FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE

エビデンスレベル:SR/メタ解析

顎関節・外側翼突筋リリース ── 首の痛みや肩こりと顎関節の意外な関係

こんな方へ:顎関節症(TMD)と診断されたが首の痛みや肩こりも改善しない方 / 口を開けるとクリック音がする・開口制限がある / 首の側屈・回旋が片側だけ制限される / 咀嚼時に顎が不安定・だるい感じがある / 顎関節と全身の関連を学びたい治療家・セラピスト

外側翼突筋(がいそくよくとつきん)は顎関節の関節円板と下顎頭頸部に停止し、咀嚼・開口・顎の前進・左右運動を担う深部筋です。体表から直接触れることはほぼできませんが、耳の付け根から前方へ指3本分の部位(頬骨弓下)から間接的にアプローチすることで、この筋の硬結を評価・リリースできます。治療家・藤井翔悟は動画の中で、外側翼突筋の硬結が首の側屈・回旋制限や肩こりに影響しうることを臨床経験から指摘し、外側からの圧迫+誘導動作による間接法を紹介しています。

監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-09-17

FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS

査読論文 4本と照合SR/メタ解析

藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持

研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。

藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。

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手技デモ(実演)

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動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス

EVIDENCE

藤井式の技術を、査読論文4本で支持する

本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文4本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。

FUJII METHOD

論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性

評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする

研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。

この記事で学べること/結論を先に

この記事は、治療家・藤井翔悟による顎関節(がくかんせつ)と首の痛みをテーマにした実技解説動画(YouTube ID: i9d1INVYcGc)の内容を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。テーマは4つ ── ①外側翼突筋とはどんな筋か(解剖・顎関節との関係) ②なぜこの筋が首の痛みや肩こりに関係するのか ③藤井先生が示す触診・評価の手順 ④外側からの間接法によるリリース。最初に率直に伝えます。この動画は「顎関節の痛みを直接治す」というシンプルなハウツーではありません。核心は「顎関節の外側翼突筋の硬結が、首の側屈・回旋制限や肩こりに影響しうる」という評価の発想を提示し、リリース前後で首の可動域・肩甲骨位置がどう変わるかを確かめる手技です。

この記事の2本柱を最初に示します。(A)動画の手技=藤井先生の臨床経験に基づく評価と着眼点。外側翼突筋の硬結が首・肩の症状に波及しうるという視点、耳の付け根から指3本前の位置を起点とした触診・評価・リリースの具体的手順。(B)周辺のエビデンス=顎関節症(TMD)の保存療法・筋膜リリース・衝撃波療法を扱った実在4本の論文。(A)と(B)は明確に区別して提示します。なお、動画の冒頭は「首の痛み」について言及しており、顎関節そのものの治療というよりも、顎関節の調整が首・肩に与える影響が動画の主眼に置かれています。

この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)

動画は藤井先生の触診の当て方・評価・リリースの発想を『体験』するもの。記事は『いま何を、なぜやっているか』と『どこまでが研究で、どこからが臨床経験か』を持ち帰る地図です。動画内で示される『外側翼突筋硬結→首の可動域・肩甲骨位置への影響』および『外側からの間接法でリリースできる』という主張は、藤井先生の豊富な臨床観察に基づくものであり、これを直接検証したRCTや系統的レビューは現時点では存在しません。医療情報として、研究の裏づけと臨床経験を正確に区別した上で読み進めてください。

背景 ── なぜ「首の痛み」に顎関節が関係するのか

首の痛みや肩こりを抱える患者の中に、顎関節症(temporomandibular disorder: TMD)を併発しているケースが少なくありません。日常臨床においても、「首が痛くて顎も気になる」「肩こりが治らないと思ったら顎のクリック音がある」という訴えを持つ方は珍しくありません。動画の冒頭で藤井先生が指摘するのも、この「首の痛み・肩こり」と「顎関節」の意外な関係です。顔面・顎関節周囲の筋肉の緊張が頸椎の動きに影響を与えていることがある──これが動画全体を貫くテーマです。

解剖学的な背景から考えると、顎関節と頸椎は密接な機能的連動関係にあります。咀嚼筋群(特に外側翼突筋・内側翼突筋・側頭筋・咬筋)は頭蓋骨と下顎骨をつなぎますが、頭蓋骨は頸椎(特に第1頸椎・第2頸椎)の上に乗っています。そのため咀嚼筋群の緊張は頭蓋骨の位置に影響し、それが頸椎のアライメントや筋群の緊張状態に波及します。また三叉神経(顎関節周囲の感覚を担う神経)と頸神経(首・肩の感覚を担う神経)は脳幹レベルで広く収束・連絡しており、顎と首の間には神経学的なクロストーク(信号の混線)が起こりやすいことが知られています。

