FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE

エビデンスレベル:専門家意見

小円筋リリース ── 肩こりと“首の動き”を、回旋筋腱板の小さな筋から読み解く

こんな方へ:肩こりがカチカチで戻りやすい / ストレートネックで首が回りにくい / 腕を外にひねる・上げると肩の後ろが気になる / 揉んでも肩こりがぶり返す方、および“小円筋と首・肩こり”を扱いたい治療家・トレーナー

小円筋(しょうえんきん)は、肩甲骨の外側縁から上腕骨の大結節に付着する、短く細い回旋筋腱板(ローテーターカフ)の一つである。腕を外へひねる外旋と、上腕骨頭を関節の中心に保つ求心位の保持に関わり、肩・首・腕・指の細かな動きに常に働くため使用頻度が高く疲労しやすい。

監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-07-12

FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS

査読論文 5本と照合SR/メタ解析

藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持

研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。

藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。

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手技デモ(実演)

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動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス

EVIDENCE

藤井式の技術を、査読論文5本で支持する

本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文5本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。

FUJII METHOD

論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性

評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする

研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。

この記事で学べること/結論を先に

この記事は、治療家・藤井翔悟による小円筋(しょうえんきん)の実技解説動画の中身を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。テーマは4つ ── ①小円筋とはどんな筋か(解剖・機能) ②硬くなるとどんな症状が出るか ③どう触診・評価して原因を絞り込むか ④どうやって緩めるか。小円筋は、肩を安定させる回旋筋腱板(ローテーターカフ)の一つで、短く細い“ショートマッスル”です。地味な筋ですが、腕を外へひねる外旋や、肩・首・腕・指の細かな動きに常に働くため使用頻度が高く、疲労して肩こりの主因になりやすい ── これが動画の出発点です。

結論を先に言うと、この記事の骨組みは2本柱です。(A) 動画の手技=藤井先生の臨床経験に基づく評価(小円筋だけを周囲の筋と区別して正確に触診し、圧迫して自覚症状や疼痛誘発を確かめる)と、その独自の見立て(小円筋を緩めると頸椎6番・7番=下位頸椎の動きや、ストレートネックによる首の不調まで変わる)。(B) その周辺を裏づける実在のエビデンス=回旋筋腱板の障害に対して徒手療法・トリガーポイント治療・機器を用いた軟部組織アプローチが、痛みや可動域に良い影響を与えうること。この2本を明確に分け、手技を“裏づけられる範囲で”科学で裏づけます。あらかじめ正直に言えば、(B) の研究はいずれも小円筋だけに完全特化した強い証拠ではなく、まして『小円筋を緩めると首の動きが変わる』という(A)の中核を直接支えるものではありません。

この記事の2本柱 ── 体験(動画)と地図(研究)

動画=体験、記事=地図。動画は藤井先生の触診の当て方・区別の仕方・アプローチの発想を“体験”するもので、記事は『いま何を、なぜやっているか』と『どこまでが研究で、どこからが臨床経験か』を持ち帰る地図です。とくに“小円筋を緩めると首(C6・C7)の動きが変わる”という動画の主張は、臨床経験に基づく考え方として明記し、研究の裏づけと厳密に区別します。

背景 ── なぜ“肩こり”で小円筋という小さな筋を疑うのか

肩こりというと、多くの人は表面の僧帽筋(首の付け根から肩・背中に広がる大きな筋)を思い浮かべ、そこを揉みます。ところが揉んでも一時的で、すぐぶり返す ── これは臨床でよくある悩みです。動画で藤井先生が着目するのは、もっと深く、もっと小さな筋である小円筋です。小円筋は肩甲骨の外側縁から上腕骨へ渡る回旋筋腱板の一員で、長さも太さも控えめな“ショートマッスル”。しかし、腕を外へひねる(外旋する)たびに、また肩・首・腕・指の細かな動きのたびに絶えず働くため、使用頻度が非常に高く、気づかぬうちに疲労が蓄積してカチカチになりやすい、というのが着眼点です。

小円筋がここまで肩こりと結びつくと考える背景には、この筋の“働きの多さ”があります。回旋筋腱板は、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つで上腕骨頭を関節の中心に引き寄せ、腕を動かすあらゆる場面で肩の安定を支えます。とりわけ小円筋と棘下筋は外旋の主役で、日常のちょっとした動作 ── 振り向く、髪を触る、後ろに手を伸ばす ── のたびに収縮します。動画では『肩の微妙な動き、首の動き、腕の動き、指の動きに常に作用している』と表現され、だからこそ多くの人が小円筋を疲労させている、と語られます。凝りの“表面”ではなく“働き者の深部”を見にいく、という発想です。

