FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE

エビデンスレベル:専門家意見

上腕二頭筋長頭腱リリース ── 肩の痛みを“結節間溝”から読み解く

こんな方へ:腕を挙げると肩の前が痛む / 腱板損傷と言われた・疑われている / 首の痛みが肩とセットで気になる / 施術しても肩の痛みが戻りやすい方、および“肩の痛みと長頭腱”を扱いたい治療家・トレーナー

上腕二頭筋の長頭腱は、大結節と小結節のあいだの結節間溝(けっせつかんこう)を通り、上腕骨頭を求心位に保つ役割を担う。腱板(回旋筋腱板)が損傷すると、その安定化の役割を長頭腱が肩代わりして過負荷となり、炎症や周囲組織との癒着を起こしやすい。

監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-07-11

FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS

査読論文 5本と照合SR/メタ解析

藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持

研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。

藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。

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手技デモ(実演)

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動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス

EVIDENCE

藤井式の技術を、査読論文5本で支持する

本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文5本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。

FUJII METHOD

論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性

評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする

研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。

この記事で学べること/結論を先に

この記事は、治療家・藤井翔悟による肩の痛みの実技解説動画の中身を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。動画のテーマは、上腕二頭筋の『長頭腱(ちょうとうけん)』と肩の痛み、とくに腱板損傷との関連です。扱う柱は4つ ── ①上腕二頭筋・長頭腱とはどんな構造か(解剖・機能) ②硬くなる・癒着するとどんな症状が出るか ③どう触診・評価して原因を絞り込むか ④どうやって緩めるか。この動画には大きな特徴があります。それは、『長頭腱そのものを闇雲に押すのではなく、結節間溝を圧迫しながら肩や首を動かし、癒着した結合組織の滑走を促して剥がす』という、圧迫と運動を組み合わせた評価・リリースの発想です。

結論を先に言うと、この記事の骨組みは2本柱です。(A) 動画の手技=藤井先生の臨床経験に基づく評価(結節間溝を圧迫しながら肩の屈曲・首の側屈を行わせて痛みの変化を診る)と、リリース(圧迫下で動かして癒着を剥がす直接法に近い手技)。(B) その周辺を裏づける実在のエビデンス=筋膜療法(myofascial therapy)が関節の痛みを軽くしうること、徒手療法・軟部組織アプローチや運動連鎖に関する系統的レビューの知見です。この2本を明確に分け、手技を科学で“裏づけられる範囲で”裏づけます。あらかじめ正直に言えば、(B) の研究はいずれも上腕二頭筋長頭腱だけに完全特化した強い証拠ではなく、まして『腱板の代償で長頭腱が過負荷になる』『圧迫下で動かすと癒着が剥がれる』という(A)の中核を直接支えるものではありません。

この記事の2本柱 ── 体験(動画)と地図(研究)

動画=体験、記事=地図。動画は藤井先生の触診の当て方・疼痛誘発の見方・アプローチの発想を“体験”するもので、記事は『いま何を、なぜやっているか』と『どこまでが研究で、どこからが臨床経験か』を持ち帰る地図です。とくに“腱板の代償で長頭腱が過負荷になり癒着する”“圧迫下で動かすと滑走が回復する”という動画の主張は、臨床経験に基づく考え方として明記し、研究の裏づけと厳密に区別します。

背景 ── なぜ肩の痛みで“長頭腱”を疑うのか

肩の痛みは、整形外科の外来でも治療院でも、非常に頻度の高い訴えです。その原因を考えるとき、多くの人がまず思い浮かべるのは腱板(回旋筋腱板=棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの腱の集まり)でしょう。腱板は上腕骨頭を関節の受け皿(関節窩)に引きつけ、安定させる要の構造です。しかし動画で藤井先生が光を当てるのは、その腱板と“セットで”問題になりやすい、上腕二頭筋の長頭腱です。

上腕二頭筋というと、力こぶをつくる“肘を曲げる筋”という印象が強いかもしれません。ところが長頭腱は、肘から遠く離れた肩の関節の中を通り、上腕骨頭のすぐ上を橋渡しするように走っています。この走行のおかげで、長頭腱は肘だけでなく肩の安定にも一役買っています。つまり長頭腱は、肘の筋でありながら“肩の安定装置の一部”でもある、という二面性を持つのです。ここが、肩の痛みで長頭腱を無視できない理由の出発点になります。