動画でとくに注目されているのは外側翼突筋(lateral pterygoid muscle)です。この筋は深部に位置しており、通常の体表からの触診や施術が極めて難しい筋です。口腔内から直接アプローチする方法(口内法)もありますが、治療家側の技術的難度が高く、患者さんにとっても圧迫感が強い。そこで藤井先生が動画で紹介するのが、頬骨弓(ほおぼね)の下から指を当てる外側の間接アプローチです。この方法であれば自己ケアとしても応用できます。ただし外側翼突筋の硬結と首・肩への影響を直接結びつける高エビデンスの研究は現時点で限られており、この着眼点は主に藤井先生の豊富な臨床経験に基づくものです。

顎関節症(TMD)は非常に多くの人が経験する状態です。成人人口の20〜30%が何らかのTMD症状を持つとする推計もあります。顎のクリック音(開閉口時の雑音)、開口制限(口が大きく開かない)、咀嚼時の顎・こめかみ周囲の痛みが主な症状ですが、頭痛・耳鳴り・頸部痛・肩こりを伴うケースも多いことが臨床的に観察されています。この多様な随伴症状の中に首・肩の症状が含まれることが、動画の「顎関節と首の痛みの関係」というテーマの臨床的背景です。

外側翼突筋の解剖と機序 ── 顎関節円板への停止という特別な構造

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顎関節の解剖 ── 外側翼突筋と顎関節円板の関係
外側面 / lateral 関節円板 外側翼突筋(上頭) 外側翼突筋(下頭) 耳介側頭神経(黄) 上顎動脈(赤) 下顎頭 下顎枝 深部触診域

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顎関節(TMJ)は下顎頭(かがくとう)と側頭骨の関節窩(かんせつか)が合わさる関節です。上下の関節腔の間に関節円板(かんせつえんばん)があり、咀嚼運動の際に下顎頭のスムーズな滑走を助けます。外側翼突筋(がいそくよくとつきん)は関節円板と下顎頭頸部に停止し、口を開ける・顎を前に出す・左右に動かす動作に深く関与します。この筋が硬くなると顎のクリック音・開口制限・頭頸部の緊張につながりやすくなります。

外側翼突筋(lateral pterygoid muscle)は咀嚼筋群に属する深部筋で、上頭(じょうとう)と下頭(かとう)の2つの起始から構成されます。上頭は蝶形骨大翼の側頭下面から起こり、関節円板(かんせつえんばん)と関節包に停止します。下頭は蝶形骨翼状突起の外側板から起こり、下顎骨の関節突起頸部(下顎頭頸部)に停止します。上頭と下頭は機能的に異なる役割を持っており、下頭は開口・前進・外側偏位(左右への動き)に働き、上頭は閉口時に関節円板を安定させる役割を持つとされています。

関節円板(articular disc)への停止は、外側翼突筋の解剖学的・機能的な特異性です。顎関節の関節腔は上下に分かれており、その中間に位置するのが関節円板です。下顎頭が前進・後退・回転する際に、関節円板も適切に動く必要があります。外側翼突筋の上頭はこの関節円板を前方に引くことで、開口時に下顎頭と関節円板が協調して前方に滑走するよう調整します。この協調運動が崩れると、開口時のクリック音(関節円板のずれ・復位)や開口制限(関節円板の前方転位・非復位)が生じます。顎のクリック音の多くは、この関節円板と下顎頭の協調運動の乱れが背景にあります。

外側翼突筋の硬結(局所的な筋の収縮・緊張)が生じると、いくつかの問題が起きやすくなります。第一に、開口・前進動作時の筋の収縮がスムーズにいかなくなり、顎のクリック音や引っかかり感が増します。第二に、常に緊張した状態の外側翼突筋は、関節円板を前方に引き続けるため、関節円板が前方転位しやすくなります。第三に、外側翼突筋の緊張は隣接する内側翼突筋・側頭筋・咬筋にも波及し、頭蓋骨・下顎骨全体の筋膜テンションを高めます。そしてこの頭蓋骨全体の筋膜テンションの亢進が、頸椎深層筋群の緊張に影響するという臨床的な観察が、動画の核心です。

