FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE
膝窩筋リリース ── 膝裏の痛みと伸展制限を「ロック解除筋」から読み解く
こんな方へ:膝の裏側が痛む・膝が最後まで伸びない感覚がある / 立ち上がり・歩行時に膝が詰まる感じがする / スクワット・正座で膝裏に引っかかりや痛みが出る / 変形性膝関節症・膝裏の慢性的な張りに悩んでいる / 膝窩筋という筋を初めて知った方 / 膝の後方に関わる評価や手技を臨床に取り入れたい治療家・セラピスト
膝窩筋(しつかきん)は大腿骨外側顆の後面から脛骨後面上端内側へ斜めに走る小さな三角形の筋で、膝関節の完全伸展時に生じる下腿外旋ロック(screw-home mechanism)を解除する「ロック解除筋」として機能する。この筋が硬化・短縮すると膝の完全伸展が制限され、膝裏の痛み・立ち上がりや歩行時の詰まり感・スクワット時の引っかかりが生じやすくなる。治療家・藤井翔悟の実技動画(YouTube ID: 2Wvlq6RdAiQ)は、膝の裏側全体の組織を評価・緩和する手技を紹介しており、患者を仰向けにして膝裏に指を立てて入れ、上方(大腿骨方向)に引き上げながら患者に膝伸展を促す独自のアプローチを解説している。
監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-09-24
FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS
藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持
研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。
藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。
手技デモ(実演)
動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス
EVIDENCE
藤井式の技術を、査読論文4本で支持する
本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文4本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。
FUJII METHOD
論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性
評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする
研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。
この記事で学べること/結論先出し
この記事は、治療家・藤井翔悟による膝の裏側(膝窩部)の手技解説動画(YouTube ID: 2Wvlq6RdAiQ)の内容を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。扱うテーマは4つあります。①膝窩筋とはどんな筋か(解剖・起始停止・「ロック解除筋」としての機能)②なぜこの筋が硬くなると膝裏の痛みや伸展制限が起きるのか③藤井先生が提示する評価・触診・リリースの具体的な手順④動画の主張をどこまで研究が支持しているか。最初に正直に伝えます。動画の核心である「仰向けで膝裏に指を入れて上方向に持ち上げながら膝伸展を促す」という特定の手技の組み合わせを直接検証したランダム化比較試験(RCT)や系統的レビューは、現時点では存在しません。これは「この手技が無効」を意味しない——研究が未整備という意味です。この区別を大切にしながら読み進めてください。
この記事の2本柱を先に示します。(A)動画の手技=藤井先生の豊富な臨床経験に基づく膝窩部の評価と着眼点。膝の裏側全体を評価対象として捉え、仰向けで膝裏に指を立てて入れ、上方向(大腿骨方向)に組織を持ち上げながら患者に膝伸展を促すというアプローチ。(B)周辺のエビデンス=膝の痛み・膝関節軟部組織・乾鍼に関する実在4本の論文。(A)と(B)は明確に区別して提示します。「治る」という断定はしません。
この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)
