FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE

エビデンスレベル:SR/メタ解析

後脛骨筋リリース ── 内くるぶしの腱の“滑り”を取り戻し、足首と膝の動きを軽くする

こんな方へ:足首が上に反りにくい・しゃがみ込みが浅い / 膝の曲げ伸ばしに引っかかりや不安定感がある / 土踏まず・足の内側が疲れる・張る / 走り込みで足の内側〜すねの奥がだるい方、および“足首の硬さ”と“膝の違和感”のつながりを診たい治療家・ランナー

後脛骨筋(こうけいこつきん)は、下腿の最深部にある筋で、脛骨・腓骨・骨間膜から起こり、長い腱となって内果(内くるぶし)の後ろを回り込み、足裏の舟状骨などに停止する。足首の底屈・内反と、土踏まず(内側縦アーチ)の支持を担う要の筋である。治療家・藤井翔悟の実技動画は、深層の“筋腹”そのものではなく、内果の下を通る後脛骨筋腱の滑走性(滑りの良さ)を高めることに焦点を当てた手技を解説する ── この点を最初に明確に線引きしたうえで、腱を捉えて術者側へ引き出す手順、背屈・膝屈伸での前後比較の評価法を図解する。

監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-07-07

FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS

査読論文 5本と照合SR/メタ解析

藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持

研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。

藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。

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手技デモ(実演)

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動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス

EVIDENCE

藤井式の技術を、査読論文5本で支持する

本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文5本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。

FUJII METHOD

論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性

評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする

研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。

この記事で学べること/結論を先に

この記事は、治療家・藤井翔悟による「後脛骨筋(こうけいこつきん)の緩め方」と題された実技解説動画の中身を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。テーマは4つ ── ①後脛骨筋とはどんな筋か(解剖・機能) ②硬い・滑りが悪いとどんな症状が出るか ③どう触診・評価するか ④どうやって緩めるか。動画の柱は、深いところにある後脛骨筋の“筋腹”を頑張って押すのではなく、内くるぶし(内果)の下を通る後脛骨筋腱の“滑り(滑走性)”を取り戻す、という腱への一手です。

結論を先に言うと、この記事は2本柱で構成します。(A) 動画の手技=藤井先生の臨床経験に基づく、内果下の腱を捉えて術者側へ引き出すアプローチ。(B) その周辺を裏づける実在のエビデンス=足関節への徒手療法や自己筋膜リリースが、足首の可動域や機能に短期的な良い影響を与えうること。この2本を明確に分け、手技を『裏づけられる範囲で』科学と結びつけます。

この記事の2本柱 ── 体験(動画)と地図(研究)

動画=体験、記事=地図。動画は藤井先生の手の当て方・引く方向・テンポを“体験”するもので、記事は『いま何を、なぜやっているか』と『どこまでが研究で、どこからが臨床経験か』を持ち帰る地図です。動画に固有の主張(腱を引くと膝の屈伸まで変わる等)は藤井先生の臨床経験として明記し、研究の裏づけと区別します。あわせて読むと、見よう見まねではなく意味の分かった一手になります。

背景 ── なぜ“内くるぶしの奥”が足首と膝を左右するのか

足首が硬い、しゃがみ込むとかかとが浮く、膝を深く曲げると内側が詰まる ── こうした訴えは、スポーツをする人にも、デスクワーク中心の人にも、とてもありふれています。足首や膝そのものを一生懸命ほぐしても変わらないとき、見落とされがちなのが、すねの奥(下腿の深層)から内くるぶしの後ろを回って足裏へ向かう後脛骨筋とその腱です。表面からは見えにくく、ふくらはぎの腓腹筋やヒラメ筋(下腿三頭筋)の陰に隠れているため、意識にのぼりにくい筋なのです。

後脛骨筋は、足首を下に蹴り出す(底屈)と足裏を内へ返す(内反)働きに加えて、歩くたび・着地するたびに落ちてくる土踏まず(内側縦アーチ)を下から支える“アーチの要”です。ランニングや長時間の立ち仕事では、この筋と腱に繰り返し負荷がかかり、疲れがたまり、内くるぶしの後ろの曲がり角で腱の滑りが悪くなっていきます。腱が本来の“する〜っ”とした滑走を失うと、足首を反らせる動きにブレーキがかかり、しゃがみ込みが浅くなる、というのが動画の出発点にある見立てです。

