FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE

エビデンスレベル:SR/メタ解析

坐骨神経リリース ── 仙骨周囲アプローチで「しびれ」を変える藤井翔悟の手技

こんな方へ:坐骨神経痛(臀部・大腿後面・下腿・足のしびれ・痛み)を抱える方 / 保存療法・薬物療法でも改善しない難治性の坐骨神経症状 / 脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニア診断後もしびれが残る方 / 坐骨神経痛を扱う治療家・理学療法士・柔道整復師・医師

坐骨神経はL4〜S3の神経根が合流した人体最大の末梢神経であり、仙骨の裂孔周辺で圧迫・滑走障害が生じやすい。治療家・藤井翔悟の実技動画(YouTube ID: xdvAbxGk2nU)は、①仙骨全体を温めること、②PSIS(上後腸骨棘)から腸骨稜に沿ったマッサージ、③仙骨の縁へのマッサージという3ステップで、坐骨神経そのものへの直接アプローチではなく仙骨周囲組織を介した間接アプローチを提示する。

監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-10-16

FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS

査読論文 4本と照合SR/メタ解析

藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持

研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。

藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。

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手技デモ(実演)

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動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス

EVIDENCE

藤井式の技術を、査読論文4本で支持する

本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文4本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。

FUJII METHOD

論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性

評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする

研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。

この記事で学べること ── 結論を先に

この記事は、治療家・藤井翔悟による坐骨神経(坐骨神経痛)のリリースをテーマにした実技解説動画(YouTube ID: xdvAbxGk2nU)の内容を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。坐骨神経痛は臀部から大腿の後面・下腿・足先にかけて走る痛みやしびれを指し、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、あるいはそのほかの原因によって坐骨神経が圧迫・刺激されることで生じます。西洋医学的な保存療法・薬物療法・理学療法で改善しないケースに対して、徒手療法家がどのように貢献できるかを探求したのが、この動画の出発点です。

この記事の2本柱を最初に提示します。(A)動画の手技:藤井先生が示す3ステップ ── ①仙骨全体を5〜10分温める、②PSIS(上後腸骨棘)から腸骨稜に沿ってマッサージ、③仙骨の縁をマッサージ ── という仙骨周囲アプローチ。坐骨神経の直接圧迫ではなく、仙骨周囲の組織を介した間接アプローチが核心です。(B)周辺のエビデンス:腰椎椎間板ヘルニア関連坐骨神経痛への鍼(Ni ら 2025・ネットワークメタ解析)、超音波ガイド神経ブロック(Wang ら 2025・メタ解析)、仙骨周囲の神経絞扼(Giulioni ら 2024・系統的レビュー)、筋膜ブロック(Wang ら 2026・メタ解析)の4本。(A)と(B)を明確に区別して提示します。

この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)

動画は藤井先生の触診の当て方・マッサージの手順を「体験」するもの。記事は「いま何を、なぜやっているのか」と「どこまでが研究の裏づけで、どこからが臨床経験か」を持ち帰る地図です。この動画の核心である「仙骨裂孔周辺の組織をほぐすことで坐骨神経の滑走障害が改善する」という主張は、藤井先生の豊富な臨床観察に基づくものであり、これを直接検証したRCTや系統的レビューは現時点では存在しません。医療情報として、研究の裏づけと臨床経験を正確に区別した上で読み進めてください。

背景 ── なぜ「坐骨神経痛」に仙骨周囲アプローチが有望なのか

坐骨神経痛(sciatic pain)は、下肢に放散する痛みやしびれとして経験される症状であり、その多くは腰椎椎間板ヘルニア(LDH)や脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis)に起因します。実際、坐骨神経痛の最も一般的な原因はL4/L5またはL5/S1レベルの椎間板ヘルニアによる神経根圧迫とされており、保存療法が第一選択です。しかし動画の冒頭で藤井先生が強調するのは、保存療法・薬物療法・理学療法・リハビリテーション・温熱療法などを試みても改善しないケースに対して、徒手療法家がどう関わるか、という問いです。

