FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE

エビデンスレベル:専門家意見

前頭骨リリース ── 眉毛のラインをゆるめてイライラを解消する

こんな方へ:パソコン・デスクワークが多くてイライラしやすい方 / 額や眉間の重さ・圧迫感がある方 / 目の奥の疲れが抜けない方 / 集中力の低下・頭のもやもやを感じる方 / 感情のコントロールが難しいと感じる方 / 治療家・セラピストで頭部アプローチに関心がある方

前頭骨(ぜんとうこつ)は額から眼窩上縁にかけてを形成する頭蓋骨の前部の骨で、その内側に前頭前野(ぜんとうぜんや)が位置する。治療家・藤井翔悟の実技動画(YouTube ID: y07XMW1_NPQ)は、知的作業・パソコン使用が多い人に前頭骨の周辺が硬くなりやすく、これがイライラや精神的な疲労感の一因になりうるという臨床的な視点を提示する。動画の手技は、眉毛のライン(眼窩上縁・前頭骨下縁周辺)を指でグリグリとゆるめるシンプルなセルフケアで、前頭骨の硬さを評価し、直接法でリリースするアプローチ。

監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-08-19

FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS

査読論文 4本と照合SR/メタ解析

藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持

研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。

藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。

2

手技デモ(実演)

3

動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス

EVIDENCE

藤井式の技術を、査読論文4本で支持する

本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文4本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。

FUJII METHOD

論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性

評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする

研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。

この記事で学べること/結論を先に

この記事は、治療家・藤井翔悟による前頭骨(ぜんとうこつ)リリースをテーマにした実技解説動画(YouTube ID: y07XMW1_NPQ)の内容を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。テーマは4つ ── ①前頭骨とはどんな骨か(解剖・前頭前野との関係) ②なぜこの骨の周辺の硬さがイライラに関係するのか ③藤井先生が示す触診・評価の方法 ④眉毛のラインを「グリグリ」ゆるめるリリース手技の具体的手順。最初に正直に伝えておきます。動画の核心的な主張である「前頭骨が硬くなるとイライラする」「前頭骨をゆるめることで前頭前野の疲労が取れる」という考え方は、藤井先生の豊富な臨床観察と骨整体的な視点に基づくものです。この主張を直接検証したRCT(ランダム化比較試験)や系統的レビューは、現時点では存在しません。医療情報として、研究の裏づけと臨床経験を正確に区別した上で読み進めてください。

この記事の2本柱を最初に示します。(A)動画の手技=藤井先生の臨床経験に基づく評価と着眼点。知的作業・パソコン作業が多い人は前頭骨周辺が硬くなりやすく、この硬さがイライラや精神的疲労の一因になっている可能性がある。眉毛のラインを指でグリグリとゆるめることで、「フーッと抜ける感覚」とともにイライラが解消されることがある。(B)周辺のエビデンス=緊張型頭痛への物理療法、トリガーポイント療法、EMGバイオフィードバック、顔面筋への介入を扱った実在4本の論文。(A)と(B)は明確に区別して提示します。

この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)

動画は藤井先生の評価の当て方・硬さの感じ方・リリース手技を『体験』するもの。記事は『いま何を、なぜやっているか』と『どこまでが研究で、どこからが臨床経験か』を持ち帰る地図です。この動画の核心である「前頭骨の硬さ→イライラ」「眉毛のラインをゆるめる→改善」という主張は、藤井先生の臨床観察に基づくものであり、科学的な因果関係が確立されたものではありません。医療上重要な症状がある場合は医師に相談してください。

背景 ── なぜ「前頭骨の硬さ」がイライラに関係するのか

現代社会において、「イライラ」「精神的な疲れ」「集中力の低下」は多くの人が日常的に抱える悩みです。一般的にこれらの原因として挙げられるのは、仕事のストレス、人間関係のトラブル、睡眠不足、栄養の偏りなどです。しかし動画の冒頭で藤井先生が提示する視点は、異なる角度からのアプローチです。「イライラは他人のせいではなく、実は身体の特定の部位が硬くなっていることが原因である場合が非常に多い」という臨床的な観察から、動画は始まります。

