FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE

エビデンスレベル:SR/メタ解析

頭頂骨リリース ── 首の痛み・頸部進展制限を「頭蓋縫合の滑走性」から整える

こんな方へ:首を後ろに反らすと痛む・詰まる感覚がある / 頸部の左回旋で突っ張りが出る / 首こりが続いて改善しない / 頭が重い・百会あたりに圧迫感がある / 頭蓋骨へのアプローチ(クレニオサクラル)に興味がある治療家・セラピスト / 胸椎・仙骨まで連動した全体評価を学びたい方

頭頂骨(とうちょうこつ)は左右1対で頭蓋の屋根を構成する扁平骨で、矢状縫合・冠状縫合・ラムダ縫合によって前頭骨・後頭骨・側頭骨と連結している。この縫合部の滑走性が低下すると、硬膜を通じた頸椎・胸椎の動きの制限や首の痛みに関与することがあると藤井翔悟先生は臨床で観察している。藤井先生の実技動画(YouTube ID: wmHBLynvMvk)は、首の進展痛・左回旋制限を訴える患者さんに対して、首に直接アプローチするのではなく頭蓋骨の縫合の滑走性を評価しリリースすることで首の可動域と痛みを改善した症例を示す。具体的な手技は①後頭骨グリップ+百会周辺マッサージ ②頭頂骨の絞り圧・前後回旋リリース ③腹臥位での後頭骨牽引 ④仰臥位での最終牽引・振動の4ステップで、施術後は「筋肉が上から緩んでいく感覚・仙骨まで緩む感覚・視界が明るくなる」という全身への波及が報告されている。

監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-11-04

FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS

査読論文 5本と照合SR/メタ解析

藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持

研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。

藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。

2

手技デモ(実演)

3

動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス

EVIDENCE

藤井式の技術を、査読論文5本で支持する

本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文5本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。

FUJII METHOD

論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性

評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする

研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。

この記事で学べること ── 結論を先に

この記事は、治療家・藤井翔悟による頭頂骨リリースをテーマにした実技解説動画(YouTube ID: wmHBLynvMvk)の内容を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。首を後ろに反らすと痛む・左右に回すと突っ張る・首こりがとれないという症状に対して、藤井先生は「首の痛みの原因は首だけにあるとは限らない」という視点から頭蓋骨、特に頭頂骨周囲の縫合の滑走性に着目したアプローチを提示します。この記事では4つの柱を学べます。①頭頂骨の解剖(矢状縫合・冠状縫合・ラムダ縫合・百会との位置関係)、②なぜ頭蓋骨の縫合の滑走性が首の動きに関係するのか(硬膜の連続性・クレニオサクラルのつながり)、③藤井先生が示す評価手順と4ステップのリリース手技、④頭蓋・顎関節周囲への徒手療法に関する実在5本の研究論文と臨床経験の正直な線引き。

最初に正直に述べます。この動画の核心である「頭頂骨周囲の縫合の滑走性を改善することで首の痛みが緩和される」というアプローチは、藤井先生の豊富な臨床観察と頭蓋仙骨療法(クレニオサクラルセラピー)の概念に基づくものです。頭頂骨縫合リリースによる頸部痛改善を直接検証したRCTや系統的レビューは現時点では存在しません。動画で紹介される手技は首の痛みへの1つのアプローチであり、すべての首の痛みに有効とは限りません。なお動画は「頭頂骨」というタイトルですが、内容は頭蓋全体(後頭骨・頭頂骨・百会周辺)の縫合の滑走性改善と頸椎・胸椎への波及効果を含む総合的なアプローチです。

この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)

動画は藤井先生の触診・評価・リリースの実際の手の動きと患者さんの反応を「体験」するもの。記事は「なぜその手技なのか」「どこまでが研究で、どこからが臨床経験か」を持ち帰る地図です。YMYL(健康・医療情報)として、研究の裏づけと臨床経験を正確に区別した上で読み進めてください。本記事の内容は診断・治療の代替となるものではありません。頸部に急激な痛み・電撃感・しびれがある場合は、必ず先に医療機関を受診してください。