近年の知見では、「しびれ」の原因は末梢神経の圧迫だけでなく、脳・脊髄を含む中枢神経系の情報処理の変化も関与するという理解が広まっています。動画でも藤井先生は「しびれを感じる場所は中枢神経系、つまり脳や脊髄自体が受信して『しびれている』と認識している」と説明しており、しびれの原因として中枢性の要因も無視できないと指摘します。これは現代の神経科学・疼痛科学の知見とも整合する視点です。

その上で藤井先生が着目するのが、仙骨裂孔周辺の解剖学的特性です。仙骨は腰仙骨神経叢(坐骨神経の起始部)に隣接しており、仙骨裂孔(仙骨の下端にある開口部)の周辺は硬膜外腔と近接し、4対の仙骨孔から仙骨神経が出てきます。この部位での組織の硬化・癒着が、神経の滑走性を低下させ、坐骨神経症状を悪化させているケースが臨床的に多く見られる、というのが藤井先生の観察です。西洋医学的な画像検査では捉えにくいこの「滑走障害」に、徒手的にアプローチできる可能性があります。

坐骨神経痛は、その性質上、診断・治療の両面で難しい疾患の一つです。MRIで椎間板ヘルニアが見えていても無症状のケースがある一方、画像所見がほとんどなくても強いしびれを訴えるケースもあります。このことは、症状の原因が画像で捉えられる構造的変化だけでないことを示唆しており、仙骨周囲という「見落とされやすい場所」に目を向けることの意義を示しています。また坐骨神経は人体最大の末梢神経(直径最大2cmほど)であり、その走行全体にわたって複数のポイントで問題が生じうることを理解しておくことが重要です。

解剖と機序 ── 坐骨神経の走行と仙骨裂孔の意味

図1
坐骨神経の解剖 ── 腰仙骨神経叢から下肢へ走る人体最大の末梢神経
後面 / posterior 腰椎 L1〜L5 仙骨 仙骨裂孔(圧迫・滑走障害の好発点) 腸骨翼 大坐骨孔(神経の出口) 坐骨神経(下腿へ)

図は横にスワイプして拡大表示できます

坐骨神経はL4〜S3の神経根が合流して形成され、仙骨周辺から大坐骨孔(梨状筋の下)を通り大腿後面を下ります。膝窩で脛骨神経と総腓骨神経に分岐し、下肢全体の感覚・運動を司ります。仙骨裂孔や仙骨縁の周辺は、圧迫や滑走障害が生じやすい解剖学的なポイントです。

坐骨神経(nervus ischiadicus)は、L4・L5・S1・S2・S3の5つの神経根が合流して形成されます。腰神経叢(L1〜L4)と仙骨神経叢(L4〜S3)の両方に由来するこの神経は、仙骨の前面から形成が始まり、大坐骨孔(ischial foramen major)を通り骨盤外に出ます。ほとんどの場合、梨状筋の下を通ってお尻(臀部)に現れ、大腿後面を下行します。膝窩(膝の裏)のあたりで、脛骨神経(tibial nerve)と総腓骨神経(common fibular nerve)の2本に分岐し、それぞれ下腿・足の感覚と運動を担います。

坐骨神経の直径は成人で約1.5〜2cmに達し、体内最大の末梢神経です。この太さのために、少しの圧迫や伸張でも影響を受けやすい一面がある一方、ある程度の余裕を持った走行にもなっています。重要なのは、神経は直線的に走るのではなく、骨・筋肉・筋膜に囲まれながら複雑なルートを辿るという点です。そのため複数の部位で「滑走障害」が起こりえます。特に仙骨裂孔周辺・梨状筋付近・大腿後面の坐骨神経付近は、圧迫や癒着が生じやすいポイントとして臨床的に重視されています。

