FUJII METHOD — EVIDENCE-ALIGNED TECHNIQUE
肝臓へのアプローチ ── “ガチガチのお腹”を、呼吸と反射で内側からゆるめる
こんな方へ:触るとガチガチに硬い腹部 / お腹を触るとくすぐったい・過敏 / 脂肪層が厚く大腰筋など深部に触れにくい / 大腰筋の硬さや腰の張りが気になる方、および“お腹の緊張”を扱いたい治療家・トレーナー
肝臓(かんぞう)は右の肋骨の下に収まる体で最大の臓器で、上面は横隔膜のドームに密着し、呼吸のたびに大きく上下する。治療家・藤井翔悟の実技動画は、腹横筋そのものの解説ではなく、“ガチガチに硬いお腹・触るとくすぐったい過敏なお腹・脂肪層が厚く深部に触れにくいお腹”に対し、肝臓・脊柱起立筋・胸骨へのアプローチと呼吸・反射を使って腹部全体の緊張をゆるめる、という発想が中心。
監修:藤井翔悟 / 著者:藤井翔悟 / 最終更新 2026-07-19
FUJII METHOD — PEER-REVIEWED TECHNIQUE ANALYSIS
藤井式の評価・触診・再評価を、査読研究で支持
研究で確認された解剖学・疼痛・可動域・機能変化を土台に、藤井翔悟が症状の変わる反応点を見つけ、介入直後に同じ動作で結果を確かめるまでを一つの技術として解説します。
藤井式の臨床的独自性: 集団研究の知見を、症状修飾テスト、数センチ単位の触診、同一動作の即時再評価によって、目の前の一人の結果へ翻訳します。
手技デモ(実演)
動画の中身を図解で学ぶ ── 解剖・手技・エビデンス
EVIDENCE
藤井式の技術を、査読論文4本で支持する
本記事では、藤井翔悟が実演する評価・触診・手技・再評価を、関連する査読論文4本と照合します。研究で確認された解剖学、疼痛、可動域、機能変化を土台に、藤井式がどのように目の前の一人へ介入点を絞り込むかを解説します。
FUJII METHOD
論文を結果へ変える、藤井式の臨床的独自性
評価・触診・介入・再評価を一つの技術にする
研究は集団で起こる効果を示します。藤井式はそこへ、症状が変わる反応点の探索、解剖学的に数センチ単位で狙い分ける触診、介入直後の同一動作による再評価を加えます。論文の知見を一人ひとりの即時結果へ翻訳することが、藤井式の技術的価値です。
この記事で学べること/結論を先に
この記事は、治療家・藤井翔悟による腹部へのアプローチの実技解説動画を、図解と実在の研究論文で読み解くガイドです。主役は、右の肋骨の下に収まる体で最大の臓器 ── 肝臓(かんぞう)です。ただし最初にはっきりお伝えしておきたいことがあります。この動画は、腹横筋(ふくおうきん)の解剖や機能、具体的なリリース手技を一つずつ教える“ハウツー動画”ではありません。動画の主眼は、『触るとガチガチに硬いお腹』『触るとくすぐったい・過敏なお腹』『脂肪層が厚くて大腰筋などの深部に触れにくいお腹』といった、扱いにくい腹部をどうゆるめるか、という点にあり、その突破口として肝臓・脊柱起立筋・胸骨という3つのポイントと、呼吸・反射という2つの手がかりを使う、という発想が中心です。
そこでこの記事の役割は2つです。ひとつは、肝臓の位置と横隔膜・呼吸との関係を医学的に整理し、『動画が何をしようとしているのか』を図で分かるようにすること。もうひとつは、その手技の“どこまでが研究で裏づけられ、どこからが臨床経験・理論なのか”を正直に線引きすることです。結論を先に言えば ── 徒手療法や筋膜への手技が痛みや機能に良い影響を与えうること、呼吸筋が評価・介入の対象になることは、実在の研究で一定の示唆があります。しかし『肝臓を覆って呼吸に同調させると腹部全体が緩む』『胸骨や脊柱起立筋への刺激で反射的に腹部の緊張・過敏が緩む』という動画独自の連動そのものを検証した研究は、現時点で確認できません。だからこの記事は『治る』とは書きません。動画=体験と着想、記事=地図と検算。あわせて読むことで、印象的なフレーズを鵜呑みにせず、意味の分かった一手として持ち帰っていただければと思います。