動画は藤井先生の触診の当て方・膝裏の評価・リリースの発想を「体験」するもの。記事は「いま何を、なぜやっているか」と「どこまでが研究で、どこからが臨床経験か」を持ち帰る地図です。動画の字幕には膝窩筋の解剖に関する具体的な説明はほとんどなく、「膝の裏側全体の組織を緩める」という実用的な視点で構成されています。記事では解剖学的な背景を補足しながら、動画の手技を理解するための地図を提供します。医療情報として、研究の裏づけと臨床経験を正確に区別した上で読み進めてください。
背景 ── なぜ「膝窩筋」は見落とされやすいのか
膝の痛みは成人が整形外科や理学療法を受ける最も一般的な理由の一つです。変形性膝関節症(OA)・半月板損傷・靭帯損傷・膝蓋大腿疼痛症候群(patellofemoral pain syndrome)など、膝の痛みには多くの原因があります。しかし、臨床現場でしばしば見落とされるのが「膝の後方にある軟部組織」への視点です。膝の痛みといえば、膝蓋骨の前方・内側・外側に注目が集まりがちで、膝窩部(膝の裏側)への評価が後回しになることが珍しくありません。
膝窩筋(popliteus muscle)はまさにこの「見落とされやすい領域」にある筋です。この筋は膝関節の後方深部に位置し、体表からは直接触れることができません。ふくらはぎの筋(腓腹筋・ヒラメ筋)の奥底に存在し、通常の表面的なマッサージや筋膜リリースではアプローチが難しい部位にあります。そのため、膝窩筋の硬化や機能不全が膝の不調に関与していても、見逃されることが多いのが実情です。
膝窩筋の機能的な重要性はその「ロック解除」作用にあります。膝関節はフル伸展(完全に伸ばした状態)になるとき、自然に下腿が外旋して関節が「ロック」する仕組みを持ちます(screw-home mechanism)。このロックにより、立位での安定性が確保されますが、歩き始めや座り込む際など「膝を曲げ始める瞬間」には、このロックを解除する必要があります。その役割を担うのが膝窩筋です。膝窩筋が収縮することで下腿を内旋させ、ロックが外れて膝の屈曲が始まります。
この機能を踏まえると、膝窩筋が硬化・短縮した場合に何が起きるかが理解できます。まず「膝の完全伸展制限」です。膝を最後まで伸ばすとき、膝窩筋が正常に機能することで関節の安定性が確保されますが、硬化した膝窩筋は膝の最終伸展域での動きを妨げることがあります。「膝が最後まで伸び切らない」「立ち上がりの最終段階で膝が引っかかる」という訴えはこの機能不全を反映している可能性があります。また、膝の屈曲開始時のロック解除が不全になると、膝を曲げ始める動作でも詰まった感じや痛みが生じることがあります。
さらに、膝窩筋は膝関節後方の関節包や後十字靭帯(PCL)との関係も深く、膝の後方安定性にも関与します。この筋が過緊張状態になると、後方関節包への張力が高まり、膝を深く曲げる動作(正座・深いスクワット)での後面の痛みや張り感につながる可能性があります。藤井先生の動画が「膝の裏側全体の組織」として膝窩部にアプローチする背景には、このような解剖学的・機能的な論理があります。
膝窩筋の解剖と機序 ── 起始・停止・機能・周辺構造
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膝窩筋(しつかきん)は大腿骨外側顆(がいそくか)の後面から起始し、脛骨(けいこつ)後面の上端内側へ斜めに走る小さな三角形の筋です。膝関節の後方深部に位置し、完全伸展時に生じる下腿外旋ロック(screw-home mechanism)を解除する「ロック解除筋」として機能します。直近を膝窩動脈(赤)・膝窩静脈(青)・脛骨神経(黄)が通過し、この部位へのアプローチには解剖学的な正確な理解が必要です。
膝窩筋(popliteus muscle)の起始は大腿骨外側顆(がいそくか)の後面、より正確には外側顆の後下部にある小さな骨の溝(popliteal groove)です。ここから筋は斜め下内側方向に走行し、脛骨後面の上端・内側(superomedial aspect)に停止します。この「外側から内側へ」という斜走方向が、下腿を内旋させる機能を生み出します。形状としては、底辺を脛骨側に、頂点を大腿骨外側顆に向けた扁平な三角形に近い形をしています。