さらに動画では、これが足首だけの問題にとどまらない、という視点が示されます。足首の背屈が制限されると、しゃがみ込みや膝の曲げ伸ばしの動きの質が変わり、膝の屈伸時の引っかかりや不安定感、ときには膝そのものに異常が見当たらない膝の痛みにまで影響が及ぶことがある ── というのです。『膝の痛みがない人でも、膝の屈伸に影響が出ている場合がある』。だからこそ、膝や足首を単独で診て行き詰まったとき、内くるぶしの奥の腱に目を向けてみる。この発想の転換自体が、この動画から持ち帰れる学びのひとつです。

足首→膝の“つながり”の位置づけ

『足首の動きが膝の動きに影響する』という運動連鎖(キネティックチェーン)の考え方自体は、リハビリ・トレーニングの領域で広く用いられています。ただし、この動画で語られる『内果の腱を引くと“その場で”膝の屈伸が軽くなる』という具体的な即時反応は、主に藤井先生の臨床経験に基づく観察です。運動連鎖の一般論と、この特定の即時効果は分けて受け取るのが適切です。

後脛骨筋とは ── すねの奥から内くるぶしの後ろを回る筋

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後脛骨筋の解剖 ── すねの奥から、内くるぶしの後ろを通って足裏へ
内側面 / medial 後脛骨筋(深層) 内果(内くるぶし) 後脛骨筋腱 舟状骨(停止部) 脛骨(すね) 腓骨 後脛骨動脈 後脛骨静脈 脛骨神経(足根管)

図は横にスワイプして拡大表示できます

後脛骨筋(こうけいこつきん)は、ふくらはぎの最も深いところにある筋です。すねの骨(脛骨)と外側の骨(腓骨)の奥、骨と骨のあいだの膜(骨間膜)から始まり、長い腱になって内くるぶし(内果)の“後ろ”を回り込み、下でぐいっと前へ曲がって足裏の骨(舟状骨など)に停止します。働きは足首を下に蹴る(底屈)と足裏を内へ返す(内反)、そして土踏まず(内側縦アーチ)を支えること。内くるぶしの後ろには後脛骨動脈(赤)・静脈(青)と脛骨神経(黄)が一緒に通ります。

後脛骨筋(こうけいこつきん)は、下腿(すね〜ふくらはぎ)の最も深い層にある筋です。すねの骨(脛骨)と外側の細い骨(腓骨)の奥、そして両者のあいだに張る膜(骨間膜)から始まります。筋腹は下腿の深部を縦に走り、下方で1本の丈夫な腱にまとまります。この腱が、内くるぶし(内果)の“後ろ”を回り込み、そこから前下方へぐいっと曲がって、足裏の舟状骨(しゅうじょうこつ)をはじめとする複数の骨に停止します。

図で押さえてほしいのが、内果の後ろの“曲がり角”です。腱はここで骨のふちを滑車(プーリー)のように回り込みます。滑車にかかったロープが滑らかに動いてこそ力がうまく伝わるように、この腱も内果の後ろをする〜っと滑ることで、はじめて足首と足のアーチをスムーズに動かせます。逆にこの曲がり角で滑りが悪くなると、動きの効率が一気に落ちます。動画で藤井先生が『内果の下のグリグリした部分』として繰り返し指し示すのが、まさにこの腱の滑車部です。

後脛骨筋の働きは大きく2つ。ひとつは足首を下に蹴る(底屈)と足裏を内へ返す(内反)という関節運動。もうひとつは、体重がかかったときに落ちてくる土踏まず(内側縦アーチ)を下から吊り上げるように支えること。この“アーチ支持”の役割があるため、後脛骨筋の働きが弱ったり腱の状態が悪くなると、土踏まずが崩れて足の内側が疲れやすくなる、といったサインにつながりえます。臨床でも運動学的にも登場頻度の高い、足の縁の下の力持ちのような筋です。

