指へ走る前腕背側の主役
後面 / posterior(右前腕) 外側上顆(起始) 内側上顆 総指伸筋 第2〜5指 前骨間動脈 橈骨神経深枝 指伸筋腱

図は横にスワイプして拡大表示できます

総指伸筋(そうしんきん)は外側上顆(がいそくじょうか)を起始とし、前腕背側を下って第2〜5指の手背腱膜(指伸筋腱)に停止します。起始部では短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋・小指伸筋とともに共通伸筋腱群を形成しており、外側上顆は複数の筋が密集する構造的な「ハブ」です。前骨間動脈(赤)が前腕背側に栄養を供給し、橈骨神経(黄)の深枝が筋群を支配します。

総指伸筋(extensor digitorum communis: EDC)は、前腕の背側(後面)に位置する伸筋群の中核を担う筋です。起始部は外側上顆で、短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋・小指伸筋とともに共通伸筋腱(common extensor tendon)を形成してここに付着します。この「共通」という点が重要で、外側上顆は複数の筋腱組織が集合する解剖学的なジャンクション(接合点)であり、ここに生じた硬結や緊張は複数の筋に同時に影響を与えます。

起始部からの筋腹は、前腕の背側(後側)を縦に走って4本の腱に分かれ、手背を越えてそれぞれ第2〜5指の手背腱膜(extensor expansion)に停止します。主な機能は手首の伸展と第2〜5指の伸展(开くこと)です。前骨間動脈がこの筋群に栄養を供給し、橈骨神経の深枝(後骨間神経)が支配神経として筋群を制御します。起始部では伸筋群の共通腱と、骨膜・関節包・環状靭帯などの筋外結合組織が互いに織り重なるように配列されており、ここが慢性的な張力の蓄積によって硬化しやすい構造的な理由のひとつです。

外側上顆周辺の組織には、「ラテラル・エピコンダイル(外側上顆)炎」すなわちテニス肘として知られる過使用症候群が生じやすいことが知られています。これは、同部位への反復的な張力負荷が筋腱付着部に微細損傷を引き起こし、修復を繰り返す中で線維化(瘢痕形成)が進んで柔軟性が失われるプロセスです。藤井先生が動画で言及するのも、この部位の「硬結」であり、完全に腱が断裂しているような器質的損傷ではなく、筋膜や筋の慢性的な緊張・スパズムによる機能的な硬化です。

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筋膜の連鎖 ── 外側上顆から肩へ至る「腕の背側ライン」
腕の背側筋膜ライン 指先・手背腱膜外側上顆(総指伸筋の起始)上腕三頭筋・三角筋後部肩・頸部 外側上顆が"ハブ"となり 手先〜肩まで張力が伝わる (筋膜連鎖の理論・臨床経験に基づく)

図は横にスワイプして拡大表示できます

総指伸筋の起始部=外側上顆は、アナトミートレインの「アームバックライン(腕の背側筋膜ライン)」の中継点に当たります。このラインは指先から手首→前腕背側→外側上顆→三頭筋→肩→頸部へと連続します。動画で藤井先生が「外側上顆付近が五十肩の痛みに関与する」と述べるのは、この筋膜の連続性という考え方に基づく臨床観察です。※筋膜連鎖の直接的な証拠となる質の高い研究はまだ限定的です。

図2に示したように、腕の背側の筋膜ライン(アームバックライン)という考え方では、指先から手背→前腕背側→外側上顆→上腕三頭筋→三角筋後部→肩→頸部へと、張力が連続的に伝わる経路が想定されます。この連鎖のうちのひとつのリンクである外側上顆が硬化すると、下流(手指側)だけでなく上流(肩・頸部側)へも張力的な影響が波及しうるという考え方です。この概念自体は、アナトミートレインの研究者(Tom Myers ら)によって提唱され、解剖学的な dissection(解剖)実験でも一部支持される見解です。ただし「外側上顆の硬結が肩の痛みを直接引き起こす」という因果関係を強い研究デザインで証明したものは現時点では見当たりません。