特に藤井先生が着目するのが、前頭骨(ぜんとうこつ)という頭蓋骨の前部を構成する骨です。この骨は額から眼窩上縁(眉毛のラインのすぐ下の骨)にかけてを形成しており、内側に前頭葉・前頭前野が位置します。ヒトが他の動物と大きく異なるのは、この前頭前野が著しく発達している点です。動画でも言及されているように、前頭前野は論理的思考・計画立案・感情制御・意思決定といった、いわゆる「人間らしさ」を担う高次機能の中枢です。知的作業を多く行う人 ── 研究者、エンジニア、クリエイター、デスクワーカー ── は、この前頭前野を酷使するぶん、前頭骨周辺の組織に慢性的な緊張が蓄積しやすいと藤井先生は説明します。

この主張の背景にある解剖学的な論理は次のとおりです。前頭骨の前面には前頭筋(ぜんとうきん)が広く覆い、上方で帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)へ連続し、下方で眉毛の皮膚へ付着します。眉毛のライン(眼窩上縁)の周辺には眼窩上孔(がんかじょうこう)があり、ここから眼窩上神経(がんかじょうしんけい)と眼窩上動脈が走行して額の皮膚感覚・血流を担います。前頭骨周辺の軟部組織(筋膜・皮下組織)が慢性的な緊張によって硬化すると、これらの神経・血管への影響や、頭蓋骨自体のわずかな動きの制限が生じうる ── というのが骨整体・頭蓋仙骨療法的な視点の核心です。この視点自体の科学的根拠は現時点では限定的ですが、臨床現場でこの部位へのアプローチが実践されていることは確かです。

また動画では、「パソコンをよく使う人は前頭骨が硬くなっている傾向が非常に強い」と述べられています。これは現代人の多くに当てはまる観察であり、スマートフォンやPCの長時間使用による目の疲れ・眉間のしわ・額の緊張は、多くの人が経験的に知っていることでもあります。この日常的な体験と、藤井先生の臨床的な視点が合わさることで、前頭骨リリースという手技のアプローチに一定の説得力が生まれています。

前頭骨の解剖と機序 ── 骨・筋・神経の関係

1
前頭骨の解剖 ── 額を構成する頭蓋骨の前壁
前面 / anterior 前頭筋(左腹) 前頭筋(右腹) 帽状腱膜(ガレア) 前頭骨(額の骨) 眼窩上縁(眉のライン) 眼窩上神経・動脈

図は横にスワイプして拡大表示できます

前頭骨(ぜんとうこつ)は額から眼窩上縁にかけてを形成する頭蓋骨前部の骨で、その内側に前頭葉・前頭前野(ぜんとうぜんや)が位置する。上方は矢状縫合・冠状縫合でほかの頭蓋骨と連結し、下縁(眼窩上縁・眼窩上孔付近)では眼窩上神経(黄)・眼窩上動脈(赤)が額の皮膚感覚と血流を担う。前頭骨の前面を広く覆うのが前頭筋(ぜんとうきん)であり、眉毛の皮膚と連続する。

前頭骨(frontal bone)は頭蓋骨(cranium)を構成する8つの骨のうちの一つで、額と眼窩の上壁を形成する板状の骨です。上方では冠状縫合(かんじょうほうごう)で頭頂骨と、内側では矢状縫合(しじょうほうごう)で正中線上で左右に分かれるように見えますが、成人では一枚の骨として癒合しています。前頭骨の前面(額の側)はほぼ垂直に立った鱗部(りんぶ)と呼ばれる平坦な面であり、その表面を前頭筋が広く覆います。

前頭骨の下縁(眼窩上縁)は眼窩の上壁を形成し、この縁の内側から内側1/3付近に眼窩上切痕(または眼窩上孔)があります。この孔から眼窩上神経(三叉神経第1枝の分枝)と眼窩上動脈が前頭部の皮膚へ向かって走行します。これが「眉毛のライン」付近を押すと気持ちよく感じたり、強く押すと響くような感覚が生じる解剖学的な理由の一つです。眼窩上神経は額の皮膚感覚(頭頂部まで)を担うため、この神経の走行域に沿った緊張は、前頭部全体の重さや不快感として知覚されやすいのです。

