FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE
脊柱リリース ── 「背骨を整える」と治療が速くなる理由と三点倒立の実践
こんな方へ:慢性的な首の痛み・肩こり・腰痛・足のしびれが続いている方 / 徒手療法家・治療家として治療スピードを上げたい方 / 背骨の可動性がどう症状と関係するかを知りたい方 / 三点倒立を実践したいが解剖学的な背景を理解したい方
脊柱は頸椎(C1〜C7)・胸椎(T1〜T12)・腰椎(L1〜L5)の33椎体から成り、脊柱起立筋群(腸肋筋・最長筋・棘筋)と深部の多裂筋によって支持される。藤井翔悟の実技動画(YouTube ID: spO2qdsv7aU)では、椎体一つ一つが「不規則に・滞りなく動く」状態が治療効果を高めるという考えのもと、三点倒立(頭+両手の3点で体を支える倒立)を用いて脊柱周囲の慢性緊張をリセットする手技を紹介する。
監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-09-08
FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS
藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持
研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。
藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。
手技デモ(実演)
動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス
EVIDENCE
藤井式の技術を、査読論文4本で支持する
本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文4本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。
FUJII METHOD
論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性
評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする
研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。
この記事で学べること/結論を先に
この記事は、治療家・藤井翔悟による「脊柱のケアと治療技術の関係」をテーマにした実技解説動画(YouTube ID: spO2qdsv7aU)の内容を、解剖学的図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。テーマは4つ ── ①脊柱の解剖と機能(頸椎・胸椎・腰椎・脊柱起立筋・多裂筋)② 背骨が硬いと出る症状 ③藤井先生が推奨する「三点倒立」という手技 ④どこまでが研究で、どこからが臨床経験か。最初に正直に伝えておきます。この動画は「腰痛を治すストレッチ」という単純なハウツーではなく、「背骨の状態が治療技術・治療スピードそのものに直結する」という深い臨床的視点を提示するものです。
この記事の2本柱を最初に示します。(A)動画の手技=藤井先生の臨床経験。背骨の椎体が一つ一つ不規則に・滞りなく動く状態が理想であり、脊柱起立筋群・多裂筋の慢性的な収縮、そして筋膜の「記憶保持機能」がその妨げになるという考え方。三点倒立(頭と両手の3点で体を支え逆さになる)によって椎体間を一時的に圧縮し、筋膜の緊張記憶をリセットする手技。(B)周辺のエビデンス=脊柱の手技療法の有効性、筋膜の機械感受性、姿勢矯正と脊柱可動性に関する実在4本の論文。(A)と(B)は明確に区別して提示します。
この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)