もう一つの背景が、首とのつながりです。藤井先生は、小円筋が頸椎6番・7番(下位頸椎)の動きと強くリンクすると述べます。パソコンやスマホで頭が前に出た姿勢が続くと、いわゆるストレートネック(頸椎の自然なカーブが失われた状態)になり、下位頸椎の動きが乏しくなります。そうした人ほど小円筋が硬くなっているケースが多い ── これは研究で確立された因果ではなく、藤井先生の臨床経験からの見立てですが、『肩こりの原因は、凝っている場所そのものにあるとは限らない』『首の不調を肩の筋から診る』という視点を広げてくれます。この記事では、その視点を紹介しつつ、どこまでが研究で言えるのかを最後に必ず線引きします。

小円筋の解剖と機序 ── 肩甲骨から大結節へ、外旋を担う小さな帯

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小円筋の解剖 ── 肩甲骨の外側縁から上腕骨・大結節へ
後面 / posterior 小円筋 棘下筋 大円筋 肩甲骨(外側縁) 上腕骨・大結節(停止) 腋窩神経 後上腕回旋動脈

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小円筋は肩甲骨の外側縁(上部)から起こり、上腕骨の大結節(下部の面)に停止する、短く細い回旋筋腱板の一つです。上に棘下筋、下に大円筋がならび、その間を腋窩神経(黄)と後上腕回旋動脈(赤)が四角形の隙間(外側腋窩隙)を通って肩の後ろへ抜けます。

小円筋は、肩甲骨の外側縁(背面から見て外側のふち)の上〜中部から起こり、斜め外上方へ走って上腕骨の大結節(下部の面)に停止します。すぐ上には同じく外旋を担う棘下筋があり、すぐ下にはより大きく厚い大円筋がならびます。小円筋は回旋筋腱板の一員(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つ)で、他の3つが上腕骨頭を包み込むのに対し、小円筋は後ろ下方から支える位置にあります。短く細いこの筋が、外旋という繊細な仕事と、上腕骨頭を関節の中心へ引き寄せる求心位の保持に、地味ながら不可欠な役割を果たしています。

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小円筋の働き ── 肩の“外旋”と、使用頻度の高さ
後面 外旋(外へひねる) 小円筋 小円筋が担う役割 ・肩関節の外旋(外へひねる)・上腕骨頭を関節の中心に保つ(求心位)・肩/首/腕/指の微細な動きに関与

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小円筋は回旋筋腱板の一員として、腕を外側へひねる外旋と、上腕骨頭を関節の中心に引き寄せる求心位の保持に関わります。肩・首・腕・指の細かな動きに常に関与するため使用頻度が高く、多くの人で疲労し“カチカチ”になりやすい、というのが動画の見立てです。

働きの中心は、肩関節の外旋 ── 肘を体につけたまま前腕を外側へ開く動きです。棘下筋とペアでこの外旋を担い、投球やラケット競技で腕を後ろに引く局面、あるいは日常の“後ろに手を回す”動作で繰り返し使われます。加えて、腕をどの方向へ動かすときも、上腕骨頭が関節からずれないよう中心へ引きつける“安定装置”として絶えず微調整しています。動画が『使用頻度が非常に高い』と強調するのは、この“動かすたびに働く”という腱板筋の宿命ゆえです。使う量が多い筋は、それだけ疲労とこわばりも溜まりやすい、という理屈です。

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小円筋と“首”のつながり ── 下位頸椎(C6・C7)との関連
側面 C6 C7 小円筋 動きが連動(臨床的な見立て) ストレートネック → 下位頸椎の動きが乏しい → 小円筋が硬くなっているケースが多い(動画の見立て)

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動画の中核。小円筋が硬くなると肩こりの主因になりやすく、頸椎6番・7番(下位頸椎)の動きと強くリンクする、という見立てです。ストレートネックの人は下位頸椎の動きが乏しく、小円筋が硬くなっているケースが多い ── これは藤井先生の臨床経験に基づく考え方です。