3
前頭骨と前頭前野 ── 動画が示す「解剖学的な理由」
側面 / lateral 前頭前野 (内側に位置) 前頭筋 前頭骨(硬さが出る) 前頭前野(論理・感情制御) 藤井先生の説明(動画) 前頭骨を緩めることで 前頭前野の疲労・ストレスが 解放される可能性がある ※臨床経験に基づく考え方

図は横にスワイプして拡大表示できます

動画での核心的な説明:ヒトは他の動物に比べて前頭前野(ぜんとうぜんや)が発達しており、論理的思考・感情制御・意思決定を担う。この前頭前野は前頭骨の内側に位置するため、前頭骨の硬さが前頭前野の「ストレスや疲労」に影響する可能性がある、というのが藤井先生の考え方。これは骨整体・頭蓋仙骨療法的な臨床的視点であり、神経科学的に証明された機序ではない点を明記する。

前頭骨の内側、つまり頭蓋腔(ずがいくう)の内面に相当する部分に位置するのが前頭葉(ぜんとうよう)であり、その前部を構成するのが前頭前野(prefrontal cortex: PFC)です。前頭前野は、ワーキングメモリ(作業記憶)・実行機能(executive function)・感情制御・意思決定・社会的判断といった高次認知機能を担います。長時間の知的作業によってこの領域が疲弊すると、「頭が働かない」「判断力が落ちた」「些細なことでイライラする」という状態が生じやすいことは、認知神経科学的にも知られています。藤井先生の「前頭骨をゆるめると前頭前野のストレスが取れる」という説明は、この神経科学的な背景を臨床経験から直感的に捉えたものと言えます。

前頭筋(frontalis)は前頭骨の前面を覆う薄い平滑筋で、解剖学的には上方で帽状腱膜(galea aponeurotica)に連続し、下方で眉毛の皮膚に付着します。帽状腱膜は頭頂を越えて後方に続き、後頭筋(occipitalis)と連結するため、前頭筋と後頭筋は一体の「前頭後頭筋(frontoooccipitalis)」を形成します。この構造から、前頭骨周辺の緊張は帽状腱膜を介して頭頂・後頭部へと波及しやすく、「頭全体が締め付けられる感じ」として知覚されることがあります。これは緊張型頭痛の典型的な訴えの一つでもあります。

動画の手技を図解する ── 評価・触診・リリースの手順

2
前頭骨が硬くなると出やすい症状 ── 藤井先生の臨床観察
1 2 3 4 ⑤首まわりの緊張感 症状パターン(臨床観察) 1精神的なイライラ・焦り2額・眉間の重さ・圧迫感3目の奥の疲れ・眼精疲労4集中力の低下・頭のもやもや5首まわりの緊張感 特に多い対象者:パソコン作業・知的労働が多い方 ※藤井先生の臨床観察に基づく。科学的因果関係の証明ではない。

図は横にスワイプして拡大表示できます

動画での主な訴えは「イライラ」。藤井先生の臨床観察では、前頭骨周辺が硬くなると①精神的なイライラ・焦り、②額・眉間の重さ・圧迫感、③目の奥の疲れ、④集中力の低下、⑤首まわりの緊張感として現れることがある。特に知的労働・パソコン作業が多い人に見られやすいとされる。これらは藤井先生の臨床観察に基づく主張であり、科学的な因果関係が確立されたものではない。

動画(藤井翔悟)が示す評価と手技の流れは3ステップに整理できます。藤井先生が動画の最後に「この動画を見た後すぐに①解剖を確認する、②眉毛のラインを触る、③自分で緩めてみる、という3ステップを実践してほしい」と明示していることは、この手技のシンプルさと実践しやすさを表しています。以下、各ステップを動画に忠実に解説します。

4
触診・評価 ── 眉毛のラインを押さえて硬さを確認する
前面 / anterior 眉毛のライン 評価手順(動画より) ①指を当てる 眉毛のラインに指の腹を当てる (軽く。強く押す必要なし) ②硬さを感じる 固くて動かない → 硬い可能性 フーッと抜ける → 緊張が少ない ③繰り返し確認 左右を比べて差を感じる 自覚がなくても硬い人が多い 圧は「気持ちいい」程度。強押し不要