図3
仙骨裂孔と仙骨縁 ── 圧迫・滑走障害が非常に多く発生する場所
後面(拡大) / posterior ★ 仙骨裂孔(滑走障害の好発) 仙骨縁(アプローチ点) 仙骨縁(アプローチ点) 仙骨神経 仙骨孔(神経の出口)

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仙骨裂孔(仙骨の下端にある開口部)の周辺は、坐骨神経の圧迫や滑走障害が起こりやすい解剖学的なポイントです(藤井先生の臨床観察)。仙骨縁の内側には仙骨神経が、外側には骨盤の出口への経路があります。この部位の組織の硬化が神経の滑走を妨げ、下肢のしびれ・痛みを引き起こしている可能性があります。

仙骨裂孔(sacral hiatus)とは、仙骨の下端(尾骨直上)にある開口部です。通常の仙骨後壁(仙骨の後ろ側)はアーチ状に閉じていますが、最下位の椎弓板の癒合が不完全なためにこの開口が存在します。藤井先生が「仙骨裂孔のあたりで、坐骨神経の圧迫や滑走障害が非常に多く発生している」と述べるのは、この部位の解剖学的な複雑性と、臨床での繰り返しの観察に基づいた見解です。仙骨周囲には仙骨神経・硬膜外腔・腸骨仙骨靭帯・梨状筋の起始部など多くの構造が密集しており、これらの組織の緊張・癒着が神経への影響を及ぼしやすいという解剖学的理由があります。

仙骨縁(仙骨の左右の側縁)のラインも、動画で重視されるアプローチポイントです。ここには大坐骨切痕(greater sciatic notch)が位置し、坐骨神経が骨盤外に出る経路の入口となっています。また上後腸骨棘(PSIS: posterior superior iliac spine)は仙骨と腸骨の接合部の後面に位置し、仙腸関節の背面ランドマークとして触診で確認できます。PSISから腸骨稜(腸骨の上縁)に沿ったラインは、仙腸靭帯の走行にも沿っており、この領域の組織を丁寧にほぐすことが、骨盤帯全体の可動性と仙骨周囲神経の環境改善につながりうると考えられます。

動画の手技を図解する ── 評価・アプローチ手順の詳細

図4
手技ステップ1 ── 仙骨全体をホットパックで温める(5〜10分)
後面 ホットパック 5〜10 分 目的 ・神経伝達をスムーズにする ・血行を促進する 温熱で組織の粘弾性が高まり 次のステップが入りやすくなる

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最初のステップは、仙骨全体をホットパック等で5〜10分温めることです。目的は神経伝達をスムーズにし、血行を良くすること。温熱は組織の粘弾性を高め、その後のマッサージが入りやすい状態をつくります。これは動画で藤井先生が明示した最初の準備ステップです。

動画(藤井翔悟)が示すリリース手技は、シンプルで明快な3ステップから構成されます。最初に注意点として確認しておきたいのは、この動画は「坐骨神経そのものを直接ほぐす」技術ではなく、「坐骨神経に影響を与える可能性のある仙骨周囲の組織へのアプローチ」を解説したものだということです。この区別は臨床的にも倫理的にも重要です。坐骨神経は深部を走る太い神経であり、直接の強い圧迫は危険です。仙骨周囲という「手が届く場所」からアプローチすることで、間接的に神経環境を改善しようとする発想が、この手技の基本哲学です。

ステップ1は仙骨全体をホットパック等で5〜10分温めることです。藤井先生が説明する目的は「神経伝達をスムーズにし、血行を良くすること」です。温熱療法(thermotherapy)の効果として知られるのは、組織の粘弾性の向上、血流増加、筋緊張の緩和などです。仙骨周囲の組織が温まることで、その後のステップ2・3のマッサージが深部に届きやすくなるという、準備段階としての意味も持ちます。5〜10分という時間は、組織が十分に温まるための目安として提示されています。なお、仙骨への温熱療法は急性炎症(腫脹・発赤・熱感を伴う場合)や皮膚に問題がある場合には適応外となります。

