FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE

エビデンスレベル:RCT

矢状縫合リリース ── 肩こりからくる頭痛を「頭頂部の縫合」から解く

こんな方へ:肩こりから来る頭痛が繰り返す / 定期的な頭痛・少し使うとすぐ頭痛になるパターンがある / 特に女性で頭部の重さ・締め付け感が続いている / 頭蓋骨と頭痛の関係を知りたい治療家・セラピスト / 他のアプローチで頭痛が取り切れない方

矢状縫合(sagittal suture)は左右の頭頂骨をつなぐ正中の縫合線で、頭頂部の前後を縦走する。治療家・藤井翔悟の実技動画(YouTube ID: 6aG4acd4vVE)は、肩こりから来る筋膜性頭痛に対する頭蓋骨調整として、矢状縫合周辺へのリリース手技を解説する。矢状縫合の硬さが取れると帽状腱膜・前頭筋・後頭筋・咀嚼筋など頭全体の筋肉がふわっと緩む、という臨床観察に基づく手技であり、「他のアプローチで取り切れなかった頭痛への最後の締め」として紹介されている。

監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-10-03

FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS

査読論文 2本と照合RCT

藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持

研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。

藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。

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手技デモ(実演)

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動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス

EVIDENCE

藤井式の技術を、査読論文2本で支持する

本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文2本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。

FUJII METHOD

論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性

評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする

研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。

この記事で学べること ── 結論を先に

この記事は、治療家・藤井翔悟による矢状縫合リリース手技を解説した実技動画(YouTube ID: 6aG4acd4vVE)の内容を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。テーマはシンプルで明快です ── 肩こりから来る頭痛の「最後の締め」として、頭頂部にある矢状縫合(左右の頭頂骨をつなぐ縫合線)を緩めることで、頭全体の筋肉がふわっとゆるみ、頭痛が取れるケースがある、という臨床観察です。

この記事の2本柱を最初に明示します。(A)動画の手技=藤井先生の臨床経験に基づく矢状縫合へのアプローチ。頭頂部に両手を置き、左右の頭頂骨を「引き離す形」で弱い力を加える手技。施術後は「気持ちいい」「スッキリした」という変化が起き、頭痛が取れるとされる。(B)周辺のエビデンス=頭蓋仙骨療法(CST)を直接評価した実在2本のRCT(Haller 2016・Jiang 2023)。この2本は矢状縫合への特定の手技を評価したものではなく、CST全体の効果研究です。両者は明確に区別して提示します。

この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)

動画は藤井先生の触診の感覚・手技の流れを「体験」するもの。記事は「いま何をなぜやっているか」と「どこまでが研究でどこからが臨床経験か」を持ち帰る地図です。矢状縫合へのリリース手技を直接評価した質の高いRCTは現時点では存在しません。CST全体については2本のRCTがありますが、矢状縫合への特定手技のエビデンスは限定的です。医療情報として、研究の裏づけと臨床経験を正確に区別した上で読み進めてください。

背景 ── なぜ「矢状縫合」が頭痛に関係するのか

頭痛は日本人の多くが抱える症状であり、中でも「肩こりから来る頭痛」は緊張型頭痛の典型例として非常に多く見られます。筋肉の緊張が後頭部・首・側頭部へと波及し、頭全体を締め付けるような痛みを生み出す ── これが筋膜性頭痛の基本的なメカニズムです。一般的なアプローチでは、首や肩の筋肉(僧帽筋・胸鎖乳突筋・頭板状筋など)をほぐすことが多いですが、動画で藤井先生が提示するのはより上流の視点です。「頭蓋骨そのものの動きの制限が、頭部全体の筋緊張を維持し続けているのではないか」という考え方です。

