FUJII FASCIA INSTITUTE シンボルマークFUJII FASCIA INSTITUTE藤井翔悟 筋膜研究所

FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED SINGLE CASE STUDY

交通事故後10年続いた右手のしびれが、肩甲骨からの連続リリースでその場で大きく縮小した一例

手のしびれ右上肢痛むち打ち頭痛眼精疲労筋膜リリース小円筋リリース肩甲帯評価疼痛誘発動作テスト

BEFORE

成人女性。交通事故・むち打ち後から約10年間、右上肢の尺側に安静時もしびれがあり、首を後ろへ倒すと増悪していた。

AFTER

肩甲骨下角から反応点を探し、小円筋、後腋窩、肩甲帯へ段階的に介入。しびれは指先へ移動しながら範囲が縮小し、終了時には「すごく軽い」「しびれがないというか」と報告した。

経過:単回介入・約18分/施術中と終了時にしびれの位置・範囲を再評価

PEER-REVIEWED EVIDENCE

査読論文 2SR/メタ解析

症例で起きた即時変化を、研究結果と照合

頸部から上肢へ広がる痛み・しびれに対する徒手療法は、系統的レビューとネットワークメタ解析で、短期の痛み・頸部障害度を改善することが報告されています。肩甲骨側からしびれが移動・縮小した本症例を支える臨床研究です。

施術の動画

CASE

しびれる手を揉まず、肩甲骨から感覚の変化を追った

交通事故によるむち打ち後、約10年間続いていた右上肢のしびれ。何もしていなくても小指側を中心にしびれ、首を後ろへ倒すとさらに強くなる状態でした。

藤井翔悟は、しびれている手からではなく肩甲骨下角から評価を始めました。押す位置と方向を少しずつ変えるたびに、しびれの質と場所が変わり、広い範囲から指先側へ集中していきました。

反応点を手がかりに、小円筋、後腋窩、前鋸筋、肩甲帯、頭部、上肢牽引へ介入をつなぐと、終了時には「すごく軽い」「久しぶりの感覚」「しびれがないというか」という大きな変化が現れました。

この症例の読み方

本記事は、施術前の基準動作と施術直後の再評価を比較したシングルケーススタディです。評価で反応点を絞り、手技後に何がどう変わったかを中心に記録します。

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10年間続いた右上肢・尺側のしびれ
10年間続いたしびれ ── 最初に確認できた4つの事実 右上肢の尺側 小指側にしびれが強い 01 経過 交通事故・むち打ちの後から約10年 02 安静時 何もしていなくても右上肢がしびれる 03 増悪条件 首を後ろへ倒すと、しびれが増える 04 医療歴 MRIで問題なしと言われ、服薬でも不変 MRI所見が乏しくても症状が存在しないとは限らない。動画内では診断名は確定していない。

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交通事故・むち打ちの後から約10年。安静時にも右上肢がしびれ、首の後屈で増悪した。MRIでは問題なしと言われ、服薬でも変化しなかったという。

STEP 1

10年の経過 ── MRIで問題なし、薬でも変わらなかった

症状が始まったきっかけとして、本人は交通事故とむち打ちを挙げました。約10年前から右上肢がしびれ、何もしていない自然な姿勢でも症状があります。とくに強いのは尺側、つまり小指側です。動画では、肩の外旋でもしびれが出るという会話があり、続く頸部評価では後屈時に増悪することが確認されました。

MRIについて本人は『特に問題はないということでした』と説明します。ここで大切なのは、MRIの結果を二つの極端な読み方へ持っていかないことです。

本人は、首と肩の可動域を広げるセルフケアを続けていました。それでも『使う量と、もともとの動きがないので追いつかない』と話します。後半では、パソコン業務が多く、手を握っているような状態が続くことも明らかになります。

STEP 2

頸部の動作評価 ── 後ろへ倒すと、しびれが増える

評価では、首を前へ倒す、後ろへ倒す、左右へ傾ける動きを順に行いました。左右への側屈は明らかに硬く、本人も普段から首肩がかなり硬いと認識していました。首を後ろへ倒したときには、右上肢のしびれが増悪します。動作と症状が結びついて再現できたことで、後の介入前後を比較する基準ができました。

