FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE
恥骨結合リリース ── 仙腸関節痛・腰痛・肩こり・首の痛みを、骨盤正中から読み解く
こんな方へ:仙腸関節痛やお尻の奥の痛みが続いている / 腰の後ろに慢性的な重さ・痛みがある / 肩こりや肩の痛みが改善しない / 首の痛みの原因が分からない / 産後の骨盤周囲の不調が続いている / 骨盤まわりを扱う治療家・セラピスト / 筋膜のつながりから全身の症状を読み解く視点を学びたい
恥骨結合(ちこつけつごう)は、左右の恥骨が繊維軟骨でつながる骨盤正中の軟骨性関節で、骨盤リングの前部を構成する重要な連結点である。上方には腹直筋が停止し、下方には内転筋群(長内転筋・恥骨筋・薄筋)が起始し、外側の鼠径部には大腿動脈・大腿静脈・大腿神経が密集するデリケートな部位でもある。治療家・藤井翔悟の実技動画では、恥骨結合とその外側の恥骨周囲にアプローチすることで、仙腸関節痛・腰痛(腰の後ろの痛み)だけでなく、肩こり・肩の痛み・首の痛みという上半身の症状も改善しうる、という臨床的な観察を解説する。手技はシンプルで、患者を仰向けにして、術者が骨の際に沿って軽くリリースするというもの。
監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-07-23
FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS
藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持
研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。
藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。
手技デモ(実演)
動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス
EVIDENCE
藤井式の技術を、査読論文5本で支持する
本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文5本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。
FUJII METHOD
論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性
評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする
研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。
この記事で学べること/結論を先に
この記事は、治療家・藤井翔悟による恥骨結合リリースの実技解説動画(YouTube ID: KolB3Uc0w9o)の内容を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。テーマは5つ ── ①恥骨結合とはどんな場所か(解剖・機能) ②硬い・緊張していると出やすい症状はどれか ③どう評価・触診するか ④動画の手技はどういうものか(体位・手の当て方・方向・両側性) ⑤どこまでが研究の裏づけで、どこからが臨床経験なのか(正直な線引き)。先に正直に言えば、この動画は恥骨周囲の「ほぐし方」だけを教えるハウツー動画ではありません。「骨盤正中の恥骨周囲の筋膜の緊張が、仙腸関節痛や腰痛だけでなく、肩こり・肩の痛み・首の痛みにまで影響しうる」という発想と、それを踏まえた軽いリリースの考え方が語られる動画です。
この記事の2本柱をあらかじめ示します。(A)動画の手技=藤井先生の臨床経験に基づく評価と手技。恥骨結合・恥骨上縁の硬さが仙腸関節痛・腰痛・肩こり・首の痛みに関与するという観察と、仰向けで術者が軽くリリースするシンプルな手技。(B)周辺のエビデンス=産後の骨盤帯痛や骨盤底機能に対して筋膜療法が有効でありうることを示したSR・メタ解析や、仙腸関節炎の治療に関するSR、骨盤帯痛と心理社会的要因を整理したSR、顎関節と骨盤底の筋膜的連動を示したRCT、頸部・腰背部痛への徒手療法のSR。(A)と(B)は明確に区別して提示します。
もう一点、最初に正直にお断りしておきます。動画では「自己責任で」という言葉が出てくるほど、恥骨周囲はデリケートな部位です。大腿動脈・大腿静脈・大腿神経が密集する鼠径部(そけいぶ)の近くであり、妊娠中・産後まもない時期・強い骨盤の痛みがある場合は自己流で行わず、医療機関への相談を優先してください。
この記事の読み方 ── 動画(体験)と記事(地図)