そして動画の中核が、小円筋と首(下位頸椎C6・C7)のつながりです。解剖学的に小円筋が頸椎に直接付着するわけではありませんが、藤井先生は臨床経験から、小円筋の硬さと下位頸椎の動きの乏しさが連動して現れやすいと述べます。ストレートネックで下位頸椎の可動性が落ちている人ほど、小円筋も硬くなっている ── だから小円筋を緩めると、頸椎そのものを直接調整しなくても首の動きが変わる、という見立てです。これは筋膜のつながりや姿勢の連鎖といった考え方で説明されうるものの、厳密に検証した研究はまだ乏しく、あくまで“臨床経験に基づく仮説”として受け取るのが誠実です。この線引きは後の章で改めて行います。

動画では創作していません

この記事の解剖・手技の記述は、動画で藤井先生が実際に述べた内容(小円筋は回旋筋腱板の一つで肩甲骨から上腕骨に付着する短く細い筋、外旋作用、使用頻度が高い、C6・C7との連動、周囲筋との区別が重要)に沿っています。字幕にない解剖や手技を足して“それらしく”することはしていません。研究の話(腱板障害への徒手療法など)は、あくまで周辺を裏づける実在論文として、動画の主張とは分けて紹介します。

動画の核心①

評価・触診 ── 小円筋“だけ”を、周囲の筋と区別して捉える

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触診 ── 小円筋“だけ”を、周囲の筋と区別して捉える
後面 小円筋(ここを狙う) 棘下筋 大円筋 上腕三頭筋 僧帽筋下部(内側) 圧迫で『楽・ツボ』と感じるか/疼痛誘発動作をしながら自覚症状を確認

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小円筋を正確に触れることが重要です。すぐ近くの大円筋・僧帽筋下部線維・棘下筋・上腕三頭筋と区別して捉えます。肩こりの人で小円筋を圧迫すると『そこが楽』『ツボ』と感じることが多く、疼痛誘発動作ができる場合は動作をしながら自覚症状を確認します。

動画が繰り返し強調するのは、『小円筋だけを正確に触診できることが非常に重要』という点です。小円筋のすぐ近くには、下に大円筋、内側に僧帽筋下部線維、上に棘下筋、外側〜下方に上腕三頭筋がひしめいています。これらを一緒くたに“肩の後ろの張り”として揉んでしまうと、本当に狙うべき小円筋を外し、効果もあいまいになります。だから、肩甲骨の外側縁の上部に指を当て、外旋の収縮でわずかに盛り上がる細い帯を、隣り合う大円筋(より下方で太い)や棘下筋(より上方で面が広い)と触り分ける ── この“区別する触診”が出発点になります。

評価では、小円筋を圧迫したときの相手の反応を丁寧に読みます。動画によれば、肩こりの患者で小円筋を圧迫すると『そこが楽』『気持ちいい』『ツボ』と感じる人が多い、とされます。これは、その筋にこわばりや過敏な点(いわゆるトリガーポイント様の反応)が潜んでいるサインとして解釈されます。さらに、疼痛誘発動作ができる場合は、その動作を行いながら自覚症状を検査します ── 気になる動きを再現しつつ小円筋を圧迫し、症状がどう変わるかを見る、という手順です。狙った筋を押したときに症状が“再現”されたり“軽く”なったりすれば、その筋が関与している可能性が高まる、という考え方です。

こうした触診・評価を、研究の言葉で少し補強しておきます。前章で見たSinghら(2022年)の系統的レビューでは、肩の軟部組織に対する筋膜トリガーポイントリリースが痛みと障害の指標を改善したと報告されました。触って過敏点を見つけ、そこへアプローチする、という枠組み自体には一定の支持があるわけです。ただし、そのエビデンスは肩全般(SIS)を対象としたものであり、小円筋という一つの筋を圧迫して『楽』『ツボ』と感じる反応が、必ず治療標的の特定につながる、と保証するものではありません。触診所見はあくまで手がかりであり、動作の再評価と組み合わせて解釈する ── その慎重さが、独りよがりを防ぎます。

動画の核心②

リリース ── 小円筋を緩めると、首の動きまで変わる

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リリース ── 小円筋を“緩める”と、首の動きまで変わる
× 凝った所を直接揉む 戻りやすい ◎ 小円筋を調整して緩める 1小円筋を正確に触診して緩める 2C6・C7(下位頸椎)の動きが改善 3首全体の動き・ストレートネックが変化

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動画では、肩こりの原因は凝っている場所を直接揉むことではない、とされます。小円筋自体を調整して緩めると、頸椎6番・7番の動きが改善し、首全体の動きやストレートネックによる不調も変わる、という流れです(藤井先生の臨床経験に基づく考え方)。