膝窩筋の主な機能は3つです。第一に、前述の「ロック解除(unlocking the knee)」——フル伸展位からの屈曲開始時に下腿を内旋させてscrew-home mechanismを解除します。第二に、膝関節の屈曲補助——単独での屈曲力は小さいものの、ハムストリングスと協調して膝屈曲を補助します。第三に、後十字靭帯(PCL)への補助的な緊張——後方引き出し(下腿の後方シフト)に対する抵抗として後方安定性の一部を担います。この複合的な機能から、膝窩筋は「膝関節の要の一つ」と表現されることもあります。
膝窩部の重要な解剖学的関係として、膝窩動脈・膝窩静脈・脛骨神経の存在があります。膝窩動脈は大腿動脈の直接の延長であり、膝窩中央部を縦走して下腿の血流を供給します。膝窩静脈はその伴走静脈として並行します。脛骨神経(坐骨神経から分岐)はこれらの血管のやや外側(腓骨側)を走行し、下腿後面の筋と足底の感覚を支配します。膝窩筋はこれらの重要構造物の深部(前方)に位置するため、膝窩部へのアプローチは慎重に行う必要があります。
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動画の藤井先生が挙げる主な訴えは①膝裏(膝窩部)の痛み・張り感②膝の伸展(伸ばす動作)時の引っかかりや痛み③膝を曲げ伸ばしする際の膝関節の詰まり感です。膝窩筋は「ロック解除」機能を担うため、硬化すると完全伸展が制限され「最後まで膝が伸びない」という訴えが生じやすくなります。立ち上がり動作・歩行の蹴り出し・正座など日常動作に影響します。
膝窩筋が硬化・機能不全を起こすと生じやすい症状と、それが起きる理由を整理します。①「膝裏の痛み・張り感」——膝窩筋の硬化がその周辺の後方関節包・筋膜・膝窩部の軟部組織全体の柔軟性低下を招き、膝を動かすたびに膝裏に張りや痛みが生じます。②「膝伸展時の引っかかり・痛み」——膝の最終伸展域で膝窩筋と後方関節包が強い張力にさらされるため、完全伸展時に膝裏で引っかかる感覚や痛みが出やすくなります。③「立ち上がり・歩行時の詰まり感」——ロック解除機能の低下が関与し、膝を曲げ始める瞬間の動作にぎこちなさが生じます。これらの症状はすべて「膝窩筋が原因」とは言い切れず、他の構造(ハムストリングス付着部・後方関節包・ベーカー嚢腫など)の問題と鑑別が必要です。
動画の核心
藤井先生の手技 ── 評価・触診・リリースの具体的手順
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動画での評価は仰向けの状態で行います。術者は患者の膝裏(膝窩部)に手を入れ、組織の硬さ・圧痛を確認します。動画では「膝の裏側全体に指を立てるように入れる」「大腿直筋の真ん中あたりに向かって指を入れる」と表現されています。硬さや圧痛が確認された後、リリース前後の変化(膝の伸展可動域・痛みの変化)を再評価することで、介入の有効性を確認します。
藤井先生の動画が示す膝窩部リリースの特徴を具体的に説明します。まず体位は仰向け(背臥位)です。患者は仰向けに寝た状態で、膝を完全に伸ばすか、わずかに曲げた姿勢をとります。術者は患者の足元側(または側方)に立ち、患者の膝裏(膝窩部)に手を入れます。動画での表現は「膝の裏側に体を超えて立って入れるんですね」——これは、膝窩部全体に指先が届くよう、指を立てた状態で差し入れることを指しています。
触診・評価の段階では、膝裏に指を入れた状態で組織の硬さと圧痛を確認します。動画では「だいたい大腿直筋の真ん中らへんを向かっていく」という表現があります——これは指先の向きの話であり、膝の後方から大腿骨の方向(上方)に向かって指を立てることを意味します。硬さや圧痛が確認された部位がリリースのターゲットとなります。また、この評価は手技前後で再度行い、変化(硬さの軽減・可動域の改善・痛みの変化)を確認することが重要です。
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動画の核心。仰向けの患者の膝裏に指を立てるように入れ、「上にぎゅーっと引っ張る」——大腿骨方向(上方向)に組織を持ち上げるように圧をかけ、その状態をキープします。動画では「伸ばしていってキープして、そうすると緩んでくる」と説明されており、指で持ち上げながら患者に膝を伸展させる動きを促す直接法・間接法を組み合わせた手技です。強い力でなく、組織の緩みを待つ持続的なアプローチが特徴です。
