FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE

エビデンスレベル:専門家意見

上腕骨リリース ── 腋窩(脇の下)と上腕骨の調整で巻き肩・猫背を改善する

こんな方へ:巻き肩・猫背が慢性的に続いている / 肩の前面や腋窩(脇の下)にこわばりを感じる / 首の動きに制限があり改善しない / 肩関節の内旋傾向を評価・治療したい治療家・セラピスト / 肩のインピンジメント(肩峰下痛)やローテーターカフの問題を持つ方

上腕骨(じょうわんこつ)は肩甲骨の関節窩と肩関節を形成し、内旋筋群(肩甲下筋・大胸筋・広背筋)と外旋筋群(棘下筋・小円筋)のバランスによって正常な位置関係を保つ。この筋バランスが崩れ、上腕骨が慢性的に内旋位(前方・内側)にシフトすると、腋窩の筋膜が短縮して肩と体幹の距離が縮まり、巻き肩・猫背・首の動きの制限といった症状が連鎖する。治療家・藤井翔悟の実技動画(YouTube ID: Q1O1kHtzbLw)は、①腋窩の間接法リリース(腋窩組織の持続的圧迫による緩め)と②上腕骨の直接法調整(遠位端・近位端の外旋操作)という2ステップのアプローチを示す。

監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-09-25

FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS

査読論文 5本と照合SR/メタ解析

藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持

研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。

藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。

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手技デモ(実演)

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動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス

EVIDENCE

藤井式の技術を、査読論文5本で支持する

本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文5本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。

FUJII METHOD

論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性

評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする

研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。

この記事で学べること ── 結論を先に

この記事は、治療家・藤井翔悟による「肩関節の内旋傾向(巻き肩・猫背)を腋窩リリースと上腕骨調整で改善する」実技解説動画(YouTube ID: Q1O1kHtzbLw)の内容を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。テーマは5つ ── ①上腕骨と肩関節の解剖(内旋・外旋を担う筋群と腋窩の構造) ②肩関節内旋傾向(巻き肩・猫背)が生じるメカニズム ③腋窩の間接法リリース(ステップ1)の手順 ④上腕骨の直接法調整(ステップ2)の手順 ⑤研究の裏づけと臨床経験の誠実な線引き。最初に正直に伝えます。この動画の核心である「腋窩組織の持続的圧迫+上腕骨外旋操作で巻き肩が改善する」という手技を直接検証したRCT(無作為化比較試験)や系統的レビューは現時点では存在しません。本記事ではその前提を明確に示した上で、手技の周辺を照らす実在の研究を引用しながら、読者が科学的・批判的に情報を受け取れるよう努めます。

この記事の2本柱を最初に示します。(A)動画の手技=藤井先生の臨床経験に基づく観察と手順。「肩関節内旋傾向(巻き肩・猫背)の根本には腋窩の筋膜短縮と上腕骨のアライメント不良がある」という視点から、腋窩の間接法リリース(ステップ1)と上腕骨の直接外旋調整(ステップ2)の具体的な手順。(B)周辺のエビデンス=肩のインピンジメント・上肢筋膜リリース・乾鍼・運動連鎖を扱った実在5本の論文。(A)と(B)は明確に区別して提示します。動画に示された手技を「藤井先生の臨床経験・観察によるもの」と正確に表示し、研究の裏づけと混同しません。

この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)

動画は藤井先生の触診の当て方・腋窩への圧のかけ方・上腕骨の外旋操作を「体験」するもの。記事は「いま何を、なぜやっているか」と「どこまでが研究で、どこからが臨床経験か」を持ち帰る地図です。YMYL(健康・医療情報)として、研究の裏づけと臨床経験を正確に区別した上で読み進めてください。

背景 ── なぜ「巻き肩・猫背」に上腕骨が関係するのか

巻き肩・猫背は現代人にとって最もありふれた姿勢問題の一つです。スマートフォンの長時間使用、デスクワーク、前かがみの姿勢の習慣化によって、多くの人が慢性的な肩の内旋傾向を抱えています。単に「背中が丸い」だけの問題と思われがちですが、これは上半身の機能全体に影響を及ぼす複合的な問題です。