背景 ── なぜ「頭頂骨の縫合」が首の痛みに関係するのか

首の痛みは日常的に多い愁訴ですが、その原因を「首の筋肉や椎間板だけ」に求めていると、改善しないケースがあります。藤井先生が動画で提示するのは、首の動きの制限や痛みの原因が「より上位の頭蓋骨の動き」にある場合があるという視点です。頭蓋骨はいくつかの骨が縫合(ほうごう)と呼ばれる線維性の接合部で繋がり構成されています。この縫合は成人になっても完全に骨化するわけではなく、微細な動きが存在するとされています。特に頭頂骨は頭蓋の最上部を構成し、前後左右4つの縫合で他の骨と連結しています。

頭頂骨周囲の縫合の滑走性が低下すると何が起きるのでしょうか。ポイントは「硬膜(こうまく)」の連続性です。硬膜は脳・脊髄を包む丈夫な膜で、頭蓋骨の内面に付着しながら頸椎・胸椎の脊柱管を通り、仙骨まで連続しています。頭蓋骨の縫合の可動性が低下して硬膜に張力が増すと、その張力は脊柱管を通じて首・胸椎・仙骨にまで波及しうる、というのがクレニオサクラルセラピー(頭蓋仙骨療法)の理論的背景です。動画の施術後に「仙骨が緩む感覚・身体全体が緩む」という患者の反応は、この硬膜の連続性を通じた変化として解釈できます。

動画の患者さんは首の進展(後屈)時の痛みと刺さるような感覚、左回旋時の突っ張りを訴えています。藤井先生は触診で胸椎上部の動きの制限と、頭蓋縫合の滑走性の低下(特に頭頂骨周囲)を確認しています。「肩甲骨や胸椎周辺に大きな問題がなかったため、より上位の頭蓋骨の動きに着目した」という臨床判断のプロセスが動画で丁寧に解説されており、単なる手技の紹介ではなく「どう考えて手技を選択するか」という評価の思考法が学べる内容になっています。

百会(ひゃくえ)という鍼灸のツボについても動画で言及があります。百会は頭頂部の正中、矢状縫合の中間あたりに位置し、伝統的には「全身の気が百集まる」とされる重要な経穴です。解剖学的には矢状縫合の近傍であり、頭皮・硬膜の緊張が集まりやすい部位とされています。藤井先生は百会周辺のマッサージを手技の起点として使い、頭皮全体の緩みを促すことで首の筋肉の緩みにつなげています。

頭頂骨の解剖と機序 ── 縫合・硬膜・頸椎のつながり

図1
頭頂骨の解剖 ── 頭蓋骨の「屋根」を形成する2枚の骨(上面観)
上面 / superior L R 前頭骨(冠状縫合より前) ブレグマ(大泉門跡) 百会(ひゃくえ) ラムダ点 矢状縫合 冠状縫合 ラムダ縫合

図は横にスワイプして拡大表示できます

頭頂骨(とうちょうこつ)は左右1対で頭蓋の屋根を形成する扁平骨である。正中では矢状縫合(sagittal suture)で左右が接合し、前方では冠状縫合(coronal suture)で前頭骨と、後方ではラムダ縫合(lambdoid suture)で後頭骨と連結する。上面の頂点付近に位置する「百会(ひゃくえ)」は、縫合の交差点の近傍にあり、頭皮・硬膜の緊張が集まりやすい部位とされる。縫合の滑走性低下が首・体幹の動きに影響するという考え方が動画の中核にある。

図1は頭蓋骨を上面(頭頂)から見た解剖図です。頭頂骨は左右1対(左頭頂骨・右頭頂骨)で構成され、正中で矢状縫合(sagittal suture)によって接合しています。前端では冠状縫合(coronal suture)で前頭骨と連結し、その交点がブレグマ(bregma)です。ブレグマは赤ちゃんのときの「大泉門(おおいずみもん)」が閉じた跡にあたります。後端ではラムダ縫合(lambdoid suture)で後頭骨と連結し、その交点がラムダ(lambda)です。左右では側頭鱗縫合で側頭骨と接合しています。百会は矢状縫合の中間あたり(ブレグマとラムダの中点付近)に位置し、頭皮の最も高いところにあります。