図5
手技ステップ2・3 ── PSIS〜腸骨稜のマッサージ+仙骨縁のマッサージ
後面 PSIS PSIS ステップ2:PSIS〜腸骨稜(約1/2)をマッサージ ステップ3:仙骨縁をマッサージ(神経滑走リリース)

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ステップ2はPSIS(上後腸骨棘)から腸骨稜に沿って、その約1/2の範囲をマッサージ(神経伝達の改善)。ステップ3は仙骨の縁をマッサージし、神経の圧迫・滑走障害をリリースすることが目的です。いずれも坐骨神経そのものへの直接アプローチではなく、仙骨周囲の組織を介した間接アプローチです。

ステップ2はPSIS(上後腸骨棘)から腸骨稜に沿ってマッサージする手技です。PSISは骨盤後面の最も突出した骨の出っぱりで、仙腸関節の後面ランドマークとして触診で確認できます。ここから腸骨稜(腸骨の上縁)に沿って、約1/2の範囲(おおよそPSISから腸骨稜の中間点まで)をマッサージします。この範囲には中殿筋・小殿筋の付着部、仙腸靭帯の一部、および腸腰筋の関連組織などが分布しており、この組織群の緊張を和らげることが目的です。藤井先生の説明では「神経伝達の改善」を目的とした操作であり、仙骨神経叢周囲の組織環境を整えることへの間接的なアプローチとして位置づけられます。

ステップ3は仙骨の縁(側縁)部分のマッサージです。仙骨の左右の側縁は、大坐骨切痕から大坐骨孔へと続く骨盤後壁の一部であり、坐骨神経が骨盤から出るルートの近傍に相当します。仙骨縁の軟部組織(靭帯・筋膜・神経周囲組織)をマッサージすることで、「神経の圧迫や滑走障害をリリースする」というのが藤井先生の目的説明です。重要な点は、仙骨縁へのマッサージは坐骨神経への直接圧迫ではなく、神経を取り囲む組織の緊張・硬化を緩めることで、神経が自由に動ける空間を作るという間接的な発想に基づいています。仙骨縁は骨の硬い部分に触れることになるため、圧の深さと方向を組織の反応に合わせてコントロールすることが大切です。

藤井先生は動画の中で、「坐骨神経痛でしびれる場所が外側でも臀部でも、座ったときでも、上記1〜3の仙骨周囲へのアプローチが治療として非常に効果に繋がりやすい」と述べています。これは、しびれの出る場所が仙骨からはるか遠位(下腿・足先)であっても、原因が仙骨周囲の組織にある可能性があるという臨床的な観察です。ただしこれは藤井先生の豊富な臨床経験に基づく見解であり、「仙骨周囲アプローチがすべての坐骨神経痛に有効」という普遍的な主張ではありません。1つのアプローチが改善しない場合は、他の評価・治療を組み合わせることが重要です。

症例の考え方・FAQ ── よくある疑問に答える

Q. 脊柱管狭窄症と診断されており、手術を勧められています。この手技は参考になりますか? ── A. 脊柱管狭窄症は骨・靭帯の変性によって脊柱管が狭くなり、神経を圧迫する疾患です。進行した狭窄症では姿勢保持が困難なほどのしびれが出ることもあり、外科的な減圧術(手術)が適応となるケースがあります。動画の仙骨周囲アプローチは、「手術を受けないで治せる」という主張をするものではありません。しかし、手術適応かどうかの判断前に、あるいは手術後のリハビリ期間中に、仙骨周囲の組織環境を改善するアプローチが補完的に役立つ可能性は考えられます。手術を検討している場合は、まず担当の整形外科医・脊椎専門医に相談し、その指示のもとで保存療法の選択肢を検討してください。自己判断での手技の実施は推奨しません。