リリースの発想は、背景で述べたとおり『肩こりの原因は、凝っている場所を直接ゴリゴリ揉むことにあるのではない』という一点に集約されます。動画では、どこを=小円筋自体を調整する、どう=『緩めてやる』という表現で、明確なゴリ押しの指示ではなく“こわばりをほどく”ニュアンスで語られます。そして連動として、小円筋を緩めることで頸椎6番・7番の動きが改善し、首全体の動きが良くなる ── ストレートネックによる肩こりや首の動きの悪さも変わっていく、という流れが示されます。つまり、狙いは肩の一点ではなく、小円筋を入り口にして肩と首を一緒に軽くすることにあります。

特筆すべきは、『小円筋を調整することで、わざわざ頸椎自体を調整しなくても頸椎の調整ができる』という主張です。首の骨に直接手を加える手技(頸椎の徒手調整)は、力の入れ方によってはリスクを伴います。そこを避け、離れた肩の筋(小円筋)を介して首の動きを引き出す、という発想は、安全性の面でも理にかなった“遠回りの近道”と言えます。ストレートネックの所見があり肩こりのある患者には、とくに小円筋の触診と治療が有効、というのが動画のまとめです。ただし繰り返しになりますが、この『小円筋→C6・C7→首全体』という連動は藤井先生の臨床経験に基づく見立てで、研究で確立された因果ではありません。

手技の性質としては、小円筋という標的そのものに直接触れて緩める“直接法”に近いものです(後の首への波及は間接的な効果として語られます)。強さの目安は、痛みを我慢させる強圧ではなく、相手が『楽』『気持ちいい』と感じる範囲。ここで前章の道具の研究(Ferreiraら2023年のマッサージガンの系統的レビュー)を思い出すと、機械的な圧・振動刺激はこわばりや可動域には効きうるが万能ではなく、やり方次第で逆効果にもなりうる、という冷静な視点が得られます。徒手でも同じで、強さと時間は“痛気持ちいい”を超えないこと、そして必ず前後で首・肩の動きや圧痛を見比べて効果を確かめること ── この再評価が、経験を再現できる技術に変えていきます。

症例の考え方・よくある質問(FAQ)

実際の臨床では、たとえば『デスクワークで肩こりがひどく、揉んでもすぐ戻る。首も回りにくく、ストレートネックと言われた』という方に対し、僧帽筋の表面だけでなく、肩甲骨の外側縁で小円筋を大円筋・棘下筋と触り分け、圧迫して『楽・ツボ』の反応や気になる動作での症状変化を確認する、という流れが考えられます。反応があれば小円筋を“痛気持ちいい”範囲で緩め、その前後で首の回旋・側屈や肩の圧痛がどう変わるかを必ず見比べる ── この再評価が、独りよがりを防ぎ、経験を再現できる技術に変えていきます。以下、想定される質問に答えます。

Q. 小円筋を緩めれば肩こりは治りますか? ── A.『治る』とは言えません。研究で部分的に支持されているのは『肩の軟部組織への徒手・トリガーポイントアプローチが痛みや機能に良い影響を与えうる』ことまでで(Singhら2022年など)、小円筋を緩めると首まで変わるという具体的な連動は臨床経験の段階です。肩こりの背後に頸椎の問題や神経・内科的な要因が隠れていることもあり、その場合は別の対応が必要です。危険なサインがあればまず受診してください。

Q. なぜ肩の筋なのに“首(C6・C7)”まで良くなると言えるのですか? ── A. 藤井先生は、小円筋の硬さと下位頸椎の動きの乏しさが臨床上セットで現れやすく、小円筋を緩めると頸椎を直接いじらなくても首の動きが引き出せる、と述べます。姿勢の連鎖や筋膜のつながりで説明されうる考え方ですが、この遠隔の連動を厳密に検証した質の高い研究はまだ乏しく、臨床経験に基づく見立てである点は正直にお伝えします。だからこそ、施術の前後で首の動きを実際に確かめることが欠かせません。

Q. 痛いのを我慢して強く押すほど効きますか? ── A. いいえ。強い痛みは逆効果になりやすく、道具(マッサージガン)の研究でも刺激の与え方次第でむしろ悪化しうることが示されています。目安は『楽・痛気持ちいい』範囲まで。効果と強さは比例しません。とくに小円筋のすぐ下には腋窩神経や動脈が通る隙間があり、強く速く押し込むのは避けてください。しびれ・脱力・拍動を感じたら中止します。