リリース手技の核心を説明します。膝裏に指を入れた状態から「上にぎゅーっと引っ張っているとそれでね議論でくるんです」——動画での表現を意訳すると、膝裏の組織を上方向(大腿骨方向)に引き上げるように圧をかけ、その状態を維持することで組織が緩んでくる、という手技です。強い力でガリガリと押すのではなく、「引き上げる」感覚で持続的な圧をかけ続けます。術者は辛抱強く「緩んでくるまで待つ」姿勢が求められます。
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動画でのリリースの特徴は、指で膝裏を上方に保持した状態のまま患者が能動的に膝を伸展する点です。「伸ばしていってキープして」という言葉通り、術者の圧と患者の動きが組み合わさります。これは直接法(direct)と間接法(indirect)を組み合わせたような手技で、筋膜が動きに伴って緩むのを促します。圧をかける強さは「強く押す」のでなく「引き上げる感覚」で、組織が緩んでくるまで穏やかに維持します。
持続圧をかけた状態で患者に能動的な膝伸展を行ってもらうのが、この手技のもう一つの重要な要素です。「伸ばしていってキープしてそうすると理論れ恋を待ちます」——字幕の一部が不明瞭ですが、「膝を伸ばしてキープして(術者の圧を受けながら)組織が緩むのを待つ」という意味と解釈されます。術者が上方向への持続圧を維持しながら、患者が膝を伸展させる——これは徒手的な持続圧(direct technique)と患者の能動的な動き(active motion)を組み合わせた複合的なアプローチです。筋膜は静止した組織ではなく、動きに伴って変化するため、このような「圧+運動」の組み合わせは理論的に合理的なアプローチといえます。
手技の効果確認について。リリースの前後で以下の変化を確認します。①膝の伸展可動域の変化:膝が以前より伸びやすくなったか。②膝裏の圧痛・硬さの変化:触診での硬さが軽減したか。③患者の主訴の変化:「膝裏の痛みが楽になった」「膝が伸びる感じがする」等の訴えの変化。これらをその場で確認することで、手技が有効であったかどうかの治療的診断(therapeutic diagnosis)が成立します。変化がなければ、手技の圧の方向・強さ・位置を見直します。
また、動画では手技後の評価として「逆シーンイラログシーンとか第三神殿とかお願いできますでしょうか」という言葉があります——字幕が不明瞭ですが、膝の屈曲・伸展などの可動域再評価や、症状の再現テストを行うよう促しているものと解釈されます。「やってすぐ変化を確認する」というプロセスがこの手技の信頼性を担保します。
症例の考え方・よくある質問(FAQ)
Q. どんな方に向いていますか? ── A. 以下のような訴えのある方への適用を検討できます。①慢性的な膝裏の痛み・張り感があり、他の原因(ベーカー嚢腫・半月板損傷・靭帯損傷)が除外されている方。②膝の完全伸展が難しい・立ち上がり動作の最終段階で膝が詰まる感覚がある方。③スクワット・正座・坂道下りで膝裏に引っかかり感や痛みが出る方。④変形性膝関節症と診断されているが、特に膝の後面に症状が強い方。逆に、ベーカー嚢腫(膝窩部の腫れ)がある方・深部静脈血栓症(DVT)の疑いがある方・外傷直後で炎症期の方・強い神経症状(筋力低下・しびれ)を伴う方は、先に専門医の評価を受けてください。
Q. 膝窩筋と「ベーカー嚢腫」はどう違いますか? ── A. ベーカー嚢腫(膝窩嚢腫)は膝関節後方にできる関節液の袋で、触れるとぽわっとした腫れとして確認できます。一方、膝窩筋の硬化は筋肉・筋膜の緊張であり、腫れとしては現れません。「膝裏に腫れ(しこり状のもの)がある」場合はベーカー嚢腫の可能性があり、無理に圧迫するのは禁忌です。「腫れはないが深部に痛みや張り感がある」という場合に膝窩筋の関与を考えます。判断が難しい場合は整形外科での超音波検査や診察が確実です。
Q. セルフケアとして自分で行えますか? ── A. 膝窩部への適切な圧をかけるためには解剖の知識と触診技術が必要で、一般の方のセルフケアとしては難しい面があります。ただし、簡易的なアプローチとして、①膝裏のセルフストレッチ(仰向けで両手を膝裏に入れ、ゆっくり膝を伸ばす)や②膝屈伸のゆっくりした動的ストレッチ(座った状態で膝を曲げ伸ばし)は安全に行えます。フォームローラーを膝裏に直接当てることは、血管・神経への圧迫リスクがあるため推奨しません。根本的な評価と介入は専門家によるアプローチが適切です。