この記事の読み方
「動画の手技(藤井先生の臨床)」と「研究エビデンス」を、色分けするように分けて書いています。手技の説明は動画に忠実に、エビデンスは実在する系統的レビュー・メタ解析のみを引用し、肝臓へのアプローチに特化した強い証拠がない場合はその旨をはっきり書きます。腹部は肝臓・胃腸や太い血管のある繊細な部位です。自己流の強い圧迫は避け、原因不明の腹痛や、痛み・不調が続く・悪化する場合は医療機関を受診してください。
背景 ── なぜ“ガチガチのお腹”に肝臓なのか
お腹が硬い、というのは臨床でよく聞く訴えです。実際に触れてみると、腹壁の筋(腹直筋・腹斜筋・腹横筋)が緊張して板のように硬い方もいれば、脂肪層が厚くて深部に手が届かない方、そして触れられること自体に体がこわばり、くすぐったさや不快感で力が抜けない方もいます。動画で藤井先生が取り上げるのは、まさにこうした“ふつうに揉んでもゆるまない、扱いにくいお腹”です。とりわけ、脊柱のすぐ横を走る大腰筋は、腹部の奥深くにあって直接触れるのが難しく、脂肪層が厚いほど、また腹部が過敏なほど、触診のハードルは上がります。
ここで動画が示す発想が、『腹壁を直接ほぐそうとするのではなく、肝臓という大きな臓器の動きを手がかりにする』というものです。肝臓は右の肋骨の下に収まる、体でいちばん大きな臓器で、その上面は横隔膜というドーム状の筋にぴったり密着しています。私たちが息を吸うと横隔膜が下がり、肝臓は下方へ押し下げられ、息を吐くと戻る ── つまり肝臓は呼吸のたびに大きく上下している臓器です。この“呼吸に連動して動く大きな面”を手で覆うことで、力ずくで押さなくても、相手の腹部の状態(呼吸の入り方、緊張の強さ、ゆるむタイミング)を感じ取れる、というのが着眼点です。
なぜお腹の硬さに“呼吸”が関わるのでしょうか。横隔膜は呼吸の主役であると同時に、腹圧を通じて体幹の安定にも関わる筋です。緊張やストレスで呼吸が浅くなり、横隔膜の動きが乏しくなると、腹部全体が縮こまり、硬さや詰まり感として感じられることがあります。逆に、深くゆっくりした呼気(吐く息)は、体をリラックスさせる方向(副交感神経が優位になる方向)へ働きやすいことが知られています。動画が『息を吐いたときに腹部がフッと緩む感覚を待つ』と繰り返すのは、この呼吸と緊張のつながりを臨床的に利用している、と読むことができます。ただし後述するように、これは一般論としての呼吸生理であって、『肝臓を覆えば腹部が必ずゆるむ』ことが証明されているわけではありません。
整理すると、動画が肝臓に着目する理由は3つの層に分けて理解できます。第一に位置の層 ── 肝臓は体で最大の臓器で、腹部の右上を広く占め、片手で覆うのに十分な“面”を持つ。第二に運動の層 ── 横隔膜に密着し、呼吸で大きく上下するため、手を乗せるだけで呼吸という体の動きを敏感に読み取れる。第三に神経・反射の層 ── 藤井先生は、肝臓・脊柱起立筋・胸骨への触れ方によって、反射的に腹部の緊張や感覚過敏がゆるむことがある、と臨床経験から述べる。この3層のうち、第一・第二は解剖・生理として理解しやすい一方、第三の“反射で腹部が緩む”という部分は、氏の見立て(臨床経験・理論)であり、強い研究の裏づけはこれからの領域です。ここは記事全体を通じて、正直に線を引いていきます。
肝臓の解剖と呼吸との関係 ── 横隔膜のドームに抱かれ、息とともに動く
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肝臓は右の肋骨(第7〜11肋骨あたり)の下にすっぽり収まる、体でいちばん大きな臓器です。上面は横隔膜のドームに密着し、呼吸のたびに上下します。すぐ後ろ・下には胃や腸、深部には大腰筋が控えます。動画が『肋骨の下、だいたいこのエリアを片手で覆う』と示すのは、この肝臓の位置です。