図は横にスワイプして拡大表示できます

動画で示される評価法。①両手(または片手)の指を眉毛のラインに当てる。②軽く押さえ込んで硬さを感じる。③「フーッと抜ける感覚」があれば緊張が緩んでいる証拠、固くて動かない感じがあれば前頭骨周辺の硬さがある可能性が高い。パソコン作業が多い人は自覚症状がなくても硬い傾向がある、と動画では述べられている。圧は軽く、強押しは不要。

【ステップ1:解剖を確認する】動画では最初に、前頭骨と前頭前野の解剖学的な位置関係を理解することを促します。「眉毛のラインのすぐ上が前頭骨の下縁であり、その内側に前頭前野がある」という基本的な位置関係を把握することが、手技の意図を理解する上で重要です。本記事の図1(解剖プレート)と図3(前頭前野の位置)を参照してください。

【ステップ2:眉毛のラインを触る・評価する】次に実際に眉毛のラインを指で触り、硬さを評価します。動画での評価法は非常にシンプルで、指の腹を眉毛のラインに当て、軽く押さえ込んで硬さを感じるというものです。「フーッと抜ける感覚」があれば緊張が少ない状態、固くて動かない感じがあれば前頭骨周辺の硬さが生じている可能性が高いと判断します。動画では「パソコンをよく使う人は、自覚症状がなくてもこの部分が硬くなっている傾向が非常に強い」と述べられています。圧は軽く、強押しは不要です。押さえたときに「痛いけれど気持ちいい」という感覚があれば、その部位に緊張があるサインです。

5
リリース手技 ── 眉毛のラインを「グリグリ」ゆるめる
前面 / anterior グリグリ(円運動) グリグリ(円運動) 手技のポイント(動画より) ・指の腹で眉毛のラインをグリグリグリグリ ・「フーッと抜ける感覚」が出れば成功 ・痛みが出たら即中止 動画推奨の3ステップ 解剖を確認する眉毛のラインを触る自分で緩めてみる 動画を見た後すぐ実践

図は横にスワイプして拡大表示できます

動画での手技:自分の指で眉毛のラインを「グリグリグリグリ」と円を描くように動かし、前頭骨周辺の組織をゆるめる。左右均等に行い、「フーッと抜ける感覚」が出るまで続ける。動画では「押さえて動かす」直接法。強い圧は不要で、指の腹を使って皮膚ごとゆっくり動かすイメージ。痛みが出た場合は中止する。効果の程度には個人差がある。

【ステップ3:眉毛のラインをグリグリとゆるめる】評価で硬さを確認したら、指の腹で眉毛のラインを「グリグリグリグリ」と円を描くように動かして、前頭骨周辺の組織をゆるめます。これが動画で示されるリリース手技の核心です。「グリグリ」という表現から分かるように、皮膚ごと動かすような感覚で、骨の表面に沿って軟部組織をほぐすイメージです。左右均等に行い、「フーッと抜ける感覚」が出るまで続けます。動画では「この感覚が出ると非常に気持ちがいい」と述べられており、この感覚自体がリリースの効果のサインとして位置づけられています。1回の実施時間は動画では明示されていませんが、左右それぞれ数分が目安と考えられます。強い痛みが生じた場合は即座に中止してください。

この手技の特徴をまとめると、①道具が不要なシンプルなセルフケアである、②額・眉毛のラインという触れやすい部位を対象としており、解剖学的な知識がなくても実施しやすい、③「フーッと抜ける感覚」という明確なフィードバックがあるため、自己評価がしやすい、という点が挙げられます。

症例の考え方・FAQ ── よくある疑問に答える

Q. 眉毛のラインをグリグリしても「フーッと抜ける感覚」が出ません。どうすればいいですか? ── A. 感覚が出ない場合は、いくつかの可能性が考えられます。第一に、圧が強すぎる・または弱すぎる可能性があります。「痛いけれど気持ちいい」という感覚域を探しながら圧を調整してみてください。第二に、前頭骨周辺の緊張が非常に強く固まっている場合、1回の実施では感覚が出にくいことがあります。毎日継続することで変化が生じやすくなることがあります。第三に、そもそもこの部位の硬さが主な問題ではなく、イライラや頭の重さの原因が別の部位(後頭筋・胸鎖乳突筋・側頭筋など)にある可能性も考えられます。変化がない場合は、専門家(治療家・理学療法士など)への相談も選択肢です。