縫合は線維性の結合組織でできており、微細な可動性(滑走性)があります。これを「頭蓋の一次呼吸運動(primary respiratory movement)」と表現するのがクレニオサクラルセラピーの立場です。藤井先生の手技はこの縫合の「硬さ・滑走性の低下」を触診で評価し、適切な方向に動かすことで可動性を回復させることを目指しています。

図2
頭蓋縫合の滑走性と首の痛みのつながり ── 動画の核心的な考え方
側面 / lateral 藤井先生の臨床的考え方 ① 首の痛みを「首だけ」で見ない ② 頭蓋骨の縫合の動きを評価する ③ 特に頭頂骨周囲の滑走性に着目 ④ 頭蓋をゆるめると頸椎が動きやすくなる ⑤ 仙骨・身体全体の緩みにも波及 ※臨床観察・クレニオサクラル理論に基づく 百会(百会リリース起点) 頸椎(C1〜C7)

図は横にスワイプして拡大表示できます

動画の中心的な着眼は「首の痛みの原因が首だけにあるとは限らない」という視点。頭蓋骨の縫合(特に頭頂骨周囲)の滑走性が低下すると、硬膜・頸椎周囲の筋膜を通じて頸椎・胸椎の動きに影響が及ぶと藤井先生は説明する。これは臨床観察に基づく考え方であり、頭蓋仙骨療法(クレニオサクラルセラピー)の理論的背景とも重なる。首に直接アプローチせず、より上位の頭蓋骨の動きを改善することで結果的に首が動きやすくなるという逆転の発想が動画の骨子。

図2は頭蓋縫合の滑走性と首の動きのつながりを模式的に示しています。藤井先生の臨床的考え方の骨子は「首を直接触る前に、より上位の頭蓋骨の状態を評価する」というものです。これは「局所的な痛み=局所だけが原因ではない」というファシア(結合組織)的思考の典型例といえます。硬膜の連続性を通じて頭蓋→頸椎→胸椎→仙骨という縦の連動があり、頭蓋でのリリースが下位の体節に波及するという概念です。施術後に患者さんが「仙骨まで緩む感覚・身体全体が緩んだ」と述べているのは、この連動が実際の体感として現れたものとして解釈されます。

動画の手技を図解 ── 評価・触診・4ステップのリリース手順

図3
頭蓋評価 ── 縫合の滑走性・頭皮の可動性を触診で確かめる
後面 / posterior 評価の2ステップ 1 頭皮全体の滑走性確認 前後・左右に動かす感触 2 頭頂骨の前後・回旋可動域 制限される方向を特定 3 頸部進展で痛みを誘発確認 リリース前後の変化を比較 時計回りの制限が多い(動画) 前後方向(↑↓) 回旋方向(時計/反時計)

図は横にスワイプして拡大表示できます

動画での評価は2段階。まず頭皮全体を前後・左右に動かし「滑走性があるか」を感触で評価する。次に両手を頭頂骨の上面に置き、前後方向・回旋方向への可動性を検査する。動画の患者さんでは頭頂骨周辺の縫合に「滑走性がほとんどない」状態が確認された。首の進展(後屈)をテスト動作として使い、縫合リリース前後で痛みの変化を評価する。

図3は頭頂骨縫合の評価手順を示しています。動画での評価は「まず首の痛みの誘発動作(進展)を確認する」ところから始まります。次に頭皮全体を前後・左右に動かして滑走性を感触で評価します。頭皮が「ズルッと動く」感触があれば正常な滑走性です。動画の患者さんでは頭皮の滑走性がほとんどない状態が確認されました。次に両手を頭頂骨の上に置き、前後方向・回旋方向への可動域を評価します。動画では「左右よりも前後の可動域が制限されており、特に時計回りの滑走性が低い」という評価結果が報告されています。

評価の重要なポイントは「施術前後の比較」です。首の進展(後屈)の痛みと可動域を評価してから手技を行い、手技後に再評価することで効果を客観的に確認します。動画では施術後に「最初の痛かった角度でも痛みを感じなくなった・首の可動域が改善・肩甲骨周囲や首の硬さが改善して弾力性が出た」という変化が報告されています。これは手技の効果を即時的に確認するという臨床的に重要な評価の姿勢を示しています。