頭蓋骨は複数の骨が縫合(ほうごう)によって結合した複合構造体ですが、その中でも矢状縫合(sagittal suture)は特別な位置にあります。頭の真上、百会(ひゃくえ)と呼ばれるツボのあたりを前後に走るこの縫合線は、頭頂部という「頭全体のてっぺん」に位置します。動画で藤井先生は「膜の連結の頂点」という表現を使います。頭皮の直下には帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)という薄い筋膜シートが広がり、額の前頭筋・後頭部の後頭筋・こめかみの側頭筋・あごの咀嚼筋などをすべて連結しています。矢状縫合はまさにこの帽状腱膜の頂点にあたり、この部位が硬くなると帽状腱膜全体がテント状に張り、連動するすべての筋肉の緊張が高まりやすくなるのです。

藤井先生が動画の中で示す臨床的観察は、次のようなものです ── 矢状縫合の硬さが取れると、「頭全体の硬さがふわっと緩む」。前頭筋・後頭筋・咀嚼筋など、頭蓋骨に付着するすべての筋肉が一度に緩む感覚が起きる。この手技は、肩・首・頭への一般的なアプローチをすべて行っても頭痛が「いまいちスッキリしない」ときや、「取り切れない頭痛」の最後の締めとして特に有効だ、と説明しています。また特に女性に多い傾向があるという臨床観察も述べています。定期的な頭痛・すぐに頭痛になるという繰り返しのパターンを持つ患者に対して、矢状縫合の評価を加えることで治療の精度が上がると藤井先生は臨床経験から主張しています。

なぜ「矢状縫合」が特に重要なのかを解剖学的にもう少し掘り下げます。頭頂骨(とうちょうこつ)は頭蓋の上部を広く覆う1対の骨です。左の頭頂骨と右の頭頂骨は正中で矢状縫合によって結合し、前では前頭骨と冠状縫合(かんじょうほうごう)で、後ろでは後頭骨とラムダ縫合(ラムダほうごう)で接しています。これら3つの縫合が交わるブレグマ点(生後まもない頃の「大泉門」が閉じた跡)とラムダ点が、矢状縫合の前端・後端に相当します。成人の縫合は完全には骨化しておらず、わずかな弾性を持ちますが(この点については科学的議論があります)、長年の筋緊張・頭部の使い方の偏りなどによって縫合周辺の靭帯や結合組織が硬化することが臨床的に観察されています。

矢状縫合の解剖と機序 ── 帽状腱膜との連動

図1
矢状縫合の解剖 ── 頭頂部を貫く正中の縫合線(上面観)
上面 / superior L R 矢状縫合 ブレグマ点(大泉門の跡) ラムダ点 百会(頂点) 冠状縫合 ラムダ縫合 左頭頂骨 右頭頂骨

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矢状縫合(sagittal suture)は、左右の頭頂骨(とうちょうこつ)をつなぐ正中の縫合線で、頭頂部の前後を縦走する。前端は前頭骨との境界「冠状縫合(かんじょうほうごう)」と交わるブレグマ点(大泉門が閉じた跡)、後端は後頭骨との境界「ラムダ縫合」と交わるラムダ点に至る。百会(ひゃくえ)と呼ばれるツボの真下に位置し、この部位が頭蓋膜・筋膜の連結の「頂点」にあたる。

図1は矢状縫合を上から見た(上面観)解剖図です。頭頂部の正中を前後に走る矢状縫合の両脇に、左右の頭頂骨が広がっています。前端(ブレグマ点、青のマーカー)では冠状縫合と交わり、後端(ラムダ点、金のマーカー)ではラムダ縫合と交わります。頭蓋骨を上から見たとき、矢状縫合はちょうど前後の正中を貫く一本の線として見えます。解剖学的な大事なポイントは、この縫合が「頭蓋骨の構造的な中心軸」であるということです。左右の頭頂骨はこの縫合を軸にして対称に展開し、帽状腱膜はこの縫合の直上に存在します。

図3
帽状腱膜と連動筋群 ── 矢状縫合が「頭全体」と繋がる仕組み
右側面 / right lateral 帽状腱膜(頭皮) ★ 1 2 3 ★ 矢状縫合(頂点) 連動する筋群 1前頭筋(額のシワ)2側頭筋(こめかみ)3後頭筋(後頭部)4咀嚼筋(噛む筋) 帽状腱膜が全体を連結