解剖学的な位置として、外側翼突筋は頬骨弓の内側・深部に位置します。耳の前方、顎関節のすぐ内側に当たる場所です。体表から直接触れることは難しく、口を大きく開けた際の関節窩(かんせつか)前方の軟部組織として、間接的に感じる程度です。動画で触診部位として挙げられているのは、耳の付け根(耳珠)から前方へ指3本分ほどの位置で、頬骨弓のやや下の深部です。ここを軽く押し込むとコリっとした硬結を感じることがあり、これが外側翼突筋の硬結の存在を示すサインとされています。

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外側翼突筋が硬いと出やすい症状 ── 首・肩への波及
1 2 3 外側翼突筋が硬いと出やすい症状 顎のクリック音・開口制限・咀嚼痛1首の側屈・回旋制限(片側性に出やすい)2肩こり・肩甲骨の高さの左右差3こめかみ〜頭頂の頭痛・頭重感 ※動画は臨床経験と筋膜理論に基づく観察であり、 全て研究で検証されているわけではありません。

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外側翼突筋が硬くなると(硬結が生じると)、顎の不快感・咀嚼時の鈍痛だけでなく、首の側屈・回旋制限、肩こり、頭痛などの全身的な緊張が出やすくなります。動画で藤井先生が指摘するのは、顎関節の問題が首の痛みや肩甲骨位置、さらには腕の長さの左右差にまで影響しうるという臨床観察です。これは主に筋膜連続性の理論と臨床経験に基づく考え方です。

動画の手技を図解で読む ── 評価・触診・リリース

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触診・評価 ── 耳の付け根から指3本前・深部の硬結
外側面 耳珠 触診ポイント(深部) 評価の手順 ① 首の可動域を記録 ② 硬結に指を当てる ③ 圧痛の有無を確認 → リリース後に  可動域・肩位置を比較

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外側翼突筋の硬結を体外から評価するには、耳の付け根(耳珠)から前方へ指3本分ほどの位置、頬骨弓(ほおぼね)のやや下の深部に指を当てます。コリっとした硬結や圧痛があれば陽性サインです。リリース前後で首の側屈・回旋の可動域、肩甲骨の位置、腕の長さの左右差を比較することで効果を評価します。

動画で示される手技の流れを、図解とともに具体的に追っていきます。まず評価から始めます。患者の首を側屈・回旋してもらい、可動域(どの方向に、どのくらい動かせるか)と痛みの有無・部位を記録します。この「ベースラインの評価」が、リリースの効果を後で確かめるための基準になります。動画では肩甲骨の高さの左右差や腕の長さの左右差も評価指標として用いています。これは全身の筋膜テンションのアンバランスを視覚的に確認する経験的な手法で、統計的な検証を受けた評価法ではありませんが、臨床での変化の「ビフォー・アフター」をわかりやすく伝えるための藤井先生の工夫です。

次に触診です。耳の付け根(耳珠)から前方へ指3本分ほどの位置に指を当てます。頬骨弓のやや下の深部で、顎関節のすぐ前方に当たります。ここを垂直に軽く押し込むと、外側翼突筋の硬結を「コリっとした抵抗感」として感じることがあります。同時に、押した際の圧痛(押すと痛い感覚)の有無も確認します。圧痛が強い場合、その部位が顎の症状や首の張りに関与している可能性がある、というのが動画の着眼点です。両側(左右)を評価し、圧痛や硬結の有無・強さを比べます。

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外側法リリースの手順 ── 圧迫+誘導動作(外側からの間接アプローチ)
顎を前後・左右に動かす誘導 外側翼突筋(深部) 指先:軽く圧迫 手順(間接法) ① 硬結に指を当てる ② 軽く圧迫を保つ ③ 顎を動かす誘導 → 強い圧は不要 → 両側を評価・施術 自己エクサとしても可

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動画で推奨されている手技は、口腔内から直接アプローチする直接法ではなく、頬骨弓下の皮膚面から指を当てる外側の間接法です。硬結部位を軽く圧迫しながら、患者に顎を前後・左右に動かす誘導動作を行わせることで、外側翼突筋に間接的な刺激を与えます。深部に位置する筋ゆえ強い圧力は不要で、「じんわり感じる」程度の圧が適切です。