動画の手技を図解 ── 評価・触診・リリース手順

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外側上顆の解剖と触診 ── 「共通伸筋腱群のハブ」を正確に触れる
外側面 / lateral(右肘) 外側上顆 ここを触診・圧迫 共通伸筋腱 橈骨頭 尺骨(肘頭) 上腕骨 外側上顆に付着する主な筋 ・総指伸筋(→第2〜5指)・短橈側手根伸筋(→第3中手骨)・尺側手根伸筋(→第5中手骨)・小指伸筋(→小指) 硬結(トリガーポイント) 硬い塊 ↑圧迫→肩痛の変化を確認

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外側上顆は肘の外側に位置する上腕骨の骨性突起で、総指伸筋・短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋・小指伸筋が共通伸筋腱として付着します。肘を少し曲げた状態で外側から触ると骨の硬い出っぱりとして触知できます。動画で藤井先生が強調するのは、この部位の硬結(筋膜の緊張や筋スパズム)が五十肩の痛みパターンや可動域制限に関与しうるという臨床観察です。触診には解剖学の理解が不可欠です。

動画で藤井先生が示す手技の最初のステップは、外側上顆の正確な触診です。外側上顆は肘の外側にある骨の出っぱりで、肘を軽く屈曲させた状態で外側から探ると指先に硬い骨性の突起として触知できます。ここで重要なのは「骨を正しく触れること」と藤井先生は強調します。外側上顆の解剖学を正確に理解していないと、周辺の軟部組織(筋や皮下組織)を触っているだけになってしまい、有効なアプローチができません。治療家にとって触診練習が不可欠な部位です。

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評価手技 ── 外側上顆を圧迫しながら肩屈曲させて「原因を見つける」
① 評価(ベースライン) 肩が痛い 制限 ② 外側上顆を圧迫 + 再評価 外側上顆を圧迫 痛みが軽減 改善↑ 圧迫 しながら 痛みが軽減 / 可動域が改善 → その部位が原因に関与している可能性あり 変化なし → 別の原因を探す。これは藤井先生の臨床観察に基づく評価法。

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藤井先生が動画で示す評価手順。①患者に肩の屈曲動作をさせて痛みの有無・可動域を確認する(ベースライン)。②外側上顆付近の硬結を指で圧迫する。③その状態で再び肩屈曲させて変化を見る。圧迫しながら痛みが減少したり可動域が改善したりすれば、その部位が五十肩の痛みに関与している可能性が高いと判断します。この評価法は藤井先生の臨床観察に基づく独自の手技です。

触診によって外側上顆を同定した後、次は硬結(こりの塊・スパズムのある部分)を探します。外側上顆の骨面と共通伸筋腱の付着部周辺を指腹でじっくりと探ると、「ゴリゴリした感触」「押すと独特の圧痛がある部分」として硬結が触知されることがあります。動画では、この硬結を圧迫したまま患者に肩の屈曲動作を行わせるという評価法が示されます。この「圧迫+動作」という評価の順序が重要で、図4に示したように、圧迫前後で肩の動きや痛みがどう変わるかを比較することで、外側上顆が肩の痛みの原因に関与しているかどうかを推定します。

評価の結果、圧迫しながらの肩屈曲で痛みが軽減したり可動域が改善したりした場合、外側上顆周辺がその患者の五十肩の原因に関与している可能性が高いと藤井先生は判断します。逆に変化がなければ、外側上顆以外の部位(手首・足首・骨盤など)を探るというアプローチに移ります。これは「症状のある場所だけを治療するのではなく、原因のある場所を特定して治療する」という考え方の実践であり、動画が伝えたい最も重要なメッセージのひとつです。