そしてもうひとつ、安全のうえで絶対に押さえておきたい解剖があります。内果の後ろには、後脛骨筋腱と並んで、後脛骨動脈・後脛骨静脈と脛骨神経が“足根管(そっこんかん)”というトンネルを通っています。つまり内くるぶしの後ろは、腱だけでなく血管と神経が密集する要注意ゾーンでもあるのです。ここを強く・速く押し込むのは避けるべきで、この点は最後の安全の章でもう一度詳しく扱います。

動画の要点 ── “腱の滑車部”に注目する

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動画の要点 ── 内くるぶしの“後ろ”を回る腱(滑車部)に注目
内側面 内果 腱の滑車部(曲がり角) 後脛骨筋腱 癒着しやすい部(下腿三頭筋・アキレス腱の近く) 足裏側(舟状骨へ) この図のポイント ・腱は内果の後ろを“滑車”のように回る ・曲がり角は滑りが悪くなりやすい ・動画は腱の滑走性へのアプローチ ※筋腹そのもののリリースとは  焦点が異なる可能性が高い

図は横にスワイプして拡大表示できます

この動画で藤井先生が繰り返し指し示すのが、内くるぶし(内果)の下〜後ろにある“グリグリした部分”=後脛骨筋腱です。腱はここで骨のふちを滑車(プーリー)のように回り込みます。この曲がり角の部分は、下腿三頭筋やアキレス腱の近くで滑りが悪くなり(癒着し)やすいと説明されます。動画の手技は、この腱の“滑走性(すべりの良さ)”を高めることを狙ったものです。※後脛骨筋の筋腹そのものではなく、腱の通り道への働きかけである点を押さえておきましょう。

動画前半で藤井先生が焦点を当てるのが、この腱の滑車部です。脛骨の内側縁から内くるぶしにかけて指でたどっていくと、内果の下〜後ろに“グリグリした部分”が触れます。これが内果の後ろを回る後脛骨筋腱で、藤井先生はここを『腱の滑車の部分』と呼び、手技の中心に据えます。腱がこの曲がり角を滑らかに通れるかどうかが、足首の動きやすさを左右する ── というのが動画の見立てです。

また動画では、腱が下腿三頭筋(ふくらはぎの腓腹筋・ヒラメ筋)との境目や、アキレス腱の近くで“ガチガチ”になり、癒着(組織どうしがくっついて滑りが悪くなること)を起こしやすい、という点も指摘されます。すねの内側縁から内果にかけて触っていくなかで、こうした硬く滑りの悪い部分を探し出すのが評価の第一歩です。ここで大切なのは、動画のねらいが後脛骨筋の“筋腹をほぐす”ことではなく、腱の“通り道の滑りを取り戻す”ことにある、という点です。深層の筋腹に直接届かせようと強く押し込むのではなく、触れやすい腱そのものに働きかけるからこそ、比較的安全で再現しやすい手技になっています。

硬い・滑りが悪いと、どんなサインが出るか

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後脛骨筋(腱)が硬い・滑りが悪いと出やすいサイン
内側面 1 2 3 4 硬い・滑りが悪いと出やすいサイン 1足首が上に反りにくい(背屈制限)→ しゃがみが浅い2膝の屈伸時の引っかかり・不安定感3膝の痛み(膝自体に異常がなくても)4土踏まず・足の内側の疲れ・張り ※症状の原因は後脛骨筋だけとは限りません。  当てはまっても自己診断はしないこと。

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動画で挙げられる、ここが硬いときの特徴。①足首を上に反らせにくい(背屈制限)── しゃがみ込みが浅くなる ②膝を曲げ伸ばしするときの引っかかり・不安定感 ③膝の痛み(膝そのものに異常がなくても屈伸に影響が出ることがある)。加えて後脛骨筋は土踏まずを支える筋のため、④長く歩くと足の内側・土踏まずが疲れる・張るといったサインにも関わりえます。『膝の痛みがない人でも屈伸に影響が出ている場合がある』というのが動画の視点です。