リリースの実際の手順に進みます。動画で紹介されている方法は、口腔内からの直接アプローチ(口内法)ではなく、頬骨弓下から指を当てる外側間接法です。口内法はより外側翼突筋に近くアプローチできますが、技術的難度が高く、患者さんへの圧迫感も強い。外側間接法は、手技の難度が低く自己ケアとしても応用しやすいというメリットがあります。具体的な手順は以下の通りです。①触診で確認した硬結部位(耳前方・頬骨弓下)に指先を当てます。②指先を深部方向へ軽く押し込み、その状態を保ちます(強い圧力は不要。「じんわり感じる」程度)。③そのまま患者に顎をゆっくり前後・左右に動かす誘導動作を行わせます。これにより外側翼突筋が間接的に動かされ、硬結の解放が促されます。

リリースの後、再び首の側屈・回旋を評価します。可動域が広がった・痛みが軽減した・肩甲骨の高さの左右差が縮小した、というような変化が見られれば、外側翼突筋の硬結が首・肩の症状に関与していたことを示す可能性があります。動画ではこのリリース前後の変化を実際のデモンストレーションで確認しています。なお、片側だけでなく両側の外側翼突筋を評価・施術することも重要です。顎の問題は両側性に出ていることも多く、片側だけのリリースでは左右バランスが崩れる場合があります。

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顎関節と首の連動 ── リリース前後で変わること(藤井先生の臨床観察)
リリース前 リリース後 制限あり 左右差あり(高さ) 改善 左右差縮小 リリース ※藤井先生の臨床観察。研究による直接的検証は限定的です。

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外側翼突筋のリリース後に確認される変化として、動画では①首の側屈・回旋の可動域改善 ②肩甲骨の下降(高さの左右差が縮小)③腕の長さの左右差の縮小 が挙げられています。これらは藤井先生の臨床観察に基づくものです。首と顎関節の解剖学的・機能的連動については近年研究が蓄積しつつありますが、この動画で示される具体的な変化を直接検証した高エビデンスの研究は現時点では限られています。

症例の考え方・FAQ

Q. 顎のクリック音があるだけで首は痛くない場合、この手技は有効ですか?── A. 顎のクリック音のみの場合は、まず歯科口腔外科や口腔顔面痛の専門医への相談が優先されます。クリック音は関節円板の前方転位・復位の繰り返しが原因であることが多く、スプリント(マウスピース型器具)や口腔内アプローチが第一選択になるケースがほとんどです。外側翼突筋への外側アプローチは補助的なケアとしては有用ですが、クリック音のみで首・肩症状を伴わない場合は、動画の手技の主要な適応ではありません。

Q. セルフケアとして日常的に行ってもいいですか?── A. 動画では外側法が「セルフエクサとしても応用可能」とされています。日常的なセルフケアとして取り入れることは可能ですが、いくつかの注意点があります。①圧迫は「じんわり感じる」程度の軽い圧にとどめること。強い圧迫は顔面神経・耳下腺への不必要な刺激になります。②毎日長時間行う必要はなく、気になる部位を1〜2分程度確認・軽圧迫する程度で十分です。③強い痛みが出た場合や、症状が悪化した場合は中止して医療機関を受診してください。④顎の強い痛み・開口制限・ロッキングがある場合は自己流のケアではなく、歯科口腔外科への受診を優先してください。

Q. 顎関節症で長期間悩んでいます。この手技で治りますか?── A. 「治る」という断定はできません。顎関節症(TMD)は原因が多様で(関節内の問題・筋原性の問題・噛み合わせ・心理社会的要因など)、それぞれに適した治療法が異なります。動画で紹介される外側翼突筋への外側間接アプローチは、筋原性TMD(咀嚼筋の緊張・硬結が主因)や頸部症状を伴うTMDへの補助的なアプローチとして有望ですが、すべてのTMDに有効なわけではありません。長期間悩んでいる場合は歯科口腔外科・口腔顔面痛専門医の診断を受け、原因を特定した上で適切な治療を受けることが重要です。藤井先生の手技はその補助的な選択肢の一つとして理解してください。

Q. 治療家として患者に使う場合、どんなケースが適応になりますか?── A. 動画を踏まえた適応として考えられるのは、①筋原性TMD(咀嚼筋群の緊張・硬結が主体で、関節内の構造変化が少ないケース) ②顎関節症と頸部痛・肩こりを併発しているケース ③首の側屈・回旋制限があり、顔・顎関節周囲の筋の硬さも確認されるケース ④スプリント等の第一選択治療を受けながら、補助的な筋へのアプローチを加えたいケース、などです。一方、強い関節内病変(非復位性円板前方転位・変形性顎関節症)・顎の強い安静時痛・発熱・腫脹を伴うケース・外傷後の急性期は、まず専門医への紹介を優先してください。