Q. 術後の膝(人工膝関節置換術・靭帯再建術など)にも使えますか? ── A. 術後の膝窩部へのアプローチは術式・術後経過・医師の指示によって大きく変わります。一般的に、術後早期の炎症期(術後1〜3ヶ月程度まで)は組織の癒合中であり、膝窩部への強い圧迫は避けるべきです。術後遠隔期(6ヶ月以降)で膝の後方可動域制限や膝裏の張り感が残存する場合には、医師・理学療法士の指導のもとで膝窩部への軟部組織アプローチが検討されることがあります。必ず主治医または担当理学療法士と相談した上で判断してください。
限界と注意・受診の目安
- ▸「仰向けで膝裏に指を入れ上方向に持続圧をかけながら膝伸展を促す」という藤井先生の具体的な手技は臨床経験に基づくものです。この特定の手法を直接検証したRCT・系統的レビューは現時点では存在しません。
- ▸膝窩部(膝の裏側)には膝窩動脈・膝窩静脈・脛骨神経が密集します。解剖学の知識と慎重なアプローチが不可欠です。
- ▸手技中に拍動する感触を感じた場合は即座に圧を抜いてください。膝窩動脈への過剰な圧迫は危険です。
- ▸手技中・後に下腿・足・足指への電気感・しびれが新たに出現または増悪した場合は即中止してください。脛骨神経への刺激が生じている可能性があります。
- ▸膝窩部の腫れ(ベーカー嚢腫・リンパ節腫脹など)がある方は、この手技を行わないでください。
- ▸深部静脈血栓症(DVT)の疑いがある方(片脚のふくらはぎの突然の腫れ・痛み・熱感)は、絶対に膝窩部を圧迫せず、直ちに医療機関を受診してください。
- ▸炎症期(熱感・発赤・急性腫脹)・外傷直後・手術後早期は、まず整形外科・専門医を受診してください。
- ▸本記事は医療行為の代替ではありません。症状が改善しない・悪化する場合は中止して医療機関にご相談ください。
- ▸効果には個人差があります。すべての膝裏の痛み・伸展制限に本アプローチが有効とは限りません。
監修・参考文献
掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。
監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)
- [1] Rahou-El-Bachiri Y, Navarro-Santana MJ, Gómez-Chiguano GF, Cleland JA, López-de-Uralde-Villanueva I, Fernández-de-Las-Peñas C, Ortega-Santiago R, Plaza-Manzano G.(2020).「Effects of Trigger Point Dry Needling for the Management of Knee Pain Syndromes: A Systematic Review and Meta-Analysis」. Journal of clinical medicine.
- [2] Jiménez-Del-Barrio S, Medrano-de-la-Fuente R, Hernando-Garijo I, Mingo-Gómez MT, Estébanez-de-Miguel E, Ceballos-Laita L.(2022).「The Effectiveness of Dry Needling in Patients with Hip or Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Meta-Analysis」. Life (Basel, Switzerland).
- [3] Jurecka A, Papież M, Skucińska P, Gądek A(2021).「Evaluating the Effectiveness of Soft Tissue Therapy in the Treatment of Disorders and Postoperative Conditions of the Knee Joint-A Systematic Review」. Journal of clinical medicine.
- [4] Kużdżał A, Trybulski R, Muracki J, Klich S, Clemente FM, Kawczyński A(2025).「Dry Needling in Sports and Sport Recovery: A Systematic Review with an Evidence Gap Map」. Sports medicine (Auckland, N.Z.).