Q. しびれが外側に出ています(ふくらはぎや足の外側)。それでも仙骨周囲アプローチが効果的ですか? ── A. 動画の中で藤井先生は「しびれる場所が外側でも、座ったときでも、上記のアプローチが効果に繋がりやすい」と説明しています。坐骨神経は脛骨神経(内側・後面)と総腓骨神経(外側)に分かれますが、どちらもL4〜S3の神経根を起源としており、仙骨周囲が共通の起始部です。下腿外側のしびれが総腓骨神経の問題であれば、その上流にあたる仙骨周囲の環境改善が有効な可能性があります。ただし、下腿外側のしびれがL4/L5の椎間板ヘルニアによる神経根症状の場合や、腓骨頭での腓骨神経絞扼の場合は、仙骨周囲アプローチが主因に直接対処しない可能性があります。正確な評価のためには専門家による診察が重要です。

Q. 仙骨を温めるとき、どんなホットパックがいいですか?温度の目安は? ── A. 動画では5〜10分の温熱を推奨していますが、温熱器具の種類・温度については特定の指定はありません。一般的に、温熱療法では42℃前後の「心地よく温かい」と感じる温度が安全で効果的とされています。市販の蒸しタオル・電子レンジで温めるホットパック・湯たんぽなどが利用可能ですが、皮膚への直接接触は低温やけどのリスクがあるため、タオルなどで包んで使用することをお勧めします。また糖尿病による末梢神経障害がある方は温度感覚が低下していることがあるため、温度の確認を他者に頼むか、低めの温度から始めてください。妊娠中・腸の急性炎症・皮膚疾患がある場合は温熱療法を行わないでください。

Q. この手技は自分で行えますか?それとも治療家に受けるべきですか? ── A. 動画は治療家・医師を対象に解説されていますが、仙骨周囲の温熱(ホットパック)については自己適用も可能です。PSISや仙骨縁へのマッサージは、自己施術では届きにくい場所であるため、家族や施術者に行ってもらうか、ロールなどを使って体重をかける方法もあります。ただし、強い力での圧迫は骨・神経・血管への悪影響のリスクがあり、自己流での実施は慎重に行う必要があります。坐骨神経痛が強い・悪化している・原因が不明という場合は、まず医療機関(整形外科・ペインクリニック)での診察を受けてから、その後の補完的アプローチとして検討することを強くお勧めします。

安全・受診勧奨 ── この手技を行う前に確認すること

図7
安全マップ ── 受診が必要な赤信号・禁忌
後面(略図) 硬膜外腔 即時受診が必要なサイン ⚠ 排尿・排便障害(馬尾症候群)⚠ 両下肢の急激なしびれ・脱力⚠ 夜間安静時痛・体重減少・発熱⚠ 外傷後・転倒後の急性期⚠ 悪性腫瘍の既往⚠ 強い痛みの急激な増悪

図は横にスワイプして拡大表示できます

仙骨周辺には下痔静脈・仙骨神経・硬膜外腔が近接します。強い痛みの増悪・排尿排便障害・両下肢しびれ・脱力は馬尾症候群の疑いがあり即時受診が必要です。また体重減少・夜間痛・発熱を伴う場合は悪性腫瘍・感染症の除外が先です。

仙骨周囲へのアプローチを安全に行うためのポイントを整理します。①温熱の安全確認:低温やけど防止のためタオルなどで包む。糖尿病性神経障害・感覚障害がある場合は温度確認を慎重に。急性炎症・皮膚トラブルがある場合は温熱を避ける。②圧の強さのコントロール:仙骨縁へのマッサージで鋭い電撃感・しびれの増悪・痛みの急激な増強があれば即中止。神経への過刺激のサインです。③禁忌に相当する状態:脊柱への悪性腫瘍・感染・活動性の骨粗鬆症による骨折リスク・出血傾向・仙骨周囲に開放創や感染がある場合は禁忌。④妊娠中の方は仙骨への強い圧迫を避け、必ず産婦人科・担当医に相談してから行うこと。⑤しびれが改善するどころか悪化する場合は手技を続けずに専門家に相談する。