安全・受診勧奨・まとめ

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安全マップ ── 強く押しすぎない・受診が必要なサイン
前面 / anterior 耳下腺 顔面神経(走行に注意) 外側翼突筋(施術域) 受診推奨のサイン ・口が1.5指幅以下しか開かない ・顎がロック(閉じられない) ・強い安静時痛・夜間痛 ・顔面の腫脹・発熱 → 歯科口腔外科または  口腔顔面痛専門医へ 強い圧力・急激な操作は避け、「じんわり」感じる程度の圧に留めてください

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外側翼突筋は深部に位置するため、強い圧力をかけても届きにくく、むしろ周囲の軟部組織への不必要な負荷になりかねません。顔面への施術は顔面神経や耳下腺(じかせん)・唾液腺の走行に注意が必要です。顎の痛みが強い・口が1.5指幅以上開かない・関節のロッキングが起きている場合は、歯科口腔外科または口腔顔面痛の専門医を受診してください。

外側翼突筋は深部筋ですが、外側からのアプローチが比較的安全に行えます。ただし顔面には顔面神経・耳下腺(じかせん)・その他の血管・神経が走行しており、強い圧力・急激な操作は避ける必要があります。以下のサインがある場合は自己流のケアを中止し、速やかに医療機関(歯科口腔外科・口腔顔面痛専門医)を受診してください。①口が1.5指幅(約25mm)以下しか開かない ②顎がロック状態になる(口が閉じられない、または開いた状態で止まる) ③強い安静時痛・夜間痛がある ④顔面・顎の腫脹・発熱がある ⑤外傷(打撲・交通事故など)後の顎の痛み・動きの異常。

まとめます。外側翼突筋は顎関節の関節円板に停止する深部筋で、咀嚼・開口・顎の前進・左右運動に不可欠な役割を担います。この筋の硬結は顎のクリック音・開口制限・咀嚼痛だけでなく、首の側屈・回旋制限や肩こりにも影響しうると藤井先生は臨床経験から指摘しています。エビデンスの観点からは、顎関節症の保存療法(徒手療法・超音波・筋膜リリースなど)が疼痛緩和と開口量改善に有効であることは複数のメタ解析で示されています。一方、外側翼突筋硬結と首・肩への影響を直接検証した研究は現時点では限られており、動画の核心的主張は臨床経験に基づく部分が大きいことを正直に記します。本記事の内容は専門医の診断・治療の代替にはなりません。

参考文献

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限界と注意・受診の目安

  • 顎関節症の治療方針は歯科口腔外科または口腔顔面痛専門医の診断のもとで決定してください。本記事は医療行為の代替ではありません。
  • 開口が1.5指幅以下・顎のロック・強い安静時痛・顔面の腫脹・発熱・外傷後の症状がある場合は速やかに医療機関を受診してください。
  • 外側翼突筋への外側アプローチは、強い圧力・急激な操作を避けてください。顔面神経・耳下腺の走行に注意が必要です。
  • 「外側翼突筋硬結が首の痛みや肩こりを起こしている」という考え方は藤井先生の臨床経験に基づくものです。この具体的な因果関係を直接検証した高エビデンス研究は現時点では限られています。
  • 効果には個人差があります。症状が改善しない場合や悪化する場合は中止して医療機関にご相談ください。
  • 妊娠中・顎関節への注射・手術直後・強い骨粗鬆症がある場合は専門家への相談のうえ行動してください。
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監修・参考文献

掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。

監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)

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  2. [2] Lin LH, Hsieh GJ, Lin TY, Chang KV, Wu WT, Özçakar L.2026).「Effectiveness of manual therapy, exercise, low-level laser therapy, ultrasound, and transcutaneous electrical nerve stimulation in reducing pain and improving mouth opening in temporomandibular joint disorders: A network meta-analysis of randomized controlled trials」. Medicine.
  3. [3] Chen L, Luo Y, Zhang L, Zhang X, Chen Y, Hu D.2026).「Extracorporeal shock wave therapy for temporomandibular disorders: efficacy on pain, maximal mouth opening, and dysfunction-a meta-analysis of randomized controlled trials」. Frontiers in rehabilitation sciences.
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