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頭皮の直下には帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)という薄い筋膜シートが広がり、前頭筋(額)・後頭筋(後頭部)・側頭筋(こめかみ)・咀嚼筋などをつないでいる。矢状縫合はちょうどこの腱膜の「頂点」に相当する部位にあり、ここが硬くなるとテント状に張った腱膜全体に張力が高まり、それぞれの筋の緊張や頭痛につながりうる。藤井先生はこの連結を臨床の根拠として重視している。

図3は側面から見た筋肉の連動関係を示しています。帽状腱膜(頭皮に密着した薄い筋膜シート)が、①前頭筋(額)・②側頭筋(こめかみ)・③後頭筋(後頭部)などをすべて連結しているのが分かります。これに咀嚼筋(咬筋・翼突筋など)も筋膜を通じて関連します。矢状縫合はちょうどこの帽状腱膜の頂点(図3の★マーカー)にあたります。頭蓋仙骨療法の理論では、縫合周辺の組織が硬化すると帽状腱膜全体に高い張力が生まれ、それが連動するすべての筋肉に伝わる、と考えます。これは解剖学的に「ありえる機序」ですが、矢状縫合の硬化→帽状腱膜張力上昇→頭痛、というカスケードを直接証明した研究はなく、理論的モデルの段階にあることを正直に記します。

矢状縫合の機能について解剖学的見地からもう一点触れます。頭蓋骨の縫合は一般に「繊維性関節」に分類され、成人では骨化が進んでいても完全な骨性癒合(synostosis)に至るまでは靭帯性の可動性が残るとされます。頭蓋仙骨療法(CST)ではこの微細な可動性を脳脊髄液の循環リズム(「一次呼吸」)と連動させて考えますが、この概念については科学的議論が続いており確立された事実ではありません。本記事では「縫合周辺の結合組織の硬化が帽状腱膜の張力に影響する可能性」という、より解剖学的に保守的な機序として理解することをお勧めします。重要なのは、藤井先生の手技の「結果」として頭痛が改善するケースが臨床で多く見られる、という観察事実です。

動画の手技を図解する ── 評価・触診・リリースの手順

図4
触診・評価 ── 矢状縫合の位置を確認する
前面 / anterior 触診のポイント ①頭頂部(百会)の正中を指先で軽く触れる ②縫合線の硬さ・固着感を両側の骨と比べる ③解剖図で位置を確認してから触れるのが重要(藤井先生)

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触診の出発点は頭頂部(百会のあたり)の正中。ここを指先で軽く触れると、頭頂骨の正中にある縫合線(矢状縫合)を感じることができる。硬さ・固着の程度を両側の骨と比べながら確認する。解剖図で位置を確認した後、実際の頭部で触れる練習をすることが重要(藤井先生のアドバイス)。頭蓋骨を触ることに慣れていない治療家は、まず骨格模型や解剖図で位置関係を把握してから臨むとよい。

動画が示す手技のアプローチには明確な順序があります。まず藤井先生が強調するのは、「解剖図で位置を確認してから触れる」という準備ステップです。頭蓋骨を触ることに慣れていない治療家も多いため、実際に手を置く前に矢状縫合・冠状縫合・ラムダ縫合の位置関係を骨格模型や解剖図で確認することが重要だと述べています。頭頂部(百会のあたり)の正中を指先で軽く触れると、微細な隆起または陥凹として縫合線を感じることができます。

触診・評価の具体的な手順は次のとおりです。患者は仰臥位(または坐位)になります。治療家は患者の頭部の上方に位置し、両手を頭頂部の左右(矢状縫合の両側)に当てます。このとき、指先が矢状縫合に沿うように配置します。硬さ・固着感・左右の非対称性を確認します。藤井先生の動画では、患者の頭を「上から見た状態」で矢状縫合の位置を確認し、両側の頭頂骨に触れる場面が示されています。