動画は藤井先生の脊柱に関する哲学・実践の発想を『体験』するもの。記事は『いま何を、なぜやっているか』と『どこまでが研究で、どこからが臨床経験か』を持ち帰る地図です。この動画の核心「三点倒立で脊柱の筋膜記憶をリセットする」「背骨を整えると治療が速くなる」は、藤井先生の豊富な臨床観察に基づくものであり、これを直接検証したRCTや系統的レビューは現時点では存在しません。YMYL(健康・医療)情報として、研究の裏づけと臨床経験を正確に区別した上で読み進めてください。
背景 ── なぜ「背骨を整える」と治療が速くなるのか
藤井翔悟先生は、徒手療法を極めたいという強い思いから、西洋医学的な解剖学・生理学の他に、鍼灸・カイロプラクティック・オステオパシーなど様々な代替医療・伝統医療の知見を学んできた治療家です。その学びの中で繰り返し確認したのが、「背骨の状態」が治療の結果を左右するという事実でした。どれほど正確なテクニックを使っても、施術者自身の背骨が硬く固まった状態では、手の感度が下がり、患者の反応を引き出す速さが落ちる ── これが藤井先生の臨床的な観察です。この動画のテーマはセルフケアとしての三点倒立を通じた「背骨のメンテナンス」であり、その実践が治療家としての技術向上と患者の症状改善の両方に貢献するという立場から解説されています。
東洋医学的な観点からも、藤井先生は背骨の重要性を説明します。体の中心線には膀胱経(ぼうこうけい)・任脈(にんみゃく)・督脈(とくみゃく)といった重要な経絡(けいらく)が走っており、背骨の状態が整うことでこれらの流れも改善しやすくなる、という考え方です。これは東洋医学の理論に基づくものであり、現代の解剖学・生理学的な裏づけとは別の文脈として理解する必要があります。ただし、経絡の走行と脊柱周囲の神経・筋膜の分布が解剖学的に重なる部分があることは注目に値します。たとえば督脈は棘突起の上を走るとされ、これはまさに脊柱起立筋・多裂筋が位置するエリアです。
一方、西洋医学・運動科学の観点からも、脊柱の可動性は全身のバイオメカニクスに広く影響することが知られています。頸椎・胸椎・腰椎は連動しており、ある区間が硬化すると隣接区間が代償的に過動(ハイパーモビリティ)になりやすくなります。慢性的な頸椎過動が肩こり・頭痛を引き起こし、腰椎過動が腰痛に繋がるというパターンは、臨床でよく見られます。藤井先生が述べる「背骨の椎体が一つ一つ滞りなく動く」状態の重要性は、この連動メカニズムからも説明できます。脊柱は33の椎体(頸椎7・胸椎12・腰椎5・仙椎5融合・尾椎4融合)から成り、各椎体が独立して動くことで全体の複雑な運動を可能にしています。
慢性的な脊柱の硬さの原因の一つとして、藤井先生は「筋膜の記憶保持機能」を挙げます。同じ姿勢・動作パターンが繰り返されると、脊柱周囲の筋膜がその状態を「正常」として記憶してしまい、たとえストレッチやマッサージで一時的にゆるんでも、すぐに元の硬い状態に戻ってしまう。この「記憶のリセット」こそが三点倒立の目的である、というのが藤井先生の考えです。筋膜の機械感受性・可塑性については近年研究が進んでいますが、具体的な「筋膜記憶のリセット」という機序は臨床理論の段階です(後のエビデンス章で詳述します)。
脊柱の解剖と機序 ── 椎体・脊柱起立筋・多裂筋・筋膜の連動
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後面から見た脊柱の全体像。頸椎(C1〜C7)・胸椎(T1〜T12)・腰椎(L1〜L5)の3区分と骨盤(仙骨)。左右を走る脊柱起立筋群(腸肋筋・最長筋・棘筋)と、棘突起の深層にある多裂筋(たれつきん)が慢性的に収縮・硬化すると「背骨が硬い」状態になります。藤井先生は、椎体が一つ一つ不規則に・滞りなく動く状態を理想とし、これが治療の速さに直結すると述べます。
脊柱(脊椎ともいう)は頸椎(C1〜C7の7椎体)・胸椎(T1〜T12の12椎体)・腰椎(L1〜L5の5椎体)・仙骨(5椎体が融合)・尾骨(4椎体が融合)の計33の椎骨から構成されます。各椎体は椎間板(線維軟骨からなるクッション)と椎間関節によって連結されており、この関節の動きが脊柱全体の柔軟性と可動性を担います。頸椎は前弯(ぜんわん)・胸椎は後弯(こうわん)・腰椎は前弯という自然なS字カーブを形成しており、このバランスが衝撃吸収と荷重伝達を効率的に行うための構造的基盤です。