肩関節(肩甲上腕関節)は、上腕骨頭と肩甲骨の関節窩が形成するいわゆる「ボールとソケット」型の関節です。この関節の特徴は可動性の高さにあり、人体の中でも最も広い可動域を持ちます。その反面、骨性の安定性は低く、周囲の筋群(ローテーターカフ:棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4筋)が動的安定化を担っています。上腕骨の内旋傾向が慢性化すると、この筋バランスが崩れていきます。

藤井先生が動画で指摘するのは、肩関節の内旋傾向を「上腕骨単体の問題」ではなく「胸骨を中心とした体幹と肩の位置関係の変化」として捉える視点です。上腕骨が内旋すると、腋窩(脇の下)の組織が短縮し、肩と体幹の距離が縮まります。この状態が慢性化すると、腋窩の筋膜が「癒着・短縮」の状態で固まり、肩の外旋が制限されていきます。結果として、猫背・巻き肩・首の動きの制限(特に回旋・側屈の制限)が連鎖します。首の痛みや動きの制限を訴える方が、実は肩関節の内旋傾向と腋窩の筋膜短縮を起点としているケースがあるというのが、動画の臨床的観察の核心です。

腋窩という部位の解剖学的な重要性は特筆すべきものがあります。脇の下という狭い空間に、腋窩動脈・腋窩静脈・腋窩神経・上腕神経叢という重要な神経血管構造が密集しています。上腕を上げる動作(外転・挙上)や外旋の動きには、この腋窩という空間が適切に「開いている」ことが必要です。腋窩の筋膜が短縮して空間が狭まると、肩の可動域だけでなく、腕や手への神経・血管の流れにも間接的な影響が生じうる可能性があります。

現代の生活習慣と体の使い方は、内旋筋群(肩甲下筋・大胸筋・広背筋)を優位にし、外旋筋群(棘下筋・小円筋)を弱化させる方向に働きやすいです。この慢性的なアンバランスが巻き肩の構造的な基盤となっており、動画の2ステップアプローチ(腋窩間接法リリース+上腕骨外旋調整)はこの状態に直接働きかけることを意図した手技です。

上腕骨・肩関節の解剖と機序 ── 内旋と外旋のバランス

図1
上腕骨と肩関節の解剖 ── 内旋・外旋と腋窩の構造
前外側 / anterolateral 鎖骨 関節窩(肩甲骨) 上腕骨頭 肩甲下筋(内旋) 棘下筋(外旋) 上腕骨幹部 腋窩動脈 腋窩静脈 腋窩神経

図は横にスワイプして拡大表示できます

上腕骨(じょうわんこつ)は肩甲骨の関節窩(かんせつか)と肩関節を構成する。上腕骨頭(骨頭)が関節窩に収まり、内旋筋群(肩甲下筋・大胸筋・広背筋)と外旋筋群(棘下筋・小円筋)がバランスをとる。腋窩(えきか)には腋窩動脈(赤)・腋窩静脈(青)・腋窩神経(黄)が集中し、上腕骨の動きと周辺の筋膜張力がこれら神経血管の状態に影響を与えうる。

上腕骨(humerus)は上肢の最上部にある長管骨で、近位端(肩側)が上腕骨頭となって肩甲骨の関節窩(かんせつか)と肩関節を形成します。上腕骨頭は球形で、その前方・内側に小結節(しょうけっせつ)、外側・後方に大結節(だいけっせつ)という骨の出っ張りがあります。これらの結節はローテーターカフ(腱板)の筋が停止する重要なランドマークです。肩甲下筋は小結節に停止し、主な内旋筋として機能します。一方、棘下筋・小円筋は大結節の中・下面に停止し、外旋機能を担います。

肩関節の内旋とは、上腕骨を前方・内側方向に回転させる動きです。日常的な動作では、腕を体の前に持ってくる動作(キーボードのタイピング・スマートフォン操作)がすべて内旋を伴います。外旋は逆に後方・外側に回転させる動きで、腕を後ろに引く・ドアを開けるといった動作に使われます。長時間の内旋位(前かがみで腕を前に持ってくる姿勢)が続くと、内旋筋群は短縮し外旋筋群は引き伸ばされた状態に慣れてしまい、「内旋傾向」という慢性的なアライメント不良が形成されます。