図5
リリース手技 ── 両側頭頂骨を「引き離す」
上面 / superior 引き離す 引き離す 左頭頂骨 右頭頂骨 縫 両側の頭頂骨を「引き離す形」で持続的に力を加える 力:「気持ちいい」と感じる程度(非常に弱く) / 時間:1〜2分持続

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動画の手技の核心。矢状縫合の両側に手(指)を当て、左右の頭頂骨を引き離すような形で力を加える。「開いていくような感じ」で調整する。力は非常に弱く(藤井先生の表現では「気持ちいい」と感じる程度)、1〜2分間持続する。これにより矢状縫合が緩み、帽状腱膜・前頭筋・後頭筋・咀嚼筋など頭全体の筋肉が連動してゆるむとされる。施術後は「気持ちいい」「スッキリした」という変化が起きることが多いと藤井先生は述べている。

図5はリリース手技の核心を上面観(頭を上から見た視点)で示しています。両手(または両手の指)を矢状縫合の両脇の頭頂骨上に置き、左右の頭頂骨を「引き離すような形」で力を加えます。重要なのは力の大きさです。動画では「開いていくような感じ」という表現が使われており、強く押したり引っ張るのではなく、ごく弱い持続的な力(「気持ちいい」と感じる程度)で1〜2分間維持します。この「弱く・ゆっくり・持続的に」というアプローチはCSTの基本原則でもあり、結合組織の粘弾性に働きかけるために必要な時間的要素です。

手技の効果として藤井先生が述べるのは、(1)術中の変化 ── 矢状縫合に触れている間に「開いていく感じ」「組織が緩む感触」を感じられることがある。(2)術後の変化 ── 患者が「気持ちいい」「頭が軽くなった」「スッキリした」と感じる。(3)連動した変化 ── 矢状縫合が緩むと、前頭筋・後頭筋・咀嚼筋など頭全体の筋肉が一度に「ふわっと緩む」という連動が起きる。この手技は藤井先生の表現では「最後の締め」として位置づけられており、首・肩・頭部への一般的なアプローチをすでに行ったにもかかわらず頭痛が完全に取れない場合に追加することで効果が得やすいとされています。

図2
矢状縫合が「硬くなる」と出やすい症状
★ ★ 矢状縫合が硬いと生じやすい症状 (藤井先生の臨床観察に基づく) 1筋膜性頭痛(肩こりからくる)2定期的な頭痛3使うとすぐ頭痛になる4特に女性に多い傾向 矢状縫合が緩むと… 頭全体の筋肉がふわっと緩む 前頭筋・後頭筋・咀嚼筋 全体が弛緩 (臨床経験による記述)

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藤井先生の臨床経験によると、矢状縫合の動きが制限されると、肩こりから来る①筋膜性頭痛・②定期的な頭痛・③使うとすぐ頭痛になるパターンが生じやすい。特に女性に多い傾向がある。縫合の硬さが取れると、頭全体の筋肉(前頭筋・後頭筋・咀嚼筋など)がふわっと緩むと説明されている。これは藤井先生の臨床観察に基づく説明であり、直接検証した強い研究は現時点では存在しない。

どのような症状を持つ患者に矢状縫合リリースが有効か。動画によると、①肩こりから来る筋膜性の頭痛、②定期的に繰り返す頭痛(週1〜数回など)、③少し頭を使うとすぐ頭痛になるパターン、④特に女性に多い傾向、という特徴があります。これらは慢性的な頭部筋緊張のパターンと一致します。また藤井先生の視点では、このような患者に対して首・肩のみへのアプローチでは十分でないケースに矢状縫合の評価を加えることで、治療の完成度が高まる、という臨床的な位置づけがあります。