頸部伸展では、解剖学的に椎間孔が狭くなる方向の力が加わります。そのため、上肢の放散痛やしびれが増える場合、頸部神経根の関与を検討する手がかりになります。筋力、感覚、腱反射、症状分布、複数の誘発テスト、必要な検査を組み合わせて初めて局在を絞れます。

症例の価値を保つためにも、映像で示された範囲を越えないことが重要です。

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首から指先まで続く神経・軟部組織の経路
首から指先までの連続経路 1 頸部神経根 首の動きで症状が増えるか 2 腕神経叢・腋窩 肩甲帯の位置と症状反応 3 末梢神経・軟部組織 肘・前腕・手首・手まで確認 重要 MRIで「問題なし」= 症状の否定、ではない しびれは経路で考える ── 首・肩だけ、手だけに決めつけない 感覚低下、筋力低下、巧緻動作の悪化、歩行異常などがあれば、改めて医療評価を優先する。

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しびれは首、腕神経叢、肘・前腕・手首など複数部位を鑑別する必要がある。

STEP 3

尺側という症状地図 ── 首から小指までの反応をたどる

『尺側』は、前腕と手の小指側を指します。尺骨神経の線維は腕神経叢を経由し、そのさらに近位では主にC8〜T1神経根につながります。頸部、鎖骨周囲、腋窩、肘の内側、前腕、手首と、経路は長く続きます。

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症状が強かった尺側(小指側)と末梢神経
動画で確認された症状領域 右前腕〜手の尺側(小指側) 末梢神経の走行 肘 → 前腕 → 手へ続く 尺側のしびれは「場所」を示す情報であり、病名そのものではない 頸部神経根、腕神経叢、肘・手首周囲など、経路上の複数部位を鑑別する必要がある。

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肩甲骨周囲への評価刺激から介入点を絞り、右上肢のしびれが移動・縮小する即時変化を追った。

動画で藤井が行ったのは、この長い経路のうちどこへ触れると症状が変わるかを探す作業でした。しびれている手をいきなり強く揉まず、首の動き、肩甲骨周囲、後腋窩、手部を順に比べます。

STEP 4

肩甲骨への評価刺激で、しびれが指先へ移動・縮小

藤井は肩甲骨の下角を基準にして、そこから上腕骨頭の方向へ一押しずつ進みました。押す場所と方向を変えるたびに、本人へ『どうなる?』『しびれ方は?』と確認します。ある点ではビリビリが増え、別の点ではしびれ方が変わり、さらに別の方向では広かった感覚が指先側へ移りました。

本人は『先っぽだけになった』『さらに末端に変わった』と答えます。広い領域にあったしびれが、より末梢へ集中し、面積が狭くなったという変化です。痛みやしびれの強さだけでなく、場所、範囲、質まで聞いたことで、介入方向を細かく調整できました。

小円筋の付着部周囲、肩甲下筋の停止部付近、広背筋を持ち上げるように組み合わせ、空いている親指で小円筋周囲を支えたとき、本人は『なんかすごく楽な感じがする』と反応しました。藤井はこれを、その日の『緩めるポジション』として参加者に示します。核心は筋名そのものより、症状反応が改善する三次元的な方向を、その人の身体で探した点です。

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肩甲骨周囲への評価刺激と、しびれの移動・縮小
反応点を探すテスト ── 押す場所 → しびれの変化を同じ動作で比べる 基準を確認 押さない BASELINE 右腕〜小指側まで 広い範囲に持続 肩甲骨下角から探す 肩甲骨側へ1押しずつ 押す LOCATION SHIFT ビリビリの質・位置が変化 指先側へ移動 楽になる方向を保持 小円筋周囲+後腋窩 保持 AREA NARROWS 先端へ集中・範囲縮小 「すごく楽」 読み方:刺激への反応が変わった事実は「介入候補」を示すが、それだけで解剖学的な原因が確定するわけではない。

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肩甲骨下角から方向を変えながら押すと、しびれの質と位置が変わり、指先側へ集中した。反応点は介入候補であり、次の介入点を示す。