藤井先生が強調するのは、『腱板が傷むと、上腕骨頭を安定させる役割を長頭腱が肩代わりする』という代償の考え方です。腱板の働きが落ちると、関節を安定させる負担のしわ寄せが長頭腱に集中し、過負荷になる。その結果、長頭腱そのものに炎症が起きたり、腱が通る結節間溝の周囲で結合組織(筋膜・ファシア)と癒着したりして、腱が滑らかに滑れなくなる(滑走障害)。すると、腕を挙げるたびに痛む、動かし始めに引っかかる、といった症状につながりうる、という見立てです。これは解剖学的にも筋の通った臨床仮説ですが、あくまで臨床経験に基づく見立てであり、すべての肩の痛みに当てはまる確立された因果ではありません。

この記事では、その見立てを図解で分かりやすく紹介しつつ、最後に必ず『どこまでが研究で言えて、どこからが経験の領域か』を線引きします。肩の痛みは、腱板断裂・関節唇損傷・肩関節周囲炎(いわゆる四十肩・五十肩)・頸椎由来の関連痛など、原因が多岐にわたる領域でもあります。だからこそ、一つの見立てを鵜呑みにせず、危険なサインの見分け方(後述)とあわせて理解することが大切です。

上腕二頭筋と長頭腱の解剖 ── 結節間溝を通る“肩の安定装置”

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上腕二頭筋と長頭腱 ── 結節間溝を通り、肩を安定させる
前面 / anterior 長頭腱(起始:関節上結節) 結節間溝 烏口突起・短頭 上腕二頭筋(筋腹) 大結節 小結節 上腕骨頭 橈骨粗面(停止) 機能:肩屈曲/肘屈曲/ 前腕の回外

図は横にスワイプして拡大表示できます

上腕二頭筋は長頭・短頭の2つの起始をもつ。長頭腱は肩甲骨の関節上結節から起こり、大結節と小結節のあいだの『結節間溝(けっせつかんこう)』を通って上腕骨頭を求心位(関節の中心)に保つ。短頭は烏口突起から起こる。2つの筋腹は合流し、橈骨粗面と上腕二頭筋腱膜に停止する。働きは肩関節の屈曲・肘関節の屈曲・前腕の回外。

上腕二頭筋は、その名のとおり2つの頭(起始)を持ちます。ひとつは肩甲骨の『関節上結節(かんせつじょうけっせつ)』から起こる長頭、もうひとつは肩甲骨の前にある『烏口突起(うこうとっき)』から起こる短頭です。長頭の腱は関節の中を通ったあと、上腕骨の前面にある大結節と小結節のあいだの溝 ── 『結節間溝(けっせつかんこう。二頭筋溝とも呼ばれます)』── に入り込み、そこを通って下降して筋腹に続きます。2つの筋腹は合流して1本の遠位腱となり、前腕の橈骨にある橈骨粗面と、腱膜(上腕二頭筋腱膜)を介して前腕の筋膜に停止します。

機能は3つに整理できます。①肩関節の屈曲(腕を前に挙げる補助) ②肘関節の屈曲(力こぶをつくる主役の動き) ③前腕の回外(手のひらを上に向けるひねり)です。とくに回外は上腕二頭筋の得意技で、ドアノブを回す・ドライバーで締める、といった動作で強く働きます。そして解剖学的に見逃せないのが、長頭腱が上腕骨頭のすぐ上を通ることで、骨頭を関節の受け皿の中心に保つ『求心位(きゅうしんい)』の維持を手伝っている、という点です。動画で藤井先生が指摘するのは、まさにこの安定化の役割です。

結節間溝は、腱がその中を滑り動く“レール”のような場所です。腕を挙げ下げするたびに、長頭腱はこの溝の中を上下に滑ります。溝には腱を溝内に留めておく靭帯や滑膜(腱の滑りを助ける薄い膜)があり、ここが炎症を起こしたり、周囲の結合組織と癒着したりすると、腱の滑らかな滑走が妨げられます。図では、大結節(外側)・小結節(内側)・そのあいだの結節間溝・溝を通る長頭腱・上腕骨頭・烏口突起から来る短頭、という位置関係を確認してください。触診や手技で狙う『結節間溝』が、肩のどのあたりにあるのかを立体的につかむことが、この後の理解の土台になります。

“結節間溝”は肩の前面で触れられる

結節間溝は、肩の真正面よりわずかに外側、腕を軽く外にひねる(外旋する)と触れやすくなる位置にあります。骨の出っぱり(大結節・小結節)にはさまれた縦の溝で、押すと圧痛が出やすい場所です。ここを正確に捉えられるかどうかが、評価と手技の精度を左右します。図の位置関係を手元の肩に重ねながら確認してみてください。