症例の考え方・FAQ ── よくある疑問に答える

Q1. 「矢状縫合をリリースすると言っても、頭蓋骨の縫合が実際に動くのですか?根拠はありますか?」 ── A. 成人の矢状縫合は骨化が進んでいますが、完全な骨性癒合(synostosis)に至るまでは線維性の可動性が残っているとされます。ただし「頭蓋仙骨療法が想定するほどの大きな可動性がある」という主張については科学的に議論があり、頭蓋骨の可動性の測定値は研究者間で大きく異なります。藤井先生のアプローチの文脈では、縫合の「骨が動く」ことよりも「縫合周辺の結合組織・帽状腱膜の張力が変化する」という解釈の方が解剖学的に支持されやすいかもしれません。実際の臨床では、「手技後に頭痛が改善した・頭全体が軽くなった」という結果を重視する実用的なアプローチが採用されています。

Q2. 「この手技は自分一人でできますか?どの程度の頻度で行えばよいですか?」 ── A. 動画の手技は治療家が患者に対して行うことを前提とした手技です。頭頂部への弱い持続的牽引は技術的には自己実施も不可能ではありませんが、(1)適切な力加減(「気持ちいい」と感じる非常に弱い力)を自己管理することの難しさ、(2)頭蓋骨の解剖学的知識に基づいた正確な部位の把握 ── の2点から、専門職(理学療法士・作業療法士・柔道整復師・鍼灸師など、頭蓋骨操作の訓練を受けた者)の指導のもとで実施することを推奨します。頻度については動画では明示されていませんが、頭蓋仙骨療法の一般的な目安として週1〜2回が参考になります。変化を観察しながら個別に調整することが大切です。

Q3. 「肩こりから来る頭痛と、脳血管系や神経系の頭痛をどう見分ければよいですか?」 ── A. これは非常に重要な質問です。筋膜性・緊張型の頭痛と区別すべき危険な頭痛(赤旗:red flags)があります。①突然始まる「今まで経験したことがない最大の頭痛」は脳出血・くも膜下出血の可能性があり、すぐに救急受診が必要です。②頭痛に発熱・項部硬直・意識障害が伴う場合は髄膜炎の可能性があります。③徐々に悪化する持続的な頭痛、視力変化・乳頭浮腫を伴う場合は頭蓋内圧亢進を疑います。④頸部回旋時のめまい・後頭部の突然の痛みは椎骨脳底動脈解離の可能性があります。これらの赤旗症状がある場合は徒手療法ではなく、まず医療機関での評価が最優先です。矢状縫合リリースを含む頭蓋骨への手技は、これらが除外されてから行うべきです。

Q4. 「矢状縫合リリースは他の頭痛アプローチとどう組み合わせるのが良いですか?」 ── A. 動画で藤井先生が提示するポジショニングは「最後の締め」です。つまり、首・肩・頭部への一般的なアプローチ(例えば、頸椎周囲筋のリリース・前頭筋・後頭筋・側頭筋のリリース・頭蓋骨の他の部位への調整)をひと通り行った後で、矢状縫合に触れることで「仕上げ」の効果が得られる、という使い方です。最初から矢状縫合に特化するのではなく、体系的なアプローチの中での一ステップとして組み込む位置づけと理解できます。また同じ動画内で藤井先生は、前頭骨リリースと矢状縫合リリースの組み合わせが頭痛に対して特に有効なケースがある、という臨床観察も共有しています。

Q5. 「矢状縫合リリースで効果が出にくい場合はどう考えればよいですか?」 ── A. 頭痛の原因は多岐にわたります。また、心理社会的要因(ストレス・睡眠不足・心理的緊張)が関与する慢性頭痛には、徒手療法だけでなく睡眠改善・ストレス管理・認知行動療法なども組み合わせることが有効とされています(これは藤井先生の動画の範囲を超えた内容ですが、全体的な臨床視点として重要です)。効果が出ない場合は別の原因を探る姿勢が大切で、原因不明の慢性頭痛は医療機関での精密検査も選択肢に入れてください。

安全・受診勧奨・まとめ

図7
安全マップ ── 絶対に行ってはいけない状況と注意事項
右側面 / right lateral × 絶対禁忌 ・開頭術後 ・VP シャント後 ・脳腫瘍 ・頭蓋内圧亢進 ・頸椎不安定性 → 医師に相談 すぐに救急へ(赤旗) ・今まで最大の頭痛(突発性) ・頭部外傷後の意識変化・嘔吐 ・視力変化・乳頭浮腫 専門医の評価を先に ・骨粗鬆症(重度) ・脳血管障害の既往 効果には個人差があります