図1は、腹部を前から見た肝臓の位置です。肝臓は右の肋骨(おおよそ第7〜11肋骨)の下にくさび形に収まり、上面は横隔膜のドームにぴったり張り付いています。すぐ左には胃、下方には胆嚢(たんのう)や腸が続き、さらに背側の深部には脊柱を挟んで大腰筋、そして腹部大動脈(赤)と下大静脈(青)という太い血管が縦に走ります。下大静脈は肝臓の後面を通って心臓へ戻るため、肝臓は文字どおり“大血管と隣り合う”臓器でもあります。この解剖を頭に置くと、腹部を扱うときになぜ『強く速く押し込まない』ことが大切なのかが見えてきます。
肝臓と呼吸の関係は、この記事の要点です。息を吸うと横隔膜が収縮して下がり、肝臓は数センチ下方へ移動します。息を吐くと横隔膜がゆるんでドームが戻り、肝臓も上方へ戻ります。つまり肝臓は、呼吸のたびに上下する“動く臓器”です。動画で『肋骨の下、だいたいこのエリアを片手でガバッと覆い、呼吸による胸郭の膨隆・陥没を感じる』と説明されるのは、この呼吸性の動きを手のひらで読み取っているわけです。押し込んで組織をこじ開けるのではなく、乗せた手で“体が自分で動く様子”を感じる ── これが動画のタッチの質を理解する鍵になります。
動画がなぜ“脂肪層が厚い方”を繰り返し話題にするのかも、この解剖から理解できます。腹壁は表面から、皮膚 → 皮下脂肪 → 腹直筋・腹斜筋・腹横筋といった腹壁の筋 → 腹膜、という何層もの構造でできており、その奥の背側に大腰筋が控えます。皮下脂肪が厚いほど、指先で大腰筋のような深部の筋の状態を直接読み取ることは難しくなります。だからこそ動画は、指で“探る”のではなく、手のひら全体で“呼吸という動き”を感じ取る方向へ発想を切り替えます。脂肪層や過敏さといった、触診を妨げる条件があっても、呼吸で動く肝臓という大きな面を介せば、腹部の状態に手を通じてアクセスできる ── この“触りにくいお腹への回り道”こそが、動画の実用的な狙いだと言えます。
「肝臓を揉む」ではなく「肝臓のエリアに手を乗せる」
誤解を避けるために強調すると、動画の手技は肝臓という臓器を直接“揉む・押しつぶす”ものではありません。肝臓は肋骨に守られた実質臓器で、強い圧を加えるべき対象ではありません。行っているのは、肝臓がある体表のエリアに手のひらを乗せ、その下で起こる呼吸の動きを感じ取り、腹部がゆるむタイミングに寄り添う、という穏やかな接触です。この点を取り違えると危険なので、はっきり分けて理解してください。
動画の核心①
肝臓へのアプローチ ── 覆う・感じる・待つ
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動画の起点。肋骨の下、肝臓があると思われるエリアを片手で大きく覆います。押し込むのではなく、乗せた手で相手の呼吸による胸郭の膨らみ・しぼみをゆっくり感じ取るのが目的です。息を吐いたときに腹部がフッと緩む感覚が出るかを確かめます。
動画の中心となる手技は、肝臓のエリアへのアプローチです。手順はシンプルで、まず肋骨の下、肝臓があると思われる範囲(動画では『だいたいここからここまでのエリア』と示されます)を、片手で大きく覆います。次に、その手で相手の呼吸による胸郭の膨らみ・しぼみ(膨隆・陥没)を、押し込まずにゆっくりと感じ取ります。そして、相手が息を吐いたときに、腹部がフッと緩む感覚が得られるかを確かめます。緩みが得られない場合は、すぐに力を強めるのではなく、『待ちのタッチ』で、脳(神経系)がゆるむのを待つ、というのが動画の一貫した姿勢です。
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肝臓を覆った手で呼吸を感じながら、もう一方の空いた手で大腰筋が走ると思われる腹部を“軽く”押し込みます。強く押すのではなく、相手が息を吐くリズムに合わせて、腹部がフッと緩む瞬間を待つのがポイントです。深部の大腰筋は触れにくいため、呼吸という動きを手がかりにします。