硬い・癒着すると出る症状 ── 挙上時の肩の痛みと、首の痛み

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硬いと出る症状 ── 挙上時の肩の痛みと、腱板の代償
前面 1 2 挙上 硬い・癒着で出やすい症状 1挙上時の肩の前の痛み(結節間溝部)2首の痛み(側屈で変化することがある) 腱板の代償という考え方 腱板が傷むと、上腕骨頭を安定させ る役割を長頭腱が肩代わり → 過負荷 → 炎症・癒着が起きやすい ※臨床的な見立て。症状には個人差

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動画の要点。腱板(回旋筋腱板)が損傷すると、上腕骨頭を安定させる役割を長頭腱が肩代わりし、過負荷になりやすい。その結果、長頭腱に炎症や周囲組織との癒着が起こり、特に腕を挙げる動作(挙上)で肩の前が痛む。関連して首の痛みを訴えるケースもある。※これらは藤井先生の臨床的な見立てで、症状には個人差がある。

動画で藤井先生が挙げる代表的な症状は、まず『腕を挙げる動作(挙上)での肩の前の痛み』です。長頭腱は挙上のたびに結節間溝の中を滑るため、腱に炎症や癒着があると、この滑りが引っかかって痛みが出やすくなります。特に、腕を前から上げていく途中や、頭の上へ手を伸ばす動作で、肩の前面(結節間溝のあたり)にズキッとくる痛みが典型です。

この痛みの背景として動画が重視するのが、前述の『腱板の代償』です。腱板が損傷して上腕骨頭を安定させる力が落ちると、そのぶんの安定化を長頭腱が肩代わりします。長頭腱は本来そこまで大きな安定化を担う設計ではないため、負担が集中すると過負荷となり、炎症や癒着を起こしやすい ── という流れです。だからこそ藤井先生は、『腱板損傷と診断された患者では、長頭腱の評価と治療が必須だ』と述べています。腱板だけを診て長頭腱を見落とすと、痛みの一因を取り残してしまう、という警鐘です。

もうひとつ、動画で触れられるのが『首の痛み』との関連です。結節間溝を圧迫しながら首を横に倒す(側屈する)と、痛みが軽減するケースがある、という観察が紹介されます。これは、長頭腱まわりの結合組織の緊張・癒着が、筋膜のつながりを介して首の症状にも関わりうる、という見立てです。肩と首は解剖学的にも隣り合い、筋膜連鎖でつながる領域なので、両者がセットで語られること自体は自然です。ただし『長頭腱を扱うと首がゆるむ』という遠隔の関連は、主に臨床経験に基づく見立てであり、強い研究で確立されたものではない点は正直にお伝えします。

症状マップの位置づけ

ここで挙げた『挙上時の肩の痛み』『首の痛みとの関連』は、動画で語られる藤井先生の臨床的な見立てです。長頭腱の炎症・腱鞘炎が挙上時の肩前面痛を起こしうることは臨床でよく知られていますが、首との遠隔の関連や具体的な癒着の機序までを、この筋に特化して検証した質の高い研究は限られます。

動画の核心①

評価・触診 ── 結節間溝を押さえて“動かして”変化を診る

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評価・触診 ── 結節間溝を押さえて“動かして”変化を診る
前面(拡大) 大結節 小結節 結節間溝を圧迫 圧迫しながら動かして診る ① 圧迫+肩関節の屈曲 → 痛みの変化 ② 圧迫+首の側屈 → 痛みの変化 圧迫で痛みが軽くなるなら → 長頭腱の癒着・滑走障害が  痛みの一因の可能性が高い

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大結節と小結節のあいだの結節間溝を触診し、そこを圧迫しながら①肩関節の屈曲、②首の側屈を行わせて、痛みがどう変化するかを確認する。圧迫で痛みが軽減する場合、長頭腱の癒着や滑走障害(腱が滑らかに動けない状態)が痛みの一因である可能性が高い、というのが動画の評価ロジック。

動画で示される評価の基本は、結節間溝を触診し、そこを圧迫しながら関節を動かして痛みの変化を見る、という手順です。具体的には2つ。①結節間溝を圧迫しながら肩関節の屈曲運動(腕を前に挙げる)を行わせ、痛みがどう変化するかを確認する。②結節間溝を圧迫しながら首の側屈運動(首を横に倒す)を行わせ、痛みの変化を確認する。単に押して痛いかどうかだけでなく、『押さえながら動かすと痛みがどう変わるか』を見るのがポイントです。