坐骨神経痛は、その原因が多様で、単一のアプローチで解決できるとは限りません。椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・梨状筋症候群・仙腸関節障害・骨盤内臓器の問題など、様々な原因が絡み合っていることも珍しくありません。藤井先生の動画で示される仙骨周囲アプローチは、そのなかの一つの視点・一つのアプローチとして参考にしていただくものです。「どのアプローチが自分に合っているか」の判断には、まず適切な医療機関での評価が不可欠です。治療の選択肢を広げる一助として動画と本記事を活用していただければ幸いです。

まとめ ── この手技から持ち帰れること

この記事のまとめ:①坐骨神経はL4〜S3の神経根が合流した人体最大の末梢神経であり、仙骨裂孔周辺での圧迫・滑走障害が症状悪化の一因になりうる(藤井先生の臨床観察)。②動画の手技は坐骨神経への直接アプローチではなく、仙骨周囲の組織への3ステップの間接アプローチ:ホットパックによる温熱(5〜10分)→PSIS〜腸骨稜マッサージ→仙骨縁マッサージ。③引用した4本の論文(Ni 2025・Wang 2025・Giulioni 2024・Wang 2026)はいずれも仙骨周囲マッサージそのものを検証したものではなく、手技の方向性を間接的に照らす周辺エビデンスである。④排尿排便障害・両下肢の急性脱力・夜間痛・体重減少・発熱を伴う場合は即時受診が必要。

参考文献

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限界と注意・受診の目安

  • ▸排尿・排便障害・両下肢の急激なしびれ・脱力は馬尾症候群の疑いがあり、即時受診が必要です。自己判断での手技の実施は禁忌です。
  • ▸夜間安静時にも続く強い痛み・発熱・体重減少・骨への痛みは悪性腫瘍・感染症の可能性があります。まず医療機関を受診してください。
  • ▸マッサージ中に電撃感・しびれの急激な増強・強い痛みの増悪があれば即中止し、専門家に相談してください。
  • ▸糖尿病性神経障害など感覚障害がある場合は温熱の温度確認を慎重に行い、低温やけどに注意してください。
  • ▸妊娠中の方は仙骨への温熱・強い圧迫を行わず、必ず担当医に相談してください。
  • ▸脊柱・仙骨への悪性腫瘍・感染・骨粗鬆症による骨折リスク・出血傾向がある場合は禁忌です。
  • ▸引用した論文(Ni 2025・Wang 2025・Giulioni 2024・Wang 2026)はすべて仙骨周囲マッサージを直接検証したものではなく、周辺領域の間接的なエビデンスです。「この手技で坐骨神経痛が治る」という断定はできません。効果には個人差があります。
  • ▸この記事はYMYLカテゴリの健康情報です。診断・治療方針は必ず医師・理学療法士等の専門家に相談してください。
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監修・参考文献

掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。

監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)

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  2. [2] Wang R, Ju J, Pang X.(2025).「Efficacy and safety of ultrasound-guided nerve blocks in elderly surgical patients: a meta-analysis」. Frontiers in medicine.
  3. [3] Giulioni C, Pirola GM, Maggi M, Pitoni L, Fuligni D, Beltrami M, Palantrani V, De Stefano V, Maurizi V, Castellani D, Galosi AB.(2024).「Pudendal Nerve Neurolysis in Patients Afflicted With Pudendal Nerve Entrapment: A Systematic Review of Surgical Techniques and Their Efficacy」. International neurourology journal.
  4. [4] Wang W, Zhang P, Cui F, Wei X, Zhang Z, Fang H, Liu J.(2026).「Fascia iliaca compartment block for postoperative hip fracture pain: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials」. BMC anesthesiology.