動画で挙げられる、後脛骨筋(腱)の状態が悪いときのサインを整理します。①足首を上に反らせにくい(背屈制限)── 結果としてしゃがみ込みが浅くなり、かかとが浮きやすくなります。②膝の屈伸時の引っかかりや不安定感 ── 膝を曲げ伸ばしするときに、スムーズさが失われたり、ぐらつく感じが出ることがあります。③膝の痛み ── 膝そのものに明らかな異常が見当たらなくても、屈伸の動きに影響が出て痛みとして感じられることがある、と説明されます。

加えて、後脛骨筋は土踏まずを支える筋であるため、④長く歩いたり走ったりすると足の内側・土踏まずが疲れる・張る、といったサインにも関わりえます(これは後脛骨筋のアーチ支持機能からの一般的な推測を含みます)。臨床での使い方としては、これらを『疑いのチェックリスト』にするのが実践的です。足首の背屈が出にくい、しゃがみが浅い、膝の屈伸がどうもすっきりしない ── そんなとき、足首や膝を局所的に診て原因が引っかからなければ、内くるぶしの奥の腱を疑ってみる、という順序です。

この症状リストの位置づけ

背屈制限・しゃがみの浅さは後脛骨筋以外にも、腓腹筋・ヒラメ筋・足関節前方のつまり・距骨の動きなど多くの要因で起こります。ここに挙げたサインは『後脛骨筋(腱)を疑うきっかけ』であって、当てはまるからといって原因が後脛骨筋だと確定するものではありません。必ず複数の評価を組み合わせ、自己診断は避けてください。

触診と評価 ── たどり方と、必ず“前後で比べる”こと

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触診と評価 ── すねの内側縁〜内果をたどり、前後で比べる
内側面 1 2 3 たどる順(触診) 1脛骨の内側縁(上のほう)2下腿三頭筋との境・アキレス腱の近く3内果の下のグリグリした腱(滑車部) 評価は“前後で比較” ・膝を曲げた状態での足首の背屈 ・膝の屈伸/しゃがみ込みの深さ・安定感 → 施術した側と反対側を見比べる

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触診は、すねの骨(脛骨)の内側縁から内くるぶし(内果)にかけて指でたどります。特に、下腿三頭筋との境目やアキレス腱の近くでガチガチに硬くなっている部分、そして内果の下の“グリグリした腱”を探します。評価は必ず“前後比較”で。施術の前後で、膝を曲げた状態での足首の背屈(反らしやすさ)と、膝の屈伸・しゃがみ込みの深さ・安定感を左右で見比べます。動画では片側(右足)だけ行い、反対側(左足)と比べて変化を確認しています。

触診は、すねの骨(脛骨)の内側縁から内くるぶし(内果)に向かって、指でゆっくりたどっていきます。特に注目するのは3か所。①脛骨内側縁の上のほう ②下腿三頭筋との境目やアキレス腱の近くでガチガチに硬くなっている部分 ③内果の下の“グリグリした腱”(滑車部)です。強く押し込むより、皮膚の下の腱の“筋(すじ)”を指の腹で感じ取るようにたどるのがコツです。動画でも、この内果下の腱をしっかり捉えることが手技の前提になっています。

そして、この記事でいちばん強調したい評価原則が“前後比較”です。施術の前と後で、同じ動作を左右で見比べて、変化を確かめます。動画で示される比較は2つ。ひとつは、膝を曲げた状態での足首の背屈(どれだけ楽に上へ反るか)。もうひとつは、膝の屈伸・しゃがみ込みの深さ・安定感です。藤井先生は片側(動画では右足)だけに手技を行い、施術していない反対側(左足)と比べることで、その場の変化を確認しています。片側だけ行って左右差を見るこの方法は、変化を体感的につかみやすく、独りよがりを防ぐ良い手順です。

動画を受け身で眺めるより、次の3つの視点で観ると学びが深まります。1つ目は『どこを触っているか』── 図の解剖・位置(脛骨内側縁→内果→腱の滑車部)と重ねながら見る。2つ目は『何を確認しているか』── 触れた部分が本当に腱の滑車部か、癒着で硬くなっていないかを確かめる場面に注目する。3つ目は『前後でどう変わったか』── 背屈と膝屈伸の左右差が施術の前後でどう動いたかを見る。この3点で、同じ動画から得られる情報量が大きく変わります。