この評価の解釈がロジックの核心です。結節間溝を圧迫することで痛みが軽減する場合、長頭腱の癒着や滑走障害(腱が滑らかに動けない状態)が痛みの一因である可能性が高い、と判断します。なぜ圧迫で楽になるのか ── これは、圧迫によって腱と周囲組織の位置関係が一時的に整い、引っかかっていた滑りが変わるためだと考えられます。逆に、圧迫しても動かしても痛みが変わらない場合は、原因が別(関節そのものや腱板の実質的な断裂など)にある可能性を考える手がかりになります。

動画を受け身で眺めるより、次の3つの視点で観ると学びが深まります。1つ目は『どこを触っているか』── 図の結節間溝の位置と重ねながら、肩のどのあたりに指を当てているかを見る。2つ目は『何を確認しているか』── 押して痛みが誘発されるか、圧迫しながら動かすと痛みがどう変わるか、という変化そのものに注目する。3つ目は『なぜ首の側屈も診るのか』── 肩の局所だけでなく、首・筋膜連鎖まで視野に入れている点に注目する。この3点で、同じ動画から得られる情報量が大きく変わります。触診で正確に結節間溝を捉えられるかが精度を左右するため、まずは解剖の図で位置をしっかりつかんでおきましょう。

動画の核心②

リリース ── 圧迫しながら動かし、癒着の滑走を促して剥がす

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リリース手技 ── 圧迫しながら動かし、癒着の滑走を促す
前面(拡大) 滑走を促す 癒着点(結合組織) 圧迫を保つ 手技の手順 1結節間溝を圧迫して保持する2その状態で肩の屈曲/首の側屈を行わせる3圧迫下で動かし、癒着の滑走を促す4徒手で癒着点を少しずつ剥がす ※強い炎症期は徒手では対応できず、  鎮痛処置が優先される

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動画の中核手技。結節間溝を圧迫したまま、患者に肩関節の屈曲運動や首の側屈運動を行わせる。圧迫しながら動かすことで、癒着した結合組織(ファシア)の滑走を促し、徒手で癒着点を剥がしていく。強い炎症がある時期は徒手では対応できず、鎮痛処置が優先される。

評価で長頭腱の癒着・滑走障害が疑われたら、そのままリリースへ移ります。手技の流れはシンプルです。①結節間溝を圧迫して保持する。②その状態のまま、患者に肩関節の屈曲運動や首の側屈運動を行わせる。③圧迫しながら動かすことで、癒着した結合組織(ファシア)の滑走を促す。④徒手で癒着点を少しずつ剥がしていく。つまり評価と治療が地続きで、『圧迫+運動』という同じ操作を、確認から介入へとそのまま延長するのが特徴です。

ここで大切なのは、『動かすのは施術者ではなく患者自身の運動』という点です。圧迫は施術者が保持しつつ、実際の関節運動は患者の能動的な動き(肩の屈曲・首の側屈)で起こします。これにより、腱が結節間溝の中を実際に滑る生理的な動きの中で、癒着部に滑走のストレスをかけられます。静止した状態で押すだけでなく、“滑る動きの中で剥がす”という発想が、この手技の肝です。動画では、この操作を繰り返すことで、癒着していた結合組織が徐々に滑りを取り戻し、痛みの軽減を図る、と説明されます。

藤井先生は、この手技を直接法/間接法という言葉で明確に区別してはいません。ただ、圧迫しながら動かすことで癒着に直接はたらきかけ、剥離を目的としている点で、性質としては『直接法』に近いと考えられます。動画全体を通して強調されるのは、肩関節そのものへの教科書的なアプローチだけでなく、関節の外にある結合組織(筋膜・ファシア)の癒着や滑走障害、そして筋膜連鎖の重要性です。慢性的な痛みには、痛い場所だけを診るのではなく、筋膜のつながりや身体全体の“地図”を理解することが重要だ、というのが動画のメッセージです。

直接法という位置づけと、筋膜連鎖の視点

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直接法という位置づけ ── 圧迫下の滑走で癒着に直接はたらきかける
直接法(癒着に直接) 圧迫+動かして滑走・剥離 動画が強調する視点 ・関節そのものだけでなく・関節外の結合組織(筋膜)の・癒着・滑走障害に注目する・慢性痛には筋膜連鎖と・身体全体の地図が重要

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この手技は、圧迫しながら動かすことで癒着に直接はたらきかける『直接法』に近い。動画では直接法/間接法の明確な区別はされていないが、目的は癒着の剥離と滑走の回復にある。関節そのものより、関節外の結合組織(筋膜・ファシア)の癒着や滑走障害、そして筋膜連鎖の重要性を強調しているのが特徴。