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頭蓋骨への操作の禁忌は厳守が必要。開頭手術後・VP シャント術後・脳腫瘍・頭蓋内圧亢進が疑われる場合は、どのような軽い接触も禁忌。急性・激しい頭痛(今まで経験したことがない最大の頭痛)は脳出血・くも膜下出血のサインであり、すぐに救急受診。頭部外傷直後・頸椎不安定性がある場合も事前に医師の評価が必要。

まとめです。矢状縫合は左右の頭頂骨をつなぐ正中の縫合線で、頭頂部の帽状腱膜の頂点に位置します。この縫合の動きが制限されると帽状腱膜全体に張力が高まり、前頭筋・後頭筋・側頭筋・咀嚼筋など頭部全体の筋肉の緊張につながりやすくなる ── これが藤井先生の臨床観察の核心です。手技は「両側の頭頂骨を引き離すような形で弱い持続的な力を加える」というシンプルなものです。「気持ちいい」と感じる程度の非常に弱い力で1〜2分間維持します。この手技はCST(頭蓋仙骨療法)の枠組みの中にあり、CSTについては慢性頸部痛(Haller 2016、RCT)と片頭痛(Jiang 2023、RCT)への有効性を示す研究が存在しますが、矢状縫合への特定の手技を評価した質の高い研究は現時点では存在しません。藤井先生の矢状縫合リリースは豊富な臨床経験に基づく「最後の締め」としての実践であり、その科学的根拠は間接的な段階にあります。禁忌に相当する状況は必ず確認し、疑いがある場合は医療機関への相談を優先してください。

参考文献

①Haller H ほか(2016)「頭蓋仙骨療法の慢性頸部痛への効果 ── 無作為化偽処置対照試験」Clin J Pain, DOI:10.1097/ajp.0000000000000290, PMID:26340656 ②Jiang G ほか(2023)「頭蓋仙骨療法の片頭痛への有効性・安全性評価 ── 単施設RCT」Medicine, DOI:10.1097/md.0000000000035431, PMID:37960717

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限界と注意・受診の目安

  • ▸開頭術後(VPシャント含む)・脳腫瘍・頭蓋内圧亢進が疑われる場合は頭蓋骨への操作は絶対禁忌です。
  • ▸急性・激しい頭痛(今まで経験したことがない最大の頭痛)・頭部外傷直後・脳血管障害の疑いがある場合はすぐに救急医療機関を受診してください。
  • ▸頸椎不安定性(ダウン症候群・関節リウマチ・外傷後)・椎骨脳底動脈解離が疑われる場合は医師への相談が必須です。
  • ▸「矢状縫合のリリースにより頭全体の筋肉がふわっと緩む・頭痛が取れる」という主張は藤井先生の臨床経験に基づくアプローチです。これを直接検証した質の高いRCT・系統的レビューは現時点では存在しません。CST全体については2本のRCTがありますが、矢状縫合への特定手技の直接的エビデンスは未確立です。効果には個人差があります。
  • ▸手技は「気持ちいい」と感じる程度の非常に弱い力で1〜2分間持続するのが原則です。強い力・急激な動きは行わないでください。
  • ▸本記事は医療行為の代替ではありません。症状が改善しない・悪化する場合は専門医へ相談してください。
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監修・参考文献

掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。

監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)

  1. [1] Haller H, Lauche R, Cramer H, Rampp T, Saha FJ, Ostermann T, Dobos G.(2016).「Craniosacral Therapy for the Treatment of Chronic Neck Pain: A Randomized Sham-controlled Trial」. The Clinical journal of pain.
  2. [2] Jiang G, Ma S, Zhao J, Zhang M, Li Y, Chen W, Cui L, Jia L.(2023).「Assessing the efficacy and safety of Craniosacral therapy for migraine: A single center randomized controlled trial」. Medicine.