動画の核心

リリースの手順 ── 腱を捉え、術者側へ“キューっと”引く

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リリースの手順 ── 内果の腱を捉え、術者側へ“キューっと”引く
内側面 3 術者側へ引く 手順 1仰向け・膝を軽く曲げる2術者は足元に座る3内果下の腱(滑車部)を捉える4内果から遠ざかる方向へ“キューっと”引く5グリグリ動かし、緩む感覚を待つ6その下の部分も同様に ※腱を直接ねらう“直接法”に近い手技

図は横にスワイプして拡大表示できます

動画の手技の手順。①患者は仰向けで膝を軽く曲げる。②術者は足元に座る。③内くるぶしの下のグリグリした腱(滑車部)をしっかり捉える。④捉えた腱を、内果から遠ざかる方向(術者の方)へキューっと引っ張るように、グリグリと動かす。⑤この動作を繰り返して腱の滑走性を高め、“緩んでくる(組織が反応して呼んでくる)”感覚を得る。⑥滑車部がゆるんだら、その下の部分も同様にリリースする。腱を直接ねらう“直接法”に近い手技です。

ここが動画の核心です。手技の流れはシンプルで、①患者は仰向けになり、膝を軽く曲げてもらいます。②術者は患者の足元に座ります。③内くるぶしの下のグリグリした腱(滑車部)を、指でしっかり捉えます。④捉えた腱を、内果から遠ざかる方向(=術者のほう)へ、キューっと引っ張るように動かします。グリグリと小さく動かしながら引くのがポイントです。⑤この動作を繰り返すと、腱の滑走性が高まり、藤井先生の言葉で言う『緩んでくる』『組織が呼んでくる』ような、反応してゆるむ感覚が得られます。⑥腱の滑車部がゆるんだら、その下(末梢側)の部分も同様にリリースしていきます。

この手技は、腱を直接ねらって動かす“直接法”に近いものです。深部の筋腹を間接的にゆるめようとするのではなく、触れられる腱そのものを対象にする点で、狙いが明確で再現しやすいのが特徴です。強い力で押し潰すのではなく、腱を“捉えて・引いて・滑らせる”という動きが中心である点も押さえておきたいところです。強さより、腱の走行と滑車部を正確に捉えられているかが結果を分けます。

(実践のヒント・一般的な推奨)どの部分をリリースしたあとも、最初に決めた“前後比較”の指標(膝を曲げた背屈、膝の屈伸・しゃがみの深さと安定感)に必ず戻って、変化を確かめることをおすすめします。施術した側と反対側を見比べ、狙った動きが軽くなったかを毎回チェックする ── この再評価の習慣が、経験を『再現できる技術』に変えていきます。強い圧を毎回加えるより、変化を確認しながら無理のない範囲で繰り返すほうが、腱にも神経・血管にもやさしく、現実的です。

症例の考え方・よくある質問(FAQ)

(※以下は特定の個人の記録ではなく、この動画の視点を臨床でどう使うかを示す“考え方”の例です。)たとえば、しゃがみ込むとかかとが浮き、深くしゃがめないという相談。足首の背屈を膝を曲げた状態で見ると、左右差があり片側が明らかに反りにくい。足首の前面や腓腹筋を評価しても決定打がないとき、内くるぶしの後ろの腱の滑車部をたどると、片側だけガチガチで滑りが悪い ── こうした場合に、腱の滑走性を高める手技を試し、施術前後で背屈としゃがみの深さを左右で見比べる、という流れです。あくまで“その場の変化を確認しながら進める”のが原則で、変化が乏しければ別の原因を探します。

Q. これで足首の硬さや膝の違和感は治りますか? ── A.『治る』とは言えません。研究で支持されているのは『足関節への徒手療法や自己筋膜リリースが、足首の可動域・機能に短期的な良い影響を与えうる』ことまでで、後脛骨筋腱を引くこの特定の手技や、膝の屈伸との連動そのものは臨床経験の段階です。原因が別(腓腹筋の硬さ、関節そのもの、神経の問題など)にある場合は別の対応が必要で、危険なサインがあればまず受診を優先してください。