腋窩という空間の解剖学的構成を理解することは、この手技を理解する上で不可欠です。腋窩の前壁は大胸筋・小胸筋で構成され、後壁は肩甲下筋・広背筋・大円筋が担います。内壁は前鋸筋、外壁は上腕骨と上腕二頭筋の短頭・烏口腕筋が構成します。この立体的な空間の中央を、腋窩動脈・腋窩静脈・腕神経叢の末梢神経(正中神経・尺骨神経・橈骨神経・腋窩神経)が縦走します。これらの神経血管束が腋窩の前壁・後壁の筋膜によって圧迫・牽引されると、腕のしびれ・重だるさ・血流の問題につながりうる可能性があります。

図2
肩関節内旋傾向(巻き肩)のメカニズム ── 胸郭と上腕骨の関係
正常(肩が外旋位) 外旋位 腋窩スペース○ 巻き肩(肩が内旋位) 内旋位 腋窩狭小化× 内旋傾向の症状 ① 巻き肩・猫背② 首の動き制限③ 肩前面の痛み④ 腋窩の筋膜短縮

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肩関節が慢性的に内旋傾向になると、胸骨を中心として上腕骨が内旋し、肩と体幹の距離が縮まる(①)。この状態が続くと腋窩の筋膜が短縮・癒着し、肩の後面ストレッチが難しくなる(②)。巻き肩・猫背・首の動きの制限といった症状が連鎖する(③)。藤井先生は「肩関節と体幹の距離が縮む」という観点からこの状態を捉える。

内旋傾向(巻き肩)が生じるメカニズムを図2で確認しましょう。正常な肩の位置関係では、上腕骨頭は関節窩の中心に収まり、腋窩の空間が適切に保たれています(左パネル)。内旋傾向になると、上腕骨頭が前方・内側にシフトし、腋窩の空間が狭まります(右パネル)。この状態が続くと前壁(大胸筋)・後壁(肩甲下筋)の筋膜が短縮して固まり、外旋可動域が制限されていきます。藤井先生の観察では、この「腋窩の空間の狭まり=筋膜の短縮」が巻き肩・猫背の身体的基盤になっているということです。これは筋膜連続性の理論と一致する考え方であり、腋窩の短縮を直接リリースすることで肩関節のアライメント改善を狙うのが動画の手技の核心です。

動画の手技を図解する ── 評価・触診・リリースの手順

図3
評価・触診 ── 腋窩の組織の硬さを確認する
上から / superior view ① 腋窩触診部位 ② 外旋可動域を確認 評価のポイント ✓ 腋窩の硬さ・圧痛 ✓ 外旋可動域(左右差) 健側と比較して 差を見る

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腋窩(脇の下)の組織の硬さ・張りを確認する評価。患者を仰向けに寝かせ、術者は腋窩に手を入れる(①)。肩甲骨の前面に当たる組織(肩甲下筋・腋窩筋膜)を触診する(②)。健側と比較して硬さ・圧痛があるかを確認。続いて上腕骨の外旋可動域(腕を外に向ける動き)を左右比較する(③)。内旋傾向が強いほど、外旋可動域が制限されていることが多い。

動画(藤井翔悟)が示す手技の流れを順に解説します。まず評価から始めます。患者を仰向けに寝かせ、肩関節の内旋傾向の程度を確認します。外旋可動域(腕を外側に向ける動き)を左右比較し、硬さや制限の程度を把握します。腋窩(脇の下)の触診では、術者の4指(人差し指〜小指)を腋窩に挿入し、腋窩後壁(肩甲下筋・腋窩筋膜)の硬さ・圧痛を健側と比較して評価します。内旋傾向が強いほど腋窩後壁が硬化していることが多く、これが介入ターゲットとなります。評価で重要なのは「左右差を確認すること」です。一方が明らかに硬く可動域が制限されている場合、その側の腋窩・上腕骨が主な対象となります。

図4
リリースStep 1 ── 腋窩(脇の下)の間接法
側面 / lateral 腋窩の短縮組織 持続圧 腋窩リリース(間接法) ① 患者は仰向け・腕は体側 ② 腋窩に4指を挿入 ③ 肩甲下筋前面に触れる ④ 強く押さず持続的圧維持 ⑤「沈んでくる」感覚を待つ 組織が緩んできたら → Step 2へ進む ※強い力で押し込まない