動画は藤井先生の「恥骨周囲の緊張が遠くの症状に関与する・こうアプローチする」という臨床の思考を体験するもの。記事は「それはどんな解剖学的根拠か・どこまで研究で裏づけられているか・どこからが臨床経験か」を確認する地図です。とくに「恥骨周囲のリリースで仙腸関節痛や肩こり・首の痛みが改善する」という考え方は、藤井先生独自の観察であり、この手技そのものを検証した質の高い研究はまだありません。
背景 ── なぜ「恥骨」が仙腸関節痛・腰痛・肩こりと結び付けられるのか
腰の後ろや仙腸関節の痛みは、非常によくある慢性の訴えです。整形外科でレントゲンやMRIを撮っても異常が見つからない、いわゆる「非特異的腰痛」や「非特異的骨盤帯痛」として扱われるケースが多く、なぜ痛いのか、どこが痛いのかが分かりにくいことが少なくありません。そこに、「骨盤前面にある恥骨周囲の緊張が、後ろの仙腸関節痛や腰痛に関与しているかもしれない」という視点を持ち込むのが、藤井先生の臨床的な観察です。骨盤はリング状の骨の構造体で、前面の恥骨結合と後面・側面の仙腸関節が一体となって骨盤リングを形成します。前面が硬い・緊張しているとリングの後面(仙腸関節)にも影響が及ぶ、という考え方は、骨盤の構造から見て解剖学的に理解しやすい発想です。
さらに動画では、この視点を肩こり・肩の痛み・首の痛みへと広げます。骨盤前面の筋膜が、腹直筋・横隔膜・胸郭を経由して頸部前面まで連続しているという「深前線(ディープ・フロントライン)」という筋膜解剖の概念を背景に、恥骨周囲の緊張が上方へ伝わり、肩や首にまで影響しうる、と説明されます。この「深前線」という概念は解剖学者トム・マイヤーズが提唱した筋膜の連続性モデルに基づくもので、恥骨から頸椎前面への筋膜の解剖学的な連続性そのものはある程度の根拠があります。しかし「恥骨結合をリリースすることで肩こりや首の痛みが改善した」という臨床的な結果を、質の高いランダム化比較試験で検証した研究は、現時点では存在しません。これが藤井先生の観察の「有望ではあるが研究の裏づけはまだない」という正直な位置づけです。
骨盤帯痛が特によく問題になるのが、妊娠中・産後の女性です。妊娠によってリラキシンというホルモンが分泌されると骨盤の靭帯がゆるみ、恥骨結合や仙腸関節の安定性が低下します。産後も骨盤の筋膜や靭帯の回復には時間がかかり、この時期の骨盤帯痛は医療機関を受診する女性の大きな悩みの一つです。後述するエビデンスのセクションで紹介する研究の多くも、こうした産前産後の女性を対象にした骨盤帯痛の研究です。ただし、骨盤帯痛には男性や非産後の女性も含まれることはもちろんであり、本記事で紹介する手技は性別や年齢に特化したものではありません。
この動画の背景にある「骨盤前面から上半身の症状まで改善する」という視点は、治療家としての藤井先生の臨床哲学 ── 「痛い場所だけを見るのではなく、体のつながりの中で問題を探す」── の延長線上にあります。この記事が目指すのは、その発想を頭ごなしに否定することでも、研究のお墨付きとして過大評価することでもありません。「解剖学的に説明できる部分はここで、臨床経験の観察にとどまる部分はここ」と仕分けしながら、動画と並走できる知識の地図を提供することが目的です。
恥骨結合の解剖と機序 ── 骨盤リングの前柱、筋の交差点
図は横にスワイプして拡大表示できます
恥骨結合(ちこつけつごう)は、左右の恥骨が繊維軟骨でつながる骨盤正中の関節です。上方には腹直筋(ふくちょくきん)が停止し、下方・外側には内転筋群(長内転筋・恥骨筋・薄筋など)が起始します。外側の鼠径部(そけいぶ)に大腿動脈(赤)・大腿静脈(青)・大腿神経(黄)が集中します。仙腸関節(SI関節)とは骨盤リングとして連動し、恥骨周囲の筋膜の緊張は仙腸関節痛や腰痛に影響しうると考えられています。
恥骨結合(ちこつけつごう)は、左右の恥骨体が繊維軟骨(線維軟骨板:interpubic disc)を介して連結する、骨盤正中の軟骨性関節です。図を見ると分かるように、骨盤を前から見たとき、骨盤の下の方・中央に位置し、左右の恥骨が合流する点に相当します。成人ではほとんど動かない(可動域は1〜2mm程度の微小なもの)ですが、妊娠中はリラキシンの影響で靭帯がゆるみ、可動性が増すことが知られています。男性よりも女性で、骨盤の幅が広いために力のかかり方が異なり、産後にとくに問題になりやすい場所です。
恥骨結合の周囲には多くの筋が付着しています。上方の恥骨稜(こつりょう)には腹直筋(ふくちょくきん)と錐体筋(すいたいきん)が停止します。腹直筋はいわゆる「腹筋」であり、恥骨から胸骨・肋骨へと走って体幹の屈曲を担う強い筋です。この停止部の付着が恥骨結合のすぐ上にあることは、腹直筋の過緊張が恥骨結合上部の組織へ張力をかけうることを示唆します。下方には恥骨弓という逆V字型の骨の構造があり、そこから内転筋群(長内転筋・短内転筋・大内転筋・恥骨筋・薄筋)が起始して大腿骨の内側面へと走行します。つまり恥骨結合は「腹直筋(上)と内転筋群(下)が交差する、筋の密接した合流点」です。