Q. 痛いほど効きますか? ── A. いいえ。強い痛みは逆効果になりやすく、特に内くるぶしの後ろは神経・血管が通るため危険でもあります。目安は『痛気持ちいい』まで。腱を“捉えて滑らせる”感覚が中心で、力の強さと効果は比例しません。足裏や足指へ広がるしびれが出たら、すぐに中止してください。

Q. これは後脛骨筋の“筋肉”をほぐしているのですか? ── A. 厳密には、この動画の手技は後脛骨筋の筋腹そのものではなく、内くるぶしの下を通る後脛骨筋“腱”の滑走性への働きかけが中心です。筋腹は下腿の深層にあって表面から直接触れにくいため、動画は触れられる腱を対象にしています。『後脛骨筋周辺(腱)を整える手技』と理解するのが正確です。

Q. 自分でセルフケアしてもいいですか? ── A. 内くるぶしの後ろは神経・血管が集まる場所(足根管)なので、強く押し込むセルフケアはおすすめしません。行うなら、腱の走行に沿ってやさしく触れる程度にとどめ、しびれ・拍動を感じたら中止してください。足首の背屈を出したいだけなら、ふくらはぎのやさしいストレッチや、痛みのない範囲でのしゃがみ動作の練習など、より安全な方法から始めるのが現実的です。

まとめ

後脛骨筋は、すねの奥から内くるぶしの後ろを回って足裏へ向かう、足首の底屈・内反と土踏まずの支持を担う深部の筋です。動画『後脛骨筋の緩め方』が実際に扱うのは、この筋の“筋腹”そのものではなく、内果の下を通る後脛骨筋“腱”の滑車部 ── その癒着を剥がし、滑走性を取り戻す手技です。手順は、仰向け・膝を軽く曲げ、内果下の腱を捉えて術者側へキューっと引き、グリグリ動かして緩む感覚を待ち、その下も同様に。そして必ず、膝を曲げた背屈と膝の屈伸・しゃがみの深さを、施術した側と反対側で前後比較する ── これがこの動画の核心です。

研究の面では、『足関節への徒手療法や自己筋膜リリースが、足首の可動域・機能に短期的な良い影響を与えうる』という大枠にシステマティックレビュー・メタ解析の支持があります。だからこそ断定はせず、どこまでが研究でどこからが藤井先生の臨床経験かを線引きして示す ── それがこのサイトの姿勢です。そのうえで、手の当て方・引く方向・テンポといった細部は、ぜひ動画本編とあわせてご覧ください。動画で“体験”し、この記事で“意味”を持ち帰っていただければと思います。

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実践チェックリスト

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この手技が使われた改善症例

※ いずれも本人の同意を得て匿名化した記録です。経過には個人差があります。

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限界と注意・受診の目安

  • 内くるぶし(内果)の後ろには後脛骨動脈・静脈と脛骨神経が通ります(足根管)。強く・速く押し込むのは避け、拍動や足裏・足指へ広がるしびれを感じたらすぐ中止してください。
  • 片脚だけのふくらはぎ・足首の腫れ・熱感・赤み・強い痛みは深部静脈血栓症のサインのことがあり、自分でマッサージせず速やかに医療機関を受診してください。糖尿病などで足の感覚が鈍い方、強い変形・腫れのある方は自己流で行わないでください。
  • このタイトルは『後脛骨筋』ですが、動画で示される手技は内果下を通る後脛骨筋“腱”の滑走性への働きかけが中心で、筋腹そのもののリリースとは焦点が異なります。本記事はその線引きを保って解説しています。
  • 『内果の腱を引くと膝の屈伸が変わる』等の連動は藤井先生の臨床経験に基づく見立てで、この特定の手技を直接検証した質の高い研究はまだ乏しく、引用文献は足関節徒手療法・筋膜リリース全般など隣接領域からの援用です。
  • 効果には個人差があり、すべての足首の硬さ・膝の違和感に有効なわけではありません。本記事は診断や施術の代替を目的としたものではなく、危険なサインがある場合は受診を優先してください。
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監修・参考文献

掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。

監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)

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