脊柱の両側を縦走する脊柱起立筋群(せきちゅうきりつきんぐん)は、3層の筋から成ります。最外層の腸肋筋(ちょうろっきん)は腸骨稜から肋骨角を走り、中間層の最長筋(さいちょうきん)は腸骨・仙骨から後頭骨まで縦走する最大の脊柱伸筋、内側の棘筋(きょくきん)は棘突起間をつなぎます。これら3筋が同時に収縮すると脊柱を伸展させ、左右片側が単独収縮すると側屈・回旋を生じます。慢性的な過緊張・硬化が起きると、脊柱の伸展・回旋可動域が制限されるだけでなく、筋膜を通じて広い範囲に痛みが波及します。
脊柱起立筋よりも深層にある多裂筋(たれつきん)は、腰椎・胸椎・頸椎の棘突起から発して、2〜4椎体下の横突起・棘突起に付着する短い多数の筋束の集合体です。多裂筋は椎体間を直接安定させる「セグメンタル・スタビライザー」として機能し、体幹の深部安定に不可欠な筋です。腰痛患者において多裂筋の萎縮・筋電図活動の低下が観察されることは複数の研究で示されており、この筋のリハビリテーションは慢性腰痛治療の重要な要素とされています。
脊柱起立筋群と多裂筋を包む胸腰筋膜(きょうようきんまく・thoracolumbar fascia: TLF)は、これらの筋と脊柱を統合的につなぐ大きな結合組織シートです。TLFは腰椎の後面をおおい、腸骨・仙骨に付着するとともに、腹横筋・内腹斜筋の腱膜とも連続します。この筋膜シートが硬化すると、単に脊柱の動きが制限されるだけでなく、腹部の深部筋(特に腹横筋)の機能にも影響が及び、体幹全体の安定性低下につながります。藤井先生が「筋膜が同じ状態で記憶してしまう」と述べる現象は、この大きな筋膜シートの硬化パターンを指すと理解できます。
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藤井先生が動画で挙げる脊柱硬化による症状。①慢性的な首の痛み ②肩の痛み ③肩こり ④腰痛 ⑤足のしびれ。背骨の椎体一つ一つが「滞りなく動く」状態にないと、上下の椎体がそのストレスを受け持つことで様々な症状へ波及します(藤井先生の臨床観察;これらが脊柱の硬さのみによって生じるとする研究はなく、症状の原因は多因子的です)。
藤井先生は動画の中で、脊柱が硬い状態が続くと出やすい症状として①慢性的な首の痛み ②肩の痛み ③肩こり ④腰痛 ⑤足のしびれ ── を挙げます。これらは「脊柱が硬いから」という一元的な原因で発生するわけではなく、実際には多因子的な症状ですが、脊柱の可動性改善がこれらの症状軽減に寄与する可能性は、手技療法の臨床研究からも示唆されます。特に注目すべきは「足のしびれ」です。腰椎レベルの椎間関節・筋膜の硬さが神経根への刺激や血流障害を介して下肢のしびれを引き起こすメカニズムは、解剖学的に説明可能です。
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藤井先生が重視する「筋膜の記憶保持機能」。同じ姿勢・動作パターンが続くと筋膜はその状態を「正常」として記憶し、慢性的な症状の温床となります。三点倒立という非日常的な刺激(逆さ・圧縮)を入れることで、この記憶をリセットし新たな可動性を獲得する ── という考え方です。筋膜が機械感受性を持つことはPirri 2025等の研究で示唆されていますが、具体的なリセット機序は現時点では研究段階です。
「筋膜の記憶保持機能」について、藤井先生の考え方を整理します。筋膜はコラーゲン線維・弾性線維・筋線維芽細胞・水(ヒアルロン酸を含む細胞外基質)から成る生きた組織であり、機械的な負荷に対して応答し、長期的にその構造を変化させる「可塑性」を持ちます。同じ姿勢や動作パターンが慢性的に繰り返されると、筋膜はコラーゲン架橋の形成によってその状態で「固まり」やすくなります。このメカニズムが「筋膜記憶」の実態に近いと考えられます。三点倒立はこの固まった筋膜に対して、普段とは全く異なる方向の物理的刺激(椎体間の圧縮)を与えることで、架橋の一部を解消しリモデリングを促進する ── というのが藤井先生の臨床理論の核心です。