図3は、その次の段階です。肝臓を覆った手で呼吸を感じながら、もう一方の空いている手で、大腰筋が走行していると思われる腹部の部位を“軽く”押し込むように触れます。ここでも強く押し込むのではなく、相手の呼吸のリズム、とりわけ息を吐く局面に合わせて、腹部がゆるむ瞬間を待つのがポイントです。大腰筋は脊柱のすぐ横、腹部の奥深くにあり、脂肪層が厚い方や腹部が過敏な方では特に触れにくい筋です。だからこそ、直接ぐいぐい探るのではなく、呼吸という“体そのものの動き”を手がかりに、深部がゆるむのを待つ、という間接的なやり方が選ばれています。
この一連の手技で繰り返し強調されるのが、タッチの“弱さ”と“待つ”ことです。触るとくすぐったい・過敏なお腹に対して、強い刺激はかえって防御的なこわばりを招きます。そこで、覆う・感じる・待つ、という穏やかな接触を通じて、体が自分から力を抜くのを引き出そうとします。うまくゆるまないときの次の一手が、次章の“反射”の利用です。
動画の核心②
反射を使う ── 脊柱起立筋と胸骨からの“前後・上下”のアプローチ
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腹部が緩みにくいとき、動画では背中側からの反射を併用します。後ろに回した手で脊柱起立筋群に触れ、もう一方の手で腹部(大腰筋部)に触れる。前後で挟むように触れることで、反射的に腹部がフッと緩むことがある、という考え方です。強く揉むのではなく“触れて待つ”のが主眼です。
肝臓と呼吸のアプローチだけでは腹部が緩みにくいとき、動画では“反射”を併用します。ひとつめが、背中の脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)を使う方法です。後ろに手を回し、脊柱起立筋群を一方の手で触り、もう一方の手で前側の腹部(大腰筋部)に触れます。前後で体幹を挟むように触れることで、反射的に腹部がフッと緩むことがある、という考え方です。ここでも強く揉むのではなく、触れて体の反応を待つ、という穏やかなタッチが主眼になっています。前と後ろ、両側から体幹に情報を入れることで、神経系が緊張をゆるめる方向に切り替わることを期待している、と読むことができます。
図は横にスワイプして拡大表示できます
もう一つの反射ポイントが胸骨(胸の中央の平らな骨)です。胸骨の上に手を置き、呼吸の隆起(胸が膨らむ動き)に合わせて大腰筋や腹部が動くかを感じます。この胸骨からの入力によって反射が起こり、腹部の緊張や感覚過敏が緩むことがある、という動画の見立てです。
ふたつめの反射ポイントが、胸骨(きょうこつ ── 胸の中央にある平らな骨)です。胸骨の上に手を置き、呼吸の隆起(胸が膨らむ動き)に合わせて、大腰筋や腹部が動くかどうかを確かめます。この胸骨からの入力によって反射が起こり、腹部の硬さや感覚過敏がゆるむことがある、というのが動画の見立てです。胸骨は横隔膜や肋骨とつながり、呼吸のたびに動く部位でもあるため、ここでも“呼吸に同調させる”という一貫した原則が使われています。肝臓(腹部の右上)・脊柱起立筋(背中)・胸骨(胸の中央)という3つのポイントは、いずれも呼吸で動く構造を介して腹部の緊張にアプローチしている、という共通点があります。
動画では、これら肝臓・脊柱起立筋・胸骨へのアプローチは、いずれも反射を利用して腹部の緊張を緩める方法である、とまとめられます。そして、脂肪層が厚い方、触るとくすぐったい方、感覚が過敏な方に対して特に有効である、と述べられます。一方で動画には、腹横筋そのものの解剖・機能・触診・リリースの具体的手順の解説は含まれていません。この記事も、その事実に忠実に、腹横筋のハウツーとしてではなく、“扱いにくいお腹をゆるめるための、呼吸と反射を使った穏やかなアプローチ”として内容を整理しています。
症例の考え方・よくある質問(FAQ)