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リリース手技のポイント ── 硬結を捉え、動作と連動させて解放する
ここを圧迫 手技の手順 STEP 1 外側上顆の骨の出っぱりを触診し、 硬結(こりの塊)を見つける STEP 2 指腹で硬結を「じんわり」と圧迫 (強く押しすぎない) STEP 3 圧迫を保ちながら患者に 肩屈曲を繰り返させる STEP 4 痛みの変化・可動域の変化を確認 (再評価) 触診のコツ(藤井先生の解説より) ・骨を「正しく触れる」ことが大前提。解剖学の知識が必須。・硬結は「ゴリゴリした塊」「押すと独特の感触」として触知する。・圧迫の強さ:「じんわり当たっている」程度。強く押しすぎない。・反応:肩の動きが楽になる、痛みが減る → 原因に関与の可能性。・変化がなければ他の部位を評価する(外側上顆以外も確認)。

図は横にスワイプして拡大表示できます

動画で示される手技の流れ。外側上顆付近の硬結を指腹でじっくりと圧迫しながら、患者に肩の動作を繰り返させます。この「圧迫+動作」の組み合わせが、筋膜の緊張を解放しやすくする考え方です。触診が不正確だと効果が出ないため、骨の解剖学的な理解と触診練習が不可欠です。強く押しすぎず、「じんわりと当たっている」程度が目安です。

リリース手技の具体的な流れは図5に示した通りです。外側上顆付近の硬結を指腹で「じんわりと」圧迫し、その状態を保ちながら患者に肩の屈曲動作を繰り返させます。このとき重要なのは「強く押しすぎない」という点です。強い圧迫は逆に筋を防衛収縮させて硬くしてしまう可能性があり、「じんわりと当たっている」「圧が入っている」という程度が適切です。動作を繰り返す中で硬結が緩んでくると、その感触の変化が指に伝わってきます。そのタイミングで改めて肩の動きを確認し、改善が見られれば成功です。ない場合は他の部位へ移ります。

動画の中で藤井先生は、テニス肘・ゴルフ肘・野球肘といった肘の疾患を持つ患者と五十肩が共存しているケースが多いことにも言及します。これは同じ外側上顆が複数の問題のハブとなっている可能性を示唆しており、肩のみならず肘の症状を持つ方の評価においても、外側上顆に目を向けることの意義が述べられています。さらに、西洋医学・整形外科が不得意とする慢性期の原因不明の五十肩に対して、治療家として介入する意義を強調し、学習の重要性も説かれています。これは治療家向けのメッセージですが、患者にとっても「改善しないなら違うアプローチがある」という希望として受け取ることができます。

症例の考え方・よくある質問(FAQ)

臨床での使い方を、一般的なシナリオで考えてみます。『慢性期の五十肩で整形外科を受診したが「様子を見ましょう」と言われた。痛みが続いており、肩を上げようとすると強い痛みが出て、130度以上上がらない』という訴え。この方が藤井先生のアプローチを受けたとすると、まず外側上顆の触診を行い、硬結の有無を確認。硬結があれば圧迫しながら肩屈曲を行ってもらい、痛みや可動域の変化を評価する。もし変化があれば外側上顆のリリースを行い、再評価する ── というプロセスです。これはあくまで考え方の例であり、実際の対応は個別の評価と医療者の判断によります。

Q. これで五十肩は治りますか? ── A.『治る』とは言えません。五十肩の保存療法を検証した研究においても、単一の手技で必ず改善するという結論はなく、適切な評価・複数のアプローチの組み合わせ・時間経過が重要です。外側上顆へのアプローチは「原因のある部位を特定してアプローチする」という評価思考の実践であり、藤井先生の臨床では効果が出るケースがあるという観察です。

Q. なぜ肩が痛いのに肘(外側上顆)を触るのですか? ── A. 体の筋膜は連続しており、腕の背側ラインという考え方では指先から肩まで張力が伝わります。外側上顆はその連鎖の中継点であり、ここの硬結が肩まで影響を与えうると藤井先生は説明します。同様の現象は、大腰筋(腰の深部の筋)が膝や首の痛みに影響するケース等でも臨床的に観察されています。「症状のある部位=原因のある部位」とは限らないという発想が重要です。