動画の手技を図解する ── 三点倒立の評価・手順・意義
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藤井先生が推奨するセルフケア「三点倒立」。頭頂と両手の3点で体を支え、体重が脊柱の長軸(椎体→椎体)方向に加わることで椎体間が一時的に圧縮されます。日常生活では椎体を圧縮する方向のベクトルはほとんどないため、この非日常的な刺激が脊柱周囲の慢性収縮した筋膜をリセットする、というのが藤井先生の考えです(臨床的理論であり、RCT等の直接的研究裏づけはありません)。
藤井先生が動画で実演・推奨する手技の中核は「三点倒立(さんてんとうりつ)」です。これは頭の頂点(頭頂部)と両手の3点を床に接地させ、逆さの姿勢を保つことで、脊柱に通常とは反対方向(上から下ではなく、足から頭方向)の重力ベクトルが加わり、椎体間が一時的に強く圧縮される手技です。普段の直立・座位では重力は常に頭から足へと加わり、椎間板は常に「引き離される」方向のストレスを受けていますが、三点倒立ではこのベクトルが逆転します。
手順は以下の通りです。①壁の正面に向かい、頭頂部と両手が三角形を作るように床に置く(三点の配置が重要:頭頂が頂点、両手が底辺の両端)②壁を使って徐々に脚を上げ、体を逆さにする ③椎体間に体重が圧縮される感覚を意識しながら数秒〜数十秒キープする ④ゆっくりと脚を下ろして元の姿勢に戻す。藤井先生はこれを毎日の練習として推奨しており、継続することで脊柱周囲の筋膜記憶がリセットされ、背骨が「滑らかに動く」状態が維持されると述べています。初心者は必ず壁を使い、慣れるまでは専門家の指導のもとで行ってください。
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通常の直立では重力が頭から足方向へ均等に加わります。三点倒立では体重が頭方向(脊柱の長軸)に集中するため、椎体と椎体の間が「いつもより強く圧縮」されます。藤井先生の考えでは、この非日常的な圧迫が慢性的に短縮した脊柱起立筋・多裂筋の筋紡錘(きんぼうすい)を刺激し、筋膜の「緊張記憶」を解放するとされます。この機序を直接証明した研究はまだ存在しません。
三点倒立の最中に体感できることとして、藤井先生は「椎体と椎体の骨同士の間がギュッと狭まる感覚」を挙げています。これは椎間板が体重によって圧縮されることに対応する感覚です。図4の概念図で示したように、通常直立時は椎体間が均等な重力下に置かれますが、三点倒立では体重が頭側から脊柱長軸に沿って集中するため、椎間板への負荷が変化します。この状態での椎体周囲の組織(前縦靭帯・後縦靭帯・椎間板の外層=線維輪)への刺激が、Pirri 2025が示した筋膜の機械感受性メカニズムを介して脊柱周囲の筋膜のリモデリングを促す可能性があります。ただし、これはあくまで仮説的な推論であり、研究で直接示されたものではありません。
藤井先生がこの手技を重視するもう一つの理由は、治療家自身の体(脊柱)のコンディショニングとしての意義です。「治療家が自分の背骨を整えることで、患者への徒手的な感度が高まり、緩める速さが上がる」という考え方です。これは、高度な徒手療法の実践においては術者自身の体のコンディションが患者のアウトカムに影響するという視点であり、東洋・西洋問わず伝統的な徒手療法の世界では広く共有される考え方です。科学的に直接検証することは難しいですが、術者の感覚的・運動的な精度が高まることで患者への介入の質が向上するという考え方は、臨床上の説得力があります。
三点倒立は一見難しそうに見えますが、壁を使うことで安全に練習できます。初心者の段階では、完全な倒立を目指すより「頭頂と両手を床につけて体を少し持ち上げる」だけで、脊柱への圧縮刺激という目的の一部は達成できます。重要なのは「頭に体重がかかる」感覚を意識することです。この感覚が、普段とは異なるベクトルの刺激が脊柱に加わっていることを示しています。なお、藤井先生はこの練習を「治療結果に繋がる」重要なセルフケアとして位置づけており、患者だけでなく治療家自身が取り組むことを特に強調しています。
症例の考え方・よくある質問(FAQ)