STEP 5

肩甲骨外側と後腋窩 ── 腕と体幹が交差する場所

肩甲骨外側から脇の後ろには、小円筋、大円筋、肩甲下筋、広背筋、上腕三頭筋長頭などが立体的に重なります。表面だけを見れば肩の筋肉ですが、ここは肩甲骨、上腕骨、胸郭、上肢をつなぐ交差点です。すぐ近くの腋窩には腕神経叢から分かれた神経と血管が通るため、解剖を理解し、強く押し込みすぎないことが前提になります。

小円筋は肩甲骨外側縁から上腕骨へ走り、肩関節の外旋と安定化に関与します。大円筋と広背筋は上腕骨へ付着し、腕の内転・内旋・伸展に関わります。肩甲下筋は肩甲骨前面から上腕骨へ走る深層筋です。

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最初の反応点となった肩甲骨外側〜後腋窩
評価・介入した層 肩甲骨の外側縁〜下角 1押しずつ方向を変えて反応を比較 小円筋などの後方筋群 肩の外旋・安定化に関与 広背筋・大円筋と後腋窩 腕を体幹へつなぐ組織の交差域 腋窩を通る神経・血管 強圧を避け、解剖の理解が必要 肩甲骨周囲を触れると、手のしびれの質・位置・範囲がその場で変化した 動画では小円筋周囲、後腋窩、広背筋、前鋸筋などを順に確認している。

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動画では肩甲骨の下角・外側縁、小円筋周囲、広背筋・前鋸筋などを確認し、楽になる方向を保持してリリースした。

小円筋周囲を持ちながら、別の指で肩甲下筋付着部付近を支え、広背筋を持ち上げ、患者の呼気に合わせて腕が自然に下がるのを待ちます。本人が楽だと感じる位置を保持し、症状が増える方向へ無理に押し切らない点が特徴です。

続いて背骨の可動性、前鋸筋、上腕三頭筋周囲なども確認しました。9分台、本人は『流れている感じで、温かくなってきている』と報告します。

STEP 6

最終調整 ── 肩甲骨の誘導と、上肢・手部への牽引

仕上げでは、肩甲骨を内転・下制方向へ穏やかに誘導しました。肩甲骨の動きを整えながら、右上肢の尺側、とくに小指側へ残る感覚を確認します。しびれが頑固に残る部分に対しては、上肢と手部へ牽引を加え、首から腕へ続く組織をできるだけ無理なく伸ばす方向を選びました。

しかし動画では、本人の反応を聞きながら、手が自然な位置へ戻るように少しずつ方向を調整しています。

最後には手そのものの強い張りも確認し、仕事ではパソコン業務が多いことが分かりました。10年前の外傷だけで現在の状態を説明するのではなく、現在も続く手の使用量まで含めて考えます。

STEP 7

再評価 ── 「久しぶりの感覚」「しびれがないというか」

約18分の介入後、藤井が手の感じを尋ねると、本人は『すごく軽いし、軽くて流れてる感じがあって、今までに久しぶりの感覚』と答えました。しびれについては、『なんか、ないというか』と表現します。完全にゼロと断言したのではなく、開始時とは明らかに違う軽さと範囲縮小を、言葉を探しながら伝えた場面です。

どの段階から変わったかを尋ねられると、本人は最初の肩への介入から流れる感じがあったと振り返りました。目の周囲への介入後に頭のもやもやが落ちる感覚があり、そこからしびれの範囲が徐々に狭くなり、最後の牽引で『一気にぐっと小さくなった』と説明しています。つまり、本人が感じた変化は一度に起きたのではなく、段階的に積み上がりました。