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ステップ1は「間接法」。腋窩の組織を押しながら徐々に緩めていくアプローチ(藤井先生の手技)。患者は仰向けで腕を体側に置く。術者は腋窩に手(4指)を挿入し、肩甲骨の前面(肩甲下筋)に当たる部分に触れる。強く押し込まず、組織が徐々に「沈んでくる」感覚を受け取りながら継続的な圧を維持する。上腕骨の内旋傾向を改善する意識を持ちながら行う。

ステップ1は腋窩の「間接法」リリースです。「間接法」とは、組織を直接強く押し込んで伸ばすのではなく、組織が自然に緩んでいく方向に持続的な圧をかけ続けることで、神経筋反射を介した弛緩を促すアプローチです(藤井先生の説明に基づく)。患者は仰向けのまま、腕を体側に自然に置きます。術者は腋窩に4指を挿入し、腋窩後壁(肩甲下筋・腋窩筋膜)に当たる部分に触れます。ここで重要なのは「強く押し込まない」ことです。組織に圧をかけながら「沈んでくる感覚」を受け取り、それを維持し続けます。術者は辛抱強く組織が緩むのを待ちます。腋窩には腋窩動脈・腋窩静脈・腋窩神経が密集しており、拍動を感じた場合は即座に圧を弱め位置を調整します。

腋窩の間接法リリースが完了したら(組織が十分に緩んだと感じられたら)、外旋可動域を再評価します。この時点で可動域の改善が見られれば、ステップ1のみで終了することもあります。

図5
リリースStep 2 ── 上腕骨の調整(直接法)
前面 / anterior 内旋位(ビフォー) 大結節(隠れ気味) ① 遠位端を 押し込む 外旋後(アフター) 大結節(外側に出る) ② ② 外旋 直接法のポイント 近位端+遠位端を同時に把持 → 外側にひねるように外旋 腋窩リリース後に行う

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ステップ2は「直接法」。Step 1で腋窩が緩んでも動きが不十分な場合、上腕骨を直接外旋させることで肩関節の位置を修正する(藤井先生の手技)。遠位端(肘側)の真ん中あたりを押し込みながら歪みを確認(①)。さらに上腕骨の近位端(肩側)と遠位端を同時に持ち、外側にひねるように外旋させる(②)。これにより上腕骨が外旋し、肩関節が外側に開く。

ステップ2は上腕骨の「直接法」調整です。直接法とは、骨・関節を直接操作して位置関係を修正するアプローチです。術者はまず上腕骨の遠位端(肘に近い部分)の真ん中あたりを確認します。内旋傾向がある場合、この部分を押し込むことで上腕骨の歪み(ねじれ)を感じることができます。次に、上腕骨の近位端(肩側・上腕骨頭周辺)と遠位端(肘側)を同時に把持します。そのまま外側にひねるように「外旋」させます。この操作によって上腕骨が外旋し、小結節が後方に移動し大結節が前外側に出てきます。肩関節が外側に開くように促すことで、腋窩の空間が回復し、内旋傾向が修正されます。

手技の効果確認として、リリース前後で以下を評価します。①外旋可動域の変化:腕を外側に向ける動きがどの程度改善したか。②腋窩の組織の硬さ:触診で硬さが軽減しているか。③患者の主訴の変化:「肩が楽になった」「首が動きやすい」等の訴えの変化。④姿勢の変化:仰向けの状態で肩の位置関係が改善しているか。これらをその場で確認することで、手技が有効であったかどうかの「治療的診断(therapeutic diagnosis)」が成立します。変化がなければ、手技の圧の方向・位置・強さを見直します。

動画では巻き肩・猫背・首の痛みに非常に効果的であると述べられています。これは藤井先生の豊富な臨床経験に基づく観察であり、実際に施術後に姿勢の改善や可動域の向上が見られることが多い、という臨床的な知見として受け取ってください。この観察を一般化するためには、対照群のある比較試験が必要であり、現時点ではそのような研究は存在しません。

症例の考え方・よくある質問(FAQ)