機序の観点から重要なのは、骨盤リングとしての連動です。骨盤は左右の腸骨・仙骨・恥骨結合で構成されるリング状の構造で、前面の恥骨結合と後面の仙腸関節(左右)が骨盤リングを形成します。片側の仙腸関節に過剰な剪断力がかかれば、対側の恥骨結合にも影響が及ぶ、という力学的な相互作用があります。したがって「恥骨周囲の筋膜の緊張が仙腸関節の動き・痛みに関与しうる」という発想は、骨盤の構造力学から見てある程度の合理性があります。ただし、この相互作用の程度や臨床的な意義は、まだ十分には解明されていません。
さらに図が示すように、恥骨結合のすぐ外側・鼠径部(そけいぶ)には大腿動脈・大腿静脈・大腿神経の3つの重要な構造が集まっています。これらは鼠径靭帯の下を通って大腿(太もも)へと向かいます。恥骨周囲を触る際にこの構造への配慮が欠かせない理由であり、「強く押し込まない」「拍動を感じたら手を離す」という注意が重要な解剖学的根拠です。加えて、女性の場合は尿道・膣・子宮など、骨盤内の臓器が比較的恥骨に近い位置にあります。妊娠中・産後・腹部の疾患がある場合に慎重な取り扱いが必要なのは、こうした解剖学的な理由によります。
動画の核心
動画の手技 ── 仰向けで骨の際を軽くリリース、両側を行う
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評価は仰向け(背臥位)で行います。恥骨結合の正中とその外側の恥骨上縁に沿ってやさしく触れ、圧痛・硬さ・左右差を確認します。デリケートな部位のため、必ず「やさしいタッチ」で。圧痛があり腰や仙腸関節に症状がある場合、藤井先生は恥骨周囲の筋膜の緊張を疑います。
ここからは動画の内容に100%忠実に、評価から手技までを図解します。動画の流れを整理すると、大きく ①恥骨結合と恥骨の周囲についての説明 → ②硬いと出る症状(仙腸関節痛・腰痛・肩こり・肩の痛み・首の痛み)→ ③リリース手技(体位・手の当て方・方向)→ ④注意点、という順に進みます。とくに③のリリースがこの動画の本体で、シンプルながら非常に的を絞った内容です。
評価は仰向け(背臥位)で行います。術者はまず恥骨結合の正中付近(下腹部の中央の最も低い部分)を確認し、そこから外側に走る恥骨上縁(恥骨の骨の縁のライン)に沿ってやさしく触れ、硬さや圧痛の有無・左右差を確認します。動画では、この部位の周囲の組織に「張り付き」や「硬さ」があることを確かめる形で、触診が進みます。「すごいそうとなり形」「これだけ」という言葉が示すように、触診そのものは軽く、強く押し込まない姿勢が終始貫かれています。この評価の良い点は、その場で「触れて変化を見る」ことができることです。圧痛があり、かつ腰や仙腸関節・肩・首に症状がある場合に、恥骨周囲の関与を疑います。
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患者は仰向け(背臥位)。術者は横に座り、両手指を恥骨結合の正中とその外側の恥骨上縁に当てます。骨の際に沿って外側へ、または組織を軽く動かすようにリリースします。「これだけ」と動画で表現されるほどシンプルで、強い力は不要です。左右両側を行います。デリケートな部位のため自己責任で、違和感・痛みが増す場合は即中止してください。
リリース手技は、患者が仰向けになった状態で行います。術者は患者の横に座り(または立ち)、両手の指を恥骨結合の正中とその外側の恥骨上縁に当てます。そして骨の際に沿って外側へ、または組織を軽く動かすように、ソフトなタッチでリリースします。「これだけ」と動画で何度も表現されるほどシンプルです。強い力は必要なく、むしろ軽く触れながら骨の輪郭をなぞることで、周囲の緊張した筋膜・靭帯・皮下組織に変化を促します。左右両側の恥骨上縁を丁寧に行うことが述べられており、片側だけでなく両側性のアプローチが重要とされています。
手技のポイントをまとめると、①体位:患者は仰向け。②術者の位置:患者の横に座る。③対象部位:恥骨結合の正中とその外側の恥骨上縁。④手技のコツ:骨の際に沿って外側へ、または組織を軽く動かす。強い力は不要。⑤両側性:左右どちらも行う。⑥注意点:違和感・痛みが増す場合は即中止。「自己責任で」とも動画で述べられており、デリケートな部位への自覚をもって行うことが強調されています。