Q. 小円筋と大円筋・棘下筋の区別が自分ではつきません。 ── A. 区別が難しいのは自然なことで、だからこそ動画も『正確に触診できることが重要』と繰り返します。目安として、肩甲骨の外側縁の上部で外旋の収縮に合わせて動く細い帯が小円筋、その下方でより太いのが大円筋、上方で面の広いのが棘下筋です。自信がないうちは強く押さず、専門家に触り方を教わるのが安全です。触診は手がかりにすぎず、動作の再評価と組み合わせて判断してください。

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この手技が使われた改善症例

#ストレートネック#首の可動域制限#右肩の不調

右首肩の動きが、小円筋と前方組織の二点保持でその場で大きく変わった一例

成人女性。ストレートネックと右側全般の動かしにくさを感じており、施術前に首回旋、両腕挙上、立位での全身動作を確認した。

#肩こり#肩の痛み#首の可動域制限

施術で固まった治療家の肩こりが、腋窩・広背筋の2段階リリースでその場で軽くなった一例

治療家の成人女性。施術時に力を使いすぎることで肩こりと肩の痛みが続き、来場時には首肩と体幹の動きに硬さがあった。

#手のしびれ#右上肢痛#むち打ち

交通事故後10年続いた右手のしびれが、肩甲骨からの連続リリースでその場で大きく縮小した一例

成人女性。交通事故・むち打ち後から約10年間、右上肢の尺側に安静時もしびれがあり、首を後ろへ倒すと増悪していた。

#猫背#反り腰#姿勢不良

「姿勢を正せば治る」の前に ── 頚椎症の頸部痛が、胸椎の棘突起と脇の下の一点で変わった一例

セミナー受講生。頚椎症・頸部脊柱管狭窄の診断があり(ヘルニアには至っていない、椎間板もやや菲薄化、手術は不要と説明されている)、症状は右側優位で、温めると楽になるという。直前に骨盤(PSIS)の調整を受けていたが、頸部を右へ回旋・伸展させる動作は変わらず、じわじわしんどくなり、目の奥に響く感覚も伴っていた。

#肩の痛み#可動域制限#首の違和感

オーストラリアから来日した受講生の肩の奥の痛みが、前腕と腋窩の評価で変わった ── 「治療的診断」という部分的介入の一例

肩をぐるぐる回すと、肩甲骨よりも腕寄りの奥に痛みが生じ、首も常に落ち着かない違和感が続いていた。以前に施術を受けて一時的に改善したと感じても、3日ほどで同じ痛みがまた出てくることを繰り返していたという。

※ いずれも本人の同意を得て匿名化した記録です。経過には個人差があります。

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限界と注意・受診の目安

  • 小円筋のすぐ下には腋窩神経・後上腕回旋動脈が通る外側腋窩隙があり、自己流の強い圧迫は避けてください。
  • 『小円筋を緩めると頸椎C6・C7や首の動きが変わる』は藤井先生の臨床経験に基づく見立てで、強い研究の裏づけはまだ限定的です。
  • 肩こり・首こりの背後に頸椎椎間板の問題・神経の圧迫・内科的要因が隠れていることがあり、この手技がすべてに当てはまるわけではありません。
  • しびれ・脱力・外傷後の強い痛み・腕が挙がらない・進行する痛み・夜間痛・発熱があるときは、手技より先に医療機関を受診してください。
  • 効果には個人差があり、『治る』ことを保証するものではありません。
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監修・参考文献

掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。

監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)

  1. [1] Tang H, Luo F, Fan H, Huang L, Liao S, Yu W, Chen Y, Qin X, Chen J2020).「Acupuncture and manual therapy for rotator cuff tears: A protocol for systematic review and meta analysis」. Medicine.
  2. [2] Singh H, Thind A, Mohamed NS2022).「Subacromial Impingement Syndrome: A Systematic Review of Existing Treatment Modalities to Newer Proprioceptive-Based Strategies」. Cureus.
  3. [3] Ferreira RM, Silva R, Vigário P, Martins PN, Casanova F, Fernandes RJ, Sampaio AR2023).「The Effects of Massage Guns on Performance and Recovery: A Systematic Review」. Journal of functional morphology and kinesiology.
  4. [4] Smith TJ, Gowd AK, Kunkel J, Kaplin L, Hubbard JB, Coates KE, Graves BR, Waterman BR2021).「Clinical Outcomes of Superior Capsular Reconstruction for Massive, Irreparable Rotator Cuff Tears: A Systematic Review Comparing Acellular Dermal Allograft and Autograft Fascia Lata」. Arthroscopy, sports medicine, and rehabilitation.
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