この手技を性質で整理すると、圧迫下で動かして癒着に直接はたらきかける『直接法』に近いアプローチです。深部の腱を遠隔から間接的に緩めるのではなく、狙った結節間溝の癒着そのものに、圧迫と滑走運動で直接アプローチします。一方で動画がくり返し強調するのは、その先にある視点 ── 関節そのものだけを診るのではなく、関節の外の結合組織(筋膜)の癒着・滑走障害に注目すること、そして慢性痛には筋膜連鎖と身体全体の地図を理解することが重要だ、という考え方です。

『筋膜連鎖』や『運動連鎖(キネティックチェーン)』という考え方は、身体の各部位が独立して働くのではなく、筋・筋膜・関節のつながりを介して力を伝え合い、連動して機能する、という見方です。肩の長頭腱を扱うときに首の側屈も評価する、という動画の発想は、この連鎖の視点に立っています。局所の癒着を剥がすと同時に、そこにつながる連鎖全体の緊張バランスを診る ── これは、痛い場所だけを追いかけて堂々巡りになるのを防ぐ、実践的な発想です。ただし、後述のとおり、こうした連鎖の視点を臨床効果として厳密に検証した研究はまだ発展途上であり、理論と経験の裏づけが先行している領域である点は押さえておく必要があります。

症例の考え方・よくある質問(FAQ)

実際の臨床では、たとえば『腕を挙げると肩の前が痛む。整形で腱板の傷みを指摘されたが、痛みが残っている』という方に対し、腱板の評価に加えて結節間溝を触診し、圧迫しながら挙上・首の側屈で痛みの変化を診る、という流れが考えられます。圧迫で痛みが軽くなるなら長頭腱の滑走障害を疑い、炎症が落ち着いていれば圧迫下の運動でリリースを試み、前後で挙上時痛や圧痛の変化を必ず見比べる ── この再評価が、独りよがりを防ぎ、経験を再現できる技術に変えていきます。以下、想定される質問に答えます。

Q. これで肩の痛みは治りますか? ── A.『治る』とは言えません。研究で部分的に支持されているのは『筋膜・軟部組織への徒手アプローチが痛みや関節の状態に良い影響を与えうる』ことまでで、長頭腱への具体的手技の効果は臨床経験の段階です。肩の痛みは腱板断裂・関節唇損傷・四十肩・頸椎由来など原因が多岐にわたり、原因が別にあれば別の対応が必要です。危険なサインがあればまず受診してください。

Q. 痛いのを我慢して強く押すほど効きますか? ── A. いいえ。強い痛みは逆効果になりやすく、とくに炎症が強い時期に圧迫や運動を加えると悪化を招きます。目安は『痛気持ちいい』範囲まで。効果と強さは比例しません。安静時痛や夜間痛、熱感があるうちは、手技より鎮痛処置・受診が優先です。

Q. なぜ肩の手技なのに“首の側屈”まで診るのですか? ── A. 長頭腱まわりの結合組織の緊張が、筋膜のつながり(筋膜連鎖)を介して首の症状にも関わりうる、という考え方に基づきます。肩と首は隣り合い、連動する領域なので、両者をセットで診るのは実践的です。ただし、この遠隔の関連を厳密に検証した研究はまだ乏しく、臨床経験に基づく見立てである点は正直にお伝えします。

Q. 腱板損傷と言われました。長頭腱は関係ありますか? ── A. 動画では、腱板が損傷すると上腕骨頭の安定化を長頭腱が肩代わりして過負荷になりやすいため、『腱板損傷の患者では長頭腱の評価と治療が必須』と述べられています。腱板だけでなく長頭腱もあわせて診る視点は臨床的に理にかなっていますが、治療方針は必ず担当医と相談のうえで判断してください。自己流で強い施術を行うのは避けましょう。

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実践チェックリスト

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この手技が使われた改善症例

※ いずれも本人の同意を得て匿名化した記録です。経過には個人差があります。

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限界と注意・受診の目安

  • 長頭腱の周囲には腋窩へ向かう血管・神経があり、自己流の強い圧迫は避けてください。
  • 炎症が強い時期(安静時痛・夜間痛・熱感)は徒手療法の適応外で、鎮痛処置や医療機関の評価が優先されます。
  • 肩の痛みは腱板断裂・関節唇損傷・四十肩・頸椎由来など原因が多岐にわたり、この手技がすべての肩の痛みに当てはまるわけではありません。
  • しびれ・脱力・外傷後の強い痛み・腕が挙がらないなどの症状があるときは、手技より先に医療機関を受診してください。
  • 効果には個人差があり、『治る』ことを保証するものではありません。
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監修・参考文献

掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。

監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)

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