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骨盤底筋群・内転筋・腹直筋は筋膜を介して連続し、脊柱前面を通って上方(横隔膜→縦隔→頸部前面)へとつながると考えられています(深前線・ディープフロントラインの概念)。これは筋膜連続性の仮説であり、恥骨結合リリースが直接、肩こりや首の痛みを改善することを検証した研究はありません。これは藤井先生の臨床経験に基づく考え方として正直に提示します。
「なぜ恥骨周囲をリリースすると仙腸関節痛や肩・首の症状まで変わるのか」という問いに対して、動画が暗に示す答えは「骨盤前面の筋膜が骨盤リングを通じて後面(仙腸関節)に影響し、さらに上方へのつながりを通じて肩・首まで影響する」というものです。この考え方は上述の深前線(ディープ・フロントライン)とも整合しますが、この特定の経路での影響を検証した研究はまだありません。仮に施術後に症状が軽くなったとしても、それが恥骨周囲の筋膜の解放によるものなのか、手を当てられることによるリラクゼーションや期待の変化によるものなのかは、コントロールされた研究なしには区別できません。
症例の考え方・よくある質問(FAQ)
この手技の臨床的な使い方を、架空の一般的なケースで考えてみます。「産後6ヶ月が経過したが、歩くときにお尻の奥(仙腸関節あたり)が痛む。また最近、肩こりも強くなった」という女性の訴え。触診すると、恥骨上縁に左右差のある圧痛があり、左恥骨外側に顕著な硬さが感じられる。この場合、まず「恥骨周囲の筋膜の緊張が仙腸関節の問題に関与しているかもしれない」という仮説を立て、恥骨周囲を軽くリリースしながら症状の変化を確認します。変化があれば、継続的なアプローチの根拠になります。変化がなければ、別の原因を考えます。この「触って、変化を確認する」姿勢こそが、動画から持ち帰れる最も確かな学びです。なおこれは考え方の例であり、実際の対応は個別の評価と医療者の判断によります。
Q. なぜ恥骨周囲をリリースすると、仙腸関節痛や腰の後ろの痛みが改善することがあるのですか? ── A. 動画の考え方に沿えば、骨盤はリング状の構造体であり、前面の恥骨結合と後面の仙腸関節は力学的に連動しているため、前面の緊張を取ることが後面の痛みに影響しうる、ということです。これは解剖学的に理解しやすい考え方です。一方、症状の改善が手技の特異的な効果なのか、施術によるリラクゼーション・期待などの非特異的効果なのかは区別が難しく、研究での検証は不足しています。改善が観察されるケースがある、という臨床的な観察としては藤井先生の経験から語られており、その背景には解剖学的な合理性があります。
Q. 肩こり・肩の痛み・首の痛みが恥骨周囲と関係するというのは、本当ですか? ── A. これは藤井先生の臨床経験に基づく観察であり、一般的な解剖学の教科書に載っている主流の考え方ではありません。骨盤前面の筋膜が「深前線(ディープ・フロントライン)」を通って頸部前面へとつながる、という筋膜解剖の概念(Tom Myers)を援用すると、理論的にはつながりがあり得ます。実際に、本記事で紹介したSulowska-Daszykらの2024年RCTは「顎関節(顔)から骨盤底(骨盤)へ」という遠隔の筋膜連動を示しました。しかし「恥骨→肩・首」という方向の連動を、十分な規模の研究で検証したものはありません。「有望な仮説であり、臨床経験からは支持されているが、強いエビデンスはない」というのが正直な立場です。
Q. 妊娠中・産後まもない時期に、この手技を行ってもいいですか? ── A. 自己流では行わないことを強くお勧めします。妊娠中はリラキシンの影響で骨盤の靭帯がゆるんでいるため、恥骨結合は通常より不安定で傷つきやすい状態にあります。産後まもない時期(特に産後数ヶ月)も、骨盤の組織は回復の途中です。また、骨盤周囲には子宮・膀胱・腸管などの臓器も近接しており、知識のない状態での刺激は予期せぬ問題を引き起こす可能性があります。産後の骨盤帯痛には、産後ケア専門の助産師・産婦人科・骨盤底専門の理学療法士への相談が優先されます。この動画の手技は専門家が適切に判断した上で行うものであり、自己流で行うことを推奨する記事ではありません。
Q. この手技は何回くらいやれば効果が出ますか? ── A. 動画では回数・頻度・継続期間についての具体的な説明はありません。一般的な筋膜リリースの研究では、効果は短期的なものが多く(施術直後〜数日以内)、長期的な維持には繰り返しのアプローチや姿勢・動作の修正が重要とされることが多いです。効果がないと感じる場合や、症状が悪化する場合は中止し、医療機関への相談を検討してください。