Q. テニス肘の人も外側上顆が原因ですか? ── A. テニス肘(外側上顆炎)は、外側上顆への繰り返しの張力負荷による過使用症候群です。動画の主張とは少し角度が異なりますが、外側上顆付近の組織の硬化・筋膜の緊張という点は共通しています。藤井先生の動画ではテニス肘・ゴルフ肘・野球肘と五十肩が原因を共有することが多いと述べており、評価のアプローチは似通っています。ただし急性のテニス肘(炎症期)への強い圧迫は逆効果になりうるので注意が必要です。

Q. 自分でセルフケアできますか? ── A. 外側上顆は比較的アプローチしやすい部位ですが、正確な解剖学的知識と触診技術が必要で、素人判断での強い圧迫は避けてください。セルフケアとして行う場合は、肘の外側の骨の出っぱりを軽く触れる程度に留め、痛みが強い場合は即座に中止してください。また、評価(圧迫しながら肩を動かして変化を見る)の考え方は、自分の身体への気づきとして参考にはなりますが、正式な評価・治療は医療者に任せるのが安全です。

Q. 整形外科で「問題なし」と言われましたが、なぜまだ痛いのですか? ── A. 整形外科的な検査(X線・MRI等)は器質的な損傷(骨折・腱板断裂・変形性関節症など)を診断するものです。慢性の筋膜硬結・筋スパズム・張力の偏りといった機能的な問題は画像で映りにくく、「異常なし」と言われることがあります。動画で藤井先生が述べるのも、こうした機能的・筋膜的な問題に対して治療家が介入する意義であり、「診断がつかない=治療法がない」ではないという視点の提供です。

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限界と注意・受診の目安

  • この動画の核心的な手技(外側上顆圧迫で五十肩を評価・改善する)を直接検証したRCT・系統的レビューは現時点では存在しません。藤井先生の豊富な臨床経験に基づく独自の評価法・手技です。
  • 五十肩の鑑別には腱板断裂・癒着性関節包炎・石灰沈着性腱板炎・感染・腫瘍などが含まれます。確定診断のないまま手技を繰り返すことは避け、必要に応じて整形外科を受診してください。
  • 急性外傷(転倒・スポーツ受傷)の直後、腫れ・熱感・発赤・強いしびれ・脱力・夜間痛・安静時痛が持続する場合は手技より先に受診を優先してください。
  • 外側上顆への強い圧迫は、急性炎症期(テニス肘の炎症期など)には逆効果になる可能性があります。強い痛みや不快感が生じた場合は即座に中止してください。
  • 効果には個人差があります。『治る』と断定するものではありません。
  • この記事で引用した4本の論文(Ribeiro 2018・Hou 2021・Wiśniowski 2022・Lettner 2024)はいずれも藤井先生の具体的な手技を直接検証したものではなく、周辺エビデンスです。
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監修・参考文献

掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。

監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)

  1. [1] Ribeiro DC, Belgrave A, Naden A, Fang H, Matthews P, Parshottam S.2018).「The prevalence of myofascial trigger points in neck and shoulder-related disorders: a systematic review of the literature」. BMC musculoskeletal disorders.
  2. [2] Hou X, Liu J, Weng K, Griffin L, Rice LA, Jan YK.2021).「Effects of Various Physical Interventions on Reducing Neuromuscular Fatigue Assessed by Electromyography: A Systematic Review and Meta-Analysis」. Frontiers in bioengineering and biotechnology.
  3. [3] Wiśniowski P, Cieśliński M, Jarocka M, Kasiak PS, Makaruk B, Pawliczek W, Wiecha S2022).「The Effect of Pressotherapy on Performance and Recovery in the Management of Delayed Onset Muscle Soreness: A Systematic Review and Meta-Analysis」. Journal of clinical medicine.
  4. [4] Lettner J, Królikowska A, Ramadanov N, Oleksy Ł, Hakam HT, Becker R, Prill R.2024).「Evaluating the Reliability of MyotonPro in Assessing Muscle Properties: A Systematic Review of Diagnostic Test Accuracy」. Medicina (Kaunas, Lithuania).