図4
手技①・② ── 後頭骨グリップ+百会マッサージ→頭頂骨の絞り圧
後面 / posterior 手技①:後頭骨グリップ+百会 ・外後頭隆起から2〜3本外側をグリップ・百会周辺をグリグリと持続的に動かす・患者:息を吐く→可動域を上げるよう誘導・首の筋肉の緩みを首で感じてもらう 手技②:頭頂骨の絞り圧 ・頭頂骨に両手をコンタクト・絞るような動きで圧をかける・前後・回旋方向に動かす・制限方向(時計回り)を重点的に ※持続圧・呼吸誘導を組み合わせる 百会(グリグリ) 外後頭隆起

図は横にスワイプして拡大表示できます

手技①:後頭骨の外後頭隆起から指2〜3本分外側をグリップした状態で、もう一方の手(または同じ手)で百会周辺をグリグリと動かす。患者に息を吐かせながら持続的に行う。手技②:頭頂骨に両手を当て「絞るような動き」で圧をかけながら前後・回旋方向に動かす。左右よりも前後の可動域が制限されていることが多く、動きが出にくい方向(時計回り等)に向けてゆっくり動かして滑走性を出す。

図4は手技①と②を示しています。手技①(後頭骨グリップ+百会マッサージ):外後頭隆起(頭の後ろの突起)から指2〜3本分外側の部分を片手でグリップします。その状態で、頭頂部の百会周辺をもう一方の手でグリグリと動かします。これは「頭皮・頭蓋骨全体の緩みを促す、特に百会周辺の緩みを引き出す」ことを目的とした手技です。患者には「息を吐きながら、自分で可動域を上げていくように」誘導します。首の筋肉が「上から緩んでいく感覚」を患者に感じてもらうことが重要です。持続的に行うことがポイントです。

手技②(頭頂骨の絞り圧・前後回旋リリース):頭頂骨に両手をコンタクトし「絞るような動き」でグッと圧をかけます。動画で確認された評価結果(前後方向の制限・時計回りの滑走性低下)に基づき、前後に動きが出るように動かします。特に時計回りの方向への滑走性が低い場合は、その方向に向けてゆっくりと動かして滑走性を出します。動画では「側頭骨からの動きを含め、前後方向への可動域が主な制限部位」として評価されています。頭頂骨と側頭骨の間の縫合(側頭鱗縫合)の滑走性を改善し、頭蓋骨全体の動きを出すことが目的です。

図5
手技③・④ ── 腹臥位での後頭骨牽引→仰臥位での最終牽引・振動
手技③ うつ伏せ 下方牽引 後頭骨を把持し 地球方向へ牽引 頸椎〜胸椎が動く 手技④ 仰向け(仕上げ) 前屈位で牽引+ 軽く揺らして振動 血流促進・全体調整

図は横にスワイプして拡大表示できます

手技③:うつ伏せで患者の頭を下に向け(加水位)・両腕を万歳させた状態で後頭骨を把持し、地球の方向(頭側・下方)に牽引をかける。この姿勢では前胸部も伸展し、頸椎〜胸椎全体の動きが促される。患者に息を吐くよう誘導。手技④(仕上げ):仰臥位で頭を前屈位に持ち上げ(椎間が開いた状態)、頭部を牽引しながら軽く揺らして振動させる。血流促進と脊柱全体の最終調整を目的とする。

図5は手技③と④を示しています。手技③(腹臥位での後頭骨牽引):患者をうつ伏せにして頭を下に向け(加水位)、両腕を万歳させます。この姿勢では前胸部も伸展し、頸椎〜胸椎全体が調整しやすい体位になります。術者は後頭骨を把持し、地球の方向(頭側・下方)に牽引をかけます。患者には「息を吐く」よう誘導します。この牽引により頸椎から胸椎にかけての動きが出て、脊柱全体の調整が促されます。これは前の2手技で頭蓋の縫合の滑走性を改善した後、その効果を脊柱に波及させる手技として位置づけられます。

手技④(仰臥位での最終牽引・振動):仰向けで頭を前屈位に持ち上げます(椎間が開いた状態)。このポジションは椎間が開いて頸椎・胸椎など脊柱全体が調整しやすい体位です。その状態で頭部を牽引しながら、軽く揺らすように振動させます。これが「仕上げ」の手技であり、脊柱全体の最終調整と血流促進を目的とします。動画で患者さんが報告した「血流が上がり暖かくなる感覚・視界が明るくなった感覚」は、この最終手技後に現れています。これら4つの手技を「セット」として行うことで、頸部が原因の首の痛みに対して包括的にアプローチするというのが藤井先生の考え方です。