Q. 「肝臓を触る」と聞くと少し怖いのですが、危なくないのですか? ── A. まず大前提として、動画の手技は肝臓という臓器を“揉む・押しつぶす”ものではありません。肝臓のある体表のエリアに手のひらをそっと乗せ、その下の呼吸の動きを感じ取る、という穏やかな接触です。とはいえ腹部の深部には肝臓・胃腸に加え、腹部大動脈・下大静脈といった太い血管が通ります。強く速く押し込むのは危険で、拍動を感じたら手を離す、痛み・不快感・しびれが出たら中止するのが原則です。原因不明の腹痛がある方、肝臓・胆嚢などの腹部疾患がある方、妊娠中の方は、自己流では行わないでください。
Q. なぜお腹を直接ほぐさず、呼吸や胸骨・背中を使うのですか? ── A. 触るとガチガチに硬いお腹や、くすぐったい・過敏なお腹は、直接強く揉もうとするとかえって防御的にこわばってしまいます。また脂肪層が厚いと、大腰筋のような深部の筋には物理的に手が届きにくい。そこで動画では、呼吸で大きく動く肝臓のエリアを手がかりにし、さらに胸骨や脊柱起立筋からの反射を併用して、体が自分から力を抜くのを引き出そうとします。これは臨床経験と、呼吸・神経反射という生理の考え方に基づく発想で、この個別の手技の効果を腹部で直接検証した強い研究はまだ限られる点は、正直にお伝えします。
Q. お腹が硬いのは内臓が悪いサインではないのですか? ── A. お腹の硬さの多くは腹壁の筋緊張や、呼吸の浅さ、姿勢などが関わる機能的なものですが、まれに内臓の病気が背景にあることもあります。とくに、押すと強く痛む、板のように硬くて力を抜けない(筋性防御)、発熱を伴う、安静にしても痛む、体重が減っている、といったサインがあるときは、手技の対象ではなく、消化器内科などの受診が優先されます。この記事の手技は、そうした病的な硬さを見分けたり治したりするものではありません。心配な症状があるときは、まず医療機関で原因を確認してください。
Q. くすぐったくて力が抜けません。どうすればいいですか? ── A. くすぐったさや過敏さは、体が“防御”している状態のあらわれです。動画の発想に沿うなら、いきなり深く触れるのではなく、まず手を軽く乗せて温度と圧に慣れてもらい、相手(自分)の呼吸に手を同調させ、吐く息のたびに少しずつ力が抜けるのを待つ、という順序が現実的です。強い刺激で無理にこじ開けようとするほど、体はこわばります。心地よい範囲・短時間から、反応を見ながら行ってください。過敏さが極端に強い場合や、触れられること自体がつらい場合は、無理をせず専門家に相談しましょう。
Q. セルフケアとして自分でやるなら、何に気をつければいいですか? ── A. 一番大切なのは、腹部を強く深く押し込まないことです。腹部の奥には太い血管があり、拍動を感じたり、しびれ・強い痛みが出たりしたら、すぐに手を離してください。動画の発想を自分に応用するなら、肝臓のあたり(右の肋骨の下)にそっと手を乗せ、ゆっくり長く息を吐きながら、お腹がゆるむのを感じる、という穏やかな呼吸のワークにとどめるのが安全です。強い圧迫や、大腰筋を自力で深く探るような行為は避けてください。持病がある方・妊娠中の方・腹部に痛みや不調がある方は、始める前に必ず専門家へ相談を。
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この手技が使われた改善症例
肩甲骨の深いこわばりと頸部回旋が、胃・腸への介入直後に変わった一例
肩甲骨上角に通常の筋膜リリースでは緩みにくい深いこわばりがあり、頸部回旋も制限。問診で胃腸の既往、ストレス、長時間労働による腹部負担が確認された。
大腰筋・小腸を肋骨弓の一点で緩めた実技 ── 「腰痛・肩こり・自律神経失調の特効薬」は、この動画では検証されていない
この動画は、特定の患者の症状経過を追ったものではなく、YouTube向けの技術解説として撮影された単発の実技デモである。開始前に、対象者の腰痛・肩こり・自律神経症状などの主訴は一切確認されていない。示されているのは、施術前の体幹伸展のおおまかな確認と、押す前の腹部の触診上の硬さだけである。