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動画内18分間で本人が報告した即時変化
18分間の変化 ── 本人の言葉と評価反応を、順番どおりに並べる 0:00–4:15 BASELINE 安静時もしびれる 首の後屈で増悪 右上肢・尺側に強い 4:25–6:24 TEST 位置が指先へ移動 肩甲骨周囲を押す 「すごく楽」 7:00–14:30 RELEASE 温かく流れる感じ 肩甲帯・背骨・頭部 範囲が徐々に縮小 17:42–18:27 RECHECK しびれが「ないというか」 最後の牽引で一気に 小さくなったと報告 確認できたこと ・単回のデモ中に、しびれの位置・範囲・感じ方が段階的に変化した ・終了時、本人は「久しぶりの感覚」「しびれがないというか」と表現した 施術直後に確認したこと ・しびれの範囲が縮小 ・手の軽さと温かさを実感 結論:この動画が示すのは「その場の主観的な改善」。一人の施術前後を比較するシングルケースとして読む。

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しびれは広い範囲から指先側へ移り、温感と流れる感覚を経て、終了時には大きく縮小したと本人が報告した。施術直後の変化。

この結果は、10年間変わらなかった症状にも、その場で変化する余地があったことを示します。タイトルの『1回で治す』よりも、『単回介入中に主観的なしびれが大きく縮小した』と表現するのが、症例報告として正確です。

STEP 8

この症例から持ち帰る5つの臨床ポイント

第一に、しびれの『強さ』だけでなく、場所、範囲、質、増悪動作を記録すること。第二に、手だけを見ず、首から指先までの経路で考えること。第三に、押す場所と方向を変え、症状がどう変わるかを毎回尋ねること。第五に、開始時と同じ条件で必ず再評価することです。

本症例では、肩甲骨周囲の評価刺激で、広かったしびれが指先側へ移動し、範囲が狭くなりました。その反応を手がかりに介入を組み立て、終了時には本人が大きな軽減を報告しました。手技の派手さより、反応を聞き続け、方向を微調整し、途中で再評価したことに学ぶ価値があります。

同時に、約10年続いたしびれを、短い動画だけで『治った』と結論づけない姿勢も必要です。数日後、数週間後の経過、仕事を続けたときの再発、筋力や感覚の客観所見が分かって初めて、改善の持続性を評価できます。この一例を万能な答えではなく、丁寧な評価が症状の新しい手がかりを生んだ記録として位置づけます。

RESULT

10年続いたしびれが、18分の中で移動・縮小した

肩甲骨周囲へ触れる位置と方向を変えると、しびれの質が変わり、広い範囲から指先へ集中しました。施術前から即時反応の出る方向を選べています。

小円筋周囲と後腋窩の保持では「すごく楽」、介入中には「流れている」「温かい」という反応が現れました。

最終調整後、本人は手が「すごく軽い」「久しぶりの感覚」と話し、しびれは「ないというか」と表現しました。長く固定していた感覚が、単回介入の中で段階的に縮小した症例です。

RESEARCH

この即時変化を支える査読論文

頸部から上肢へ広がる痛み・しびれに対する徒手療法は、系統的レビューとネットワークメタ解析で、短期の痛み・頸部障害度を改善することが報告されています。肩甲骨側からしびれが移動・縮小した本症例を支える臨床研究です。

CLINICAL VALUE

症状の移動を、次の介入点を示すナビゲーションにする

肩甲骨を押したときのしびれの変化を見逃さず、反応が楽になる方向を手技へ採用しました。

小円筋、後腋窩、肩甲帯、頭部、上肢を一つの連続した経路として評価し、各段階で本人の感覚を聞き直しています。

痛む・しびれる末端だけを扱わず、症状が変わる近位部を探す藤井式遠隔リリースの強みが最も鮮明に表れた一例です。

論文と臨床を統合する藤井式

藤井式は、肩甲骨へ触れる方向を数ミリ単位で変え、しびれが指先へ移動・縮小する反応を介入ナビゲーションとして使います。研究で支持される徒手療法を、症状修飾評価によって個別化する精度が独自性です。

Single Case Study

これは、目の前の一人に対して評価と手技を行い、その場で得られた即時変化を記録した臨床報告です。藤井式の特徴である「痛む場所だけを追わず、症状が変わる反応点を探して再評価する」過程をご覧ください。

本記事は、本人の同意を得て匿名化した一人の施術前後を記録するシングルケーススタディです。藤井式の評価と手技で生じた即時変化を、関連するRCT・系統的レビュー・基礎研究と照合して紹介しています。
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