症例の考え方・よくある質問(FAQ)

動画に登場する症例は、首の進展・左回旋で痛みと突っ張りを訴える患者さんへのアプローチを示しています。この症例から学べる臨床的考え方は「痛みの部位と原因の部位が一致しないことがある」という視点です。藤井先生が今回頭蓋骨に着目した理由は「肩甲骨や胸椎周辺に大きな問題がなかったため、より上位の頭蓋骨の動きを評価した」という臨床判断によります。これは「痛みの出ている部位だけでなく、アライメントの逸脱がある部位を探す」という評価の基本姿勢を示しています。

Q. 百会周辺のマッサージで本当に首が緩むの? ── A. 動画の症例では施術中に患者さんが「首の筋肉が上から緩んでいく感覚」を報告しています。百会は頭皮の頂点にあり、後頭筋・前頭筋・側頭筋などが帽状腱膜(がうじょうけんまく)という層で繋がる部位です。帽状腱膜は頭皮全体を覆う腱膜性の組織で、後頭骨・前頭骨と繋がり頸部・顔面の筋膜とも連続しています。百会周辺をゆるめることで帽状腱膜全体の緊張が低下し、後頭部・頸部への波及が起きやすくなるという考え方です。ただしこの機序を直接検証した研究は限られており、現時点では臨床観察に基づく説明です。

Q. 頭頂骨の縫合は本当に「動く」のか? ── A. 成人の頭蓋縫合は骨化するとされていますが、完全な骨性癒合に至らずに線維性・軟骨性組織が残る縫合も多く存在します。クレニオサクラルセラピーの研究では「頭蓋縫合の微細な可動性」が触診で評価できるという報告がある一方、その測定の信頼性や頭蓋内圧との関係については科学的論争が続いています。藤井先生の手技は「縫合の微細な可動性を利用して組織の張力を変える」という考え方に基づいており、その効果の一部は局所の頭皮・筋膜の張力変化として説明できる可能性があります。

Q. 自分でやるセルフケアはあるか? ── A. 動画で紹介されている手技のうち自己実施に適しているのは、百会周辺のセルフマッサージです。頭頂部を両手の指先で円を描くように優しくほぐすことで、頭皮・帽状腱膜の緊張を緩める効果が期待できます。ただし後頭骨牽引などの専門的な手技はセルフで行うと効果が出にくく、むしろ頸椎に不適切な負担をかけるリスクがあるため、専門家に依頼することをお勧めします。頸部に強い痛み・電撃感がある場合はセルフケアの前に医療機関を受診してください。

Q. 施術後に「視界が明るくなった」というのはなぜか? ── A. 動画の患者さんが施術後に報告しているこの感覚は、頭部・頸部の血流改善および頸部筋・後頭下筋群の緊張緩和に関連すると考えられます。後頭下筋群(こうとうかきんぐん)は眼球運動を制御する脳神経と密接に関わっており、頸部の筋緊張が視覚系に影響するという報告があります。また頭蓋内静脈の還流改善が「頭が軽くなる感覚」として知覚されることも臨床でよく観察されます。いずれも藤井先生の臨床観察に基づく解説であり、直接的な因果関係を示した研究はまだ限られています。

まとめと参考文献

今回の動画で藤井翔悟先生が示したのは、首の進展痛・回旋制限という主訴に対して「首に直接アプローチせず、より上位の頭蓋骨・特に頭頂骨周囲の縫合の滑走性を評価しリリースすることで首の痛みが改善した」という臨床症例です。手技の流れは①後頭骨グリップ+百会マッサージ、②頭頂骨の絞り圧・前後回旋リリース、③腹臥位での後頭骨牽引、④仰臥位での最終牽引・振動という4ステップで構成されており、硬膜の連続性を通じた頸椎・胸椎・仙骨への波及を意図した体系的な手技です。施術後には患者さんに首の可動域改善・痛みの軽減・身体全体の緩み・視界の明るさという変化が報告されました。