Q. この手技はどれくらいの頻度で行うと良いですか?副作用はありますか? ── A. 動画では実施頻度の明示はありませんが、デスクワーク後や就寝前など、「前頭骨が硬くなりやすいタイミング」に日常的に行うことが提案されています。一般的なセルフケアとして、「気持ちいい」程度の圧で行う限り、過度な筋肉痛や組織損傷のリスクは低いと考えられます。ただし過度な圧・長時間の圧迫は避けてください。強い頭痛・めまい・吐き気・視覚障害が生じた場合はただちに中止し、医療機関を受診してください。また高血圧・抗凝固薬服用中の方は、頭部への強い圧迫について事前に医師に確認することを推奨します。

Q. 「前頭骨が硬い=イライラしやすい」という考え方は、医学的に認められているものですか? ── A. 現代の主流医学(神経科学・整形外科・リハビリテーション医学)の観点では、「前頭骨という骨の硬さがイライラを引き起こす」というメカニズムは確立された学説ではありません。この考え方は骨整体・頭蓋仙骨療法(CST)の理論的枠組みに近いもので、これらのアプローチについては支持する臨床家と懐疑的な研究者の両方が存在します。ただし、前頭部・眉間周辺の筋緊張が慢性的なストレス・精神疲労と関連することは、EMGバイオフィードバック研究などが示唆しており(Cinnera 2023)、「前頭部の緊張をゆるめることで精神的な楽さを感じる人がいる」という体験は多くの人が報告しています。医学的な理論の正否とは別に、藤井先生の豊富な臨床観察に基づく視点として参照する価値があります。

Q. 前頭骨のセルフケアが適している症状と、そうでない症状を教えてください。 ── A. セルフケアが適する目安は、慢性的なデスクワーク後の額の重さ・眉間の圧迫感・軽度のイライラ感で、数日〜数週間続く慢性症状の場合です。一方、突然始まった激しい頭痛(雷鳴頭痛)・発熱や嘔吐を伴う頭痛・外傷後の頭痛・神経症状(視覚障害・麻痺・言語障害)を伴う場合は、クモ膜下出血・髄膜炎・脳腫瘍などの重篤な疾患の可能性があり、ただちに医療機関を受診してください。自己判断によるセルフケアは禁忌です。

安全・受診勧奨 ── 危険なサインを見逃さない

7
安全マップ ── 「危険な頭痛」はセルフケア禁忌
前面 / anterior セルフケア禁忌のサイン すぐ救急受診(セルフケア禁忌) ▶ 突然始まった激烈な頭痛(雷鳴頭痛)▶ 発熱・嘔吐・項部硬直を伴う頭痛▶ 意識障害・けいれん・麻痺を伴う▶ 外傷(頭部打撲・転倒)後の頭痛▶ 視覚異常・言語障害を伴う▶ 夜間・安静時に増悪する頭痛 セルフケアが適する目安 ・デスクワーク後の額の重さ・疲れ ・慢性的なイライラ感・集中力低下 高血圧・抗凝固薬服用中の方は頭部への強い圧迫を医師に確認してから

図は横にスワイプして拡大表示できます

頭痛のすべてが前頭骨の硬さによるものではない。「突然始まった激烈な頭痛(雷鳴頭痛)」「発熱・嘔吐・項部硬直(首を前に曲げると激痛)」「意識障害・麻痺・言語障害」「外傷後の頭痛」はクモ膜下出血・髄膜炎・脳腫瘍などの可能性があり、ただちに救急受診が必要。これらの赤旗サインが一つでも当てはまる場合は、セルフケアを試みる前に必ず医療機関を受診すること。