Q. 三点倒立が怖くてできない、または首が弱い場合はどうすればよいですか?
── A. 三点倒立は頸椎に体重が集中するため、頸椎に問題がある方・筋力が不足している方には推奨できません。同様の「脊柱への逆方向の刺激」を安全に体験する代替法として、①壁に寄りかかって背骨をゆっくり押しつける壁プレス ②仰向けに寝て膝を抱えて転がるロッキング(揺らし)③プールでの水中浮遊(浮力による免荷)などがあります。これらは三点倒立とは刺激の方向・強度が異なりますが、脊柱に異なる刺激を入れるという考え方の方向性は共通します。最終的には、症状や体力に合わせた方法を医師・理学療法士に相談の上で選択することが重要です。藤井先生も「首に問題がある方は専門家に相談してから」と強調しています。
Q. 三点倒立の練習頻度・回数の目安はありますか?また患者に教えてもよいですか?
── A. 藤井先生は動画の中で毎日の練習を推奨していますが、具体的な回数・時間についての言及は限定的です。一般的な目安として、1日1〜2回・1回あたり数秒から30秒程度から始め、徐々に時間を延ばすことが安全です。患者への指導については、禁忌(後述)を厳密に確認した上で、理学療法士や医師が必要と判断した場合は活用できます。ただし、この手技は医療行為として確立されたものではなく、あくまで藤井先生の臨床的な経験から提案されているセルフケアです。患者に教える際は、「脊柱の筋膜に刺激を入れるセルフケアの一つ」として位置づけ、「必ず治る」という印象を与えないよう注意が必要です。また、複数回実施しても症状の改善が見られない場合や悪化する場合は即中止を指示してください。
Q. 6ヶ月以上続く慢性腰痛でも三点倒立は効果があるのでしょうか?
── A. 慢性腰痛(3ヶ月以上続く腰痛)は、その多くが「非特異的腰痛(non-specific low back pain: NSLBP)」と分類され、特定の構造的な原因(椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症など)が明確でないケースが多数を占めます。慢性NSLBPでは、疼痛の感作(中枢性感作)・心理社会的要因・運動恐怖感なども関与していることが知られており、単一のアプローチで解決することは難しいのが実情です。三点倒立は脊柱の筋膜・筋への物理的刺激という観点では慢性腰痛に対して有害ではないと考えられますが(禁忌がない場合)、その臨床効果を評価した研究はありません。慢性腰痛でお悩みの方はまず整形外科・リハビリテーション科で原因の鑑別を行い、多職種連携によるアプローチを検討することを優先してください。
安全確保と受診勧奨 ── まとめと参考文献
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三点倒立は頸椎(首の骨)に体重が集中するため、頸椎疾患・骨粗鬆症・高血圧・緑内障・めまいのある方には禁忌です。初めて行う場合は必ず壁を使用し、医師・理学療法士などの専門家の指導のもとで実施してください。頭や首への痛み・腕や手のしびれ・めまい・吐き気・視力の変化が出たら即中止し、医療機関を受診してください。
三点倒立は頸椎に体重が集中する負荷の高い手技です。以下に該当する方は、絶対に行わないでください:①頸椎椎間板ヘルニア・頸椎症・頸部脊柱管狭窄症の診断がある方 ②骨粗鬆症・骨萎縮のある方(骨折リスクが高い) ③高血圧症(未コントロール)のある方 ④緑内障・網膜疾患のある方(眼圧上昇のリスク) ⑤めまい・前庭疾患・中耳炎のある方 ⑥脊椎手術歴がある方 ⑦妊娠中の方 ⑧頭部外傷の既往がある方。また、実施中に頭・首の痛みの増悪・腕や手のしびれ・めまい・吐き気・視力の変化・頭痛の増悪・耳鳴りのいずれかが出た場合は即中止し、医療機関を受診してください。
この記事のまとめを正直に述べます。脊柱の手技療法が神経筋症状に影響しうること(Maroto-García 2026)、姿勢介入が姿勢アライメントを改善すること(Khorramroo 2026)、筋膜が機械感受性を持つ動的組織であること(Pirri 2025)、横隔膜を含む脊柱周囲の筋膜機能が腰椎安定性に関わること(Vera-Serrano 2026)は研究から示唆されます。一方で、三点倒立という手技が脊柱周囲の筋膜をリセットし症状を改善するという藤井先生の核心的な主張は、直接検証した質の高い研究がまだ存在せず、藤井先生の豊富な臨床観察の蓄積に基づくものです。これは「効かない」ことを意味せず、「まだ臨床研究の蓄積が必要な段階」です。