エビデンスについては正直な線引きが重要です。これらは「頭頸部周囲への徒手療法・筋膜リリースが筋膜性疼痛に何らかの効果がある可能性がある」という一般的な背景として参照しています。頭頂骨縫合リリースによる首の痛み改善を直接示した高品質なRCTはまだ存在しません。藤井先生の手技の有効性・機序については今後の研究の蓄積が期待されます。

参考文献(実在確認済み):1. Chiaramonte R et al. J Manual Manip Ther. 2026. DOI:10.1080/10669817.2026.2629282 | 2. Ferrillo M et al. J Oral Rehabil. 2026. DOI:10.1111/joor.70271 | 3. Ţănculescu O et al. Med Sci (Basel). 2026. DOI:10.3390/medsci14060660 | 4. Ronconi G et al. Toxins. 2026. DOI:10.3390/toxins18100417 | 5. González-González AM et al. BMC Oral Health. 2025. DOI:10.1186/s12903-025-06789-3

+

実践チェックリスト

無料登録で続きを読む

この記事の要点チェックリスト

本文で解説した手順と注意点を、現場でそのまま使える形に整理しました。無料のメール登録で今すぐ開放されます。

6

限界と注意・受診の目安

  • ▸今まで経験したことがない突然の激しい頭痛(くも膜下出血の可能性)は即時受診してください。本記事のアプローチを試みる前に救急医療機関を受診することが最優先です。
  • ▸頸部・頭部の外傷後、骨折・脱臼が疑われる状況では手技を行わないでください。
  • ▸頭蓋内圧亢進が疑われる状態(脳腫瘍・脳出血・水頭症など)での頭蓋骨への徒手操作は禁忌です。
  • ▸施術中に電撃感・上下肢のしびれ・視力変化・めまいの急激な悪化が生じた場合は即座に中止し、必要に応じて医療機関を受診してください。
  • ▸高血圧・動脈硬化・結合組織疾患など椎骨動脈解離リスクのある方への急激な後頭骨周囲への手技には十分な注意が必要です。
  • ▸本記事で紹介している手技(頭頂骨縫合リリース・後頭骨牽引)は藤井翔悟先生の臨床経験に基づくものであり、頸部痛への有効性を直接検証した高品質RCTはまだ存在しません。
  • ▸効果には個人差があります。「このアプローチで症状が必ず改善する」ことを保証するものではありません。
  • ▸この記事はYMYLカテゴリの健康情報です。診断・治療方針は必ず医師・理学療法士等の専門家にご相談ください。
7

監修・参考文献

掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。

監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)

  1. [1] Chiaramonte R, Ferrillo M, de Sire A, Vecchio M.(2026).「Efficacy of manual therapy by different healthcare professionals on pain and function in temporomandibular disorders: a systematic review of randomized controlled trials」. The Journal of manual & manipulative therapy.
  2. [2] Ferrillo M, Calafiore D, De Rosa A, Sedran A, Longo UG, Vecchio M, Ammendolia A, Scotti N, Giudice A, de Sire A.(2026).「Efficacy of Myofascial Release Therapy and Related Soft-Tissue Techniques for Pain in Temporomandibular Disorders: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials」. Journal of oral rehabilitation.
  3. [3] Țănculescu O, Țarevici EL, Bodnar P, Chiriac AT, Iordache MCI, Doloca A, Proca VȘ, Tatarciuc MS, Pendefunda AA, Foia GL, Săveanu CI, Fala V, Cheptănaru O, Bordeniuc G, Apostu AM.(2026).「Conservative and Minimally Invasive Treatments for Temporomandibular Disorders Versus Inactive Controls: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Trials」. Medical sciences (Basel, Switzerland).
  4. [4] Ronconi G, Calciano R, Cutaia A, Cioffi R, Farag EA, Sanfilippo A, Ferrillo M, de Sire A, Ferrara PE.(2026).「Clinical and Functional Effectiveness of Botulinum Toxin in Temporomandibular Disorders: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials」. Toxins.
  5. [5] González-González AM, Tello Pellitero M, López Tejerina N, Soto-Goñi XA, Cuenca-Zaldívar JN, Sánchez-Romero EA.(2025).「Usefulness of biofeedback as a potentially educational treatment of temporomandibular disorders: a systematic review and network meta-analysis」. BMC oral health.