この記事では前頭骨周辺の硬さとイライラ・精神的疲労の関係、そして眉毛のラインをゆるめるシンプルなセルフケアを解説しました。4本の実在論文(Repiso 2023・Dolina 2024・Cinnera 2023・Rasing 2024)が示す周辺エビデンスは、前頭部・頭部周辺の筋緊張へのアプローチが頭痛や精神的なストレスに何らかの影響を与えうることを示唆しています。一方で、「前頭骨の硬さがイライラの原因になる」という動画の核心的主張は藤井先生の臨床経験に基づくものであり、この因果関係を直接証明した質の高い研究は現時点では存在しません。

この手技の最大の価値は、日常生活の中で簡単に実施できるセルフケアとして、前頭骨周辺の緊張に気づく機会を提供してくれる点にあります。「眉毛のラインをグリグリして、フーッと抜けたらイライラが楽になった」という体験を積み重ねることで、自分の身体と心の状態をより細かく観察できるようになることが、このアプローチの実践的な意義です。ぜひ動画を見ながら、今日から実践してみてください。

【参考文献】1. Repiso-Guardeño A ほか(2023)Physical Therapy in Tension-Type Headache: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials. International Journal of Environmental Research and Public Health. DOI: 10.3390/ijerph20054466. PMID: 36901475. 2. Dolina A ほか(2024)Trigger Point Therapy Techniques as an Effective Unconventional Method of Treating Tension Headaches: A Systematic Review. Healthcare. DOI: 10.3390/healthcare12181868. PMID: 39337209. 3. Martino Cinnera A ほか(2023)Headaches treatment with EMG biofeedback: a focused systematic review and meta-analysis. European Journal of Physical and Rehabilitation Medicine. DOI: 10.23736/s1973-9087.23.07745-6. PMID: 37823248. 4. Rasing NB ほか(2024)Treatment Approaches for Altered Facial Expression: A Systematic Review in Facioscapulohumeral Muscular Dystrophy and Other Neurological Diseases. Journal of Neuromuscular Diseases. DOI: 10.3233/jnd-230213. PMID: 38517799.

6

限界と注意・受診の目安

  • 「前頭骨の硬さがイライラを引き起こす」という主張は藤井先生の臨床経験に基づくものであり、科学的に証明された因果関係ではありません。効果には大きな個人差があります。
  • 突然の激烈な頭痛・発熱・嘔吐・意識障害・麻痺・言語障害・視覚異常・外傷後の頭痛がある場合は、直ちに医療機関を受診してください(セルフケア禁忌)。
  • 高血圧・抗凝固薬服用中の方は、頭部への圧迫について事前に医師に確認してください。
  • 強い痛みや不快感が生じた場合はただちに中止してください。圧は「痛いけれど気持ちいい」程度を目安にしてください。
  • この記事は医療行為の代替ではありません。症状が続く場合や悪化する場合は、神経内科・脳神経外科・心療内科など適切な診療科を受診してください。
7

監修・参考文献

掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。

監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)

  1. [1] Repiso-Guardeño A, Moreno-Morales N, Armenta-Pendón MA, Rodríguez-Martínez MDC, Pino-Lozano R, Armenta-Peinado JA.2023).「Physical Therapy in Tension-Type Headache: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials」. International journal of environmental research and public health.
  2. [2] Dolina A, Baszczowski M, Wilkowicz W, Zieliński G, Szkutnik J, Gawda P.2024).「Trigger Point Therapy Techniques as an Effective Unconventional Method of Treating Tension Headaches: A Systematic Review」. Healthcare (Basel, Switzerland).
  3. [3] Martino Cinnera A, Morone G, Bisirri A, Lucenti T, Rotundo M, Monaci S, Berton C, Paoluzzi M, Iosa M, Ciancarelli I.2023).「Headaches treatment with EMG biofeedback: a focused systematic review and meta-analysis」. European journal of physical and rehabilitation medicine.
  4. [4] Rasing NB, van de Geest-Buit WA, Chan OYA, Mul K, Lanser A, van Engelen BGM, Erasmus CE, Fischer AH, Ingels KJAO, Post B, Siemann I, Groothuis JT, Voermans NC.2024).「Treatment Approaches for Altered Facial Expression: A Systematic Review in Facioscapulohumeral Muscular Dystrophy and Other Neurological Diseases」. Journal of neuromuscular diseases.