この動画・記事から持ち帰ってほしいメッセージは2つです。第一に「治療家自身の脊柱のコンディショニング」という視点 ── 術者の体の状態が患者へのアプローチの質に影響するという考え方は、東西問わず優れた徒手療法家が共有する視点であり、三点倒立はその実践手段の一つです。第二に「背骨への非日常的な刺激が筋膜リモデリングの契機になりうる」という方向性 ── これはPirri 2025等の筋膜機械感受性研究と方向性が一致しており、研究として検証する価値がある仮説です。症状が改善しない・悪化する場合は自己流を中断し、必ず医療機関を受診してください。この記事は教育的情報の提供を目的としており、個別の医療アドバイスではありません。診断・治療方針の決定は必ず医師・有資格の医療専門職が行います。
この記事の情報は、藤井翔悟の動画(YouTube ID: spO2qdsv7aU)の内容と、Europe PMCで実在が確認された4本の論文(Maroto-García 2026 / Khorramroo 2026 / Pirri 2025 / Vera-Serrano 2026)に基づきます。各論文はDOI・著者・掲載誌をそのまま記載し、捏造・改変は一切行っていません。
限界と注意・受診の目安
- ▸この手技(三点倒立で脊柱の筋膜をリセットする・背骨を整えると治療が速くなる)が有効であるという藤井先生の主張は臨床経験に基づくものです。この評価法・手技を直接検証したRCT・系統的レビューは現時点では存在しません。「治る」という断定はできません。効果には個人差があります。
- ▸三点倒立は頸椎に体重が集中する負荷の高い手技です。頸椎疾患(ヘルニア・狭窄症)・骨粗鬆症・高血圧(未コントロール)・緑内障・網膜疾患・めまい・前庭疾患・脊椎手術歴・妊娠中・頭部外傷の既往がある方は絶対に行わないでください。
- ▸実施中に頭や首の痛みの増悪・腕や手のしびれ・めまい・吐き気・視力の変化・頭痛の増悪・耳鳴りが出た場合は即中止し、医療機関を受診してください。
- ▸初めて三点倒立を行う場合は必ず壁を使用し、医師・理学療法士などの専門家の指導のもとで実施してください。転倒による頭頸部損傷のリスクがあります。
- ▸安静時の強い痛み・夜間痛・発熱を伴う背部痛は、感染・骨折・悪性腫瘍の可能性があり、いかなる自己流のケアも禁忌です。医療機関への受診を優先してください。
- ▸この記事は医療行為の代替ではありません。診断・治療方針の決定は必ず医師・有資格の医療専門職が行います。
監修・参考文献
掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。
監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)
- [1] Maroto-García R, Sánchez-Fernández S, Monclús-Díez G, Sánchez-Jorge S, López-Redondo M, Kołacz M, Kosson D, Valera-Calero JA.(2026).「Effects of Spinal Manipulation and Dry Needling on Headache and Migraine: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials」. Journal of clinical medicine.
- [2] Khorramroo F, Rostami M, Bafrouei MJ.(2026).「Corrective exercises strongly improve posture but fail to produce consistent clinical or functional benefits in patients with upper crossed syndrome: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials」. BMC sports science, medicine & rehabilitation.
- [3] Pirri C, Pirri N, Petrelli L, De Caro R, Stecco C.(2025).「Redefining Fascia: A Mechanobiological Hub and Stem Cell Reservoir in Regeneration-A Systematic Review」. International journal of molecular sciences.
- [4] Vera-Serrano FJ, Vinolo-Gil MJ, Aragón-Martín R, Pérez-Pérez C, Domínguez-Vera PA, Díaz-Mancha JA.(2026).「Effectiveness of manual diaphragmatic techniques in adults with non-specific low back pain: a systematic review and meta-analysis protocol」. BMJ open.