※ いずれも本人の同意を得て匿名化した記録です。経過には個人差があります。
限界と注意・受診の目安
- ▸腹部の深部には肝臓・胃腸や腹部大動脈・下大静脈が通ります。自己流の強い・速い圧迫は避け、拍動を感じたら離してください。
- ▸動画の手技は肝臓を“揉む・押しつぶす”ものではなく、エリアに手を乗せて呼吸を感じる穏やかな接触です。強圧を加えないでください。
- ▸『肝臓を覆い呼吸に同調させると腹部が緩む』『胸骨・脊柱起立筋の反射で腹部の緊張・過敏が緩む』は藤井先生の臨床経験に基づく見立てで、肝臓へのアプローチに特化した強い研究の裏づけはまだ確認できません。
- ▸引用した研究は徒手療法・筋膜療法(がん性疼痛・乳がん上肢)、呼吸筋の評価、腰椎椎間板ヘルニアの運動療法が中心で、いずれも“肝臓を覆って腹部を緩める”手技そのものを検証したものではありません。
- ▸押すと強く痛む・板状の硬さ(筋性防御)・発熱を伴う腹痛・夜間痛・吐き気・黄疸・原因不明の体重減少・血便などがあるときは、手技より先に医療機関を受診してください。
- ▸効果には個人差があり、『治る』ことを保証するものではありません。
監修・参考文献
掲載内容は藤井翔悟が臨床経験と学術文献に基づき確認しています。効果には個人差があり、本記事は診断・治療の代替ではありません。より高い客観性のため、今後は外部の有資格者(医師・理学療法士等)による監修も加えていきます。
監修:藤井翔悟(徒手療法家 / 手技考案者)
- [1] Yao C, Cheng Y, Zhu Q, Lv Z, Kong L, Fang M.(2021).「Clinical Evidence for the Effects of Manual Therapy on Cancer Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis」. Evidence-based complementary and alternative medicine : eCAM.
- [2] Lara-Palomo IC, Castro-Sánchez AM, Córdoba-Peláez MM, Albornoz-Cabello M, Ortiz-Comino L(2021).「Effect of Myofascial Therapy on Pain and Functionality of the Upper Extremities in Breast Cancer Survivors: A Systematic Review and Meta-Analysis」. International journal of environmental research and public health.
- [3] Silva Junior EFFD, Campos SL, Leite WS, Melo PVS, Lins RAC, Araújo MDGR, Guerino MR.(2023).「Surface electromyography signal processing and evaluation on respiratory muscles of critically ill patients: A systematic review」. PloS one.
- [4] Du S, Cui Z, Peng S, Wu J, Xu J, Mo W, Ye J.(2025).「Clinical efficacy of exercise therapy for lumbar disc herniation: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials」. Frontiers in medicine.