Q. 自分でセルフケアとして恥骨周囲をリリースしてもいいですか? ── A. セルフケアとして行う場合は、強く押し込まないこと、違和感や痛みが増す場合は即中止すること、この2点が絶対条件です。動画で「自己責任で」と明示されているように、この部位はデリケートです。大腿動脈が近くを走るため、拍動(ドクドクした感覚)を感じたら必ず手を離してください。下腹部に疾患がある・手術後・腫脹がある場合は絶対に行わないでください。セルフケアで症状が悪化したり改善しない場合は、速やかに医療機関を受診してください。
この手技が使われた改善症例
※ いずれも本人の同意を得て匿名化した記録です。経過には個人差があります。
限界と注意・受診の目安
- ▸この記事で紹介する手技(恥骨結合リリース)は、藤井先生の臨床経験に基づくものです。仙腸関節痛・腰痛・肩こり・首の痛みを改善すると断定するものではなく、効果には個人差があります。
- ▸恥骨周囲には大腿動脈・大腿静脈・大腿神経が近接しています。強く押し込まない・拍動を感じたら即座に手を離してください。
- ▸妊娠中・産後まもない時期・腹部の疾患がある方・骨盤に強い痛みがある方は、自己流で行わず必ず医療機関に相談してください。
- ▸下肢のしびれ・脱力・排尿排便障害・発熱・外傷後の急な骨盤痛がある場合は、直ちに医療機関(整形外科・産婦人科・救急)を受診してください。
- ▸この記事の内容は診断や治療の代替ではありません。症状が続く・悪化する場合は自己判断せず専門家に相談してください。
監修・参考文献
掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。
監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)
- [1] Wang Y, Zhang S, Peng P, He W, Zhang H, Xu H, Liu H.(2023).「The effect of myofascial therapy on postpartum rectus abdominis separation, low back and leg pain, pelvic floor dysfunction: A systematic review and meta-analysis」. Medicine.
- [2] Viroli G, Cerasoli T, Barile F, Modeo M, Manzetti M, Traversari M, Ruffilli A, Faldini C.(2024).「Diagnosis and treatment of acute inflammatory sacroiliitis in pregnant or post-partum women: a systematic review of the current literature」. Musculoskeletal surgery.
- [3] Gregoor M, Peuskens E, Geerits E, Aldabe D, Geraerts I, De Baets L, Bogaerts A, Gyselaers W, Goossens N, Janssens L.(2026).「Psychological risk factors for lumbopelvic pain before, during, and after pregnancy: a systematic review」. BMC pregnancy and childbirth.
- [4] Sulowska-Daszyk I, Gamrot S, Handzlik-Waszkiewicz P.(2024).「A Single Session of Temporomandibular Joint Soft Tissue Therapy and Its Effect on Pelvic Floor Muscles Activity in Women-A Randomized Controlled Trial」. Journal of clinical medicine.
- [5] Ceballos-Laita L, Jiménez-Del-Barrio S, Carrasco-Uribarren A, Medrano-de-la-Fuente R, Robles-Pérez R, Ernst E.(2024).「Is Osteopathic Manipulative Treatment Clinically Superior to Sham or Placebo for Patients with Neck or Low-Back Pain? A Systematic Review with Meta-Analysis」. Diseases (Basel, Switzerland).