Q. どんな方に向いていますか? ── A. 以下のような訴えのある方への適用を検討できます。①慢性的な巻き肩・猫背があり、ストレッチやトレーニングだけでは改善しない方。②肩の前面または腋窩周辺にこわばり・圧痛があり、外旋可動域が制限されている方。③首の回旋・側屈に制限があり、頚椎に特段の問題がない方(肩の内旋傾向が首の動きに影響している可能性)。④肩峰下インピンジメント類似の症状(肩を上げると引っかかる・肩の高い位置での痛み)がある方。⑤長時間のデスクワーク・スマートフォン使用によって肩の内旋傾向が慢性化している方。⑥治療家・セラピストで肩の内旋傾向の評価・アプローチを学びたい方。逆に、腋窩のリンパ節腫脹がある方・腋窩に急性の炎症・外傷がある方・強い神経症状(腕・手の電気的なしびれ)を伴う方は、先に専門医の評価を受けてください。

Q. 腋窩に手を入れるのが怖いのですが、安全ですか? ── A. 腋窩は確かに重要な神経血管が密集する領域であり、適切な解剖学の知識と繊細な触診技術が必要です。一般の方のセルフケアとしては難しい部位です。術者として行う場合は、まず解剖学的なランドマーク(腋窩動脈の拍動の位置・腋窩神経の走行)を把握した上で、常に「拍動を感じたら離す」「電気感・しびれが出たら中止」というルールを守ることが鉄則です。強い力で押し込む必要はなく、組織が緩むのを「待つ」という繊細なアプローチです。解剖を知らない状態での強い圧迫は行わないでください。

Q. 両側に行うべきですか?片側だけでも良いですか? ── A. 動画では明確に言及されていませんが、臨床的な一般原則として:巻き肩・猫背は左右どちらかが強く出ることが多く、まず硬さ・可動域制限の強い側から開始し、効果を確認してから反対側を行うのが安全です。両側に問題がある場合は両側に行います。ただし、一側の施術後の変化(特に姿勢変化)が大きい場合、もう一側の状態が変わっていることもあるため、都度再評価することが重要です。

Q. 施術後に注意することはありますか? ── A. 施術直後は肩周辺の組織が緩んだ状態になっており、急に強い力を加えたり重いものを持ったりすることは避けることを推奨します。施術後24〜48時間は筋肉痛様の痛みが出ることがある旨を患者に伝えておくと安心です。また、巻き肩・猫背の根本的な改善には、施術に加えて日常的な姿勢意識・外旋筋群(棘下筋・小円筋)の強化運動を組み合わせることが長期的な効果につながります。施術は「一時的な可動域改善と組織の感受性向上」の機会であり、その後の運動・習慣改善が不可欠です。

Q. 何回くらいで効果が出ますか?慢性的な巻き肩・猫背は長い時間をかけて形成されたものであり、1回の施術で劇的に変わるケースもあれば、複数回の継続が必要なケースもあります。動画の手技はその場での可動域変化を確認しながら進めるため、1回の施術内で効果の有無を判断できます。効果が見られる場合は、数回の継続(週1〜2回)と日常的なセルフケアの組み合わせが現実的な目標設定です。

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限界と注意・受診の目安

  • ▸「腋窩の間接法リリース+上腕骨外旋調整で巻き肩・猫背・首の動きが改善する」という藤井先生の具体的な2ステップ手技は臨床経験に基づくものです。この手法を直接検証したRCT・系統的レビューは現時点では存在しません。
  • ▸腋窩には腋窩動脈・腋窩静脈・腋窩神経・上腕神経叢が密集します。解剖学の知識と繊細なアプローチが不可欠です。
  • ▸手技中に拍動する感触を感じた場合は即座に圧を抜いてください。腋窩動脈への過剰な圧迫は危険です。
  • ▸手技中・後に腕・手・指への電気感・しびれが新たに出現または増悪した場合は即中止してください。腋窩神経・上腕神経叢への刺激が生じている可能性があります。
  • ▸腋窩のリンパ節腫脹(腫れ・硬さ)が確認される場合は施術を行わず医療機関に紹介してください。
  • ▸急性炎症期・外傷直後・手術後早期の肩は、まず整形外科・専門医を受診してください。
  • ▸本記事は医療行為の代替ではありません。症状が改善しない・悪化する場合は中止して医療機関にご相談ください。
  • ▸効果には個人差があります。すべての巻き肩・猫背・首の動き制限に本アプローチが有効とは限りません。
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監修・参考文献

掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。

監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)

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